(株)ヤクルト本社
事業内容(抜粋)
当社の企業集団は、当社、子会社71社および関連会社18社で構成されています。
主な事業内容と、当該事業に係わる位置づけは次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載しています。
〔飲料および食品製造販売事業〕
①乳製品:
当社が製造し、主に全国に所在するヤクルト販売会社107社(宮城中央ヤクルト販売㈱の子会社1社、㈱ヤクルト東海の子会社4社を含む。このうち、連結子会社は東京ヤクルト販売㈱他21社、関連会社は香川ヤクルト販売㈱他13社(持分法非適用)以下同じ)が販売しています。
なお、製造にあたっては、製造工程の一部を㈱岩手ヤクルト工場他5社(連結子会社)に委託し、㈱ヤクルトマテリアル他1社(連結子会社)からは製造原材料の供給を受けています。
②清涼飲料:
当社が商品を仕入れ、主に全国に所在する107社のヤクルト販売会社が販売しています。
③その他の食品:
主なものは、麺類および健康食品であり、ヤクルト食品工業㈱他1社が製造し、主に当社を経由して全国に所在する107社のヤクルト販売会社が販売しています。
④輸送事業:
連結子会社であるヤクルトロジスティクス㈱が、製商品の輸送事業を行っています。
⑤海外での事業:
海外においては、中国ヤクルト㈱他25社(連結子会社)のほか、関連会社4社が乳製品の製造販売等を行っています。
⑥販売用資材等:
販売用資材等は、連結子会社であるヤクルト商事㈱が仕入れ、当社を経由してヤクルト販売会社等へ販売しています。
〔その他事業〕
①化粧品:
当社が製造し、主に全国に所在する106社のヤクルト販売会社が販売しています。
②医薬品:
当社が製造および商品を仕入れ、「医薬品卸し」をとおして「病院」「薬局」へ販売しています。
③プロ野球興行:
連結子会社である㈱ヤクルト球団が行っています。
経営成績
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
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売上高 | 415,116 | 483,071 | 503,079 |
営業利益 | 53,202 | 66,068 | 63,399 |
財政状態
2024年3月 | |
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自己資本比率 | 65.9% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
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飲料および食品製造販売事業(日本) | 48% | 20% |
飲料および食品製造販売事業(米州) | 16% | 26% |
飲料および食品製造販売事業(アジア・オセアニア) | 26% | 7% |
飲料および食品製造販売事業(ヨーロッパ) | 2% | -3% |
その他事業 | 7% | 2% |
設備投資(抜粋)
当連結会計年度の設備投資については、生産設備の新設・更新を中心に、総額56,232百万円の投資を実施しました。
セグメント別の設備投資については、次のとおりです。
(1) 飲料および食品製造販売事業(日本)
提出会社および国内子会社において、Yakult1000、Y1000の生産設備増設を中心とする投資を総額24,773百万円実施しました。
なお、生産能力に重要な影響を与えるような固定資産の除・売却はありません。
(2) 飲料および食品製造販売事業(海外)
在外子会社においては、海外での需要の高まりに対応するための投資として、無錫ヤクルト㈱の第2工場、インドネシアヤクルト㈱のスカブミ工場等を中心とする投資を総額11,448百万円実施しました。
なお、生産能力に重要な影響を与えるような固定資産の除・売却はありません。
(3) その他事業
その他事業については、設備の更新等を中心とする投資を総額719百万円実施しました。
(4) 全社
報告セグメントに帰属しない提出会社の設備投資を総額19,290百万円実施しました。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
