投資はいくらから始めれば良いか?投資初心者向けの徹底解説!
投資はいくらから始められるのかわからないし、どれくらい投資すればいいのかもわからない、そんな方のために、投資の金額の目安や、投資のメリット・デメリットについてお伝えします。
01投資はいくらから始められる?
投資には、NISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇を受けられる制度を使ったものや、株式投資や投資信託などに直接投資をするなどさまざまな手法があります。それぞれの場合、いくらから投資が始められるのか、最低投資額と購入時の手数料を見てみましょう。
投資にあたっての最低投資額と購入時の手数料
最低投資額 | 購入時手数料 | |
---|---|---|
NISA | 100円/月~※1 | 0円~※1 |
iDeCo | 5000円/月 | 加入時に2829円 |
株式投資 | 銘柄によって異なる | 購入額10万円に対して、100円前後※2 |
投資信託 | 数百円から数万円※1 | 買い付け額の1~3%程度※1 |
※2 金融機関によって異なる
NISA
NISAとは少額投資非課税制度のことで、つみたて投資枠と成長投資枠に分けられています。つみたて投資枠では年間120万円まで、成長投資枠では年間240万円までの非課税投資枠が設けられており、永久に非課税で運用できます。
ただし、非課税で保有できる限度額が設けられており、1800万円(そのうち成長投資枠は1200万円)までです。
つみたて投資枠で購入できるのは、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られますが、成長投資枠では上場株式の購入も可能です。
NISAは1人1口座しか開設できませんので、どの証券会社で開設するかを見極める必要があります。ただし、証券会社は変更することもできます。
NISAで購入できる最低価格は証券会社によって異なりますが、100円からの購入を可能としている証券会社もあります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
自身で拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する私的年金制度がiDeCoです。iDeCoの最低掛け金は1カ月5000円です。
掛け金の上限は加入者によって違い、例えば厚生年金に加入している人の場合は、1万2000円~2万3000円の間の決められた限度内で掛け金を設定することができます。設定した金額を毎月積み立てていくことになりますので、掛け金が5000円であれば、年間で6万円が必要な金額となります。
加入時には2829円の手数料がかかります。
株式投資
株式投資では、株価は銘柄(企業)によって大きな差があります。投資する銘柄によって金額は大きく異なりますが、一般的には10万円程度は必要だと言われます。
株式の購入では、銘柄ごとに売買する単位が決まっています。これを単元株といい、銘柄ごとに単位が異なりますが、多くの銘柄の単元株は100株となっています。
例えばソニーの単元株は100株ですが、株価は1万2920円(2023年11月13日の取引終了時の価格、以下も同じ)。購入するには1万2920円 × 100株 = 129万2000円が必要となります。
また、料理レシピの投稿・検索サービスでおなじみのクックパッドの単元株も100株ですが、株価は114円で、114円 × 100株 = 1万1400円で購入することができます。
このように投資する金額は、投資先の企業によって大きく異なります。
また、単元株が100株の銘柄を1株や10株から買える「単元未満株」のサービスをネット証券などが行っていて、例えば単元未満株なら前述のソニーの株を、1株1万円2920円で購入できます。
株を購入するときは取引が成立した金額に応じて証券会社が定めた手数料(正式には株式委託手数料)がかかります。
ネット証券では、購入額10万円に対して、100円前後の手数料が発生するのが一般的です。
投資信託
投資信託は取引を行う際に、口(くち)という単位を使います。投資信託の購入は口数指定か金額指定で行います。
口数指定で買う時は、最低買い付け単位は1万口で、各投資信託の価格である「基準価額」はこの1万口の金額です。数百円から数万円程度で買うことができます。
金額指定で買う場合の最低買い付け金額は投資信託の種類によって異なります。ネット証券などでは100円から購入することができるところも増えています。ただし、投資金額が少ないと利益も少なくなり、まとまった利益を得るには時間がかかります。
購入時にかかる売買委託手数料(販売手数料)は販売会社(金融機関)によって異なりますが、買い付け額の1~3%程度です。また手数料のかからない「ノーロード」と言われる投資信託も増えています。
ただ、投資信託は保有している期間、信託報酬がかかります。信託報酬は投資信託商品によって異なります。購入時だけでなく保有時にも手数料がかかることも覚えておきましょう。
02自分に合った投資金額の決め方とは?
