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はじめての資産運用

無償化で何が変わったの?

保育園の料金はどうやって決まる?保育料の平均費用や安くするコツをご紹介

牧嗣人

金融書籍・雑誌の編集を8年経験したのち、外資系生命保険会社に20年間勤務。独立後はライターに転身。金融・保険を中心に、生活、防犯、デジタルディバイスなど、幅広いジャンルのコラムやインタビュー、コピーライティングを年間100本以上手がける。

2019年10月から幼児教育・保育の無償化がスタートしました。これによりかつては平均で子ども1人あたり月2万1000円ほどかかるといわれていた保育料の負担額も大きく様変わりしています。

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Contents

01保育園にはどんな種類があるの?

保育園は「認可保育園」「認可外保育園」の2つに大別されます。また、幼児教育・保育施設という観点で捉えればさらに種類は多くなります。ここではそれらの施設について紹介します。

認可保育園と認可外保育園

保育園とは、就労などの事情により家庭で保育ができない保護者に代わって保育を行う「児童福祉施設」と位置付けられているものです。厚生労働省の管轄で、法律上の正式名称は「保育所」です。ここでは一般的に使われる保育園という名称で説明をしていきます。

前述の通り、保育園は「認可保育園」「認可外保育園」の2つに大別されます。

認可保育園 認可外保育園
国の設置基準 満たしている 満たしていない※1
保育料 区町村が定め、市区町村に支払う 施設が定め、施設に支払う
保育の必要性の認定 必要 不要※2
※1 「認可外保育施設に対する指導監督要項」に定められた基準はクリアしている保育施設を指す
※2 幼児教育・保育の無償化で給付金の支給を受ける場合には認定が必要

認可保育園

認可保育園とは、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の数、給食設備、防災管理、衛生管理など)をクリアして、都道府県などから認可を受けた保育所のことです。保育料は市区町村が定め、保護者はその額を市区町村に直接支払う形となります。

認可保育園を利用するには、世帯の状況などを市区町村に提出して、まず「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。保育の必要性が認められると、子どもが0〜2歳の場合は3号、3〜5歳の場合は2号の認定を受けることができ、保育所の利用申込ができるようになります。

認可外保育園

認可外保育園とは、国が定めた設置基準はクリアしていないものの、「認可外保育施設に対する指導監督要綱」に定められた基準はクリアして運営の許可を得ている保育施設のことです。保育料は基本的に施設が定めた額を施設に直接支払う形となります。

認可外保育園のへの入園には「保育の必要性の認定」は必ずしも必要ではありませんが、幼児教育・保育の無償化で給付金の支給を受ける場合には認定が必須となりますので注意が必要です。自治体独自の認証保育施設などもこの認可外保育園に含まれます。

その他の幼児教育・保育施設

その他の幼児教育・保育施設

  • 幼稚園
  • 認定こども園
  • 地域型保育(市区町村が認可)
  • 認可外保育施設に含まれる施設

認可保育園、認可外保育園から少し範囲を広げて0〜5歳の子どもを預けられる幼児教育・保育施設という観点で捉えれば、さらにさまざまな施設があります。

それぞれに特徴がありますので、これから利用することを考えている人は自分に合っていると思うものを選んで市区町村のサイトなどで制度や利用料などを詳しく調べてみるとよいでしょう。

幼稚園

  • 文部科学省管轄の「教育施設」
  • 保育対象は3歳から小学校入学前まで
  • 標準保育時間は4時間
  • 入園すると「保育の必要性の認定」1号

幼稚園は文部科学省の管轄で、学校教育法に基づき設置された「教育施設」です。3歳になった春から小学校入学前までの幼児を保育対象としています。標準的な保育時間は9時から14時頃までで、標準保育時間は4時間となっています。施設によっては午後や土曜日、夏休みなどの間の預かり保育を実施しているところもあります。幼稚園に入園を申し込み、入園が決まると「保育の必要性の認定」の1号に認定されます。

認定こども園

  • 内閣府管轄の施設
  • 保育対象は0歳から小学校入学前まで
  • 標準保育時間は4~11時間
  • 保護者が働いているかどうかに関わらず利用できる
  • 8時間以上の利用では「保育の必要性の認定」の2号もしくは3号が必要

幼稚園は教育施設、保育園は児童福祉施設の位置づけですが、認定こども園は内閣府の管轄で、この両方の良さを併せ持った施設です。保育園と同様に0歳から小学校入学前までの乳児や幼児を保育対象としています。保護者が働いているかどうかに関わらず利用でき、標準保育時間が4時間から11時間と保育園並に預かり時間が長いことが特徴です。施設によっては延長保育を実施しているところもあります。保育短時間(8時間)、保育標準時間(11時間)を利用するには「保育の必要性の認定」の2号もしくは3号にあたる認定を受ける必要があります。

地域型保育(市区町村が認可)

  • 待機児童問題解決にむけ創設された施設
  • 保育対象は0~2歳まで
  • 卒園後の入園先が優先されるしくみ
  • 「保育の必要性の認定」3号で認可保育園から漏れた場合に利用すると、子どもが3歳になったときの「保活」が不要になる

