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はじめての資産運用

早めに解消しておきたい学費の心配!

私立高校・公立高校の学費はいくら?学費の内訳や支援制度をチェック!

豊田眞弓

FPラウンジ代表

「高校無償化」制度の概要も押さえておきましょう。高校時代の学費は何とか家計で賄うとして、高校3年の受験期以降の費用を計画的な貯蓄をしておくことが大事です。

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Contents

01公立・私立高校の学費の内訳とは

高校時代にはどれくらいの学費がかかるのでしょうか。まずは1年間にかかる平均額で見てみましょう。

高校時代の学費の平均年額

文部科学省「子どもの学習費調査(平成30年度)」によると、高校時代にかかる学費の平均年額は下記の通りです。

高校時代にかかる学費の平均年額 公立 私立

年額だけで見ると、私立高校は公立高校の2倍超の学費がかかることがわかります。上記のデータのうち、高校時代には学校給食費はかからないものの、昼食代はかかっています。別途、お弁当代を渡すか、お弁当そのものを作って持たせるなどをしているはずですが、このデータには含まれていません。

高校時代の学校教育費

上記データのうち、学校教育費と学校外活動費の内容を確認しておきましょう。まず、「学校教育費」ですが、次のような項目が含まれその構成は以下のようになっています。

高校時代の学校教育費の項目と支出構成

公立高校では学校教育費は年平均額で約28万円かかっています。一方、私立高校では公立高校の約2.6倍の約72万円もかかっています。

私立高校で高いのは、授業料と学校納付金、通学関係費などです。特に授業料は、公立高校の9倍超となっています。このデータは後述する高校無償化等も反映された後のものですが、私立高校に関しては2020年4月から無償化が拡大された影響はまだデータには反映されていません。

高校時代の学校外活動費

続いて、「学校外活動費」についても見てみましょう。次のような内容が含まれます。

学校外活動費の内容

  • 補助学習費
    • 家庭内学習費
    • 家庭教師
    • 学習塾費
  • その他の学校外活動費
    • 体験活動・地域活動
    • 芸術文化活動
    • スポーツ・レクリエーション活動
    • 教養・その他
高校時代の学校外活動費とその構成

公立高校は年平均額で約18万円、私立高校は約25万円かかっています。男女比では私立の補助学習費を除いて、女子高生の方が費用をかけているのがわかります。

学年別でみると、補助学習費は公立高校校でも私立高校でも、学年が上がるほど金額が上がっていくのがわかります。大学受験に向けて準備をするためでしょう。逆に、その他の学校外活動費は学年が上がると下がっていきます。習い事やスポーツより受験対策の準備にお金を使うようになるのがわかります。

公立・私立高校の学費の内訳とは

まとめ

  • 学費の平均年額は、公立高校で約46万円、私立高校で約97万円となっている
  • 学費は大きく「学校教育費」と「学校外活動費」のふたつに分類される
  • 学校外活動費は学年が上がるにつれ高くなる傾向がある
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02学年別の公立・私立高校の学費をチェック

高校時代の学費を、公立高校と私立高校ごとに学年別に見ると以下のようになります。

学年ごとにみた高校でかかる学費(総額)

高校(全日制) 公立 私立
1年 507,980円 1,160,016
2年 460,470 893,127
3年 403,622 851,087

前章では、学校外活動費は学年が上がるごとに高くなるとお伝えしましたが、総額では初年度がもっとも高くなっています。

前述のように、高校無償化のうち私立高校については2020年4月に拡大され、それがまだ反映されていない状況ですが、それにしても私立高校に進学すると初年度は約128万円かかります。一方の公立高校は約52万円ですので、私立高校は約2.5倍かかることがわかります。高校2年時は、私立高校は公立高校の約2倍、高校3年時は約2.4倍かかります。

