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海外留学の費用はいくら必要?国別・期間別の費用をご紹介

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「海外留学をしてみたい」という人は多いと思います。どの国でどんなことが学べるのか?自分でも留学できるのか?どんな準備が必要か?など、知りたいことはたくさんあるでしょうが、やはり、気になるのはお金のこと。どんなものに、どのくらい費用がかかるのか、具体的な目安を知ることで、目標に一歩前進です。ここでは、海外に必要な費用の内訳や相場、費用の準備方法や奨学金などの制度についてお伝えします。

01海外留学に必要な費用の相場

海外留学にかかる費用は、留学前の準備費用や渡航費と留学後の授業料や滞在費(生活費)に大別できます。ただ、留学する国や留学期間、学校の種類、滞在先が都心か地方かなどによっても、大きく費用は変わってきます。それぞれ詳しくみてみましょう。

留学費用の内訳

海外留学をする場合、渡航後の滞在費等以外は、日本国内での支払いが原則です。授業料などを負担できる財政証明があって初めて、教育機関から最終的な入学許可証が発行されることもあり、留学前から、ある程度まとまった金額が必要となります。

留学前の費用

留学前の準備や渡航にかかる費用には、以下のようなものがあります。航空券代を除き、10~20万円が目安です。

※LCC(格安航空会社)や直行便でなく、経由便を使うと費用が抑えられる。経由便では入国にあたってその都度、必要となる書類を求められるなどのデメリットがあることに注意。

留学後の費用

留学後の費用には以下のようなものがあります。留学する国や都市、都心か郊外かの滞在先、その人の生活スタイルによって費用は異なり、物価や為替の影響も受けます。

国別の費用相場とは?

日本学生支援機構の「海外留学経験者の追跡調査(平成30年度)」(※1)によると、留学先の国(地域)は、米国が最も高く23.1%、次いで、オーストラリアが15.6%、カナダが11.7%と、この3つの国だけで半数以上を占めています。ここではその3カ国に留学する場合の費用をみてみましょう。
※1出典:「海外留学経験者の追跡調査(平成30年度)結果の概要」P17
https://ryugaku.jasso.go.jp/link/link_statistics/link_statistics_2019/

米国

留学先として、人気の米国ですが、一般的には物価が高く、費用も州、都市部・郊外などの滞在場所、また通う学校によっても費用は大きく変わってきます。

例えば、以下の図表の例で、4週間あたりの費用は、大学付属の語学学校の場合、授業料が約18万円から、滞在費(ホームステイの場合)が約9万円で、合計約27万円です(※2)。私立や、学生寮に滞在する場合は以下の通りです。

授業料 滞在費
大学付属:1200米ドル(18万円)~/4週間(週20~25時間)
私立:900米ドル(13万5000円)~/4週間(週20時間)
私立:1300米ドル(19万5000円)~/4週間(週30時間)
ホームステイ:600米ドル(9万円)~/4週間(2食付)
学生寮:1200米ドル(18万円)~/9週間(二人部屋)

1米ドル=150円で換算

※2:日本学生支援機構「海外留学支援サイト」の国別のデータ

参考URL:https://ryugaku.jasso.go.jp/oversea_info/region/n_america/usa/

また、日米教育委員会(フルブライト・ジャパン)のサイトによると、米国留学の費用について、往復の旅費を除いて1学年間(9カ月)に約1万~7万ドル(150万~1050万円)かかるとしています(※3)。

※3 出典:https://www.fulbright.jp/study/res/faq.html

オーストラリア

オーストラリアも物価高で知られており、授業料や滞在費も安くありません。以下の図表の例では、1週あたり授業料が2万5000~4万円、滞在費がホームステイの場合で2万3500~3万2500円程度で、4週間に換算すると授業料と滞在費の合計は約19~29万円です(※4)。

授業料 滞在費
250~400豪ドル(2万5000~4万円)/週(地域や学校・コースにより異なる) ホームステイ235~325豪ドル(2万3500~3万2500円)/週
ドミトリー(寮) 500~1200豪ドル(5万~12万円)/月(食事の有無によって大きく異なる)
賃貸物件(シェアハウス含む)85~400豪ドル(8500~4万円)/週(地域・設備によって大きく異なる)

1豪ドル=100円で換算

※4:日本学生支援機構「海外留学支援サイト」の国別のデータ

参考URL:https://ryugaku.jasso.go.jp/oversea_info/region/oceania/australia/

オーストラリア政府公式留学情報ウェブサイトによると、1年間の生活費は、学生本人、またはその保護者の場合2万1041豪ドル(約201万円)、教育費は、大学(学士)の場合は2万~4万5000豪ドル(200万~450万円)が目安です(1豪ドル=100円で換算)(※4)。


※4出典:オーストラリア政府ウェブサイト
https://www.studyinaustralia.gov.au/japanese/live-in-australia/living-costs
なお、以下のサイト(Insider Guides)では、主要都市での居住環境別での現地生活費の試算ができるようになっています。注:英語のサイトです
https://insiderguides.com.au/cost-of-living-calculator/

カナダ

カナダも留学先の州や学校、環境などによって費用が異なります。以下の図表の例はブリティッシュコロンビア州の場合ですが、私立の語学学校での4週間の費用は、授業料が約6万6000~18万7000円、ホームステイの場合の滞在費は約7万7000~10万4500円で、合計は約14~29万円です(※5)。

授業料 滞在費
ブリティッシュコロンビア州の場合
大学付属:2600~3700カナダドル(28万6000~40万7000円)/8週間
私立:600~1700カナダドル(6万6000~18万7000円)/4週間
ホームステイ:700~950カナダドル(7万7000~10万4500円)/4週間(食事付き)
学生寮:800~1200カナダドル(8万8000~13万2000円)/4週間(食事付き)
アパート:500~1000カナダドル(5万5000~11万円)/4週間(食事なし)

1カナダドル=110円で換算

※4:日本学生支援機構「海外留学支援サイト」の国別のデータ

https://ryugaku.jasso.go.jp/oversea_info/purpose/language/lang_en_guide/lang_en_canada/#link_fees

駐日カナダ大使館のサイトによると、授業料と生活費を合わせて、一学年度に約1万8840カナダドル(約207万円)が平均的な相場となっています(※6)。

※出典:カナダ政府ウェブサイト
https://www.canadainternational.gc.ca/japan-japon/study-etudie/faq.aspx?lang=jpn

留学費用を決める要素は?

留学費用を決める要素として、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 留学する国や地域
  • 居住する都市(州)
  • 留学期間
  • 授業の時間数
  • 教育機関の種類、コース
  • 物価、為替

留学前の渡航費用はあまり差が出ないかもしれませんが、留学後の授業料や滞在費などは、こうした要素によって大きく変動するでしょう。とくに、その国の物価水準や為替動向は、留学でも観光でもビジネスでも、海外に渡航する限り、大きな影響を及ぼすものです。
なお、前掲の日本学生支援機構の「海外留学経験者の追跡調査(平成30年度)」によると、留学期間は、「3カ月未満」(38.4%)、「6カ月~1年未満」(23.0%)で約6割を占め、留学先の学校種類(1校目)は、「大学(学部・ファンデーションコース)」(39.2%)、「語学学校」(36.4%)となっています。

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02留学資金の準備方法や抑え方

留学資金の準備方法として、奨学金や教育ローンなどを利用して、お金を借りる方法があります。それぞれ詳しくみてみましょう。

奨学金制度を利用する

留学までに予定していた額を準備できなかったり、積立額以上に予算がかさんだりした場合、奨学金を利用する方法があります。

奨学金には、留学前またはすでに留学中の人を対象に、日本国内で募集されるものと海外で募集されるものがあります。奨学金を利用する場合は、返済義務の有無(給付型・貸与型)、応募資格(学校の種類、成績、語学力、国籍、留学先の国・地域)、応募時期、手続き方法、所得制限の有無、奨学金提供の条件、重複受給の可否などを確認しましょう。

なお、日本で募集される奨学金は留学前の人を対象としているものが多く、留学開始時期の1年以上前に応募を締め切るものもありますので、計画は時間的余裕を持って立てるようにしましょう。文部科学省が運営する「トビタテ!留学JAPAN」(https://tobitate.mext.go.jp/scholarshipsearch/
では、条件を設定して利用できる奨学金の検索ができます。

下記に主な奨学金を紹介します。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金

日本の奨学金では、日本学生支援機構(JASSO)が代表的です。国内の大学等の進学だけでなく、海外留学の希望者に対しても、次のような奨学金を設けています。返済義務のない給付型と返済義務のある貸与型に分かれています(※)。

※出典:日本学生支援機構「わたしがつくる海外留学2021」より筆者が一部抜粋の上編集
https://ryugaku.jasso.go.jp/publication/guidebook/#link_guidebook_contents

地方自治体などの奨学金

地方自治体や国際交流協会では、住民やその自治体に関係のある人を対象に奨学金を実施しています。ほとんどが給付型ですが、一部、貸与型もあります。とくに、高校生の留学のための奨学金や助成制度は、ほとんどの自治体で導入されています。

  • 国内の大学などの奨学金

日本の大学などが、交換留学や私費留学する在学生を対象に実施しています。
例えば、海外への留学する学生が多い早稲田大学では、おもに留学センター海外留学プログラム参加者を対象に支給額25~150万円の奨学金制度を設けています。

  • 民間団体の奨学金

民間企業・団体の奨学金は、専攻分野や留学対象国・地域などに条件を設けて実施しています。ほとんどが給付型ですが、一部、貸与型もあります。

  • 外国政府などの奨学金

外国の政府や政府関係機関の奨学金は、その国・地域の大学などに留学する日本人を対象に実施しています。すべて給付型です。

  • 海外で募集される奨学金

海外で募集される奨学金は、留学希望校(授業料減免なども含む)や、現地の研究機関・民間の団体によるものがあります。各国の駐日大使館や公的機関のウェブサイトから情報を収集できます。

教育ローンを利用する

奨学金を利用してもお金が足りない場合、教育ローンを利用する方法もあります。
教育ローンには、公的なものと民間のものがあります。
公的なローンの代表格が、日本政策金融公庫の「教育一般貸付(国の教育ローン)」です。融資額は、外国の施設に3ヵ月以上留学する場合、子ども1人につき450万円以内。それ以外の場合は350万円が借りられます。返済期間は15年以内で、世帯の年間収入の上限額は990万円(これを超えていても子どもの数が4人以上であれば利用できる場合もある)の年収要件があります。

一方、民間のローンは、銀行や信用金庫、カードローン会社などさまざまな金融機関が提供しています。貸与型の奨学金の場合、保護者が借りて、お金を借りた子どもなど本人が返済することになりますが、教育ローンの場合、借りるのも返済するのも保護者という点が違います。

留学費用を抑える方法

留学費用を抑える方法として、物価が割安な国を選ぶ、早めに計画を立てて、為替が有利なときに費用を払い込む、給付型の奨学金を利用する、期間を短くするなどが考えられます。また、協定を結んだ二つの国や地域で、青少年が一定期間の休暇を過ごしながら、その間の滞在費を補うための就労をそれぞれが認めるさらワーキングホリデー制度を利用して、ワーキングホリデービザを取得すれば、滞在費を稼ぎながら、留学生活を送ることが可能です。
制度の利用には、留学先がワーキングホリデー制度の協定国であること、ワーキングホリデービザを申請可能な18~30歳という年齢制限を満たすことなどの条件をクリアする必要があります。ワーキングホリデーを実施している国は、ニュージーランドやカナダ、オーストラリアなど。オーストラリアの牧場で働いたり、カナダのホテルでバリスタとして働いたりといったさまざまなワーキングホリデープログラムが用意されています。「留学のための資金が十分に貯めっていないけれども、早く留学をしたい」というのであれば、ワーキングホリデーを利用することも検討しても良いかもしれません。

留学資金は早めに計画を立てて資金を準備する

いずれにしても、海外留学にはお金がかかります。将来子どもが成長したら留学させたい、あるいは自分自身がいずれ留学したいと考えているなら、早めに貯蓄や運用をして、計画的に留学資金を準備しておくことをお勧めします。

子どもの留学費用については、中学を卒業するまで受給できる児童手当をすべて貯蓄するという方法があります。仮に子どもが誕生した翌日から15日以内に申請すれば生まれた月からの受給が可能となる児童手当は、3歳未満は一律1万5000円、3歳以上小学校修了前は1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は一律1万円が支給され、誕生月により受給額は変わりますが、最大で198万円が支給されます(扶養家族の人数に応じた所得制限があり)。
また、少額投資非課税制度「NISA」を利用すれば、運用益に税金がかかりません。税制優遇の恩恵を受けながら、効率的に運用も可能です。 なお、2024年1月よりNISAの制度が大きく変わりました。非課税の期間が無期限に、投資可能額も年間で合計360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)と拡大されたので、他の資産形成にも使いやすいでしょう。詳しい内容は「新NISAではじめる資産形成」をご覧ください。制度の概要について解説しています。

わかる選べるNISA投資
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<プロフィール>
黒田尚子 CFP®、消費生活専門相談員資格
1998年、FPとして独立。2009年に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんに対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。


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