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中学校の学費はいくらかかる?公立・私立中学校の学費をチェック!

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中学生の子どもには、基本的な学費や将来の受験に向けた塾の費用はもちろん、クラブ活動のための費用などさまざまな支出があります。中学校の学費はどの程度必要なのか、公立と私立ではどれくらい費用差があるのか。中学校の学費を援助する制度も確認しながら、中学校でかかる費用ついて見ていきましょう。

01公立・私立中学校の学費の内訳は

中学校の学費はどれくらいかかるのでしょうか。公立と私立での費用の違いを見ながら、確認していきましょう。

中学校の年間学習費総額

文部科学省の調査によると、1年間に必要な中学校の学習費総額の平均は、公立で53万8799円、私立で143万6353円となっています(※)。比較すると、私立は公立の約2.7倍の費用がかかることが分かります。

公立 私立
学習費総額 53万8799円 143万6353円
 公私⽐率 1 2.7
 うち学校教育費 13万2349円 106万1350円
  構成比(%) 24.6% 73.9%
  公私比率 1 8.0
 うち学校給食費 3万7670円 7227円
  構成比(%) 7.0% 0.5%
  公私比率 1 0.2
 うち学校外活動費 36万8780円 36万7776円
  構成比(%) 68.4% 25.6%
  公私比率 1 1

※「公私比率」は公立を1とした場合の私立の比率

出典:文部科学省「令和3年度・子供の学習費調査」

学習費総額の内訳を見ると、大きく「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」の3つで構成されています。それぞれの内容と内訳を確認していきます。

中学校の「学校教育費」「学校給食費」

まず、学校教育費と学校給食費を見てみましょう。1年間の学校教育費の平均額は、公立13万2346円、私立106万1350円で、私立は公立の8倍程度多くの費用がかかっています。その内訳は以下の通りです(※)。

中学校(公立・私立)の学校教育費の平均額と内訳・学校給食費の平均額

公立 私立
学校教育費計 13万2346円 106万1350円
授業料 47万6159円
修学旅行費 1万1853円 1万2837円
学級・児童会・生徒会費 5434円 1万2330円
PTA会費 3465円 8598円
その他の学校納付金 4440円 2万4017円
寄附金 365円 1万4120円
教科書費・教科書以外の図書費 9584円 3万3196円
学用品・実験実習材料費 2万2784円 3万5382円
教科外活動費 2万4172円 3万7172円
通学費 7245円 8万4233円
制服 2万1253円 5万696円
通学用品費 1万1018円 1万7558円
その他 5424円 1万7558円
学校給食費 3万7670円 3万7670円

※出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」学校種別の学習費

公立と私立の差で特に目立つのが授業料です。公立は無料ですが、私立の授業料は47万6159円と、学校教育費の4割程度を占めています。

また、その他の学校納付金についても、公立の4440円に対して私立は2万4017円で、大きな差があります。この費用には、入試費用や入学金、施設や冷暖房費、後援会費などが含まれていますので、やはり私立の方が純粋な教育費以外にも、お金が必要であることがわかります。

また、中学生になるとクラブ活動など、課題活動や部活動も活発になります。その費用については教科外活動費に含まれていますが、公立2万4172円、私立3万7172円となっています。

学校給食費については、公立が3万7670円なのに対して、私立は3万7670円とほとんどかかっていません。私立では給食を実施している学校が多くないことが影響しています。

中学校の「学校外活動費」

次に学校外活動費を見てみます。学校外活動費は、文字通り学校以外で支出した費用のことを指します。年間の支出額を見ると、公立で36万8780円、私立で36万7776円と公立と私立での費用差は比較的少なくなっています。内訳は以下の通りです。

公立 私立
学校外活動費計 36万8780円 36万7776円
 補助学習費 30万3136円 26万2322円
  家庭内学習費 1万6276円 4万28円
  通信教育・家庭教師費 2万9379円 3万6964円
  学習塾費 25万196円 17万5435円
  その他 7285円 9895円
 その他の学校外活動費 6万5644円 10万5454円
  体験活動・地域活動 995円 5656円
  芸術文化活動 1万9567円 3万3591円
  スポーツ・レクリエーション活動 3万247円 2万8795円
  教養・その他 1万4770円 3万1555円

