2022年3月申請開始の「こどもみらい住宅支援事業」で最大100万円?子育て世帯や若者夫婦世帯向け新事業を解説!
2022年、国の新しい事業「こどもみらい住宅支援事業」が実施されます。一定の省エネ基準を満たす新築住宅の購入に最大100万円を補助し、住宅取得を後押しする事業で、対象となるのは「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」です。2022年3月に予定されている補助金交付申請開始を前に、補助の対象となる住宅の条件や対象期間について確認しておきましょう。
01こどもみらい住宅支援事業とは?
こどもみらい住宅支援事業は、「子育て支援」と「2050年カーボンニュートラルの実現」の2つの観点から新設された事業で、子育て世帯や若者夫婦世帯が一定の省エネ性能を有する新築住宅を取得した場合に、1戸当たり最大100万円を補助することによって、住宅取得に伴う負担を削減するとともに、省エネ性能に優れた住宅のストックを増やすことを目的としています。なお、一定の基準に適合したリフォームも対象とされています。予算額は542億円で、予算が消化された時点で終了となります。
補助金申請は登録した住宅事業者
こどもみらい住宅支援事業の補助金交付申請は、あらかじめ事業者としての登録をした住宅事業者(注文住宅の新築工事を請け負う事業者、もしくは新築分譲住宅を販売する事業者)が、住宅取得者に代わって行います。住宅取得者本人が交付申請を行うことはできないことに注意が必要です。なお、「補助事業者」となれる住宅事業者は、2022年1月11日~遅くとも同年9月30日(予定)までに事前登録を済ませた事業者のみです。
対象となる世帯
事業の対象となる世帯は、子育て世帯または若者夫婦世帯で、それぞれ次のように定義されています。
- 子育て世帯
- 申請時点において、2021年4月1日時点で18歳未満、つまり2003年4月2日以降出生の子を有する世帯
- 若者夫婦世帯
- 申請時点において夫婦であり、2021年4月1日時点でいずれかが39歳以下、つまり1981年4月2日以降出生の世帯
補助が受けられる住宅の新築
補助対象の住宅には、住宅の新築の場合、次のような要件が設けられています。なお、いずれの場合も対象となる住宅の延べ面積は50㎡以上とし、土砂災害特別警戒区域内の住宅は原則として対象外とされます。
注文住宅を新築する場合
住宅の所有者となる子育て世帯・若者夫婦世帯が、自ら居住することを目的に新たに発注(工事請負契約)する住宅で、かつ次の1~3のいずれかの要件を満たす住宅が対象。なお、補助金を申請する際には、1~3のいずれかに該当することについて、建築士による説明書や登録住宅性能評価機関などの第三者機関による証明書等が必要となります。
1. ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギーハウス)住宅
国が定める強化外皮基準(断熱性基準)に適合し、再生可能エネルギーを除く一次エネルギーの消費量が20%以上削減される性能を有する認定住宅。
2. 高い省エネ性能等を有する住宅
次のいずれかの性能を有する住宅
- 認定長期優良住宅
- 認定低炭素住宅
- 性能向上計画認定住宅
3. 一定の省エネ性能を有する住宅
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく日本住宅性能表示基準で定める「断熱等性能等級4」かつ、「一次エネルギー消費量等級4」の性能を有する住宅。
新築分譲住宅を購入する場合
注文住宅を新築する場合の1~3の要件を満たす住宅で、補助金を申請する際にも注文住宅の新築と同様に、建築士による説明書や登録住宅性能評価機関などの第三者機関による証明書等が必要となります。
02ZEHには100万円の補助金
申請が承認されると、国から補助事業者に補助金が交付され、補助事業者はあらかじめ取り決めておいた方法で、住宅取得者に補助金を還元します。交付される金額は住宅の省エネ性能によって次のように異なり、省エネ性能が高い住宅ほど多く補助金が交付されるようになっています。
対象住宅 | 補助額 |
ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Oriented | 100万円/戸 |
高い省エネ性能等を有する住宅 | 80万円/戸 |
一定の省エネ性能を有する住宅 | 60万円/戸 |
03対象となる期間は?
