投資運用について知りたい記事をキーワードから探せます

iDeCo(個人型確定拠出年金)が元本割れしたらどうする?正しい対処の仕方を学ぼう

13

老後のための資産形成には個人年金保険や国民年金基金など、さまざまな商品や制度が用意されています。しかし、なかでも利用できる人の幅が広いことから注目を集めているのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。ただし、iDeCoはあくまでも資産形成を有利に進めるための制度であり、将来受け取る金額が保証されているわけではありません。iDeCoについて興味を持っている人のなかには、「元本割れするリスクはあるのか」や「もし元本割れしたらどうすればいいのか」などについて知っておきたい人もいるのではないでしょうか。そこで、この記事ではiDeCoを始めるにあたって事前に知っておきたい注意点やその対処法について紹介していきます。

01iDeCoで運用する上で心がけておくべきこと

iDeCoには、「掛金の全額所得控除」「運用益の非課税」「受け取り時の控除」といった3つの税制的なメリットがある一方で、注意しなければいけないポイントもあります。まずはiDeCoを運用する上で心がけておきたいポイントを紹介します。よく理解してから利用を検討しましょう。

原則60歳まで引き出せない

iDeCoへ加入するにあたり、注意したい1つ目のポインは「運用資金は原則60歳まで引き出せない」ことです。iDeCoは個人の老後資金不足を自助努力によって補うことを目的とした制度で、国が加入促進を図るために、税制面での優遇措置があります。公的年金が国民年金のみの人など老後資金の自助努力が必要と考えられる人ほど、掛金の上限も多く設定されており、税制面での優遇措置をより多く受けられるようになっています。そのためiDeCoでは「掛金上限は働き方によって決まる」「運用資金は60歳まで自由に引き出せない」などの制約が決められています。また、「加入期間は原則10年以上」という制約もあり、仮に60歳までの加入期間が10年に満たない場合は、最大で65歳まで運用したお金を引き出せない仕組みです。

そのため、もし「資産運用をして住宅ローンの頭金を作る」などを目的にしている人がいたら、iDeCoではその目的は果たせないことを理解しておきましょう。60歳以前に必要なお金の資産運用で優遇措置のある制度を利用したい場合は、掛金の所得控除はありませんが、期間内でいつでもお金を引き出せるNISA(少額投資非課税制度)を利用しましょう。

ただし、「60歳までお金を自由に引き出せない」という制約は不自由である反面、「老後資金を貯める」という目的を果たす手段になりえます。老後資金に不安を感じている人のなかには、こまめな貯蓄をするのが苦手な人もいるのではないでしょうか。iDeCoのように強制力のある制度なら、そのような人でも老後資金を貯めやすく、将来に備えやすいでしょう。

中途解約できない

iDeCoを利用する際の2つ目の注意点は「原則、中途解約が認められていない」ことです。つまり、前述1つ目の注意点と合わせると、iDeCoはいったん利用を始めたら「原則的に60歳までお金を引き出すことができず、運用を続けなければいけない制度」になります。例外として加入者が死亡したり、高度障害状態になったりするなど、一定条件を満たせば解約できるケースもありますが、ハードルが高いことは留意しておかなければいけません。

仮に、どうしても家計の都合上、iDeCoの掛金を拠出することが難しくなった場合、掛金の減額(年1回だけ)や休止をすることは可能です。ただし、掛金の減額や休止をして一時的に家計が楽になっても、掛金の総額が少ないと、仮に運用がうまくいったとしても将来の老後資金不足に悩まされる可能性は高くなるかもしれません。

口座管理手数料がかかる

さらに注意すべきなのが、掛金の拠出を止めても「口座管理手数料だけはそのまま毎月かかり続けてしまう」点です。掛金の支払い方法には、毎月一定額を拠出する「月払い」の他に、「半年払い」や「年払い」もあるので、家計の状況に合わせて選択するとよいでしょう。掛金の拠出で困らないように、加入前に毎月の家計状況を振り返り、「無理のない金額」をよく把握しておくことが重要です。

管理や運営など自分でやることが多い

3つ目の注意点は「iDeCoは運用から管理まで個人で行う」ことが挙げられます。iDeCoは老後資金形成の自助努力を促すための制度なので、運用主体は加入者本人です。そのため、金融機関(運営管理機関)を選択して口座を開設し、運用する金融商品や掛金の配分割合を決めるまで、すべて自分で行わなければいけません。これは、保険料を払えば運用の心配をしないで済む国民年金や厚生年金などの公的年金とは大きく違うポイントです。こうした点をわずらわしく感じてiDeCoを敬遠する人もいるでしょう。

