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一人暮らしの水道・光熱費の平均額はいくら?節約術を紹介

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新たに一人暮らしを始める場合、実際にどれくらいの水道・光熱費がかかるのかは気になるところです。生活する上で不可欠な費用なので、その目安や節約方法を知っておけば、物件探しや家計の予測などの際にも大いに役に立つでしょう。今回はそんな「一人暮らしにかかる水道・光熱費」について、その平均額の相場をさまざまな角度から説明するだけでなく、効果的な節約方法についても説明します。

01一人暮らしの1カ月の水道・光熱費の平均と内訳は?

一人暮らしでかかる費用は、どれくらいになるのでしょうか。総務省統計局「2023年 家計調査報告(家計収支編)」を参考に見てみましょう。同調査によると、単身世帯の水道・光熱費の全国平均は1万3045円でした。その内訳は、以下の通りです。

単身者の水道・光熱費の内訳

電気代 6726円
ガス代 3359円
上下水道料 2239円
その他の光熱費 720円

あくまでもこの数値は、あらゆる単身者世帯を総合した平均値です。水道・光熱費は、「毎日風呂に入る」「3食とも自炊している」「寒冷地域に住んでいる」といった、単身者それぞれの生活スタイルの違いによって、費用は変動します。また水道代やガス代は、地域ごとに料金差があることも見逃せない点です(詳細後述)。

ただし全国平均から読み取れる目安として、1万円~1万5千円程度が相場だと認識しておきましょう。この目安から大きくかけ離れた水道・光熱費になる場合は、節約を含めた生活設計を見直す必要性が考えられます。

水道・光熱費は世代によって差が出る?

実は水道・光熱費は、単身者の年代によって差があるという特徴があります。同調査をもとに、年代別での水道・光熱費の平均を比較してみましょう。

一人暮らしの水道・光熱費(年代別)の平均

34歳以下 1万119円
35~59歳 1万2471円
60歳以上 1万4488円

34歳以下の水道・光熱費が低くなる理由として考えられるのは、この世代は自炊が少なく外食が多いことです。同調査の外食にかかる費用も見てみましょう。

一人暮らしの人の1カ月当たりの外食費の平均

34歳以下 1万6886円
35~59歳 1万3271円
60歳以上 5025円

34歳以下は、外食費が比較的高いことが分かりますね。若い世代は他の世代に比べて水道・光熱費は少ないですが、外食費を合わせて考えると、シニア世代よりも費用がかかるとも言えます。

都市部と地方で水道・光熱費は変わる?

水道・光熱費を評価する上で、もう1つ見逃せない点が「地域差」です。都市部や寒冷地域など、その地方ならではの特徴があることがあります。では最初に、都市の人口別で見ていきましょう。大都市、中都市、小都市の順で平均額を挙げてみました。

大都市の水道・光熱費平均額(単身世帯):平均額1万1992円 ※大都市:政令指定都市および東京都区部

電気代 6441円
ガス代 3186円
上下水道代 1994円
その他の光熱 371円

中都市の水道・光熱費平均額(単身世帯):平均額1万3395円 ※中都市は:大都市を除く人口15万以上の市

電気代 6730円
ガス代 3742円
上下水道代 2297円
その他の光熱 627円

小都市の水道・光熱費平均額(単身世帯):平均額1万4287円 ※小都市は:人口15万未満の市町村

電気代 7172円
ガス代 3211円
上下水道代 2556円
その他の光熱 1349円

水道・光熱費は、人口の少ない地域ほど利用者一人当たりのコストが高くなる傾向があります。その理由は、人口密度が高い地域の方が「ガス管」や「水道管」などの供給網を効率よく利用できるためです。例えば同じ長さのガス管1本でも、人口が多い地域なら多くの世帯数へ供給でき、その世帯数で費用を負担することができます。

水道代については、もう1つ事情があります。水道事業は地方自治体が運営していますから、各自治体ごとに料金設定が異なります。自治体の財政状況が厳しい場合は、水道代が引き上げられることもあります。全国的にみて人口減が進む地域、地域財政が厳しい自治体は値上げ幅が大きくなる可能性があります。