本事業の対象となるのは、次の期間内に契約・着工した住宅のみです。
注文住宅新築の場合
工事請負契約
2021年11月26日から2022年10月31日までに工事請負契約を締結した住宅
建築着工
事業者登録後、2022年10月31日までに建築工事に着工する住宅
新築分譲住宅購入の場合
売買契約
2021年11月26日から2022年10月31日までに売買契約を締結した住宅
建築着工
事業者登録後、2022年10月31日までに建築工事に着工する住宅
04リフォームも対象に
こどもみらい住宅支援事業では住宅の新築、新築住宅の購入以外に、省エネ性能向上を目的とした既存住宅のリフォームについても補助金交付の対象としています。
対象となるリフォーム
対象となるリフォームは次の1~8に該当する、登録事業者によるリフォーム工事が対象です。ただし、次の1~3のいずれかに該当するリフォーム工事を含んでいることが必須であり、1申請当たりの合計補助額が5万円未満の場合は補助金交付の申請はできません。
- 開口部の断熱改修
- 外壁、屋根・天井、または床の断熱改修
- エコ住宅設備(太陽熱利用システム、節水型トイレなど)の設置
- 子育て対応改修(ビルトイン食洗器、宅配ボックスの設置など)
- 耐震改修
- バリアフリー改修
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- リフォーム瑕疵保険等への加入
対象期間
補助金交付の対象となるリフォーム工事については、以下の期間内に工事請負契約の締結・工事が行われたものに限られます。
工事請負契約
2021年11月26日から2022年10月31日までに工事請負契約を締結したリフォーム工事
工事の実施
補助事業者登録後に着工し、2022年10月31日までに工事が完成するリフォーム工事
補助金額
リフォーム工事に交付される補助金額は、リフォーム工事内容ごとに金額が定められており、複数の工事を行った場合は合計額が補助対象となりますが、既存住宅購入の有無に応じて、それぞれ1戸あたりの補助金額に上限が設けられています。なお、補助金額が5万円未満の工事については、原則対象外となります。リフォーム工事内容ごとの補助金額は、国土交通省の資料(P9~12)で確認できます。
世帯の属性 | 既存住宅購入の有無 | 1戸あたりの補助額の上限 |
子育て世帯または若者夫婦世帯 | 既存住宅を購入して(※1)リフォームを行う場合(※2) | 60万円 |
上記以外のリフォームを行う場合(※3) | 45万円 |
※1 購入する既存住宅は売買契約価格が100万円以上で、2021年11月26日以降に売買契約を締結したものに限る。
※2 自ら居住する目的で購入した住宅で、売買契約締結から3カ月以内にリフォーム工事の請負契約締結をしたものに限る
※3 自ら居住する住宅でリフォーム工事を行う場合に限る
05補助金交付申請開始は2022年3月から
本事業による補助金交付の申請ができる期間は、注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入・リフォーム工事の場合ともに、2022年3月頃から遅くとも2022年10月31日までと予定されています。
なお、補助金交付申請ができるタイミングについては、「一定の工事の出来高が確認できるタイミング」とされ、申請の種類によって次のように定められています。
工事の種類 | 申請時期(工事の出来高) | |
注文住宅の新築 | 補助額以上の工事の完了後(※1) | ①基礎工事の完了 |
新築分譲住宅の購入 | ②建物価格×工事出来高〇%≧戸当たり補助額(※2)✕住戸数(※3) | |
リフォーム工事 | すべての工事の完了後 |
※1 ①と②のいずれかを満たしている場合に、「補助額以上の工事が完了している」とみなされます。
※2 省エネ性能に応じて60万~100万円
※3 戸建ての場合は1戸、集合住宅の場合は全住戸数(申請しない住戸も含む)
こどもみらい住宅支援事業は、最大100万円の補助金が受けられるお得な制度ではありますが、ここまで見てきた通り満たさねばならない要件が多く対象期間も限られているため、上手に活用するには信頼おける住宅事業者への依頼が欠かせません。省エネ住宅の新築や購入、省エネ性能向上のためのリフォームを検討している人は、利用する予定の住宅事業者が本事業の補助事業者登録を済ませているかどうかを確認してから、具体的な話し合いに進むようにしましょう。また、建設請負契約や売買契約にあたっては、後々のトラブルを避けるためにも、交付後の補助金還元の方法について双方合意の上で決定してから、契約を締結するようにしましょう。
なお、本制度についての情報は随時更新されています。最新の情報は、国土交通省のホームページで随時確認してください。
06無理のない住宅購入予算はいくら?シミュレーターで確認しよう
マイホームの購入にあたっては、こうした制度を活用することが大切ですが、住宅を検討する際に必要なのは、適切な予算をあらかじめ知ることです。「住宅購入予算シミュレーター」では、年齢・年収・家族構成だけでなく、結婚や出産、子どもの進学といったライフイベントも加味した上で、あなたに最適な住宅購入予算が試算できます。マイホームの購入を検討している人は利用してみてはいかがでしょう。
監修:相山華子
ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。
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