学年別の公立・私立高校の学費をチェック

まとめ

  • 学年ごとの学費の総額では、初年度が最も高くなっている
  • 各学年とも、私立は公立の2倍程度の金額となっている
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03授業料無償化制度について

高校時代の教育費の軽減制度としては、高校無償化とも呼ばれる「高等学校等就学支援金制度」や自治体独自の軽減制度、「高校生等奨学給付金」などがあります。

高等学校等就学支援金制度とは

年間授業料11万8800円が無料になる制度(所得制限あり)。全国で約8割の生徒が利用する

「高等学校等就学支援金制度」は、所得等の要件を満たす世帯に対して高校の授業料を支援する国の制度で、文部科学省によると全国で約8割の生徒が利用しています。公立高校では年間の授業料11万8800円が無料となり、私立高校では同額を基準に、所得によって上乗せがあります。

公立高校の場合の給付対象

公立高校の場合に給付の対象になるのは、世帯年収910万円未満(共働きは収入合算)の世帯となっています。

私立高校の場合の給付対象

高等学校等就学支援金制度

私立高校の場合、世帯年収910万円未満では公立高校と同様に11万8800円の支援で変わりませんが、2020年4月から世帯年収590万円未満は39万6600円と拡大しました。

ちなみに、授業料無償化に所得制限が設けられたことで、後述する低所得層への「高校生等奨学給付金」が設けられました。

基準となる年収の算出方法

紹介した所得基準は”目安”です。詳しい所得判定基準を解説します。

目安となる年収は家族構成などで異なります。文部科学省が例示しているのは下表のとおりで、共働きと片働きで分かれています。基準額である11万8800円の支援については公立・私立とも共通ですが、私立高校は2段階に分かれていて、いわゆる「私立高校授業料の実質無償化」の対象となる年収は低めに設定されています(下表参照)。

なお、実際には住民税所得割額(税額控除前)での判定となります。夫婦ともに働いていて住民税のかかる働き方をしていれば共働きですが、2人で働いていても、一方が住民税のかからない働き方であれば「片働き」となります。目安を見る際は注意しましょう。

私立高等学校授業の実質無償化に係る所得判定基準
私立高等学校授業の実質無償化に係る所得判断基準

自治体独自の制度もチェックを

国の制度を補う形で多くの自治体が独自の支援制度を用意

高等学校等就学支援金制度を補うかたちで、多くの都道府県が独自の支援を行っています。国の制度に上乗せして支援をしていたり、入学金の支援をしたりする自治体もあります。所得要件が緩和されるなど、詳しい内容、条件等については各自治体で異なります。名称なども自治体で全く異なりますので、住んでいる自治体のサイト等で確認してみましょう。

なお、自治体独自の制度に関しては2つ注意点があります。まず1点目は、国の制度である高等学校等就学支援金制度については、住んでいる自治体と子供の進学先が別の自治体であっても対象となりますが、自治体独自の制度については、住んでいる自治体と進学先が別の場合は対象としない自治体もありますので確認が必要です。もう2点目は、あくまでも上限ですので、かかった授業料までしか支援は受けられません。

高校生等奨学給付金とは

低所得世帯を対象とした返済不要の給付金支援制度

「高校生等奨学給付金制度」は、生活保護世帯や住民税非課税世帯の高校生に対して返済不要の給付金を支給し、学費を支援する制度です。「高等学校等就学支援金制度」に所得制限が設けられたことで、浮いた税金をベースに創設されました。

低所得層ほどより負担が重くなるのが教育費ですが、給付金を支給することで高校生の修学をサポートするための制度です。授業料以外の教育費(教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等)に充てるために、世帯構成等に応じて給付され、返済は不要です。

生徒1人当たりの支給額は下記の通り。給付額は最高でも年15万円と決して大きくはありませんが、助けになります。

<支給額>(国の補助基準)

(1)生活保護受給世帯(全日制・通信制)

