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新婚生活の生活費はいくらになる?他カップルの家計の分担ルールも紹介

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新婚生活のスタートにあたって、生活費がどのくらいかかるのか不安を感じているカップルも多いものです。今回は新婚夫婦の生活費の内訳や独身時代の生活費との違い、家計管理の方法などについて確認していきましょう。

01新婚夫婦の生活費の内訳

まずは新婚夫婦の生活費の内訳について見ていきましょう。結婚に関する調査・研究を行っているリクルートブライダル総研が発表した「新生活準備調査」(2016年)によると、新婚家庭の1カ月あたりの生活費の平均は22万円。その支出の内訳と、それぞれの平均額は次の表のとおりです。

新婚家庭の1カ月当たり平均生活費の内訳

支出項目 平均額
住宅費(住宅ローン返済額含む) 7万9,000円
食費 4万1,000円
光熱・通信費 2万2,000円
保険料 2万2,000円
被服・理容費 1万6,000円
交際費・趣味・レジャー費 2万6,000円
その他の生活費 2万9,000円

出典:リクルートブライダル総研「新生活準備調査」(2016年)P251~254

では、これらの支出は独身時代の支出と比べて、どのように変化しているのでしょうか?総務省が発表した「家計調査年報 家計収支編(2019年)」(※1)から読み取った単身者の生活費と比べて、特に注目すべき項目について見ていきましょう。厚生労働省の2019年人口動態統計月報年計(概数)(※2)によるとの平均初婚年齢は男性31.2歳、女性29.6歳なので、家計調査の結果のうち、「34歳以下で就業している単身者」の区分の平均値を参考にすることとします。

※1 出典:総務省「家計調査年報 家計収支編(2019年)」表番号2

※2 出典:厚生労働省の2019年人口動態統計月報年計(概数)P13

なお、家計調査によると34歳以下の就業中の単身者(以下、単身者と呼びます)の1カ月あたりの消費支出の平均は、17万1,297円でした。

(1)住宅費

家計調査によると単身者の1カ月あたりの住宅費は3万2,312円。つまり、新婚家庭の住宅費(平均7万9,000円)は結婚前に比べて2倍以上に増えていることになります。理由としては、独身時代は実家に住んでいて住宅費を負担していなかった人も多いこと、結婚を機に広い住宅に引っ越すケースが多いこと、結婚と同時にマイホームを購入してそのローンの返済が始まっているケースもあることなどが考えられます。

(2)食費

家計調査の結果では、単身者の1カ月あたりの食費の平均は4万3,848円と、新婚家庭の食費(平均4万1,000円)と、やや減少しています。独身時代は外食やテイクアウトで済ませがちだった食事を自宅で取るようになったことや、1人あたりの食費が抑えられるケースが多くなったなどの可能性がありそうです。

(3)保険料

住居費とならんで結婚後に大きく増えるのが、保険料です。家計調査の結果でも単身者の1カ月あたりの保険料が5,447円であるのに対し、新婚家庭は2万2,000円と4倍を超えています。理由としては、結婚を機に今後のライフイベントや万が一のときに備えて保険に加入する夫婦が多いことが考えられます。

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02夫婦2人の生活費をシミュレーション

生活費を考える上で参考になるのが、他の新婚カップルの生活費です。他のカップルの収入と支出、お金の使い方を見ると、新婚生活にどんなお金がどのくらいかかるのかがイメージしやすくなります。また、他のカップルと自分たちの収支を見比べることによって、反省点や節約のヒントがみつかるかもしれません。インターネットで検索すると家計簿を公開しているサイトやブログなどがみつかるので、ぜひ参考にしてみてください。ここでは実際の新婚夫婦2人の家計簿を参考に、1カ月の生活費をシミュレーションしてみましょう。

共働き夫婦の場合 夫(28歳):収入22万円、妻(28歳):収入10万円

住居費 8万8,000円
食費(外食を含む) 4万6,000円
光熱・水道 1万1,000円
通信 2万円
保険料 2万9,800円
ローン返済(車、奨学金) 3万1,000円
趣味・レジャー 1万円
日用雑貨 5,000円
駐車場代 2,000円
被服費 0円
医療費 0円
夫小遣い 3万円
妻小遣い 2万円
貯金 3万円
支出合計 32万2,800円

片働きの場合 夫(28歳):収入30万円、妻(30歳):専業主婦

住居費 8万8,000円
食費(外食を含む) 6万円
光熱・水道 7,200円
新聞 4,200円
通信 1万8,000円
保険料 8,800円
ローン 0円
趣味・レジャー 9,000円
日用雑貨 1万円
駐車場代 0円
被服費 1万円
医療費 5,000円
夫小遣い 3万円
妻小遣い 3万円
貯金 2万円
支出合計 30万200円

共働き、片働きを問わず、独身時代と比べて支出が増えがちなのは住宅費と保険料です。どちらも必要なものではありますが、家計が苦しい場合は見直しを検討してみましょう。住宅費は利便性や広さを妥協すれば抑えることができますし、保険料も保障内容を見直して不要なものを解約すれば、その分、保険料の負担を少なくすることができます。

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03結婚したら家計の管理はどうすべき?

