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墓石の値段・お墓の維持費はいくらかかる?お墓に関する価格と相場について

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お墓を購入するにはいくらくらいのお金を準備すればいいのか、一般の人にはわかりにくいものです。また、お墓を建てた後の維持費も気になるところです。将来まで後悔しないお墓を選ぶために、お墓に関する相場や値段のしくみ、費用の準備法について考えておきましょう。

01墓石の値段の相場と内訳

お墓を建てるのにかかる費用には主に、墓石費用、永代使用料、墓地の管理費用等があります。その中でも墓石は種類もたくさんあり、値段も高額です。一体何を基準にどのように墓石を選べばいいのでしょうか。その相場と内訳から見ていきましょう。

墓石の平均価格

墓石費用には墓石そのものの価格以外に、墓石の彫刻等の加工費や施工費がかかります。こうした墓石に係わる費用の総額を墓石代としたとき、その平均額はいくらくらいかかるのでしょう。

一般社団法人全国優良石材店の会(全優石)が発表した2023年の全国お墓購入調査によると、墓石購入費の全国平均額は170.7万円という結果になっています。内訳としては、150万円以上~200万円未満が22.3%と最も多く、300万以上の墓石を購入した人も全体の8.4%いました。

高額だなと感じますが、2004年からの調査結果を見てみると、2008年の176万3000円をピークにして下がり続け、2020年の157万円を底値にして徐々に回復していることが分かります(※)。

※単位は万円

(※)出典:一般社団法人全国優良有料石材店「全国お墓購入調査」より編集者が作成

参考URL:https://www.info-ginza.com/zenyuseki/2023/09research/contents.html

しかし、実際には地域や墓石の種類やデザイン・加工法等によって墓石代には大きな幅があります。次にどんな要素で価格に差が出るのかを見ていきましょう。

墓石の値段を決める要素について

お墓の値段に影響する要素としては以下のようなものが挙げられます。

地域による価格差

地域による墓石の購入価格差も大きく、前述の調査によれば、最も高額なのは九州地区で平均216万4000円、東北地方が187万4000円、1都3県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)が179万5000円となっています。北海道は132万円と比較的低額になっています。

石材の種類・使用量

当然ながら、墓石の原料である石の種類や使用量により価格が変わります。墓石の原石としては最も有名な御影石をはじめ、中国産やインド産など外国産のものや日本国産のものを合わせると、全部で300種類以上あると言われています。そのほとんどの石に等級があり、等級によって価格が変わります。一般的に国産の石は高価なものが多く、中国産やインド産等外国産の石の方が安価となる傾向がありますが、実際には外国産の石でもその質や輝きによって、高価なものも多くあります。

墓石は、世代をまたいで受け継がれていくものです。そのため、見た目の美しさだけでなく硬く耐久性があること、水を吸いにくいことが重要視され、値段にも影響します。

加工費、施工費

墓石加工とは、採石場での石材の切断、切断後の研磨、墓石の形に手加工、文字の彫刻といった内容が含まれます。現在は従来の縦型のお墓だけでなく、横型や様々なデザインの墓石があり、たとえば故人が好きだったバイクや楽器などをモチーフにしたお墓も見受けられます。加工はほとんどが産地で行われますので、産地の人件費やデザイン性によって費用は異なります。

施工費は墓石を墓地に設置するときの工事費用です。地盤や墓石の大きさに合わせた基礎工事から納骨室の設置、外柵や墓石の設置などがこれにあたります。最近では大地震で墓石が倒れる被害もありますので、耐震工事も大事な施工のひとつです。過剰な施工で工事費が高くなるのも困りますが、安心して次の世代に渡せることや、お隣のお墓に迷惑を掛けない施工は、家の建築と変わりません。

石材店

墓石代は取り扱う石材店の考え方によっても値段が異なります。霊園によっては提携する石材店が決まっていて、見学に行くと待機している石材店が順番に案内してくれ、案内された石材店で墓石を購入するのが一般的です。霊園や檀家など墓地が決まっていれば、事前に提携の石材店を調べ、気に入った石材店に直接連絡してみるのも1つでしょう。

最近では複数の石材店を比較できるインターネットのサイトもあります。公立の墓地であれば石材店は自由に選べます。また、指定の石材店の情報も載っているかもしれませんので、まずはインターネットで値段を調べてみるのもよいでしょう。

