TIS(株)
事業内容(抜粋)
当社グループは、主として当社、連結子会社50社及び持分法適用会社74社で構成されています。主な業務は、情報化投資に関わるアウトソーシング業務・クラウドサービス、ソフトウエア開発、ソリューションの提供であり、これらの業務に関連するコンサルティング業などの業務も行っております。また、管理事業など付帯関連する業務についてもサービスを提供しております。
当社グループの事業内容と連結子会社並びに持分法適用会社の当該事業に係る位置づけを報告セグメントの区分で示すと次のとおりであります。当社は、オファリングサービス、金融IT、産業ITの各セグメントにおいて、グループの中心となって事業を展開しています。
なお、オファリングサービス、BPM、金融IT、産業IT、広域ITソリューションは、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げる報告セグメントの区分と同一であります。
また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(1) オファリングサービス
当社グループに蓄積したベストプラクティスに基づくサービスを自社投資により構築し、知識集約型ITサービスを提供しております。
〔主な連結子会社〕
TISシステムサービス株式会社、MFEC Public Company Limited
(2) BPM
ビジネスプロセスに関する課題をIT技術、業務ノウハウ、人材などで高度化・効率化・アウトソーシングを実現・提供しております。
〔主な連結子会社〕
株式会社アグレックス
(3) 金融IT
金融業界に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業・IT戦略を共に検討・推進し、事業推進を支援しております。
(4) 産業IT
金融以外の産業各分野に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業・IT戦略を共に検討・推進し、事業推進を支援しております。
〔主な連結子会社〕
クオリカ株式会社、AJS株式会社
(5) 広域ITソリューション
ITのプロフェッショナルサービスを地域や顧客サイトを含み、広範に提供し、そのノウハウをソリューションとして蓄積・展開して、課題解決や事業推進を支援しております。
〔主な連結子会社〕
株式会社インテック、TISソリューションリンク株式会社
(6) その他
各種ITサービスを提供する上での付随的な事業等で構成されています。
〔主な連結子会社〕
TISビジネスサービス株式会社、ソランピュア株式会社
経営成績
2021年3月 | 2022年3月 | 2023年3月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 448,383 | 482,547 | 508,400 |
営業利益 | 45,748 | 54,739 | 62,328 |
財政状態
2023年3月 | |
---|---|
自己資本比率 | 64.2% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
オファリングサービス | 19% | 6% |
BPM | 8% | 12% |
金融IT | 20% | 14% |
産業IT | 22% | 15% |
広域ITソリューション | 30% | 12% |
その他 | 0% | 10% |
設備投資(抜粋)
当連結会計年度は、経常的な設備の更新のための増設、改修等を目的とした投資のほか、サービス型ビジネス推進のためのソフトウエア投資等を実施した結果、設備投資(無形固定資産を含む。)の総額は11,230百万円となりました。
2021年3月 | 2022年3月 | 2023年3月 | |
---|---|---|---|
設備投資 | 25,085 | 13,783 | 11,230 |
減価償却費 | 13,318 | 15,083 | 15,700 |
研究開発(抜粋)
当社グループでは、新規事業創出および中長期の事業成長、競争力強化を目指し、継続的に研究開発活動に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発に関する費用の総額は、3,104百万円です。当社グループの研究開発は各セグメントに共通している取組が多く、各セグメントに区分して記載しておりません。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響が落ち着きを見せ始める中、2022年11月にOpenAI社が大規模言語モデルを応用したChatGPTをリリースしました。その後わずか2か月で、全世界で1億人ユーザーを突破し、テレビや新聞などで話題となる日々が続いております。このように、先端技術を用いたソリューションが求められる中、経営環境や技術競争環境は劇的に変化しています。社会ニーズをとらえ、社会課題解決につながるテクノロジーをビジネスに取り入れていくことが重要と考えており、最先端技術トレンドを幅広く分析し、最先端技術を応用するために、次に掲げる3つの領域の研究開発に注力しております。
(1) 将来の新規事業の核となるコア技術を中心とした研究開発
(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発
(3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発