たしかに、金融機関(運営管理機関)の選定から運用する金融商品の選択をするには、事前の情報収集や金融商品の知識を身につけることが必要となり、それなりの労力と時間がかかるでしょう。しかし、iDeCoで選択できる金融商品には比較的ハイリスクハイリターンの投資信託から、ローリスクローリターンの定期預金や保険商品までさまざまなものが用意されています。自分の老後の状況に合わせた資産運用を自らの手で早い段階から始められるのは、iDeCoならではの魅力でもあります。

iDeCoについてのより詳しいメリットとデメリットを知りたい人は、下記の関連記事も参考にしてください。

02iDeCoが元本割れすることはあるの?

結論からいうと、iDeCoで資産運用した結果、元本割れする可能性はあります。しかし、前述したように、iDeCoではさまざまな金融商品が運用対象になっているため、加入者の選択次第では極力リスクを減らして運用することも可能です。iDeCoで投資できる商品の数は金融機関(運営管理機関)によってさまざまですが、実は大別すると「元本確保型」と「元本変動型」の2つのタイプしかありません。そのうち、元本変動型は期待できるリターンが比較的大きい反面、元本割れするリスクもある商品で、iDeCoで代表的なものとしては投資信託が挙げられます。

投資信託は不特定多数の投資家から資金を募り、投資のプロが事前に定められた範囲で株式や不動産などに投資する金融商品です。資産価値(基準価額と呼ぶ)は、運用成績や需給バランスによって毎日のように変動するため、たとえば30万円で購入した投資信託が翌日には28万円に下落するケースも珍しくありません。この状態で売却すると資産を増やす目的でiDeCo を始めたにもかかわらず、2万円の損失が確定します。

実際には投資信託と一口にいっても、比較的ローリスクな債券に投資する商品から、ハイリスクだといわれる株式や不動産を中心に投資する商品までさまざまです。しかし、どの投資信託においても、基本的に経済状況や世界情勢に大きな影響を受けるため、値動きを正確に予測するのは難しいのが現実です。

元本割れするリスクを極力抑えたい人に向いているのが、元本確保型になります。元本確保型には定期預金や保険などの商品があり、利回りはそれほど高くないものの満期まで保有すれば元本が保証されているのが特徴です。ただし、「保険の場合は中途解約すると元本割れするリスクがある」「定期預金だと得られる利息収入が少なく、手数料負けする可能性がある」といった点にはそれぞれ注意しなければいけません。

いずれにしても、元本変動型と元本確保型はそれぞれメリットとデメリットがあるので、自らの状況に合わせて両者のバランスを考えながら投資することが大切です。

03iDeCoが元本割れした時の3つの対処

上述したようにiDeCoで資産運用した結果、元本割れする可能性はゼロではありません。しかし、iDeCoには掛金の全額所得控除などの節税メリットがあるため、投資で元本割れしても、トータルでは得をするケースもあります。大切なことはiDeCoを始める前に元本割れしたときのことも考えて対応方法を検討しておくことです。そこで、ここからはiDeCoで元本割れしたときの対処法を3つ紹介します。

経済状況が落ち着くまで見守る

これから資産運用を始める人が覚えておくとよいのは、「好景気がいつまでも続くわけではないのと同様に、不景気もいつまでも続くわけではない」ということです。実際に、バブル崩壊以降あれほど株価が低迷していた日本株も、日本銀行による金融緩和政策もあり、2021(令和3)年2月にはおよそ30年ぶりに日経平均で3万円を回復しました。

この事実が示すように時間軸こそ予測はできないものの、ほとんどの相場には波があるため「経済状況が悪化しても景気が回復するまで待つ」こともひとつの方法です。特にiDeCoの場合、毎月定額で買付をする形になるため、「ドルコスト平均法の恩恵を受けやすい」ことも、冷静に様子を見守るための理由に挙げられます。

ドルコスト平均法とは、投資信託のように値動きのある商品を定額で一定期間ごとに購入する投資手法です。この手法だと購入単価が下がっているときに多くの口数を買付でき、反対に購入単価が高いときは少ない口数を買い付けることになります。結果的に、毎月一定の口数を買い付けるよりも平均取得単価を下げやすくなり、経済状況が悪化していても買い付けを続けることで、次に相場上昇期が訪れた際に、リターンを得られやすいというメリットがあります。

