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他のNISAとは何が違うの?

一般NISAを始める前に要チェック!初心者向けの基礎知識と始め方

有田美津子

CFP®、住まいのお金相談室代表

NISAについて、名前は知っているけどよくわからないと思っている人も多いと思います。ここでは一般NISAの基礎知識や始め方をご紹介します。

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Contents

01一般NISAとは

NISAとは、銀行や証券会社などの金融機関でNISA専用の非課税口座を開設し、その口座で購入した株式や投資信託等の収益が非課税になる制度です。NISAには一般NISAとつみたてNISA、ジュニアNISAの3種類がありますが、ここでは一般NISAについて解説します。

概要

一般NISAは、年間120万円までの収益が5年間非課税になる

一般NISAは口座での新規の投資額は年間120万円までとなっており、その収益は5年間非課税になります。毎年120万円ずつ5年間投資すれば、最高600万円までの投資元本に対する配当や売買益が非課税となります。

投資できる金融商品は、上場株式、株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)等です。一般NISA口座で運用している商品はいつでも売却することができ、その年の非課税枠が空いていれば、売却資金で他の商品を購入し、一般NISA口座で運用することもできます。

利用の条件など
一般NISA口座を開ける人 日本在住の20歳以上の人※(口座を開設する年の1月1日時点)
非課税期間 最長5年
投資額 新規投資額年間120万円まで(5年間で最大600万円)
投資対象 上場株式・株式投資信託・ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)等
投資可能期間 2023年12月末まで
金融機関 1人1口座・毎年変更可能
※令和元年度税制改正により2023年1月1日より「18歳以上の人」となります。
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こんな人におすすめ!

一般NISAの特徴を踏まえて考えると、以下のような人に向いているといえます。

一般NISAが向いている人

  • 投資に回せる貯蓄や収入がある人
  • 収入の中から投資に回せるお金がある人
  • 個別株で投資を行いたい人
  • 自分で銘柄を選んで投資信託等を購入したい人

一般NISAは非課税枠が年間120万円と大きいため、投資に回せる貯蓄や収入がある人に向いているといえます。また、株式や好きな投資信託を自分で選んで投資したいという人にも向いています。

メリット

一般NISAのメリットを整理しておきましょう。

一般NISAのメリット

  • 年間120万円までの投資元本に対する運用収益が5年間非課税になる
  • ロールオーバーをすれば、最長で10年間、非課税で運用できる

一般NISAのメリットは、何といっても運用益や配当が非課税になる点です。また、ロールオーバーができることもメリットに挙げておきます。

本来であれば、株式投資や投資信託の収益に対する税金は20.315%ですので、もし、10万円の利益が出ても税金を差し引いた後の手残りは7万9685円です。一般NISA口座で投資をした場合は、収益が非課税となるため10万円がそのまま、もうけとして手元に残ります。

5年間の非課税期間が終了すると資金は非課税口座のNISA口座から課税口座に移りますが、ロールオーバーの手続きをすると、次の年の非課税枠に資金を移すことができます。ロールオーバーとは、5年満了を迎えた株式や投資信託等を、翌年の非課税投資枠に移管することです。例えば、2017年に投資した資金の非課税期間が2021年に終了した後、2022年の非課税枠に資金を移し、さらに5年間非課税口座で運用できるので、最大10年間は非課税で運用を続けることができます。

なお、ロールオーバーが可能な金額には上限はなく、5年を迎えた資産が120万円を超えていても、翌年の非課税投資枠に移すことができます。ロールオーバーを行う時点で、当初120万円の投資額が150万円に増えていても、収益を含めた150万円を次の年の非課税枠で運用できます。ただし、120万円以上の額をロールオーバーすると、2022年の非課税枠は埋まってしまうため、その年分の新たな投資はできません。

一般NISA、非課税期間、ロールオーバーなどの仕組み

デメリット

次に、一般NISAのデメリットを整理しましょう。

一般NISAのデメリット

  • 課税口座との損益通算ができない
  • 課税口座に資金が移った後、損失が出たのに課税される場合がある
  • 年間の投資元本が120万円までに限られる
  • 開設した金融機関の商品しか購入できない

一般NISA口座で損失が出ても、他の運用益と損益通算はできません。損益通算とは株式や投資信託を譲渡して損失が出た場合、他の譲渡益から損失分を差し引くことです。例えば、課税口座の中でA投資信託を売却して10万円の損失が発生し、B投資信託では20万円の利益が出た場合、20万円から10万円を差し引いた10万円だけが課税されるというものです。

一方、一般NISA口座で10万円の損失が出て、他の課税口座で20万円の運用益が出た場合、一般NISA口座の損失を差し引くことができず、20万円の収益にそのまま課税されます。

また、一般NISA口座の資金は、非課税期間の5年間が過ぎると、ロールオーバーを行わない場合、5年満了となる年の最終営業日の時価で翌年の1月から課税口座に資金が移ります。そのため、当初の投資額からは損失が出たのに、課税されてしまうケースがあります。

例えば2017年に120万円を投資して2021年12月末に100万円に値下がりして、2022年1月に課税口座に資金が移管されたとします。その後110万円に値上がりした段階で売却すると、移管時の100万円が投資元本と見なされ、差し引き10万円の利益となり約2万円が課税されます。実際の投資額は2017年の120万円だったにもかかわらず、110万円で売却して2万円課税される、ということになります。

NISA、5年経過時点で保有資産が値下がりした場合

さらに、年間の投資元本は120万円までと決まっているため、購入単価が高い個別株式などは購入できない場合があることにも注意が必要です。

また1年間に1人1口座しか持てないため、その年に一般NISA口座を開設した金融機関のラインアップから商品を選ばなくてはなりません。例えば、証券会社に一般NISA口座を開けば株式を購入できますが、銀行や信用金庫等では株式を購入することはできません。