  • 国立・公立高等学校等:年額3万2300円
  • 私立高等学校等:年額5万2600円

(2)住民税所得割額が非課税世帯(全日制等)

  • 第1子
    • 国立・公立高等学校等:年額11万100円
    • 私立高等学校等:年額12万9600円
  • 第2子以降(15歳以上23歳未満の扶養されている兄弟姉妹がいる場合)
    • 国立・公立高等学校等:年額14万1700円
    • 私立高等学校等:年額15万円

なお、「高校生等奨学給付金制度」を実施しているのは都道府県で、内容が国の基準通りでない場合もあります。より手厚くなっていることもありますので、具体的な要件や給付額、手続きについては、住んでいる自治体で確認が必要です。

授業料無償化制度について

まとめ

  • 高校無償化とも呼ばれる「高等学校等就学支援金制度」では、所得に応じて給付金額に違いがある
  • 多くの自治体が独自の制度を用意しているため、こちらも活用を検討する
  • 低所得世帯向けの給付金制度も用意されている
夢の実現に向けて一歩踏み出そう!NISAではじめる資産形成
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04学費の準備はどうする?

高校生の学費負担が大きいことを見てきましたが、では学費の準備はどう行うべきでしょうか。

教育資金の基本的な考え方

教育資金については、もっとも負担が大きくなる大学・専門学校の時期に向けて、一定額を準備しておくことが基本のスタンスです。その目安額は下記の通りです。

大学、専門学校進学ための教育資金/貯蓄目標額の目安

・自宅通学:300万~500万円
・下宿:500万~700万円

この教育資金は、あくまでも筆者の意見ですが、子どもが生まれたら準備を始め、中学を卒業するまでにある程度準備を終えておくといいでしょう。その理由としては、高校時代には大学受験に備えるために塾に通う費用がかかる、あるいは、高3の時期に受験費用などがかかるため、少しでも負担を軽減しておきたいからです。

児童手当を全額積み立てると累計で約200万円に!

また、中3までは児童手当がもらえる時期でもあり、貯めやすいとも言えます。満額でもらえる世帯では、0歳から中学を卒業するまでの間にすべての児童手当を積立てておけば、累計で約200万円になります(誕生月などで累計額の差はある)。

これに親が月6000円をプラスして貯めれば、中学卒業の時点で元金約300万円を貯めることができ、月1万7000円をプラスすれば元金だけで約500万円を貯められます。児童手当が特例給付の月5000円だけの人や、高所得でそれすらも出ない人は(2021年10月以降)、自力で積立てることになりますが、0歳から準備を始めましょう。

つみたてNISAなどの積立投資を行えば資産を増やせる可能性もある

インフレリスクに備えて、つみたてNISAなどで積立投資を行えば、リスクはあるものの、長期の分散投資により増える可能性もあります。ただし、教育資金は必要な時期が決まっているため、全額を投資に回すのは避けましょう。元本保証や安定運用の商品と上手に組み合わせ、リスクをとりすぎないことも大事です。具体的には、リスクを取るのは原則3割程度までに抑えるようにしましょう。3万円を積立てる場合、1万円をつみたてNISAで運用をして、残り2万円は自動積立定期や財形貯蓄、個人向け国債、学資保険などと組み合わせるといいでしょう。

つみたてNISAで安定した資産形成が可能?基礎知識から始める準備まで幅広く解説
[NISA] 2022.08.22

高校時代の学費はどうまかなう?

高校時代の学費は、原則、家計からまかなえるよう、なんとか家計をコントロールして捻出しましょう。ただし、高校3年の後半で受験料や受験関連の費用、あるいは合格した大学・専門学校への納入金などは、中学までに貯めた教育資金からまかなうことができます。

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学費の準備はどうする?

まとめ

  • 0歳から中学卒業までに一定額を準備できると良い
  • 児童手当の積み立てや、つみたてNISAなどの投資も検討する
  • 高校時代の学費は原則家計から賄えるようにする
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