子ども・子育て支援新制度で、0〜2歳児の待機児童問題解決のために新たに創設されたカテゴリーの保育施設です。幼児教育・保育の無償化の制度では認可保育園に準ずる扱いとなります。地域型保育施設にリストされている保育施設は、いずれの形態であっても市区町村の認可を受けています。

卒園後の連携施設が設定されていることが特徴で、3歳になったら連携施設である幼稚園や保育園、認定こども園などに優先的に入園できるしくみとなっています。「保育の必要性の認定」で3号認定を受けた人が、認可保育園を希望し選考から漏れてしまった場合などには、この地域型保育を選択し利用しておくと、子どもが3歳になった時に再び子どもを保育園に入れるため保護者が行う「保活」をしなくても済むというメリットがあります。

地域型保育には以下の4つがあります。

家庭的保育(保育ママ)

一定の資格要件を満たして家庭福祉員の認定を受けた人が、家庭的な雰囲気のもとできめ細やかな保育を行います。

定員:5人以下

小規模保育事業

少人数を対象に、家庭的保育に近い雰囲気のもとできめ細やかな保育を行います。保育の担当者や数で下記の3種類に分類されます。

  • A型:すべて保育士が担当
  • B型:1/2以上が保育士
  • C型:家庭的保育者の資格を持った人が担当

定員:6〜19人

事業所内保育事業

会社の事業所の保育施設などで、従業員の子どもと地域の子どもを一緒に保育します。

  • 担当する保育者の条件
    • 定員が20名以上の場合は保育士
    • 定員が19名以下の場合は半数以上が保育士

定員:制限なし(定員の1/4は地域枠として従業員の子ども以外に解放することを義務づけ)

居宅訪問型保育(ベビーシッター)

障害・疾患などで個別のケアが必要となる場合や、施設がなくなった地域で保育を維持する必要がある場合などに、保護者の自宅で保育を行います。保育者は保育士もしくは保育士と同等以上の知識や経験があると市区町村長が認めた人が担当します。

定員:1人

認可外保育施設に含まれる施設

認可外保育施設に含まれる施設についても整理しておきましょう。

認証保育園

大都市などではスペースの問題などで国の設置基準をクリアすることが困難であるため、市区町村が独自の基準を設定して設置しています。設置には「認可外保育施設に対する指導監督要綱」に定められた基準をクリアし、かつ、都道府県独自で定める要件を満たし、知事の認証を受けた施設である必要があります。

一時預かり

保護者の就労状況を問わず利用できる制度です。急な用事やリフレッシュしたい時などにも利用できるのが特徴で、預かり保育の制度のない幼稚園の代替手段として、園児を終園後や土曜日などに預けることもできます。

ファミリー・サポート・センター

子育て中の保護者を会員として、子どもを預けたい人と預かることのできる人のマッチングを行う事業です。一般的には市区町村が運営しています。

病児保育

病気や病後の子どもを家庭で保育できない場合などに、保育所や医療機関などに設置した専用のスペースで子どもを預かる施設です。

認可外の事業所内保育

地域型保育の事業所内保育は市区町村の認可が必要だが、何らかの事情ですべての基準を満たしておらず、その認可をまだ受けていない事業所内保育施設で保育が行われます。

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02保育園を利用すると費用はいくらかかるの?

保育園を利用するためには毎月いくらかかるのか、どの様にして決まるのかについて解説します。加えて、2019年10月からスタートした幼児教育・保育の無償化についてもあわせて紹介します。

保育園の平均費用

子ども1人あたりの月額保育料は平均2万1138円

幼児教育・保育の無償化が始まる前に必要だった保育料の平均費用を厚生労働省の資料から調べてみると、以下の通りとなっています。ちなみに、この平均費用は世帯における保育料の総額ではなく、保育所等の施設を利用している児童(子ども)1人あたりに換算して集計したものです。(※)

この資料によると子ども1人当たりの全体の平均額は月額2万1138円。子どもが1人の世帯では2万2970円、子ども2人の世帯では、1万7555円、子ども3人の世帯では1万406円となっています。

1世帯における児童(子ども)1人あたりの月額保育料

認可保育園の料金を決める要素

認定保育園の保育料は、下記の「国の定める利用者負担の上限基準」をベースに決定されます。

認可保育園の料金 国の定める利用者負担の上限額

保育料を決める要素はおよそ次の4つです。

認可保育園の保育料を決める要素

  • 居住している自治体(市区町村)
  • 世帯の所得
  • 子どもの年齢・人数
  • 保育時間

居住している自治体(市区町村)

実際の保育料は前掲の「国の定める利用者負担の上限基準」をベースに、市区町村が独自に階層を細かく分けたり、補助金を加えたりして決定されているので、子どもを預けている施設の所在地の市区町村によって保育料は変わってきます。居住している市区町村にある保育所に子どもを預けるのが原則のため、住んでいる自治体によって保育料は変わってくるということになります。

世帯の所得

国の定める利用者負担の上限基準は、世帯の所得(市町村税の所得割課税額)によって階層が設けられています。つまり、世帯の所得によっても保育料は変わってくるということです。また、先に触れたとおり市区町村によっては国基準より細かく所得の階層を設けて、保育料を設定している場合があります。