では、実際にどの商品にどれくらい投資すればいいのでしょうか。まずは自分の資産状況から考えてみます。
自分の資産状況を加味して決める
投資は運用の結果によっては元本が減ってしまうこともあります。まずは生活に必要なお金やいざという時の緊急資金を最低でも生活費の3ヶ月分、余裕を持つなら半年分は貯蓄で確保して、余裕資金で始めるようにしましょう。貯蓄額が十分ではないのに、いきなり多額の投資をすることはおすすめしません。それでもどうしても投資をしたいというときは、少額で始めることとし、必要になったら現金化しやすいものを選びましょう。
ある程度の資金があり、その中から投資をするときには、資金の分散を考えましょう。株と債券といった金融商品の分散、国内と海外といった地域の分散、積み立てによる投資で時間の分散、あるいは株式投資をする場合は、投資する銘柄の業種を分散させるなど様々な方法があります。分散することで、投資リスクを低減し、安定的な利益を得る可能性が高くなるという効果が期待できるといわれています。
投資に回す金額の考え方
また、投資に回す金額についての考え方は2つあります。
1つ目は、投資する目的から逆算するパターンです。
例えば、子供が生まれたタイミングで子供の大学費用の一部を目的として投資するということであれば、期間と利回りをシミュレーションしながら月々の投資額を決める、といった方法です。
インターネット上のシミュレーションサイトを使いながら考えると便利です。ここでは、金融広報中央委員会「知るぽると」のらくらくシミュレーションを使ってみましょう。
例えば、18年後に大学進学をすることになる子供のために3%で運用できる商品に投資するとします。文部科学省の調査によると、文科系学部に4年間在学した場合の合計金額は約408万円です。
出典:文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金調査」
- 積み立て目標額:408万円
- 積立期間:18年
- 利率:3%
そこで上記の数字を入力して計算して「計算する」ボタンをクリックすると、毎月1万5400円ずつ積み立てていけばいいということがわかります。
2つ目は、自分の収入や貯蓄状況から考えるパターンです。NISAのつみたて投資枠で1年の間に利用できる金額は120万ですから、12カ月に分けて考えると、最大3.3万円程度を積み立てられる事になります。
毎月それ以上の貯金が出来ている人であれば10万円を拠出するという事も考えられますが、想定外の出費などが発生することも考慮して、毎月貯金していた金額の全額をいきなり投資に回すのではなく貯蓄額の1/3から1/2程度を投資に充てる、などといった方法が無難であると考えられます。
どちらかの考え方だけで投資金額を決めるというよりも、それぞれの考え方で見比べながら、毎月の金額を決めると、よい1歩が踏み出せるのではないでしょうか。
03少額投資のメリット・デメリット
株や投資信託のところ見てきたように少額から投資できる商品もありますが、少額投資は、いいことばかりではありません。少額投資のメリットとデメリットを見てみましょう。
少額投資のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
すぐに始められる 少額であればすぐに購入できて、資金が貯まった時に備えて投資について勉強することもできます。初心者の場合、購入の仕方や銘柄の選び方など、実際に買ってみなければわからないことがたくさんありますが、少額であれば始めやすく、さまざまな経験をすることができます。 |
得られる利益が少ない 株や投資信託は1株当たりあるいは1口当たりで価格や配当額が計算されます。投資額が少ないということは保有している株数や口数が少ないということですから、そこから得られる利益も大きくはなりません。 |
いろいろ試すことができる 投資をしたことがないと、どの商品がいいのか、どの金融機関がいいのかなど、説明を聞いただけでは理解しにくいものです。少額であれば、気になったものを商品や金融機関を気軽に試すことができます。 |
手数料が割高になることもある 投資で利益が出てもその額があまり多くないので、売却時の手数料が利益の幅を減らしてしまう可能性があります。 |
損失が少なくて済む 投資をすると、値下がりによって損失を被ることもあります。投資した金額が少なければ、損失も少なくて済みます。 |
04多額の資金による投資のメリット・デメリット
では、多額の資金で投資をした場合のメリット・デメリットはどうでしょうか。
多額の資金による投資のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
利益が大きくなる 投資する金額が大きいと、値上がりした時の売却益や配当が大きくなります。仮に投資した株式が年10%の値上がりをしたとすると、10万円の投資では利益は1万円、100万円の投資では利益は10万円となります。 |
損失が大きくなる メリットとは逆に、値下がりした時の損失額は大きくなります。ずっと保有しているとどんどん損失が膨らむことも考えられます。 |
手数料が割安になる 例えば先に紹介したiDeCoは、毎月の手数料が掛け金にかかわらず同じ額なので、掛け金が多いほど手数料は割安になります。株の購入の場合も、ネット証券では10万円までの購入では手数料は100円程度ですが、10倍の100万円を購入した場合の手数料は500円程度で済みます。プランによっては0円になるケースもあります。多額の投資ほど手数料は割安になります。 |
定期的にチェックが必要 放置しておいたら知らないうちにすごく値下がりしていたなどということがないように定期的に投資対象の値動きをチェックする必要があります。たくさんの商品を持っていたり、金融機関が分かれていたりするとその確認も労力のかかる作業になります |
損失が少なくて済む 投資をすると、値下がりによって損失を被ることもあります。投資した金額が少なければ、損失も少なくて済みます。 |
ライフプランが立てづらい 投資金額が多額になるほど、利益が多く出る場合と、損失になる場合とで、振れ幅が大きくなるので、将来設計を立てにくくなります。 |
これらを考え合わせると、少額ずつ、いろいろな商品や銘柄を持つようにすれば、一度に大きな損失が起こることを防ぎながら、たくさんの利益を得られる可能性も大きくなります。最初は、どこか気に入った商品に少額で投資し、少しずつ学びながら、投資先や投資額を増やしていくことをおすすめします。
監修:阿部理恵
CFP®、終活カウンセラー、LABプロファイルインストラクター、FPラウンジ登録FP
プロフィール
慶應義塾大学卒。約7,000件の保険相談業務を担当。大病の経験から、自分らしい生き方、いざという時困らないお金をアドバイス。心理学を学び、メンタル面からもアプローチ。