子育ての前に覚えておきたい子供の入院費用に活用できる助成制度を紹介

2020.11.17 9

子育て中、特に子供が小さい時期は病気やケガで医療機関を受診する機会が多く、医療費がかさみがちです。そこで国や各地方公共団体では子供の医療費の負担を軽減するためのさまざまな助成金制度を設けています。今回は外来診察だけでなく入院費用にも活用できる助成制度について解説します。

01日本の公的医療制度について

日本の公的医療制度では、年齢や所得などによって医療費の自己負担割合が定められており、就学前の子供は2割負担、就学後の子供は3割負担とされています。つまり、子供が病気やケガをした際にかかる医療費の7割から8割は公的医療制度から支払われ、保護者が医療機関の窓口で支払うのは子供が6歳までは2割、7歳以降は3割で良いということになります。

医療費の患者負担割合

年齢 自己負担の割合
6歳未満(義務教育就学前) 2割
6歳以上70歳未満 3割

しかし、医療費は原則として予算外の出費であり、特に通院回数が多い場合や入院を伴う場合は医療費が高額になるため、たとえ2割もしくは3割であっても家計への負担は大きくなってしまいます。そこで、全国の都道府県と市区町村では、国の医療保険制度とは別に、子供を対象にした独自の医療費助成制度を設けています。

02「子ども医療費助成制度」とは?

「子ども医療費助成制度」とは、子供の保健対策を充実し、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、子供が病気やケガなどにより医療機関を受診した場合の医療費の自己負担分の一部または全額を、都道府県と市区町村が負担する制度で、都道府県がその域内の市区町村に交付した補助金をもとに、市区町村が実際の助成を行う仕組みになっています。

厚生労働省が行った「令和元年度度 乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」によると、全ての都道府県(47都道府県)と市区町村(1741市区町村)が18歳以下の子供を対象にした医療費(通院・入院問わず)の補助を行っています。ただし、その運用の基準は様々で、助成が受けられる年齢、保護者の所得の上限額は都道府県(市区町村)によって異なります。また、自己負担分の全額を助成する都道府県(市区町村)がある一方で、一部のみを助成するところもあります。

出典:厚生労働省「令和元年度 乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」別紙2

また、近年では全国的に対象年齢を引き上げる動きが拡大しています。た例えば東京都では、就学前の子供を対象にした「乳幼児医療費助成(通称:マル乳)」と、小学1年生~中学3年生までの子供を対象にした、「義務教育就学児医療費助成(通称:マル子)」を2段重ねで整備し、0歳~義務教育終了までの期間の医療費の自己負担分を助成しています。

東京都 乳幼児医療費助成(通称:マル乳)の概要

都内に住所を有する小学校入学前の乳幼児の医療費と薬剤費の自己負担分(2割)について、助成が受けられる制度。つまり、この制度を活用すれば小学校就学前までは通院や入院にかかる医療費や薬剤費は実質無料になることになります。ただし、医療保険の対象とならない費用、例えば健康診断料、予防接種料、薬の容器代、差額ベッド代、入院中の食事代などは、原則として助成対象になりません。

東京都 義務教育就学児医療費助成(通称:マル子)の概要

都内に住所を有する小学1年生から中学3年生までの子供の医療費と薬剤費を助成する制度。入院にかかる医療費と薬剤費については、自己負担分の全額が助成対象となります。通院にかかる医療費と薬剤費については、一部負担金(通院1回につき200円)を超える額の全額が助成対象となります。マル乳と同様、対象となるのは医療保険の対象となる医療費と薬剤費のみです。

なお、同じ都道府県内でも市区町村によって助成制度の内容が異なり、例えば東京都の中にも通常は助成対象とならない入院中の食事費を助成対象としている区や、高校生の医療費・薬剤費も助成対象としている区もあります。子供がいる人、出産予定のある人は、住んでいる市区町村のホームページなどで助成制度の内容を確認しておきましょう。

03医療証の交付を受けるには?