ガス代はお住まいの地域が「都市ガス」か「プロパンガスなどのLP(液化石油)ガス」か、でも異なります。「LPガス」はガスタンクの取り付けや交換にコストがかかり、都市ガスと比べると利用する業者による価格差も大きく、割高な傾向があります。

さらに寒冷地域では、暖房や除雪設備にかかる「灯油代」が大きなコストとなります。同調査から灯油代(同調査では「その他の光熱」)について見てみましょう。

各地方の「その他の光熱」(灯油代など)1カ月当たりの平均額

北海道・東北 3191円
関東 382円
北陸・東海 557円
近畿 199円
中国・四国 699円
九州・沖縄 423円

北海道・東北地方は月平均3191円なのに対し、関東地方はわずか382円。この数値は12カ月の平均値ですが、寒冷地域の冬場(およそ3カ月)は1万円近くの灯油代がかかることが分かります。以上から、水道・光熱費は、都市部ほど割安に人口減や財政難の地域では割高になりやすく、北海道・東北といった寒冷地域では灯油代がかかる、といったことが読み取れます。

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02一人暮らしの水道・光熱費以外の生活費はいくらかかる?

水道・光熱費に関してある程度理解できたところで、次に全体的な生活費がどれくらいかかるか、あらためて把握しておきましょう。前述の通り、水道・光熱費は食費と関連するところがあるので、生活費をシミュレーションする上で合わせて考えてみるとよいでしょう。前述の総務省統計局「2023年 家計調査報告(家計収支編)」をもとに、単身世帯の生活費(消費支出)の平均額をさまざまな角度から比較してみます。

単身世帯の消費支出の平均額:16万7620円

食料 4万2049円
住居 2万3799円
光熱・水道費 1万3045円
家具・家事用品 5760円
被服及び履物 4447円
保健医療 7367円
交通・通信 2万1654円
教育 2円
教養娯楽 1万8794円
その他の消費支出 3万704円

出典:総務省統計局 家計調査家計収支編2023年/表番号1

同調査はすべての単身者が対象なので、年齢、性別、勤労者・無職者を問わずに集計した平均値です。勤労者の単身世帯の消費支出はもう少し上がり18万2114円、勤労者以外の単身者世帯は15万4665円となります。

住居費が月2万3799円となっていることに、違和感があるかもしれません。この住居には持ち家、民営借家、公営借家、給与住宅など全ての住居形態に住む世帯が含まれています。同調査では持ち家率57.4%と、調査対象の半数以上を持ち家の単身世帯が占めていたためです。ちなみに民営借家の単身世帯の住居費は5万3691円、消費支出は18万9252円です。賃貸暮らしは、持ち家の人と比べて約3万円以上も住居費が多くかかります。

出典:総務省統計局 家計調査家計収支編2023年/表8

年代別、単身世帯の生活費

さらに年代別に支出額を比較してみましょう。なお34歳以下と35~59歳までの区分は、いずれも勤労者世帯とされています。

34歳以下 17万281円
35~59歳まで 19万4438円
65歳以上 15万2743円

男女で比較した場合は、34歳以下の女性単身世帯の消費支出(17万2242円)で、同世代の男性単身世帯(16万8797円)より高くなっています。同調査からは34歳以下の女性の医療費や被服費が、同世代の男性よりも多くかかるためと読み取れます。

単身者の生活支出額・地域別での比較

まず大都市(東京都区部、大阪市、名古屋市などの政令指定都市)と中都市(人口15万人以上)、小都市(人口15万人未満)で比較してみます。

大都市 17万3660円
中都市 16万5091円
小都市 16万506円

大都市と小都市で、差があることが分かります。さらに興味深いのが各地方の比較です。

北海道・東北 15万1748円
関東 17万8888円
北陸・東海 16万7890円
近畿 16万7202円
中国・四国 14万9639円
九州・沖縄 15万8877円

