住宅ローンの毎月の返済額は9万円超にしている人が最多!ボーナス払い無しも半数以上
住宅購入は人生の3大支出に数えられるほど、高額な買い物です。これから住宅ローンを組むにあたって、どのような返済プランにしようか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。ある住宅ローンの調査によると、「毎月の返済額は9万円超」にしている人が最多で、ボーナス払いは「無し」にしている人が半数以上いることがわかりました。 住宅ローンの適正な借入額は契約者の年収によって異なるうえ、ボーナス払いの有無によっても返済リスクは変わります。そこで、今回は住宅ローンの借り入れにあたり、「毎月の返済額はどれくらいが適切なのか」また「ボーナス払いはしたほうがいいのか」で迷っている人に向けて、返済プランを立てる際に考えるべきポイントを解説していきます。
01住宅ローンの毎月の返済額、9万円超を選んだ人が最も多い!
人事コンサルティング会社のベクトルが男女450人を対象に行った「住宅ローンについてのアンケート調査」によると、毎月の返済額で回答が多かったのは以下のとおりです。
- 第1位…9万円超(112人、約25%)
- 第2位…6万円超7万円以内(83人、約18.4%)
- 第3位…7万円超8万円以内(79人、約17.6%)
調査の結果、第1位となったのは9万円超でした。同アンケートで毎月の返済額が8万円超9万円以内と答えた人は42人(約9.3%、第6位)と少なかったことから、高額所得世帯を中心に毎月10万円以上を返済している人が一定程度含まれている可能性が高いことは頭に入れておいたほうがよいでしょう。
なお、毎月の返済額は借入金額や金利、返済年数に大きく影響を受けます。同調査の別のアンケートによるとそれぞれ「借入金額3000万円以下(頭金0円)」「借入期間35年」「変動金利」を選択している人が多い結果になったとのことです。
出典:ベクトル「人には聞きづらい住宅ローン、月にどれくらい払ってる?住宅ローンと転職の関係性は?」
毎月の返済額を決める際は「返済負担率」をチェックしよう
住宅ローンは長い年月にわたって返済を続けなければいけないので、「他の人がどれくらい毎月の返済額を支払っているか」と、返済額の相場が気になるのも仕方ないことかもしれません。
しかし毎月返済できる金額は、契約者の年収やライフスタイルによってそれぞれ異なります。住宅ローンを検討する際には、「自分が無理なく毎月返済できる金額はどれくらいか」という視点で考えることが大切です。
一般的に住宅ローンは、年収における年間返済額の割合を示す「返済負担率」が25~30%以内であれば無理なく返済できる範囲だとされています。返済負担率の計算式は「他のローンも含む年間返済額 ÷ 年収 × 100」で、例えば年収500万円で毎月11万円(年132万円、毎月の返済は住宅ローンが9万円、マイカーローンが2万円)の返済をする場合は「132万円 ÷ 500万円 × 100 ≒ 26%」です。
このケースの返済負担率は適正範囲内ではあるものの、家庭によっては教育費がかかったり、老後資金を貯めなくてはいけなかったりすると、今後の支出状況次第では30%を超える可能性もあります。他に大きな支出が予定されているなら、注意すべき水準だといえます。
また、出産・育児や定年退職を迎えるなど、住宅ローン返済中に収入が一時的にでも減る可能性がある人も要注意です。そのような可能性がある人は、返済計画を立てる際にその分だけ返済負担率を低めに抑える工夫をすることも、住宅ローンを契約するときのポイントになります。
02ボーナス払い無しを選んだ人は半数以上。リスク回避する傾向が明らかに
住宅ローンの返済にあたり、「ボーナス払い有り」にして毎月の返済額を抑えようと考える人もいるでしょう。しかし、先ほどのアンケートでは「ボーナス払い無し」を選んだ人が全体の約66%(450人中296人)と半数を超える結果になりました。ボーナス払い無しを選んだ人の理由としては、以下のようなものが挙げられました。
- (月々の返済額を)無理ない金額で組んだので支払いは続けられる
- 毎月の支払いはかなり厳しいがボーナスがあるので何とか払えている
前者は借入金額を抑えることで、ボーナス払い無しにしても無理のない返済ができるように予算を組んだパターンです。一方、後者は毎月の返済額は家計上あまり余裕のない状態であるものの、何かあったときは貯金を切り崩して対応できるように、ボーナス払い無しを選択したことがわかります。
いずれにしても、ボーナス払い無しを選んだ人は住宅ローンを組むにあたって、不測の事態が起こっても対応できるように資金的な余力を残しておこうと考えている姿勢は共通しています。いくら計画上は無理のない範囲で住宅ローンを組んだとしても、コロナ禍のような思わぬアクシデントによって勤務先の企業が業績不振になり、給与やボーナスがカットされるケースが起こらないとは誰にもいえません。ボーナス払い無しにしておくと、そうした万が一のときでも貯蓄にゆとりがあるので、返済計画に狂いが生じても修正しやすいです。
また、近年の住宅ローンを取り巻く環境で注意しておきたいのが金利上昇リスクです。変動金利にはまだ大きな変化はありませんが、固定金利は2022年末から上昇傾向にあります。万が一住宅ローンの返済中に金利が急上昇すると、変動金利の人は支払い利息が毎月の返済額を上回る「未払い利息」が発生する可能性もあります。金利上昇リスクには繰り上げ返済が有効ですが、ボーナス払い有りにすると繰り上げ返済に回す余力がなくなっているかもしれません。貯蓄にゆとりがない場合は金利上昇リスクに左右されず、返済計画に狂いが生じにくい固定金利の選択も視野に入れて検討してみてください。
ボーナス払いを併用する際はデメリットをしっかり把握しておこう
ボーナス払いには毎月の返済額を抑えられるメリットがありますが、その一方でデメリットもあります。具体的には、「総返済額における支払い利息が増える」「アクシデントが発生すると返済に困るリスクがある」の2点です。ボーナス払いは年2回しか支払わないので元本の減りは毎月返済するボーナス払い無しに比べて遅くなり、トータルでの金利負担は大きくなります。
また、景気の悪化などによってボーナスが減額もしくは支給されなくなった場合、ボーナス月の返済が苦しくなって、ゆとりのある生活が送れないことも考えられます。最悪のケースでは返済が滞り、せっかく手に入れたマイホームを手放さなくてはいけなくなるかもしれません。そのようなことがないように、ボーナス払いの設定について考えるときは、「万が一ボーナスが支給されなくても、住宅ローンの返済を続けていけるかどうか」までシミュレーションしておいたほうが無難です。
03ボーナス払い併用の有無で、毎月の返済額がどのくらい変わるかシミュレーションしてみよう
今回紹介したアンケート結果では、住宅ローンを組んでいる人のうち「毎月の返済額は9万円超」「ボーナス払い無し」が多数派でした。ただし、毎月の返済額やボーナス払いの有無について何が正解なのかは、契約者の年収や借入金額などの条件によって異なります。大切なことはしっかりした返済計画を立てて、多少のアクシデントがあっても返済を続けていけるようにシミュレーションしておくことでしょう。
当サイト内には住宅ローンの予算を考える際に役立つ各種のシミュレーターが用意してあります。ボーナス払いの有無や金利の差で、どれくらい毎月の返済額や総利息額が変わるのかを知りたい人はぜひ試してみてください。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
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