東京都のマル乳・マル子をはじめ、全国の都道府県(市区町村)が整備している子供を対象にした医療費助成制度を利用するには、市区町村から交付される「子供医療費受給者証」(市区町村によって呼び方が異なります)を子供の健康保険証とともに医療機関の窓口に提示する必要があります。

この「子供医療費受給者証」は子供が生まれたら自動的に交付されるわけではなく、保護者(子供の養育者)が自ら市区町村の窓口に申請しない限り交付されません。子供が生まれたら以下の手順を踏んで、速やかに申請しましょう。

出生届を出し、子供を両親どちらかの扶養家族として健康保険に加入させる

国民健康保険の場合は住所地の市区町村の役所の窓口で加入手続きができます。勤務先の健康保険に加入している場合は、人事や総務など健康保険担当部署に必要な書類を提出すると、後日、健康保険証が送られてきます。

住民票のある市区町村の役所の窓口に「子供医療費受給者証」の交付申請をする

通常はその場で交付が受けられます。申請に必要なものは市区町村によって異なるので、事前に市区町村のホームページ等で確認しておきましょう。なお、里帰り出産などで住所地から離れている場合は、郵送による申請もできます。

04助成制度を利用する際の注意点

子供の医療費・薬剤費の負担が軽減される助成制度は、子供に十分な医療を受けさせるためにも、ぜひ利用したい制度ですが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。

払い戻しに期限がある

子供が生まれてから、「子供医療費受給者証」を申請・交付されるまでの間に、医療機関を受診した場合は、いったん窓口で自己負担分(2割)の医療費・薬剤費を支払うことになりますが、各市町村が定める期間内にレシートを添えて申請をすれば、払い戻し申請ができます。期限を過ぎると払い戻しが受けられないケースもあるので、注意しましょう。

住所のある都道府県以外での受診では?

「子供医療費受給者証」が利用できるのは、住所のある都道府県内に限られ、里帰り先や旅行先など住所のある都道府県以外の医療機関で受診したり入院したりした場合は利用できません。その場合は健康保険証を提示して自己負担分の医療費・薬剤費を支払い、後日、住所のある市区町村の役所の窓口にレシートを添えて申請すると払い戻しを受けることができます。払い戻しには各市町村が定める有効期限があり、これを過ぎると払い戻しが受けられなくなるので、自宅に戻ったら、できるだけ速やかに申請するようにしましょう。

有効期限がある

「子供医療費受給者証」には有効期限があり、原則として1年毎に更新され、期限を過ぎたものは使えなくなります。例えば東京都の場合、マル乳・マル子の医療証は毎年10月1日が更新日で、10月1日以降は古い受給者証では助成を受けられなくなります。

更新日が近づくと市区町村から新しい受給者証が送られて来ることになっているので、更新直後は誤って古い方の受給者証で受診しないように気をつけましょう。なお、古い方の受給者証で受診してしまった場合は、市区町村の定める期限内であれば申請して払い戻しを受けられるケースがほとんどです。

医療保険の対象となる医療費・薬剤費以外は助成対象にならない

「助成制度を使えば、子供の医療費にお金がかからないから安心」と思ってしまいがちですが、先程も述べたとおり助成の対象となるのは、医療保険の対象となる医療費・薬剤費のみです。上に挙げた入院中の食事代や差額ベッド代のほか、遠方の病院に行く際の交通費や付添人のベッド代、おむつ代やミルク代も助成対象にならないので、通院・入院にかかる費用がゼロになるわけではなく、むしろ予想外のお金がかかってしまうことも珍しくありません。助成制度は上手に活用しつつも、やはり家族の万が一に備えて余裕資金を貯蓄しておくことが大切です。

子供の医療費負担を減らしてくれるお得な助成制度ですが、その制度の詳細な内容は市区町村によって異なります。子供が生まれた後は、子供の世話で忙しくなり、制度の詳細について調べる時間がなくなってしまいがちです。時間的に余裕のある出産前に、住所のある市区町村の助成制度について、年齢や所得制限の有無、申請時に必要なものなどについて、あらかじめ調べておくことをおすすめします。

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