それぞれのエリアが広いため、おおまかな目安にはなりますが、人口の集中する関東地方は最も生活費が高いことが分かりますね。その主な要因は「住居」です。同調査は持ち家の単身世帯が半数以上含まれていますが、関東圏とそれ以外の地方の平均の内訳を比較すると、住居費だけで月額約1万円の生活費の差があります。

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03水道・光熱費を節約するコツ

水道・光熱費は日々のちょっとした工夫で安くすることができるコストです。水道費・光熱費を節約するためのコツについて、代表的なものをいくつか紹介しましょう。

電気代を節約するコツ

水道・光熱費は単身世帯で1万円~1万千円前後かかると前述しましたが、そのうち電気代は月6千円程度かかっています。経産産業省資源エネルギー庁によると、電気代のかかる家電トップ3は「冷蔵庫」「照明器具」「テレビ」です。「エアコン」はテレビとほぼ同じくらいで、4番目にコストがかかる家電です。この4つの家電だけで電気代の約4割を占めるため、まずこれらを中心に、節約を検討しましょう。

冷蔵庫やテレビは新しい製品へ切り替える

冷蔵庫やテレビの消費電力を効率よく抑える方法は、できるだけ最新型の「省エネ家電」に切り替えることです。家電の省エネ効率は年々向上しているので、例えば冷蔵庫では10年前のものと比べて、消費電力量が半分以下になっていることもあります。

新しく買い替えるかどうかは費用対効果を考える必要がありますが、10年近く使っている家電で調子がよくないものがあれば、買い替えを検討することも選択肢の1つです。

照明はLEDランプに切り替える

照明の使用は控えることが難しいですが、電気代を節約するための鉄板の方法が1つあります。それは「白熱電球をLEDランプに替える」ことです。同庁によれば白熱電球からLEDランプに替えた場合、約85%の省エネ効果があるとされています。LEDランプは耐用年数が長く交換する頻度が低くなるので、総合的にはコストパフォーマンスがよいでしょう。できるだけ早めに切り替えて、電気代とランプ交換の手間を削減しましょう。

エアコンの節約方法

エアコンも他の家電と同様、最新型になればなるほど省エネ効率は増加します。ただし最近のエアコンは多機能化が進んでいることもあり、「省エネにつながる使い方が分かりにくい」という方も多いのではないでしょうか。そこで、基本的な「エアコンを省エネ化する」ための使い方を挙げておきましょう。

【エアコンを省エネ化するための使い方の基本】

  • 設定温度を夏は28℃、冬は20℃を目安にする
    • 設定温度を1度変えると冬場は年間千円以上節約になる
  • サーキュレーターや扇風機と併用する
  • カーテン、すだれなどを付けて外気や日差しを遮断する
  • 室外機の吹き出し口付近にモノを置かない
  • フィルターは定期的に掃除する

部屋の気密性や断熱性を保つ工夫をして、エアコンの負荷を減らすことができれば、効果的な節電につながります。サーキュレーター(扇風機も含む)と併用すると、エアコンの効き目を向上させることが可能です。サーキュレーターの消費電力は30Wほどと非常に少ないため、エアコンと併用しても省エネ効果が見込めます。

電力プランの見直し

電力会社の基本料金プランは、使用アンペア数ごとに料金単価が設定されていることがほとんどです。例えば東京電力の場合、10Aの基本料金は295円24銭、15Aが442円86銭、20Aが590円48銭、30Aが885円72銭となります(2024年3月まで)。この基本料金に加えて、使用量に応じた電気料金(東京電力は3段階の料金制)が加算される仕組みです。基本料金プランが適正かどうか、生活スタイルに合ったものに見直すことが大切です。

また支払い方法を見直すことも有効です。電気代の支払いにポイントがつく「クレジット払い」や「電子決済」、あるいは電気代が割引になる口座振替など、ご自身のライフスタイルに合った方法を選びましょう。