新婚生活を送るにあたって、家計の管理を夫婦どちらが行うのかについては、夫婦によって判断が異なります。リクルートブライダル総研が「新婚生活実態調査2018」で新婚夫婦の家計管理について調べたところ、「家計共有型」(「主に夫が管理」または「主に妻が管理」または「2人で管理」のいずれか)の新婚夫婦が全体の86.8%を占め、夫と妻が別々に家計を管理している「家計独立型」の新婚夫婦は全体の9.8%でした。(※)

なお、共働き・片働き(妻あるいは夫が専業主婦/夫)別に見てみると、共働きの新婚夫婦では全体の83.6%が「家計共有型」、14.2%が「家計独立型」でした。一方、片働きの新婚夫婦では全体の92.9%が「家計共有型」で、「家計独立型」は2.2%にとどまりました。また、「家計共有型」で家計を管理しているのは、片働きの新婚夫婦の場合は専業主婦(夫)が家計管理を行っているケースが圧倒的に多く、共働きの新婚夫婦の場合は、2人で家計管理をしている割合が高いことがわかります。

新婚夫婦の家計管理

  家計共有型 家計独立型 その他
全体 86.8% 9.8% 3.4%
共働き 83.6% 14.2% 2.3%
片働き 92.9% 2.2% 4.8%

家計共有型(家計管理者別)

  主に妻 主に夫 二人で
全体 62.4% 2.6% 21.9%
共働き 46.8% 3.7% 33.0%
片働き 89.5% 0.6% 2.8%

家計独立型・その他

全体 13.2%
共働き 16.5%
片働き 7.0%

(※)出典:「新婚生活実態調査2018」(リクルートブライダル総研調べ)P7

家計共有のメリットとデメリット

共働きの夫婦の場合、家計共有型には以下の3パターンがあり、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。

支出別に分担するパターン

住居費と光熱費は夫、食費は妻、といった具合に支出項目別に夫婦が支出を分担するパターンです。一般的に固定費関連の支出を夫が、食費や雑貨など日々の買い物に伴う支出を妻が担当するケースが多いようです。

このパターンには、支出の分担が明確というメリットはありますが、2人合計でいくら生活費のために支出したのか、また相手が生活費以外のお金をどのように使っているのかがわかりにくいというデメリットがあり、実は最もお金がたまりにくいパターンだと言われています。

このパターンで家計共有をする場合は、結婚する前にお互いの収入を明らかにした上で、話し合って家計の分担を決めておく、共有の貯蓄用口座を作って2人で毎月一定額を貯めるようにする、などのルールを作り、「夫婦で将来のための資産を作る」という意識を持つことが大切です。また、お互いが無駄遣いをセーブできるように、定期的に通帳を見せ合うなどして、お互いの収支の「見える化」をすると良いでしょう。

1人分の収入で生活するパターン

夫(妻)の収入だけで生活し、妻(夫)の収入は全額貯蓄するパターンです。

1人分の収入がまるごと貯蓄できるので、上手くいけば最も貯蓄を増やしやすい家計管理方法だと言えます。ただし、注意したいのは、貯蓄の名義。例えば、妻の収入は使わずに夫の収入だけで生活すると、結果として妻名義の貯蓄ばかりが増えてしまうことになるので、夫が「一生懸命に働いているのに自分名義の貯蓄がない」と不公平感を抱いてしまい、貯蓄へのモチベーションが下がってしまいがちに。また、万が一、将来離婚をすることになった場合、財産の分与が難しくなります。ある程度の額が貯まったら、夫名義の口座に一部を移すようにする、貯金以外の資産を夫名義にするなどして、夫のモチベーションを維持し、所有する資産のバランスが取れるようにしておくと良いでしょう。

金額で分担するパターン

お互いの収入から一定の金額を生活費専用の口座(名義は夫又は妻)に入れて、それを2人の生活費とする方法です。

「収入の8割を生活費に入れる」と最初に割合を決めておけば、おのずと収入の多いほうが生活費を多く負担することになるので、お互いに不満がたまりにくい上に、口座に入れる生活費以外の収入は原則として自由に使うことができるのでストレスがたまりにくいというメリットもあります。

ただし、注意しなくてはならないのは、生活費として口座に入れたお金、手元に残ったお金ともに使い切ってしまうと、まったく貯蓄ができなくなってしまうということ。別途貯蓄用の共有口座も作って毎月一定額を貯蓄する、各自で貯蓄をするなどして将来に備えましょう。

また、妻(夫)が専業主婦(夫)の片働きで家計を共有する(妻または夫が家計管理する)場合は、家計を一元管理しやすいというメリットがある反面、働き手である夫(妻)が妻(夫)に家計管理を任せきりにしてしまいがちになるというデメリットもあります。夫が「きっと、妻が家計を上手くやりくりして貯金もしてくれているだろう」と思いこんでいたのに、妻は家計管理に無頓着で実は貯蓄がまったくできていなかった・・・という話も珍しくありません。

家計独立型のメリットとデメリット

夫婦が別々に家計を管理している家計独立型の夫婦の場合、お互いに干渉されずに自由にお金を使うことができ、独身時代の趣味やライフスタイルを継続しやすいというメリットがありますが、お互いの収支が不透明になりがちになる、夫婦共有の資産を築きにくい、などのデメリットもあります。

「きっと夫(妻)がしっかり貯金しているだろう」という思い込みから、自分は浪費に走ってしまうおそれもあります。独立型の場合もお互いの収支をある程度把握した上で、共通の目的(マイホーム購入、子供の教育資金など)に向けた貯金を一緒に始めるようにすると良いでしょう。

家計管理を共有型にするにするか独立型にするかは夫婦の判断によりますが、より効率よく貯蓄を増やすなら、家計を一元管理できる共有型のほうが適していると言われています。

どちらを選ぶにせよ、新婚のうちに2人で生活費の分担や使い方のルールを話しあって決め、貯蓄の目的や目標額、方法などを決めておくこと、そして2人共に生活費に無関心にならないよう収支を可視化しておくことが大切です。夫婦で共有できる家計簿アプリなどを上手に活用して、夫婦2人で生活費の収支改善に取り組むようにしましょう。

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相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。


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