住まい探し、狙い目は「新駅」「再開発」エリア!誘致計画もチェックしてみよう
鉄道の新駅設置や路線の延伸、市街地の再開発によって対象となったエリアは、将来的に生活利便性が向上することが見込まれます。結果として、周辺の不動産価値にプラスの影響をもたらす可能性があるため、住まい探しをする際には計画段階のものも含め、新駅設置・路線の延伸・市街地再開発などの最新情報をしっかりチェックしておくことが大切です。 この記事では、今後東京エリアで計画されている新駅や注目の再開発の情報を紹介します。合わせて、新駅・再開発エリアではどのような物件が狙い目なのかも解説します。
012030年代、有楽町線に3つの新駅が開業予定
2022年3月末、国土交通省は東京メトロ有楽町線と南北線の延伸に関する事業許可を出しました。これにより、新たに沿線となるエリアの利便性が大きく向上すると考えられます。
このうち、有楽町線の延伸では豊洲駅〜住吉駅の5.2kmが整備され、新たに「枝川」「東陽町」「千石」(いずれも仮称)の3駅が設置される予定です。たとえば、枝川は古くからの住宅と工場が混在したエリアであり、今後新駅の開業に伴ってマンション建設などが期待されます。
南北線の延伸は「品川地下鉄」構想などと呼ばれ、白金高輪駅〜品川駅の2.8kmを整備するというものです。羽田空港への玄関口であり、将来リニア中央新幹線の始発駅となる予定の品川駅に地下鉄が乗り入れることとなり、南北線沿線や六本木エリアなどの利便性が向上すると考えられます。
現状、すでに東京の鉄道網は市街地のあらゆる場所をカバーしているものの、このように新駅が開業することもあります。新駅が誕生すると周辺エリアが開発され、商業施設などが開業し利便性が向上します。経済活動が活発化することで人口が増加し、エリアの地価上昇も見込めるでしょう。
住まい探しをする際には、新駅開業が決定しているエリアをはじめ、将来に向けた誘致計画も合わせてチェックすることで、今はそれほど注目度が高くないものの、将来的に有望なエリアでよい物件に出会える確率が高まります。新駅や路線延伸は、誘致計画もしっかりチェックするようにしましょう。
02再開発エリアの物件は資産価値の上昇が期待できる
物件探しの際には、再開発計画のあるエリアにも注目したいところです。
再開発事業の対象となるのは、公園や緑地といった公共施設が十分にないなど都市機能が低下していると考えられるエリアや、敷地の細分化・建物の老朽化が進む密集市街地などです。こうしたエリアの都市機能を向上するため、一体的かつ総合的な整備を進める目的で再開発が行われます。
再開発事業が行われると公共施設が充実し、商業施設や生活利便施設などが増えて利便性が向上することが予想されます。住みやすい街へ生まれ変わることにより、新たな価値が付加されて街としてのブランド価値も高まります。その結果、エリアにある不動産の資産価値上昇が期待できるのです。
東京都の場合、再開発事業の施行が正式決定すると、都や都市整備局のホームページで事業の詳細が公表されます。Webを定期的にチェックして、再開発に関する最新情報を常に確認しておくのがおすすめです。
東京23区なら葛飾区・江戸川区が狙い目!