もともとiDeCoは長期的な資産運用を前提とした制度です。投資した金融商品の資産価値が下落しても、一時的な下落にとどまるかもしれません。まずは、資産価値が下落した事実を受け入れて、冷静に対処することが重要です。

元本変動型でも低リスク商品に変更する

iDeCoはドルコスト平均法を活用できる制度なので、相場の下落時においても下落した価格で淡々と買い付けることができます。しかし、自分が許容できる範囲を超えて元本割れが進んでしまう場合は、思い切って資産配分の見直しをするのもひとつの方法です。そうした、資産配分の見直しを「アセット・リアロケーション」と呼びます。

投資対象のなかでも、価格変動リスクは一般的に外国株式が最も高く、次いで国内株式、外国債券、国内債券の順番だといわれています。そのため、例えばハイリターンを期待して外国株式の資産割合が高い人は、国内債券の比率を高めることで資産全体のリスクを下げる効果が期待できます。

iDeCoで資産配分を変更する方法には、「配分変更」と「スイッチング」の2つがあります。前者はこれから拠出する掛金の投資割合を変更する方法で、後者はこれまで積み立ててきた資産の割合を変更する方法です。注意点としては、配分変更には手数料がかからないのに対して、スイッチングでは手数料(投資信託によっては「信託財産留保額」など)がかかる可能性があります。またスイッチングでは、減らす資産をいったん売却して、増やす資産を新たに買い付けるため、減らす資産の売却時の利益や損失は確定します。運営管理機関によっては、スイッチングの回数制限がある場合もあります。長期的な観点から必要だと感じた場合は、アセット・リアロケーションを検討してみましょう。

元本確保型に資産配分の見直しをする

もし損失が自らの許容できる範囲を超え、今後も経済状況が回復する見込みがないと考えるなら、最終的には保険や定期預金といった元本確保型の保有比率を高くするしかありません。元本確保型で運用し、満期まで保有することでそれ以上の損失を食い止めることができるので、精神的なストレスの軽減にも役立つでしょう。

ただし、元本確保型に切り替えると「景気が回復したときにその恩恵をすぐに受けられない」「毎月の口座管理手数料が運用益を上回ることがある」といったデメリットもあります。特に、口座管理手数料については、どんな金融機関(運営管理機関)でiDeCo口座を開いても、掛金を拠出する場合は月171円、拠出しない場合は月66円が必ずかかります。運営管理手数料がかかる場合は、さらにその分が加わります。運営管理手数料は金融機関(運営管理機関)によって異なり、手数料ゼロといわれるものは、一般に運営管理手数料のことです。得られるリターンがそれほど大きくない元本確保型の商品では、手数料負けしてしまう可能性があることは頭に入れておきましょう。

04iDeCoを始める前に、どのくらい老後資金が必要かシミュレーションしてみよう

iDeCoはあくまでも個人で運用・管理する私的年金制度の一種なので、運用成績が悪いと元本割れするリスクがあります。できるだけリスクを減らすために元本確保型の商品に投資する比率を高める方法もありますが、期待できるリターンが少なくなるので目標とする老後資金まで届かないかもしれません。iDeCoを始めるにあたり、大切なことは「老後資金がどれくらい必要か」を事前に把握し、目標金額まで貯めるには「掛金と利回りがどれくらい必要になるか」を逆算することです。サイト内の老後のお金シミュレーションなら個々のライフスタイルに合わせて目標とする老後資金が簡単に分かるので、まずは試してみてはいかがでしょうか。

岩永真理

監修:岩永真理

IFPコンフォート代表、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、住宅ローンアドバイザー

プロフィール

大手金融機関にて10年以上勤務。海外赴任経験も有す。夫の転勤に伴い退職後は、欧米アジアなどにも在住。2011年にファイナンシャル・プランナー資格(CFP®)を取得後は、金融機関時代の知識と経験も活かしながら個別相談・セミナー講師・執筆(監修)などを行っている。幅広い世代のライフプランに基づく資産運用や住宅購入、リタイアメントプランなどの相談多数。


SNSに投稿

関連キーワード




ご利用上の注意

  • 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。
  • 当社は本記事にて紹介する商品、取引等に関し、何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。
  • 当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。本記事には、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。本記事のご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただいたものとします。