同棲カップルの1カ月の生活費はいくら?分担事情や節約術を解説
未婚のカップルが同棲をすることは、珍しいことではなくなってきましたが、実際に同棲を始めるとなると、無視できないのが生活費の問題。2人で暮らすと生活費がどのくらいかかるのかわからないので、不安を感じる方も多いのではないでしょうか?そこで今回は一般的な同棲カップルの1カ月の生活費やその内訳、同棲しながら節約するためのコツなどをご紹介します。
01カップルで同棲、経済的メリットはある?
結論から言うと、一般的には、カップルが別々に住むよりも同棲したほうが経済的なメリットを享受することができます。例えば、同じ部屋を借りる場合でも1人で住む場合は当然1人で家賃全額を負担しなくてはなりませんが、2人で住めば半分ずつの負担で済みます。仮にどちらか一方が1人で家賃を負担したとしても、もう1人が浮いた分の支出を他の目的に使ったり貯蓄に回したりすることができます。その他の支出も、ほとんどが2人でシェアしたほうがお得です。例えば、食費も1人分の食事を作るよりも2人分を一緒に作ったほうが、一般的には食材費も調理にかかる光熱費も安く抑えることできます。実際、総務省統計局「家計調査 家計収支編 2023年」の結果を見てみると、単身勤労者世帯(1人暮らし世帯)の1カ月あたりの消費支出(生活費)は平均18万2114円だったのに対し、2人以上の世帯(平均世帯人員2.90人)は平均29万3997円(一人当たりでは10万1378円)となっていて、1人あたりの生活費は2人以上の世帯の方が低いことがわかります。つまり、同棲すると2人が別々に生活している場合よりも、生活費を安く抑えることができるということです。
02同棲する場合の生活費の内訳
次に、同棲する場合に必要な主な生活費の内訳を見ていきましょう。同じく2023年に行われた総務省統計局「家計調査 家計収支編」によると、2人以上の世帯の主な支出の項目と平均額は以下のとおりです。
項目 | 月平均額 |
食料 | 8万6554円 |
住居 | 1万8013円 |
光熱・水道 | 2万3855円 |
家具・家事用品 | 1万2375円 |
被服及び履物 | 9644円 |
保険医療 | 1万4728円 |
交通・通信 | 4万2838円 |
教育 | 1万448円 |
教養娯楽 | 2万9765円 |
その他の消費支出 | 4万5777円 |
合計 | 29万3997円 |
※出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2020年1~3月期 1世帯当たり1か月間の収入と支出」
もっとも、これは対象者の平均年齢が60.2歳の調査なので、一般的な同棲カップルの世代の支出の実態とは異なります。特に住居費に関しては、同棲の場合は賃貸住宅に住むことが多いので上記の数字の様に安く抑えるのは難しく、一般的には同棲にかかる生活費の中では、住居費が最も高額になります。また、同棲カップルには子どもがいないケースがほとんどなので、2人が学生でないかぎり、「教育費」は上記ほどかからないはずです。したがって、同棲カップルが生活費の内訳を考える際には、まず2人が負担できる生活費の合計を出し、その中から住居費と光熱水道費、通信費など生活に必ず必要になる項目(毎月の支出がほぼ一定の項目)にかかる金額を決めた上で、残りの予算を他の項目に割り振っていきます。例えば、2人で出せる生活費の合計が約29万5000円で、その中から同棲のために家賃8万円の住居を借りる場合は、以下の例のように生活費を割り当ててみてはいかがでしょうか。
同棲カップルの支出の例(生活費29万5000円、その中から家賃8万円を支出する場合)
項目 | 月平均額 |
食料 | 7万5000円 |
住居 | 8万円 |
光熱・水道 | 2万円 |
家具・家事用品 | 5000円 |
被服及び履物 | 2万円 |
保険医療 | 1万5000円 |
交通・通信 | 2万円 |
教育 | 0円 |
教養娯楽 | 2万円 |
その他の消費支出 | 4万円 |
合計 | 29万5000円 |
03カップルでの分担事情は?
生活費の目安が決まったら、次は分担を決めましょう。誰がどの支出を負担するのか、うやむやなまま生活を始めてしまうと、後々トラブルに発展することも珍しくありません。最初に明確なルールを決めてから始めるようにしましょう。ただし、ルールと言っても、カップルごとに収入や考え方が異なるので、すべてのカップルに当てはまる「正解」はありません。2人で話し合い、お互いが納得できるルールを決めましょう。
ここでは参考までに、現在同棲中のカップルに聞いた、生活費分担の実情をご紹介します。
例1:男性30歳(会社員)、女性32歳(フリーライター)
2人の月収合計:約60万円
- 家賃・光熱費:男性がまとめて支払い、女性が半額を男性に渡す
- 食費:各自(ほぼ自炊なし)、2人で外食する場合は男性がほとんど支払う
- 家庭用品:男性がすべてネットショッピングで購入・決済
- その他の支出:すべて各自
例2 : 男性35歳(美容師)、女性29歳(派遣社員)
2人の月収合計:約70万
- 家賃:男性が全額負担
- 食費:外食以外は女性が負担
- 通信費、保険:各自
- その他は基本的に男性が全額負担
例3 : 男性28歳(会社員)、女性27歳(フリーランス)
2人の月収合計45万円
- 家賃:男性が支払い、女性が半額を男性に渡す
- 通信費、保険:各自
- その他は原則として「共通の財布」(2人が毎月3万円ずつ補充する)から支払う
04同棲生活で節約するコツ
結婚を前提としている場合、同棲は結婚資金を貯めるために最適な生活スタイルでもあります。先に述べたとおり、一般的にはカップルが別々に生活をするよりも同棲したほうが生活費を抑えられるので、その分を貯金にまわすこともできますし、2人で協力して節約に励めば、より効率よく2人の貯金を増やすこともできます。ここでは同棲期間中だからこそできる節約のコツを5つご紹介しましょう。
(1)生活リズムを合わせる
起床・就寝時間がずれると、照明やエアコンをつけている時間が長くなる分、光熱費が高くなってしまいます。できるだけ、2人で生活リズムを合わせて生活するようにしましょう。
(2)家で一緒に食事をする
外食しなくても、その気になれば3食とも自宅で一緒に食事ができることも、同棲生活のメリットの1つ。食事はなるべく自炊して、自宅で一緒に食べるようにすると、目に見えて食費の節約ができるようになります。外食になりがちな平日の昼食も、2人でお弁当に切り替えるとより効果的です。
(3)一緒に家計簿をつける
お互いのお金の使い方を把握するために、共通の家計簿をつけましょう。支出を「見える化」することによって、支出の改善点がみつかりやすくなります。同時に良い意味でお互いの支出を監視し合うことによって、無駄遣いセーブ効果も期待できるはずです。
(4)固定費を見直す
節約といえば、食費や趣味や娯楽など「我慢すれば抑えられる費用」に目が向きがちです。しかし、毎月こういった支出がセーブできるとも限りませんし、我慢が続くとストレスや喧嘩の原因になって節約が長続きしないことも多いものです。そこで、着目したいのが家賃や通信費などの固定費です。特に家賃の見直しによる節約効果は大きいので、同棲を始める際には賃料の安い物件を選ぶこと、同棲を始めてみて家賃が負担に感じるようなら更新時には賃料がより安い物件に引っ越すことを検討してみましょう。
(5)共通の目的を持つ
同棲生活での節約は、2人で協力しなくては成功しません。「旅行にいく」、「結婚費用を貯める」など、2人共通の目標を設定し、一致団結して節約に取り組みましょう。2人共に収入がある場合は、どちらか一方の収入だけで生活し、もう一方の収入は目標のための貯金に回すなどすると、より一体感をもって節約に取り組めるかもしれません。
同棲生活は相手の素の姿や生活スタイルを理解できるだけでなく、相手の金銭感覚が自分と合うかどうかを確認できる貴重なチャンスでもあります。金銭感覚に関する違和感や不満はなるべく率直に相手に伝え、後々トラブルにならないよう心がけましょう。
(6)無理のない範囲で将来のために資金形成をはじめる
もし将来的に結婚を視野に入れて同棲しているなら、結婚生活に向けた資産形成を無理のない範囲ではじめましょう。ちなみにリクルートブライダル総研の「ゼクシィ結婚トレンド調査 2023」によると、結納・婚約から新婚旅行までにかかった費用の総額(推計値)は456万9000円でした。仮に同棲期間5年で460万円を貯めるには、毎年92万円、月に換算すると7万6000円が必要になる計算です。そのため毎月、少しずつでも結婚資金の積み立てをはじめたいものです。
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監修:相山華子
ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。
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