ここでいう所得は所得税法上の「所得」ではなく市町村税、つまり住民税の計算に用いられる所得割課税金額が基準となります。住民税の所得割課税金額は毎年5〜6月に、会社員の方は勤務先から、個人事業主の方は自治体から郵送される「住民税課税決定通知書」(個人事業主は「税額決定兼納税通知書」)で確認できます。

住民税課税決定通知書のイメージ

住民税課税決定通知書のイメージ

ちなみに、保育料の切り替え時期は9月です。5〜6月に届いた通知書に書かれた所得割課税金額に基づいて、その年の9月からの保育料が決定されます。

子どもの年齢・人数

保育料は子ども1人あたりで決定されますので、基本的に保育園に通う子どもの数が増えるほど、世帯ごとの保育料は高くなります。しかし、保育園を利用する子どもが2人以上いる多子世帯の場合、第2子については本来無償化の対象とならない0歳〜2歳児クラスであっても半額、第3子以降は無償となる負担軽減措置があります。この場合、保育園に通う1人目の子どもを第1子としてカウントします。

例えば子どもが3人いる世帯の場合で、一番上の子どもが小学校に通っていて、2番目と3番目が保育園を利用している(2号あるいは3号認定)という場合には、子ども2人とカウントされます。ただし、年収が360万円未満の世帯の場合には第1子の年齢に制限を設けていないので、世帯の最年長の子どもを第1子とカウントすることができます。また、子どもが幼稚園を利用している(1号認定)の場合は、小学校3年生までは第1子とカウントできます。

保育時間

前述の通り、認可保育園を利用するには市区町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。保育園に通うには2号もしくは3号認定が必要ですが、そのなかでも両親ともフルタイムで就労している世帯などには「保育標準時間」、両親のいずれかがパートタイムなどの世帯の場合には「保育短時間」を利用できるという区分があります。保育標準時間は11時間、保育短時間は8時間が基本保育時間となり、それを超えて子どもを預ける場合には延長保育料を払う必要があります。

保育標準時間 保育短時間
就労形態 両親ともフルタイム就労を想定 両親のいずれかがパートタイム就労を想定
保育の必要性 120時間以上/月 64時間以上120時間未満/月
施設の最長利用可能時間 11時間/日 8時間/日

前掲の「国の定める利用者負担の上限基準」のとおり、この区分によっても異なる保育料テーブルが設定されています。

幼児教育・保育の無償化制度(幼保無償化)

現在保育料が無料なのは「認可施設利用の3~5歳の子ども」と「住民税非課税世帯の0~2歳の子ども」

幼児教育・保証の無償化制度は2019年10月から実施されているものです。現状、無償化で基本保育料が0円となるのは、保育認定を受けた世帯の、子ども・子育て支援新制度の対象となっている幼稚園や保育所等に通う、3〜5歳の子どもと住民税非課税世帯の0〜2歳の子どもだけです。

したがって、子ども・子育て支援新制度の対象外となっている保育施設に通う子どもや、一般的な収入のある世帯の0〜2歳の子どもは0円とはなりませんので注意が必要です。先にも触れたとおり、認可外保育施設を利用する場合は、市区町村による「保育の必要性の認定」は必須ではありませんが、幼児教育・保育の無償化制度による給付を受けたい場合にはこの認定が必須となりますので、注意してください。

幼児教育・保育の無償化制度 概要

さらに保育料が安くなる減免制度について

子ども・子育て支援新制度の対象となる幼児教育・保育施設を利用している場合、保護者世帯が各自治体の定める保育料減額免除の条件に該当し、減額免除の申請を行うと、利用料が減額あるいは免除になることがあります。

減額免除の条件は何らかの事情で生活が困窮した場合を想定したもの多いようですが、自治体により異なりますので、利用している施設の所在地の自治体のホームページなどで調べてみてください。

保育料は計画的に準備しよう

幼児教育・保育の無償化がスタートしたとはいえ、すべてが0円となるわけでなく、施設によっては上限額が設けられていたり、子どもの年齢によっては無償化の対象でなかったりと、制度が複雑で少しわかりにくいところもあります。共働きなどでこれから子どもを預けることを考えている世帯の方で、できるだけ保育料の負担をかけたくないと考えている場合は、まずは基本保育料が0円となっている保育施設を選択するといいでしょう。

とはいえ、一般的な収入のある世帯の場合は3歳未満の子どもを保育園などに預けようとするとどうしてもそれなりの費用がかかってきます。無償化の概要(表3)に記載がありますが、平均費用は月額4万2000円です。出産から1年間は育児休業制度などを利用して、1歳から3歳になるまでの2年間施設を利用とするとしても、約100万円がかかる計算となります。こうした資金についても十分に考慮し、計画を練っておく必要があります。保育料自体は月々の生活費から賄うことが基本ですが、中長期的な教育資金の積立は0歳から始めておく必要があります。つみたてNISAなどを活用して、しっかり準備を進めておきましょう。

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