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小学校の学費はいくらかかる?公立・私立小学校の学費をチェック!

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子どもの教育費について、小学校なら、それほどお金もかからないだろうと考えている方は少なくないかもしれませんが、細かく見ていくと、さまざまな費用がかかるものです。また、公立と私立ではかかる費用は大きく変わります。それぞれの金額を確認しながら、小学校の学費を見ていきましょう。あわせて、学費をサポートする制度も説明します。

01公立・私立小学校の学費の内訳とは

まず、小学校ではどういった費用がかかっているのか、公立と私立でどの程度の差があるのかを確認しておきましょう。

小学校の年間学習費

文部科学省の調査によると、小学校1年間の学習費総額の平均は、公立で約32.1万円、私立で約160万円と、私立は公立の約5倍の費用がかかっています(※1)。

<小学校の学習費総額の平均額>

公立 私立
学習費総額 32万1281円 159万8691円

出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf

学習費総額は、「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」を合計した費用です。それぞれの内訳を見ていきましょう。

小学校の学校教育費・学校給食費

学校教育費は、授業料、教科書や文房具などの学習用品、制服・かばん、児童会・生徒会費など、教育に必要な基本的な費用です。年額を見ると、公立は6万3000円、私立は90万4000円と、公立と私立の費用差は約15倍にもなります。

費用差の大きな要素は授業料です。公立は無料ですが、私立は年間48万5000円で月額にすると約4万円です。学校納付金など、授業料以外の費目も、当然ですが私立の方が多くの費用がかかっています。

学校給食費については、4.4万円(公立)、4.8万円(私立)と、大きな差はありません(※)。

<小学校の学校教育費・学校給食費の平均額>

小学校の学校教育費・学校給食費の平均額

※出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」学校種別の学習費
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400201&tstat=000001012023&cycle=0&tclass1=000001135827&tclass2=000001135828&tclass3=000001135829&tclass4val=0

小学校の学校外活動費

学校以外に支出した子どもへの費用が、学校外活動費です。「補助学習費」と「その他の学校外活動費」に分けられます。
補助学習費は、学習塾・家庭教師、予習・復習のための参考書など、学校生活に関連して支出した費用です。公立が8万2000円、私立が34万8000円と、子どもを私立に通わせる家庭は中学受験を意識してか、塾や参考書などに月額3万円近くの費用を支出しています。

子どもには、心身の健全な成長を望む方がほとんどでしょう。そのためのスポーツ活動や芸術活動、英会話や習字などの習い事の費用が、「その他の学校外活動費」です。公立13万2000円、私立29万9000円で、月額にするとそれぞれ約1万円、2万5000円の支出となっています。補助学習費と同様に、私立の方が多く支出しています(※)。

小学校の学校外活動費の平均額

<小学校の学校外活動費の平均額>

※出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf

学童保育費用

放課後や夏休み期間中など、保護者に代わり施設で小学生を預かるのが、一般的に“学童保育”と呼ばれる「放課後児童クラブ」です。共働きやひとり親など、昼間は子どもの世話が難しい家庭のために設けられています。

共働き家庭が増えていることが背景にあり、学童保育に登録している児童の数は年々増加し、2020年の登録児童数は約131万人で過去最高でした。

全国の2万6000カ所の施設の月額利用料で最も多いのが、4000〜6000円未満(28.0%)、次いで6000〜8000円未満(19.8%)です。利用料は、設置・運営主体(社会福祉法人、NPO法人、民間企業など)によって異なります(※)。

※出典:令和2年(2020年)「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11921000/000708397.pdf

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02学年別の公立・私立小学校の学費をチェック

次に、学年ごとの費用を公立・私立で見ていきましょう。最も費用がかかるのは、公立では6年生の約37万円、私立では1年生の約189万円となっています。1年生に関しては、公立の場合でも、学年別では2番目に多くの費用がかかっており、入学準備のための支出が多いことがうかがえます。

いずれにしても、学年が進むごとに費用は増えていきます。特に中学受験を考えている家庭であれば、一般的に小学校の高学年から通う進学塾の費用なども念頭に、小学校入学前から計画的な教育費の準備は欠かせないものとなります。

<学年別の学習費総額>

公立 私立
第1学年 35万860円 189万2002円
第2学年 26万3310円 136万6148円
第3学年 29万2950円 141万5910円
第4学年 30万9617円 149万7087円
第5学年 33万9132円 163万684円
第6学年 37万940円 179万314円

出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf

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03小学校の学費をサポートする「就学援助制度」とは?

経済的な理由から、子どもが就学困難な状況にある家庭のために、市区町村がサポートする「就学援助制度」という制度があります。新型コロナウイルスの感染拡大の影響などで収入が下がった世帯にも、利用できる可能性もあります。新学期になると保護者に案内が配布されますが、自治体のホームページなどでも情報を公開していますので、確認してみましょう。

就学援助制度の内容

制度を利用できるのは、経済的に厳しく子どもの教育に支障をきたしている家庭に学用品や給食などの費用を支援する制度です。対象者は、次のいずれかに該当する人になります。

就学援助の対象者

  • 要保護者

生活保護を受けている人です。

  • 準要保護者

生活保護は受けていないものの、要保護者に準ずる程度に生活が困窮していると自治体の教育委員会が認めた人です。収入など認定基準は自治体によって異なりますが、一例として東京都大田区では、以下のように基準を設けています。