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02墓石以外に必要な費用について

ここからはお墓を購入する時に墓石以外に考えておくべき費用について見ていきましょう。

永代使用料

永代使用料とはお墓を建てる土地を永久に使用する権利を買うことです。永代使用料は墓石を建てるかどうかにかかわらず、墓地の取得時に霊園や寺院に支払います。価格は住宅と同じように地価に比例して立地やアクセスがよいと高くなるのが一般的です。

ウェブサイト「いいお墓」を運営している鎌倉新書の調査では、主要都道府県別の平均永代使用料は全国で67万7300円となっています。福岡県や埼玉県は49万円台でしたが、大阪府は約85万円、東京都は約87万円とやはり大都市圏が高い傾向にあるようです。ただし、最も高いのは京都府の約114万円でした。由緒あるお寺が数多くあることも影響しているのかもしれませんね(※1)。
※1出典:いいお墓「購入したお墓の平均永代使用料」
https://guide.e-ohaka.com/cost/outline/

お墓の土地の所有者はあくまで霊園や寺院等ですので、お墓を購入して永代使用料を払うと墓地所有者から「永代使用許可書」が発行されます。お墓は「墓地・埋葬等に関する法律」に基づいて管理されるため、自分の土地でも勝手に墓を建て納骨することはできません。「永代使用許可書」は新たに埋葬や改葬(お墓のお引っ越し)をするときに必要になる大切な書類です。必ず受け取って大切に保管しましょう。

また永代使用料は、改葬や今あるお墓を撤去し別の形で供養する「墓じまい」をするときにも払ったお金は戻ってきませんし、他の人への譲渡や貸与もできません。後でトラブルになることもあるようなので、契約時に確認しておきましょう。

墓地の管理料

お墓を購入した後は、墓地全体の清掃や用具の手入れ、水道光熱費など、お墓を維持するための年間管理費を墓地に納めます。管理料は公営霊園か民間霊園か、寺院墓地かで値段が異なります。前述の鎌倉新書の調査では、公営霊園で5000円以下、民間霊園では5000~1万5000円、寺院墓地で6000~2万5000円となっています(※2)。
※2出典:いいお墓「年間管理費の目安」
https://guide.e-ohaka.com/cost/manegement_fee/

一般的に待合室やトイレ、水道、手桶やひしゃくなど、設備が充実していればその分維持管理費が高くなります。公営霊園は手桶やひしゃくなどを持参するなどサービスが少なければ、管理費は安くなる傾向があります。寺院墓地の場合は、檀家となるとお布施という形で納めるところも多く、明確な維持費の決まりはないのが現実です。

その他費用

その他費用としては、お墓を建てた建碑式や開眼供養、納骨式など、儀式や法要などのお金がかかります。こちらも宗教や宗派等によっても異なりますが、お布施と石材店の工賃等で5万~10万円程度が一般的です。また、檀家になる場合は入檀料、寄付金がかかる場合もあり、納骨式と合わせて四十九日法要等を行う場合もあります。親族が集まって会食を行えば飲食代もかかります。

法要や飲食にいくらくらい準備すればよいのか、霊園や寺院に確認しておくと安心でしょう。

お墓購入にかかるお金の一例

参考:墓石代:一般社団法人全国優良石材店「全国お墓購入調査(2020年)全国平均額」http://www.zenyuseki.or.jp/pr/?p=197
永代使用料・管理費:鎌倉新書「第12回お墓の消費や全国実態調査(2021年)」
https://guide.e-ohaka.com/cost/average-2/

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03お墓の費用を抑えるポイント

さて、墓地に墓石を建てる一般墓では、墓石代や永代使用料、法要や儀式の代金等を含めると、200万~300万円ほど準備をしておくと安心なようです。しかし、実際にはもう少し費用を抑えたいところです。お墓の費用を抑えるポイントを考えてみましょう。

墓石の費用を抑える

お墓の購入に当たって最も大きな金額を占めるのが墓石代でした。墓石代は石の種類と石の量、加工費によって価格を抑えられます。前述の全優石の調査結果によれば、半数ほどの人が150万円未満で墓石を購入しています。

たとえば、墓石でよく使われる御影石も1㎡の墓石を作った場合白御影石は約120万円に対して黒御影石は220万円など、石の種類により大きく価格が異なります。黒御影石の方が硬く加工がしにくい点が割高になる原因の一つです。お墓を小さくすることで、石代だけでなく工賃や施工費も抑えられます。また、デザインをシンプルにすることで彫刻費が抑えられます。

