資金援助で家を買うなら2021年中がお得?「住宅資金の贈与税非課税特例」のキホン

2021.06.04 10

住宅を買うときに親や祖父母から資金援助を受けると、一定額まで贈与税が非課税になる「住宅取得等資金の贈与税特例」。本来、2021年4月以降は非課税枠が縮小される予定でしたが、2021年度の税制改正で4月以降も従前と同じ非課税枠が維持されることになりました。改めてこの特例の概要と注意点を確認するとともに、2021年度の税制改正で注目すべきその他のポイントについても押さえておきましょう。

01 住宅取得等資金の贈与税非課税特例とは?

そもそも贈与税は、個人が1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に課される税金で、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に申告、納税します。なお、あとで詳しく説明しますが、マイホームの購入にあたって親や祖父母から資金援助をしてもらう場合の贈与税は、一定額まで贈与税が非課税になるという特例があります。

贈与税の税率には、直系尊属(祖父母や両親)から20歳以上の子に対する贈与の場合に適用される「特例税率」と、それ以外の場合に適用される「一般税率」とがあり、特例税率のほうが一般税率よりも低く設定されています。
基礎控除額を超えた分を下記の速算表に当てはめて贈与税額を計算します。
マイホームの購入で親や祖父母から資金援助をしてもらう場合は、さらに優遇されることになっているのです。

なお、贈与税が課されるのは個人からの贈与であり、法人からの贈与には所得税が課されることになります。

特例税率の速算表
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一般税率の速算表
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マイホーム購入、親や祖父母から資金贈与を受けている世帯はどのくらい?

マイホームの購入にあたって住宅ローンの借入額を抑えるために、親や祖父母から資金援助(贈与)を受ける人は少なくありません。不動産流通経営協会の「第25回不動産流通業に関する消費者動向調査2020年度」によると、2019年4月~2020年3月に不動産を購入した世帯のうち親からの贈与を受けた世帯は全体の14.1%に上り、世帯主の年齢が若いほど、親からの贈与を受けた世帯の割合が高いことがわかりました。親から1000万円超の贈与を受けた世帯の割合は、「40~44才」が最も高く(39.4%)、次いで「45~49才」(38.5%)、「50歳以上」(38.1%)となっています。また、世帯主の年齢が上がるほど、受贈額が「3000万円超」とした割合が高くなり、50才以上では1割弱に上っています(※1)。

※1不動産流通経営協会の「第25回不動産流通業に関する消費者動向調査2020年度」P6

原則として、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産については贈与税が課されませんが、生活費や教育費という名目で贈与を受けた財産であっても、それを預金したり不動産の購入資金に充てたりした場合は、贈与税が課されます。当然、親や祖父母からマイホーム購入資金の援助を受けた場合も贈与税が課されることになります。前述のとおり、親や祖父母などの直系親族からの贈与は一般の贈与よりも税率が優遇されていますが、それでもマイホーム資金のような多額の贈与を受けた場合は、贈与税が大きな負担となってしまいます。

そこで国では、直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた人を対象に、一定の要件を満たせば、非課税限度額まで贈与税が非課税になる「住宅取得等資金の贈与税非課税特例」を設けています。

贈与税の非課税特例、限度額は?

受贈者ごとの非課税限度額は、新築または取得する住宅の価格に消費税が含まれているかどうかで異なり、消費税が10%の新築住宅などは贈与額1000万円まで、消費税が8%の住宅や、消費税が課税されない住宅(個人が売主の中古住宅など)は500万円が非課税限度額で、省エネルギーなどの性能に優れた省エネ等住宅の場合はそれぞれ500万円が上乗せされます。また、住宅の新築・取得の契約締結時期によって異なります。

なお、後述しますが、限度額は住宅の新築・取得の契約締結時期によっても異なります。

住宅購入者の10.8%が贈与税の非課税特例を利用

この非課税特例を受けるためには下記のような条件があります。

非課税特例を受けるための条件
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これらの条件はあるものの、非課税のメリットは大きいため、利用者は多くなっています。
不動産流通経営協会の調査(※2)では、この特例制度を住宅購入者全体の10.8%が利用、さらに祖父母から贈与を受けて住宅を購入した人に限って見てみると、72.7%が利用していました。また、同調査で特例制度を利用した人に、この制度の利用が住宅購入に与えた理由について聞いたところ、「借入金額を少なくできた」が最も多く(58.6%)、次いで「住宅を購入することができた」(54.5%)、「住宅の購入時期を早めた」(23.4%)、「当初の予定よりも立地の良い住宅を購入することができた」(14.5%)という結果となっています。
特例制度が住宅購入の意志決定や住宅選びに大きく影響していることが伺えます。

※2不動産流通経営協会の「第25回不動産流通業に関する消費者動向調査2020年度」P7

022021年度税制改正で贈与税非課税特例はどう変わった?