設備投資 | 26,092 | 32,579 | 56,232 |
減価償却費 | 23,769 | 25,333 | 27,841 |
研究開発(抜粋)
当社グループは、腸内菌叢(腸内フローラ)を構成する微生物のヒトへの役割を中心とした生命科学の追究により、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという企業理念の達成を目指しています。その中にあって当社研究開発部門は、長期的展望に立った基礎研究を行うとともに、それら基礎研究の成果を活かした飲料・食品、化粧品および医薬品などの研究開発に取り組んでいます。あわせて、事業戦略上求められる研究開発課題の解決や社会の要請に応じた商品の安全性確保と環境対策に関する研究にも力を注いでいます。
当連結会計年度の研究開発費の総額は9,095百万円で、セグメント情報にかかわる研究開発活動の概要は、次のとおりです。
(1) 基礎研究開発分野
基礎研究開発分野においては、腸内フローラとヒトの健康との関わりを明らかにするために、分子生物学・微生物学・免疫学・生理学・栄養学等の多面的な研究を行っています。プロバイオティクスとしての乳酸菌・ビフィズス菌がヒトの健康維持・増進に果たす役割の解明に重点をおくと同時に、新規の微生物や天然物の探索を行い、飲料・食品、化粧品および医薬品等への利用を目指した機能性素材の開発に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究成果は次のとおりです。
① 睡眠に関する不満を抱える健康な内勤会社員を対象としたクロスオーバー・プラセボ対照試験により、「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含むはっ酵乳の摂取が、日中のパフォーマンスに及ぼす影響を調べました。その結果、「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含むはっ酵乳を摂取している期間では、乳酸菌を含まない未発酵乳(プラセボ)を摂取している期間に比べて、主観的評価では午後の時間帯の集中力が高く、同時間帯に測定された脳波θ波(眠気があるときや深い瞑想状態にあるときに出現する脳波)の強度が低いことを確認しました。本研究により、「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含むはっ酵乳は、日中のパフォーマンスを向上させる可能性があることが示されました。本研究成果は、学術雑誌「Nutrients」に掲載されました。
② 国立成育医療研究センターとの共同研究で、牛乳アレルギーの小児を対象としたプラセボ対照比較試験により、「L.プランタルム YIT 0132(乳酸菌)」を含む発酵果汁飲料の摂取が、牛乳経口免疫療法の効果・安全性に及ぼす影響を調べました。その結果、「L.プランタルム YIT 0132(乳酸菌)」を含む発酵果汁飲料を摂取した群と乳酸菌を含まない果汁飲料(プラセボ)を摂取した群で、牛乳経口免疫療法の治療効果に違いはみられませんでしたが、発酵果汁飲料群ではプラセボ群に比べて、血液中の免疫グロブリンIgG4が高く、炎症やアレルギーに関わるインターロイキン(IL)-5とIL-9が有意に低いことを確認しました。また、発酵果汁飲料群では、腸内細菌叢のα-多様性の増加が観察されました。本研究により、「L.プランタルム YIT 0132(乳酸菌)」を含む発酵果汁飲料は、牛乳経口免疫療法に対する、安全で効果的な補助食品になりうることが考えられます。本研究成果は、学術雑誌「Beneficial Microbes」に掲載されました。
今後も、最先端のバイオテクノロジーに基づく腸内フローラ研究を推進し、プロバイオティクスの健康維持・増進機能の検証と解明に取り組んでいきます。さらに、生活習慣病予防をターゲットとした次世代プロバイオティクスや新規機能性素材の研究開発に重点的に力を注いでいきます。
当分野の研究開発費は1,730百万円です。
(2) 飲料および食品製造販売事業分野