就学援助制度 認定基準所得金額の目安

出典:大田区ホームページ「就学援助の対象者」
http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/kodomo/kyouiku/gakko/syugaku_enjo/enjo_taishosha.html

この制度そのものがまだ十分に知られていないため、国では新型コロナウイルスによる経済的な影響を受け、家計が急変した家庭に対しても柔軟な対応をとるよう自治体に呼びかけています。申請書は学校、市区町村役場で配布されています。

就学援助が認められた場合、要保護者については、以下の品目が支給対象となります。準要保護者については市区町村で異なります。
<要保護者に対する就学援助の対象品目>

学用品費/体育実技用具費/新入学児童生徒学用品費等/通学用品費/通学費/修学旅行費/校外活動費/医療費/学校給食費/クラブ活動費/生徒会費/PTA会費/卒業アルバム代等/オンライン学習通信費

準要保護者については、援助の対象になる品目は市区町村によって異なります。一例として、東京都大田区では以下のように定めています。

<就学援助支給額一覧(小学校):東京都大田区>

就学援助支給額一覧(小学校)

*要保護認定者(生活保護受給者)の場合、生活保護費から支給される費目については、就学援助費では支給されません。
(注)国立・都立・私立小学校に在籍し食事を持参する場合は、要保護認定者も支給対象となります。
出典:大田区ホームページ「就学援助費支給額について」
http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/kodomo/kyouiku/gakko/syugaku_enjo/shikyugaku.html

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04小学校の学費の準備について

小学校はあくまでも本格的な教育のスタート地点です。最終的なゴールを大学卒業と考えれば、高校までの費用は、通常の家計でまかなえるよう、習い事なども含めた教育費のプランを立てましょう。そして別途、大学入学前までに大学4年間の学費を準備する心構えが必要です。

とはいえ、小学校の学費は、公立と私立で大きな違いがあります。公立なら、冒頭で見たとおり年間約32万円、月2万7000円程度ですから、家計のやりくりで必要な額はまかなえると思います。一方の私立は、年間で約160万円、月額約13万円と簡単に捻出できる額ではありません。世帯収入に余裕がなければ、現実的には難しい選択肢といえるでしょう。

いつから?いくら準備する?

前述したように、高校までの費用は、通常の家計でまかなえるよう、教育費のプランを立てましょう。そして別途、大学入学前までに大学4年間の学費を準備することが教育費の基本です。

大学入学前の教育費の準備方法ですが、文部科学省の調査によると大学4年間の学校納付金は、私立文系で約400万円、私立理系で約540万円です(※)。

出典:文部科学省「令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」

私立大学への進学を想定して500万円を目標に準備するには、子どもが生まれたら、すぐに始めるのが基本です。
まず注目すべきなのは「児童手当」です。3歳まで月額1万5000円、その後中学校卒業までは月額1万円が支給されます(一定所得以上の場合、一律5000円の特例給付がありますが、高所得層は2022年10月に廃止予定)。この児童手当は、確実に貯蓄に回すようにします。

そして、2019年より始まった「幼児教育、保育の無償化」で、3〜5歳の保育園料などが原則として無料(住民税非課税世帯は0〜2歳も無料)になったことで、その分を原資とすれば小学校入学前は教育費を作る好機だと言えるでしょう。

また、同じ額を用意するのでも、早めに準備を始める方が貯蓄の負担感も少なくて済みます。仮に500万円を17年間で用意する目標を立てたとすると、貯蓄額は年額約30万円、月額2万5000円になります。もしも、小学校入学後の10年間で用意しようとすると年間50万円、月額約4万2000円の貯蓄額となるため、無理な節約で家計を圧迫することになりかねません。

貯蓄、保険やNISA:少額投資非課税制度の活用検討も

児童手当とは別に、勤務先に制度がある場合は給与天引きでの財形貯蓄や、生命保険会社の学資保険も選択肢です。勤務先に財形制度のない人は、給与振込口座の銀行で、自動積立定期のサービスを利用する方法もあります。

学資保険は、15年、18年など一定期間保険料を払い込み、満期に設定した子どもの年齢が来ると満期金が受け取れます。保険をかけた親に万一のことが起きたときには、それ以降の保険料を払い込まなくても、契約した満期金は受け取れるメリットがあります。

しかし、長く続く低金利の時代では、貯蓄にはほとんど利息が付かず、学資保険も満期金は契約時の利率で固定されるのが一般的で、仮に将来金利が上がった場合には想定していた教育費に対して満期金では対応ができないという可能性もあります。

そこで、元本保証ではありませんが、投資信託などを利用して運用する方法も考えられます。投資信託は定期・定額購入ができますが、積み立てで利用するのであれば、運用益が非課税になる「つみたてNISA」の利用も検討してみましょう。非課税で運用できるのは、年間で元本40万円(月額上限約3万3000円)まで、期間は20年間です。

教育費は、必要な時期が子どもの誕生とともに確定しますので、ある意味では計画の立てやすい資金です。元本保証商品の貯蓄と、投資信託などの運用商品を組み合わせて、準備をしていきましょう。

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高橋浩史

監修:高橋浩史

FPライフレックス代表/日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®

プロフィール

住宅購入相談、家計相談を中心に「住まいの相談FP/家計の赤字V字回復アドバイザー」として活動中。金融機関でのセミナー・研修講師、書籍・雑誌、webでの執筆業務も行う。著者に「老後のお金安心ガイド」(イースト・プレス)他。趣味はランニング、落語。


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