商品のラインアップや手数料から1年ごとに金融機関を変更することは可能ですが、当初投資時と5年後の金融機関が異なると、ロールオーバーができないので注意しましょう。

注意点

一般NISAの注意点についても整理しておきましょう。

つみたてNISAとの併用不可

NISA口座は1人1口座ですのでつみたてNISAとの併用はできません。手続きを行えば毎年どちらかに変更は可能です。

非課税枠の残りを翌年以降に繰り越しできない

年間120万円の非課税枠を翌年に繰り越すことはできません。120万円中100万円しか投資しなくても、翌年の一般NISA口座の非課税枠は120万円です。

損失の繰り越しはできない

課税口座で投資をした株式や投資信託で損失が出た場合は、確定申告をすることで3年間繰り越しして翌年以降の譲渡益から控除することができます。つまり、損失が出た年に損失分を申告しておくことで、その後3年間の譲渡益から損失分を差し引き、税額を下げることができます。これを繰越控除と言います。しかし、一般NISAに限らず、NISA口座で売却損が発生しても繰越控除を行うことはできません。

確定申告は原則不要

一般NISA口座で行う投資については、原則として確定申告の必要はありません。口座開設時に金融機関を通じて「非課税適用確認書の交付申請書兼非課税口座開設届出書」を税務署に申請し、非課税の確認が取れているためです。

ただし、非課税期間の5年間が過ぎて、ロールオーバーをせずに課税口座に移管され、その後売却益が出た場合かつ、その口座が一般口座や特定口座(源泉徴収なし)だった場合には確定申告が必要になります。特定口座(源泉徴収あり)の場合は本来、確定申告は不要ですが、複数の金融機関で損失と譲渡益、配当が出た場合は、損益通算を行うために確定申告が必要です。

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一般NISAとは

まとめ

  • 概要
    • NISAは少額投資者向けの制度で、通常20.315%の税金が非課税になる
    • 一般NISAは年間120万円までの収益が5年間非課税になる
  • こんな人におすすめ
    • 一般NISAは投資に回せる貯蓄や収入がある人に向いている
    • 株式や好きな投資信託を選びたい人にも向いている
  • メリット・デメリット
    • 一般NISAは年間120万円までの投資元本に対する収益が非課税になる
    • 損益通算ができない、口座を開設した金融機関の商品しか購入できない等のデメリットもある
    • メリットとデメリットを理解して始めることが重要
  • 注意点
    • NISAは1人1口座のためつみたてNISAとの併用は不可
    • 非課税枠や損失の繰り越しもできない点に注意
    • NISA口座では原則として確定申告は不要
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02一般NISAの始め方

では、一般NISAの概要を理解した上で、ここでは実際に一般NISAを利用しで投資を始める方法を見ておきましょう。

利用条件

日本在住で20歳以上なら誰でも始められる!

一般NISAの口座を開設できる人は、口座を開設する年の1月1日時点で20歳以上の、日本に居住している人です。海外転勤などやむを得ない事情で出国し非居住者となる場合、一定の手続きを行えば、すでに預けてあるNISA口座の資産について非課税の適用が受けられますが、新たな購入はできません。

口座開設方法

NISA口座開設 流れ

金融機関で専用口座開設

一般NISA口座を開設するには、証券会社であれば証券口座を、銀行等であれば投資信託口座等を開設後または同時に、一般NISA口座開設の手続きを行います。

申込書の取り寄せ

一般NISA口座開設のための申請書類を取り寄せます。

必要書類の返送

非課税適用確認書の交付申請書兼非課税口座開設届出書(一般NISA口座開設のための申請書)に必要事項を記載し、免許証など本人確認書類とマイナンバー確認書類と一緒に金融機関に提出します。

税務署による申請内容の確認

その後、金融機関が税務署に一般NISA口座開設の申請を行い、確認が行われます。

口座開設通知の到着

確認が完了したら税務署から金融機関経由で、口座開設者に連絡がきます。税務署の確認には通常2~3週間程度かかります。

運用開始

金融機関への申請方法は、窓口に書類を提出する方法、郵送する方法、オンライン申請と金融機関ごとに複数の方法があるのが一般的です。金融機関により多少手続き方法が異なりますので、それぞれのホームページやコールセンターで口座開設方法を確認の上、申し込みましょう。

一般NISAの始め方

まとめ

  • 一般NISAは、日本在住の20歳以上の方であれば誰でも始められる
  • 金融機関を決めたら、案内に沿って手続きを進めればOK
  • 郵送やオンラインで申請を完結できる金融機関もある
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032024年以降は新NISAへ移行

現在の一般NISA口座の新規投資期間は2023年12月末までとなっています。2024年以降は新NISAに移行されます。

改正後のNISAはどうなる?

2024年以降は新NISAへ移行 NISA、新NISA比較

新NISAは、1階部分はつみたてNISA対象商品で積立投資を行い、1階部分で積立投資を行った人が2階部分で運用できる2階建ての制度に変わります。2024年以降も新NISAに移行できることで、現行の一般NISA口座の資産もロールオーバーで最長10年間の非課税口座での運用が可能となりました。

また、新NISAは今回も恒久化されず、期間の延長にとどまりました。つみたてNISAを含め今後のNISA制度がどのように引き継がれていくのか、非課税枠のメリットを受けながら運用を続けていくためにも注視していきたいところです。

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2024年以降は新NISAへ移行

まとめ

  • 一般NISAは2024年以降は新NISAへと移行される
  • 新NISAは1階部分で積立投資を行った人が2階部分で運用できる2階建ての制度
  • 新NISAも期間が固定されており恒久的な制度となるかどうかは未定のため、今後の動向に注視が必要
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