墓地の費用を抑える

先に紹介したように、墓地の値段である永代使用料は都道府県によって大きく違います。もちろんお墓参りに行きやすい立地は大切ですが、地価が高い東京23区内にお墓を買うのは大変お金がかかります。たとえば乃木坂駅徒歩6分の都立青山霊園の令和元年度の募集価格は、1.5㎡で約420万円でした。公営霊園ではあるものの、大変高額です。

墓地の費用は一般的に都心よりは郊外、郊外でも駅から近い立地よりは遠い立地、民間霊園よりは公営霊園が安くなります。寺院墓地の場合は、檀家となるには入檀料やお布施がかかり、寺院の格式によっても費用が大きく変わる場合があるため事前に確認が必要です。

また、最近では墓石を建てる一般墓だけでなく、樹木葬や納骨堂、散骨、手元葬など、お墓の形式も様々です。2024年の鎌倉新書の調査によれば、納骨堂の全国平均購入価格は980万3000円、樹木葬は63万7000円でした。一般墓に比べれば大きく費用を減らすことができます(※)。

出典:鎌倉新書「お墓の消費者全国実態調査(2024年)」

相続税について

墓地や墓石などは祭祀財産とされ、相続税がかかりません。相続対策としてお墓を生前に購入した場合、課税対象となる現金が減るため、節税となります。ただし、ローンを組んで購入し完済前に亡くなった場合は、ローンの残高分を相続財産から差し引くことはできません。生存中に現金で購入することが大切です。また、死亡後に遺族が墓地を買った費用も遺産総額から差し引くことはできません。

一方、生前にお墓を購入しておくことは相続対策にはなりますが、お墓を持った時から、管理料など維持費がかかる場合があります。いつから管理料がかかるのかについても確認しておきましょう。

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04お墓の費用をどう準備するか

人生最後にかかる最も大きなお金であるお墓の費用は、どのように準備をしておけばよいでしょう。下記にまとめてみました。

特徴やメリット 注意点
現金で生前に購入 相続税の節税効果もあり、最も遺族に負担がかからない。現金が多く相続税がかかる人にも有効 生前に現金で購入しなければなら
ない
預貯金でお墓の
費用を残す
通常の預貯金では引き出しや引き出せる額に制限がかかることがある。「家族信託」の仕組みを利用すると引き出しが容易に 通常の預貯金では引き出しが困難な場
合も
保険金で準備 受取人が指定されているので必要書類が
揃えば比較的早く手続きが終了し現金化ができる
加入している保険の条件や、新たに加入する必要がある場合は今から加入できる保険のチェックが必要
ローンの利用 生前にお墓を準備する場合は本人が金融機関や、石材店や霊園がローン会社と提携して扱う「メモリアルローン」や「建墓ローン」などと呼ばれるローンを設定して支払う。本人に備えがなかった場合は遺族がローンを設定することも可能 金利が発生する。資金の使途が取り扱う金融機関などによって違うことにも注意

いずれの方法とも利用できず支払いが間に合わなければ、遺族がお金を立て替えて相続手続き終了後に精算することになります。1回忌が終わる頃まではなかなか心身共に落ち着かないものです。遺族に負担を掛けないためにも、70歳を過ぎたらエンディングノートなどに、どのお金をお墓の費用に当てるか記録し、遺族がお金を下ろしやすい形で残しておきたいものです。

また、こうした場合に備えるためにも資産形成は大切です。日ごろの預金などとは別に、無理のない範囲で資産形成を検討してみましょう。資産形成で最近注目されているのが、「NISA(少額投資非課税制度)」です。投資で発生した運用益等が非課税になることから、多くの人が利用しています。2024年1月には制度が一新されて、非課税になる期間が無期限になりました。より長期運用がしやすくなったため、老後資金づくりにもぜひ活用してみましょう。詳しい内容は「新NISAではじめる資産形成」をご覧ください。制度の概要について解説しています。

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有田美津

監修:有田美津子

CFP®、住まいのお金相談室代表

プロフィール

銀行での融資業務、住宅販売、損保会社を経て独立。現在は企業に属さないFPとして、ライフプラン相談やお客様の希望を実現するまでのサポートを行っている。年間相談件数150件以上、相談経験を活かした執筆やセミナーで中立な情報提供も続けている。


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