※出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」

学校外活動費の代表的なものは学習塾ですが、この費用は、「補助学習費」という項目に入っています。補助学習費には、家庭教師、参考書の購入費用なども含まれています。

細かく見ると、学習塾費が公立25万196円、私立で17万5435円と、補助学習費の大部分を占め、金額を見ると公立の方が多くかかっています。公立では高校受験を意識した、塾通いが多いことが伺えます。

もうひとつの「その他の学校外活動費」としては、ピアノや水泳、英会話などの習い事の費用が含まれています。公立が6万5644円、私立が10万5454円で、私立の方が倍近くの費用をかけています。私立中学に通わせる親の方がより教育熱心な傾向にあり、学校外の活動費用についても、子どもへのお金のかけ方がそのまま反映されているようです

高校受験の費用

高校受験費用についても、受験する高校が公立か私立かで大きな差があります。公立高校の受験料は、ほとんどの都道府県で2200円ですが、私立高校の受験料の平均額は1万6421円です(※)。多くの場合、複数の高校を掛け持ち受験すると思いますので、概ね5万円程度の受験費用は、想定した方がよさそうです。また、地域や学校の所在地によっては、宿泊を伴うことがあるかもしれませんので、交通費とともに事前に確認しましょう。

もうひとつ、忘れてはいけないのが入学金などを納入するタイミングです。公立高校が第1志望だったとしても、併願で受験した私立高校に先に合格している場合、すぐに入学手続きをしなければならないこともあります。多くの私立高校は、公立高校の合格発表日まで待ってくれるようですが、そうでない高校の場合は納入手続きが必要になります。

結果として公立高校に合格し、私立高校を辞退するとなると、納入した入学金は戻らないこともありますので事前に確認しておきましょう。なお、私立高校の入学金の平均額は16万4196円となっています(※)。

出典:文部科学省「令和4年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について」

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02中学校の学費をサポートする「就学援助制度」とは?

生活が経済的に困窮している家庭に対して学校生活に必要な諸費用を市区町村が支援する「就学援助制度」という制度があります。要件に当てはまり、利用できるのであれば早めに市区町村の窓口で申請手続きをしましょう。

就学援助制度の内容

就学援助制度の対象になるのは、次のいずれかに該当するケースです。

就学援助の対象者

  • 要保護者
    • 生活保護を受けている人
  • 準要保護者
    • 生活保護を受けるほどではないものの、要保護者に準ずる程度に経済的に困窮していると市区町村の教育委員会が認めた人です。認定基準は自治体によって異なります。

就学援助の対象品目

要保護者として就学援助が認められると、以下の品目が支給対象となります。

学用品費/体育実技用具費/新入学児童生徒学用品費等/通学用品費/通学費/修学旅行費/校外活動費/医療費/学校給食費/クラブ活動費/生徒会費/PTA会費/卒業アルバム代等/オンライン学習通信費

準要保護者の、援助対象品目は市区町村によって異なります。

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03中学校の教育資金の準備について

子どもの教育費を考えたとき、中学校は通過点に過ぎません。最終的には、その先の大学入学時を目標に、必要な資金を準備するのが基本的な考え方です。中学校の教育資金は、原則として家計のやりくりで賄えるようにします。

子どもには受験で苦労させたくないので、中学からは私立の学校にと考える方もいるでしょう。とはいえ、冒頭で見た通り、私立中学の年間教育費の平均は約140万円で、月額にすれば12万円程度が必要です。あらかじめ貯蓄で準備しておかないと、家計のやりくりで賄うことは容易ではありません。

もしも、私立中学への進学を希望するのなら、小学校4〜5年生くらいから進学塾へ通うことも想定し、家計の見直しと資金準備が必要です。もしも家計に余力がなく、無理な節約をしなければ教育費が捻出できないのであれば、公立中学への進学が現実的な選択かもしれません。

いつから?いくら準備する?