それでは、再開発という観点で注目すべきなのはどのエリアなのでしょうか。東京23区で注目されているのは、東部の葛飾区や江戸川区といったエリアです。
葛飾区では、京成線沿線の「立石駅北口地区第一種市街地再開発事業」が2023年度着工・2028年度竣工の予定です。周辺では京成線の高架化工事に伴った都市機能の見直しが図られており、立石駅南口エリアでも2023年度以降再開発事業が行われる見込みとなっています。
葛飾区内では、他にもJR常磐線沿いの「東金町一丁目西地区第一種市街地再開発事業」が2031年ごろ完成予定、JR総武線沿いの「新小岩駅南口地区第一種市街地再開発事業」が2028年度完成予定となっており、複数の再開発事業が進められています。
江戸川区で注目されるのが「JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」です。小岩は昔ながらの地域密着の商店が立ち並び、下町風情を残す街として知られる一方、治安面で不安を感じる声もあり、「住みたくない街」として挙げられることもあるほどでした。
2026年度の完成を目指して進行中の再開発事業では、北口駅前の約2haの敷地においてロータリーやデッキの整備、駅直結の地上30階建て超高層マンション約730戸、商業施設や保育所などが入る複合ビルが整備される予定で、利便性と安全性が大きく向上する見込みです。
これらのエリアは千葉県寄りに位置しており、億ションが増加している都心に比べると比較的家賃が安いのが特徴です。特に小岩であれば一般的な会社員でも手の届きやすい価格帯のマンションとなる可能性があるため、魅力に感じる人も多いでしょう。
再開発エリアでは購入費用が安い「定期借地権付きマンション」に注目しよう
こうした再開発エリアにおいて、狙い目とされているのが「定期借地権付きマンション」と呼ばれる物件です。
定期借地権とは、建物を建てる目的で、ある一定の期間土地を借りる権利のことです。定期借地権には、以下の3種類があります。
- 一般定期借地権
- 建物譲渡特約付借地権
- 事業用定期借地権
マンションの場合は、「一般定期借地権」が主に利用されています。一般定期借地権では50年以上の契約期間を定め、契約満了時には更地にして貸主に返却しなければなりません。
通常の分譲マンションは、住戸を購入するのと合わせて、部屋の割合に応じた敷地の区分所有権を取得します。一方、定期借地権付きマンションでは、建物の所有権と合わせて土地の定期借地権を取得することになります。
定期借地権付きマンションのメリットは、土地を借りているため、土地も合わせて購入する通常の分譲マンションに比べて物件価格が安い傾向にあることです。
また、定期借地権を設定するというのは、土地所有者が手放したくないということでもあります。その様な好立地で条件の良いマンションが借りられる可能性があるというのもメリットといえるでしょう。住民は所有権を持っていないので、土地の固定資産税・都市計画税を支払わなくていいというのもポイントです。
ただし、定期借地権付きマンションにはデメリットもあります。お伝えしたように、永久的に住み続けられるわけではないので、住み替えを視野に入れておく必要があります。さらに多くの定期借地権付きマンションでは、所有者に「地代」を定期的に払わなければなりません。一般的な地代の相場は、月1万~2万円程度です。
また、将来的な解体を見据えた「解体費用積立金」という独自の負担もあるため、一般的な分譲マンションに比べて維持費が割高です。解体費用積立金自体は月数千円程度の場合が多いですが、解体時に想定以上の費用がかかると、一時金として数十万円の負担を求められるケースもあるため注意が必要です。
こうしたデメリットはあるものの、再開発エリアでは、駅前や都心の希少性が高い土地で定期借地権を活用したマンションが多く販売されています。物件価格が高く、一般の会社員には手の届きにくいエリアであっても、定期借地権付きマンションであれば比較的安く購入できる可能性があるのです。紹介したメリット・デメリットをしっかりと把握したうえで、比較検討してみるといいでしょう。
03住まい探しは新駅・再開発エリアの情報を事前に入手して成功させよう
新駅開業や再開発を控えるエリアは人気が高く、土地価格が高騰したり、なかなか値段が下がらなかったりして、思ったように住まい探しが進まないこともあります。住まい探しにおいては、計画段階から、新駅や路線延伸、再開発事業の情報を事前に入手しておくのも重要です。
新駅ができたり再開発が行われたりすると、エリアの利便性が大きくアップして新たな魅力が生まれます。そのような将来性のあるエリアで、思いがけず良い物件に出会える可能性もあるため、まずは事前に自身の借入可能額や毎月の返済額について、イメージをつかんでおくことが大切です。 家探しの第一歩として、当サイトのシミュレーターを使って、具体的な資金計画のイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。