贈与税の非課税特例の非課税限度額は、もともと2021年4月1日以降の契約については、消費税10%が課税される新築住宅等は限度額が1000万円から700万円に、消費税が8%、あるいは消費税非課税の個人売主の中古住宅は500万円から300万円に縮小される予定でした。それが2021年度の税制改正で2021年4月以降も、少なくとも2021年12月31日契約分までは、同じ非課税限度額が維持されることとなりました。2022年以降の非課税限度額がどうなるのかは2021年5月現在わかっていませんが、マイホーム購入を検討していて、特例のメリットを確実に受けたい人は2021年内に契約を締結しておくと安心です。

税制改正で維持された譲与税非課税特例

03不動産取得税、登録免許税などの特例措置も延長へ

贈与税の非課税特例以外にも、今回の税制改正ではマイホーム取得に関連する特例措置がいくつか延長されました。いずれも住宅の取得を後押しするものです。その概要は次のとおりです。

住宅ローン控除

住宅ローン控除の控除期間はもともと10年間とされていましたが、消費税増税(8%→10%)時の住宅需要の落ち込みを抑制するため、2019年10月1日から2020年12月31日に入居した人に限り、控除期間を3年間延長して13年間にする特例(以下、13年特例)が導入されました。

この特例は本来、2020年末までに入居した人が対象でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、一定の要件を満たせば入居期限が2021年12月31日まで延長できる特例措置が取られていました。2021年度の税制改正では、この特例の入居期限がさらに1年間延長されて2022年12月31日とされました。ただし、この特例を受けるには、注文住宅は2020年10月1日~2021年9月30日に、分譲住宅などは2020年12月1日~2021年11月30日までに住宅の新築・取得にかかる契約を締結しておく必要があります。

また、今回の改正では控除を受ける住宅の床面積の要件も、13年特例の対象の物件のみ、「50平方メートル以上」から「40平方メートル以上」に緩和されました。

  改正前 改正後
入居期限 2021年12月31日 2022年12月31日
床面積 50平方メートル以上 40平方メートル以上

不動産取得税の特例措置の延長

不動産取得税に関する次の2つの特例措置の適用期限が3年間延長され、2024年3月31日までとされました。

  • 不動産取得税の税率を4%から3%に引き下げる特例
  • 土地の取得時にかかる不動産取得税の課税標準を評価額の2分の1とする特例措置

登録免許税軽減税率の延長

土地売買の所有権移転登記にかかる登録免許税の軽減税率が、2%から1.5%に引き下げる特例措置の期限が2年間延長され、2023年3月31日までとされました。

固定資産税の据え置き

コロナ禍をふまえ、地価上昇で固定資産税評価額が上昇する土地の税額を2020年度と同額に据え置くこととされました。

すまい給付金

また、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設された制度「住まい給付金」の引き渡し・入居期限も、1年間延期されました。所定の要件を満たした上で以下の契約期間内に契約を締結し、2022年12月31日までに引き渡し・入居すれば、最大50万円のすまい給付金を受領できます。また、対象となる住宅の床面積も、「50平方メートル以上」から「40平方メートル以上」に緩和されました。ただし、対象は新築住宅と事業売主の中古住宅のみで、個人売主の中古住宅は対象外です。

契約期間

注文住宅新築の場合 2020年10月1日~2021年9月30日
分譲住宅、中古住宅を取得する場合 2020年12月1日~2021年11月30日

引き渡し入居期間

改正前 改正後
2021年12月31日 2022年12月31日

床面積

改正前 改正後
50平方メートル以上 40平方メートル以上

これらの特例措置はいずれもマイホーム取得を促進するための国の支援策です。期間や期限、内容などをまとめてみました。

特例措置の期間や期限、内容
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賢く活用してマイホーム取得にかかる経済的な負担を少しでも軽くしましょう。

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