一般家庭の電気代の平均相場は?今より安くするための節約術を紹介
無意識に使っているとすぐに上がってしまう電気代。1カ月の電気代はどのくらいに抑えるのが妥当なのでしょうか?一般家庭での電気代の相場や家族の人数と電気代の関係、電気代を安く抑えるためのヒントなどをご紹介します。
01一般家庭での電気代の相場
まずは、一般的な家庭での1カ月あたりの電気代の相場を見ていきましょう。総務省統計局が毎年行っている「家計調査」によると、2023年の2人以上世帯の家庭の1カ月あたりの電気代の平均は1万2265円。世帯の人数別では、2人世帯が1万940円、3人世帯が1万2811円、4人世帯が1万3532円、5人世帯が1万4373円、6人以上世帯が1万8941円と、世帯人数が増えるごとに電気代が高くなっていることがわかります。なお、同じく「家計調査」によると、2023年の単身世帯(一人暮らし世帯)の1カ月あたりの電気代は平均6726円でした。
世帯人数 | 1カ月あたりの電気代の平均(2023年) |
1人 | 6726円 |
2人 | 1万940円 |
3人 | 1万2811円 |
4人 | 1万3532円 |
5人 | 1万4373円 |
6人以上 | 1万8941円 |
2人以上世帯の平均 | 1万2265円 |
単身世帯 表番号1
2人以上世帯 表番号3-1
02世帯人数が変化すると電気代が大きく増えるのはなぜ?
では、なぜ世帯人数が増えると電気代が大きく増えるのでしょうか?特に単身世帯と2人暮らし世帯の差は大きく、上で紹介した「家計調査」の結果を見ても、世帯人数が1人増えたことにより1カ月あたり平均4000円近く電気代が増えていることになります。電気代が上がる理由としては、主に以下のことが考えられます。
広い家に住むようになる
家族が増えると、より広い家に住むようになることが多いため、結果として使用する電力の量が増えることになります。
例えば一人暮らしでワンルームのマンションに住む場合にはエアコンは1台で足りますが、家庭を持って部屋数の多い家に住み始めると、それぞれの部屋でエアコンを使うため、その分、電気代がかかります。また、広い家はそもそも契約アンペア数が高いため、基本料金が高くなる傾向にあります。
利用する家電の種類が増える/変わる
家族が増えると、利用する家電が大型化・多様化する傾向にあるため、電力の使用量が増えることになります。例えば、一人暮らしや夫婦2人暮らしのときは小型の冷蔵庫で足りますが、子供が生まれて家族が増えると大容量の冷蔵庫を使うようになり、その分、電気の使用量が増えます。また、例えば子供の保育園送迎のために電動自転車を使うようになる、介護用の電動ベッドを使うようになるなど、家族が増えると日常生活で使う電化製品の種類が増えやすいことも電気代が高くなる原因の1つです。
在宅時間が増える
例えば結婚や出産を機に妻(または夫)が専業主婦(夫)になると日中の在宅時間が増え、その分、電力の使用量が増えます。
生活リズムがずれる
家族の生活リズムがずれると、使用する電力の量が増えます。例えば、全員が同じ時間に就寝すれば夜間の使用電力量は増えませんが、誰かが夜遅くまで起きて活動していると電力の使用量が増えてしまいます。また、入浴時間にばらつきがあると、その分、保温や追い炊きをすることになるので、やはり電気代が高くなる原因になってしまいます。
03電気代を節約するには?