前述したように、高校までの費用は、通常の家計でまかなえるよう、教育費のプランを立てて、別途、大学入学前までに大学4年間の学費を準備することが教育費の基本です。

大学入学前の教育費の準備方法ですが、文部科学省の調査によると大学4年間の学校納付金は、国立大学で約242万円、私立大学で約513万円です(※)。

私立大学への進学を想定して500万円を目標に準備するには、子どもが生まれたら、すぐにでも教育費の準備を始め、高校3年になるまでには準備できるように目標を立てます。一般入試ではなく、推薦入試(高校3年の夏から秋頃に実施)などで合格した場合、すぐに入学金や授業料を納める必要があるからです。

※出典:

文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について(国公私立大学の授業料等の推移)」

仮に、子どもが0歳から高校3年になるまでのおよそ17年間で、500万円を準備すると仮定すると、年額で約30万円、月額で2万5000円の準備が必要となります。この場合の原資は、国から支給される「児童手当」がベースになります。児童手当は3歳まで月額1万5000円、その後中学校卒業までは月額1万円が支給されます(一律5000円の特例給付は、2022年10月に廃止)。この児童手当は、確実に貯蓄として残し、それに加えて、毎月の収入からも教育費として貯蓄するようにします。

さらに、2019年より始まった「幼児教育、保育の無償化」で、3〜5歳の保育園料などが原則として無料(住民税非課税世帯は0〜2歳も無料)になったことで、その分を教育費に回すことができれば、小学校入学前は教育費を作る好機だと言えるでしょう。
また、同じ額を用意するのでも早めに準備を始められれば、無理な節約で家計を圧迫することを避けることができます。

貯蓄、保険やNISA:少額投資非課税制度の活用検討も

児童手当以外にも、勤務先に制度があれば給与天引きによる財形貯蓄を利用し教育費の準備を心がけてください。勤務先に財形制度のない人は、給与振込口座の銀行で、自動積立定期のサービスを利用する方法もあります。

生命保険会社の学資保険も選択肢です。一定額を積み立て、15年あるいは18年後の満期時に、満期金を受け取ることで教育資金づくりが可能です。学資保険の場合、保険をかけた親に万一のことが起きたときには、それ以降保険料を払わなくても、予定した満期金が受け取れるメリットもあります。

しかし低金利が続く現在の状況では、貯蓄をしてもほとんど利息が付かず、また学資保険の満期金は契約時の利率で固定されるのが一般的です。金利が上がった場合で想定していた教育費に対して、学資保険の満期金では対応ができない可能性もあるでしょう。

そこで、毎月の教育費予算の一部を、元本保証ではありませんが、投資信託などの運用商品で準備する方法も検討しましょう。

投資信託も積み立て購入できますが、運用益が非課税になる「NISA」は教育資金の準備に適した金融商品です。NISAは、2024年1月に制度が一新されました。金融庁の基準をクリアした投資信託から選べる「つみたて投資枠」と、個別株やREITにも投資できる「成長投資枠」の2枠が用意され、年間で元本合計360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)の投資が可能で、無期限で運用ができます。

必要な時期が子どもの誕生とともに確定する教育費は、比較的計画の立てやすい資金です。元本保証の貯蓄など安全な金融商品をベースに、NISAなどの運用商品も選択肢に入れて、将来の目標額を準備していきましょう。

NISAについて知りたい方は、「新NISAではじめる資産形成」もチェックしてみましょう。こちらの記事で制度を詳しく解説しています。

夢の実現に向けて一歩踏み出そう!NISAではじめる資産形成
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高橋浩史

監修:高橋浩史

FPライフレックス代表/日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®

プロフィール

住宅購入相談、家計相談を中心に「住まいの相談FP/家計の赤字V字回復アドバイザー」として活動中。金融機関でのセミナー・研修講師、書籍・雑誌、webでの執筆業務も行う。著者に「老後のお金安心ガイド」(イースト・プレス)他。趣味はランニング、落語。


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