水道代を節約するコツ

単身世帯でも、次のような節約方法を試してもみてもよいでしょう。

  • シャワーヘッドなど節水グッズを使う
  • シャワーヘッドを交換するだけで、従来と同じ水圧でより少ない水量を出せる。最新型のヘッドに交換することもおすすめ
  • トイレのレバーの使い分け
  • 大と小を使い分けるだけで節水効果あり。小は一般的に大の約4分の3の水量になる
  • お風呂の残り湯の活用
  • 洗濯・掃除で再利用、植物への水やりなどに使う
  • 食器の洗い方
  • 洗い桶やつけ置きするなど、水を流したままにしない
  • 節水コマを使う
  • 節水のために蛇口に取り付ける機器のことで、水量を減らす効果がある

またトイレ本体やウォシュレットなどは最新型が節水設計となっていることが多いので、古いトイレであれば買い換えることも1つの方法です。ただし賃貸住宅などで交換が容易でない場合は、上述の節水方法を試してみるとよいでしょう。トイレ用節水グッズも多彩なので、取り組みやすいでしょう。

ガス代を節約するコツ

主なガスの利用はお風呂と調理時です。シャワーを15分間かけ流しする(180リットル)と、浴槽1回のお湯(およそ200リットル)をためるのと同じくらいのガス代がかかるため、シャワーの使い方もガス代節約を考える上では重要です。代表的なガス代節約方法は、下記の通りです。

  • 夏はシャワー中心にする
    • 15分以内の使用なら、シャワーの方がお得になる
  • 追い焚きの回数を減らす
  • ガスの設定温度を下げる
    • 食器を洗うときなどの給湯温度を低温に設定する
  • 都市ガスが使えるエリアを選ぶ
    • 都市ガスよりもプロパンガスの方が料金は高い傾向にある
  • 電気とのセット契約にする
    • セット割が適用されて月の電気代やガス代が安くなる
  • コンロの火力を調整する
    • 炎が鍋の底からはみ出さないくらいが目安
  • 余熱を利用する
    • 余熱を勘案して調理する
  • 圧力鍋などを利用する
    • 調理時間を短くする

お風呂については「追い焚きを減らす」「シャワーの使用時間をできるだけ短くする」が、簡単かつ効果的な節約につながります。同庁によれば、追い焚き(2時間放置して4.5℃低下した湯200リットルの場合)を1日1回減らすだけでも年間約6,190円、1日あたり1分間シャワー(45℃)を出す時間を短くすれば、年間約2,070円もの節約になります(いずれも都市ガスの場合)。

また電気とガスをセットにしたプランも増えているので、ポイント還元率や割引率を比較した上で、セットプランへの切り替えも検討してみましょう。

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04一人暮らしの生活コストを知って光熱費の削減に生かそう

新生活を始める方から単身赴任などで住まいを移る方、あるいは老後に単身生活となる方など、一人暮らしといっても世代、環境、生活スタイルによってさまざまです。いずれの場合も、生活コストを知っておくことは人生設計の上でも非常に有益です。

生活コストを知って家計状況が把握できると、貯蓄に回せる金額も明確になります。収入が増えれば、その分を貯蓄することで将来に向けた資産形成が可能です。最近は資産運用で発生した運用益が無期限で非課税になるNISAで、資産形成を行う人も増えています。こういった税金優遇のある制度を大いに活用して、お金を上手にやりくりしましょう。NISAについて詳しく知りたい方は、こちらの「新NISAではじめる資産形成」をご覧ください。制度の詳しい内容について解説しています。

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岩永真理

監修:岩永真理

IFPコンフォート代表、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、住宅ローンアドバイザー

プロフィール

大手金融機関にて10年以上勤務。海外赴任経験も有す。夫の転勤に伴い退職後は、欧米アジアなどにも在住。2011年にファイナンシャル・プランナー資格(CFP®)を取得後は、金融機関時代の知識と経験も活かしながら個別相談・セミナー講師・執筆(監修)などを行っている。幅広い世代のライフプランに基づく資産運用や住宅購入、リタイアメントプランなどの相談多数。


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