快適で安全な生活を送るために、ある程度の電気代がかかることは仕方のないことですが、無駄を省いて電気代を抑えることができれば、その分を他の用途に使ったり貯金に回したりすることができます。以下の方法を試し、電気代の節約に努めましょう。
家電を買い替える
最近は省エネ効果の高い家電(いわゆる省エネ家電)が相次いで登場しています。古い家電を省エネ家電に買い替えることで消費電力を下げることが可能です。特に検討したいのが照明機器のLED化です。一般的にLEDの消費電力は白熱電球の約20%、蛍光灯の約30%、水銀灯の25%とされており、大きな節電効果が期待できます。
また、冷蔵庫やテレビも買い替えによる節電効果の大きい家電です。資源エネルギー庁の試算によると、最新の冷蔵庫は10年前の冷蔵庫に比べて約43%、最新のテレビは10年前のテレビに比べて約48%もの節電効果があることがわかっています。
出典:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」
生活リズムをそろえる
なるべく同じ時間に起床・就寝する、入浴するなど、家族で生活リズムをそろえ、電気を使う時間を分散させないようにすることで電力の消費量を抑えることができます。
同じ部屋で過ごす
家族が別の部屋で過ごす時間が長いと、それぞれの部屋で照明やエアコンを使うことになりやすいため、電気代が高くなりがちです。できるだけリビングなど同じ部屋で過ごすようにすると、使用する照明やエアコンの数を減らせるので、結果として電気代を安く抑えることができます。
使わないときは電源を切る
電化製品は、原則として使用しないときは電源を切っておくことが大切です。特にテレビやパソコンは使っていないときも電源を入れっぱなしにしてしまいがちですが、資源エネルギー庁の試算によると、1日1時間、テレビを見る時間を減らすと1年間で約450円の節約に、テレビの画面の輝度を適切(最大→中間)にすると年間約730円の節約に。また、パソコンの利用時間を1日1時間減らした場合、デスクトップ型は1年で約850円、ノート型は1年で約150円の節約になります。それぞれの金額は決して大きなものではありませんが、まとまれば一定の額になりますし、家族間で節電の意識が高まる効果も期待できます。
出典:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」
エアコンの使い方を工夫する
エアコンは、使い方を変えると大きな節電効果が得られます。一般的にエアコンの設定温度は、夏は28度、冬は20度に設定するのが良いと言われており、資源エネルギー庁の試算では、外気温31度のときにエアコンの設定温度を27度から28度に上げると年間約820円の節約に、外気温6度のときに設定温度を21度から20度に下げると年間約1430円の節約につなげることができます。
また、エアコンのフィルターをこまめに掃除することも大切です。資源エネルギー庁の試算では、フィルターを清掃したエアコンは、フィルターが目詰まりしたエアコンよりも年間約860円も電気代が安く抑えられることになっています。
出典:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」
契約する電力会社を見直す
以前は地域ごとに決められた大手電力会社からしか電力を買うことができませんでしたが、2016年に電力自由化が始まり、自分の好きな電力会社を選んで契約できるようになりました。自由化以降、ガス会社や石油元売りなどエネルギー関係企業、大手通信会社や、コンビニや鉄道会社など、幅広い分野の企業が電力事業に参入しており、各社が基本料金無料プランや深夜時間帯の電気料金が安くなるプランなど、さまざまな料金プランを打ち出しています。いくつか例をあげてみましょう。
LOOOPでんき「おうちプラン」
基本料金:0円(使った分だけの従量課金制)
1kWhあたりの料金:26.4円
3人家族の場合の料金の目安:1万3728円/月(40アンペア 520kWh/月 使用の場合)
LOOOPでんき「スマートタイムONE(電灯)」
基本料金:0円(30分ごとに変動する料金単価に基づくプラン)
3人家族の場合の料金の目安:1万1304円/月(東京電力エリア 346kWh/月 使用の場合)
公式サイト:https://looop-denki.com/low-v/
エバーグリーン・リテイリング「従量電灯B」
基本料金:1,137.16円(40アンペア契約)
1kWhあたりの料金:19.69円(~120kWh)、24.55円(120kWh~300kWh)、27.44円(300kWh~)
3人家族の場合の料金の目安:1万268円/月(東京電力エリア 346kWh/月 使用の場合)
公式サイト:https://www.egmkt.co.jp/
シン・エナジー「きほんプラン」
基本料金:1061.41円(40アンペア契約)
1kWhあたりの料金:21.32円(~120kWh)、26.43円(120kWh~300kWh)、29.36円(300kWh~)
3人家族の場合の料金の目安:1万691円/月(東京電力エリア 346kWh/月 使用の場合)
公式サイト:https://www.symenergy.jp/plan
※いずれも2024年4月現在の料金です。 オンラインで料金をシミュレーションできる機能を提供している電力会社も多いので、乗り換えを検討している場合は各社のホームページでプランごとの電気料金をシミュレーションし、比較検討してみましょう。毎月の電気代の見直しにつながるかもしれません。
毎月の電気代が少しでも安くなれば、貯蓄に回せるお金も増やせます。将来に向けた資産形成のためにも、まずは電気料金のプランから始めてみましょう。
監修:相山華子
ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。