飲料および食品研究開発分野においては、ヒトの健康に積極的に寄与する商品開発を目指しています。特に、研究開発の対象としては、生活環境の変化や加齢によってバランスのくずれた免疫調節機能を正常化する生体防御面と、世代を超えて拡大している生活習慣病の予防に配慮した生理・代謝機能面に加え、近年の研究により明らかになってきた脳と腸が自律神経を介してお互いに密接に影響を及ぼしあう「脳腸相関」に着目しています。具体的には、プロバイオティクスのパイオニアとして「乳酸菌 シロタ株」や「ビフィズス菌 BY株」「B.ビフィダム Y株」等を利用し、作用領域を拡大した乳酸菌飲料等、自然界に存在する多くの機能性素材を利用した食品の研究開発に力を注いでいます。
また、より一層お客さまのニーズに応えるため、プロバイオティクスを使用した乳製品、清涼飲料等のラインアップの充実を図っています。
当連結会計年度の成果は次のとおりです。
① 乳製品
生きたまま腸内に到達する「乳酸菌 シロタ株」と腸内の良い菌を増やす「ガラクトオリゴ糖」を一緒に摂ることができる乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト400W」について、よりコクのある味わいが感じられる風味に変更するとともに、商品の特長がわかりやすいパッケージデザインに変更し、昨年9月に導入しました。
② 清涼飲料等
ア. 野菜系飲料「きになる野菜100」シリーズについて、使用する野菜を一部変更するとともに、各商品の特長がわかりやすいパッケージデザインに変更し、昨年4月に導入しました。
イ. 袋入り即席めん「麵許皆伝」シリーズについて、めんにこんにゃくの主成分であるマンナン粉を練りこむことで独特のもちもちとした食感に仕上げ、ご当地風の風味を再現した粉末スープ、ソースに変更するとともに、ご当地風のラーメン、焼そばであることがわかりやすいパッケージデザインに変更し、昨年4月に導入しました。
ウ. 「乳酸菌 シロタ株」と「ガラクトオリゴ糖」を配合したアイスクリーム「アイス de ヤクルト」のシリーズ品として、「ヤクルト」の風味が感じられるジェラートと濃厚なミルクアイスの2層を渦巻き状に織り交ぜた「アイス de ヤクルト ジェラート&ミルク」を、ECサイト「Yakult Wellness Online」で、昨年10月に導入しました。
エ. 食物繊維やビタミン類等の豊富な栄養素を含んだケールをおいしく手軽に摂取できる野菜・果実混合飲料「おいしいケール青汁」を昨年12月に導入しました。
当分野の研究開発費は6,311百万円です。
(3) その他事業分野
<化粧品製造販売事業分野>
その他事業分野のうち化粧品研究開発分野においては、多様化するお客さまのニーズに応えることを目指し、「美」と「健康」の追究と当社独自の乳酸菌発酵技術を活かした「高機能・高品質で安全性の高い化粧品」の開発を志向しています。
基礎化粧品については、乳酸菌発酵技術と肌構造研究の知見を基に開発した高機能基礎化粧品「パラビオ」シリーズから、リニューアル品を中心にスキンケア商品計7品を昨年11月および本年1月に導入しました。また、乳酸菌由来のオリジナル保湿成分「高浸透乳酸菌エキス」を配合したスキンケアブランド「ラクティフル」を立ちあげ、「ラクティフル モイストアップ ローション」「ラクティフル モイストアップ ミルク」の2品を、通信販売専用商品として昨年11月に導入しました。
トイレタリー商品については、高保湿ボディケアシリーズ「コクルム」から、汗のベタつきを抑え、サラっとしたお肌に仕上げる「コクルム ボディパウダー」を昨年7月に導入しました。
当分野の研究開発費は711百万円です。
<医薬品製造販売事業分野>
その他事業分野のうち医薬品研究開発分野においては、4SC社(ドイツ)から導入したHDAC阻害剤「レスミノスタット」について、皮膚T細胞リンパ腫を対象とした国際共同第Ⅱ相臨床試験を実施中です。
なお、今後は開発中の品目を除き、新たな抗がん剤の開発には着手せず、当社の研究基盤である乳酸菌研究をベースに、マイクロバイオーム領域で、医薬部外品や一般用医薬品、サプリメント等への事業転換に取り組みます。
当分野の研究開発費は342百万円です。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
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研究開発 | 8,655 | 9,381 | 9,095 |
売上対比 | 2.1% | 1.9% | 1.8% |