(1) 近未来の事業の核となるコア技術を中心とした研究開発
2021年度より進めておりますコア技術戦略として、「XR*1研究」、「Multi-Level Edge Computing研究」、「量子及び古典コンピュータによる大規模処理」および「Data Labeling for AI」を引き続き重点テーマとして研究開発を行っております。それぞれ新規事業などにおける差別化技術として研究開発を行い、要素技術を国内外の大学や研究機関との産学連携にて進めております。
「XR研究」では、社会実装に向けた新しい遠隔コミュニケーション技術の具体化をテーマに、東京大学および東京都市大学と共同研究を進めており、この共同研究により得られた知見を用いて、実写観光メタバースアプリ「BURALIT」および決済完結型バーチャルショップを構築できる「XR Pay」をリリースしております。2022年度は、京都府京都市、福島県喜多方市、大阪府高槻市、滋賀県東近江市などにおいて実証実験を実施しました。
「Multi-Level Edge Computing研究」では、テレワークが急激に普及する中、また、将来メタバース空間において相互的にコミュニケーションを行うことなどを考えると、ネットワーク上に画像等の大容量の通信が必要となってきます。その際に必要な要素技術について、電気通信大学の複数の研究者とともに課題解決型共同研究を行っております。また、経済産業省の国際標準開発「ウェアブルセンサ信号のコンテナフォーマットに関する国際標準化」に参画し、次世代のIoTシステムにおける情報フォーマットを定義することで、ヘルスケア分野などにおいて貢献していきます。
「量子及び古典コンピュータによる大規模処理」では、大阪大学および九州大学と共同研究を行い、新規アルゴリズムFQAOA2を開発し、NISQ3と呼ばれるエラーの多い小規模な量子コンピュータにおけるエラー抑制技術において成果を上げており、組み合わせ最適化問題に対する新たな計算手法を提案し、近い将来での量子コンピュータへの実装において貢献を行いました。また、量子コンピュータを扱える人材育成のためのカリキュラムについて検討しております。
(2) 持続可能な社会の実現や社会課題の解決に貢献する要素技術の研究開発
当社グループでは、長期トレンドに基づき、解決に貢献する社会課題として「金融包摂」「都市への集中・地方の衰退」「低脱炭素化」「健康問題」と定め、中長期な中核事業化を目指し、積極的に取り組む事業分野として金融、製造、物流、電子政府、エネルギー、医療・ヘルスケアなどを特定し、新たな価値創出を目指しております。特に、デジタル・トランスフォーメーション(DX)における要素技術の研究開発に取り組んでおります。2022年度には、本人確認業務の利便性を向上のため、「マイナンバーカード本人確認サービス」を提供開始しました。
金融、電子政府分野等では、地域課題解決型デジタル地域通貨サービスを開始しており、金融包摂および地域活性化において貢献しております。また、スマートシティにおけるデータ連携基盤の整備をサポートし、地域の行政運営や市民への情報開示で貢献しております。
エネルギー分野では、Web3.04技術やNFT5を活用して地域の森林資源の循環利用を活性化するプログラム「WOOD DEAM DECK」をつくり、地域の森林資源を活かして経済循環と環境保全を両立するエコシステムの構築を目指しております。
医療・ヘルスケア分野では、地域医療情報連携サービス「ヘルスケアパスポート」の機能を拡張し、臨床結果や服薬記録などを簡単に閲覧できるようになっております。また、PHR*6サービス産業の健全な発展を通じて国民の健康増進や豊かで幸福な生活(Well-being)に貢献することを目的とする「PHRサービス事業協会(仮称)」の設立検討に参画しております。
(3) 先進的なソフトウエア生産技術、およびインフラストラクチャー関連技術開発
ソフトウエア生産技術については、取引先企業や自社サービスにおけるビジネス変革スピードへの対応力を強化するため、アジャイル開発7、UI/UXデザイン、モバイルアプリケーションなどの基本的な技術獲得と開発生産性の向上につながる技術開発をしております。当連結会計年度は、昨年度に整備したクロスプラットフォーム8に対応したフレームワークを活用したモバイルアプリケーション開発のノウハウ(処理方式に関するガイドや実装サンプルなど)や、新規事業開発におけるエンジニアリングの最適化につながるノウハウ(ガイド)を用い、モバイルエンジニアの教育および実プロジェクト(モバイル開発、新規事業開発)での実践に注力しました。
また、高い生産性、堅牢性を武器とするJavaアプリケーションフレームワークであるNablarch(ナブラーク)で培ったノウハウをSpring Frameworkでも活用できるよう、Nablarch向けの設計標準・サンプルをSpring Framework向けに整備、公開致しました。
*1 XR(Extended Reality)
VR(Virtual Reality/仮想現実)、AR(Augmented Reality/拡張現実)、MR(Mixed Reality/複合現実)などのさまざまな仮想空間技術の総称
*2 FQAOA(Fermionic Quantum Approximate Optimization Algorithm)
QAOAは、量子近似最適化アルゴリズムと呼ばれ、量子ゲート方式による組合せ最適化問題の解を求めるためのアルゴリズム。FQAOAは、QAOAをベースにした新規アルゴリズム
*3 NISQ(Quantum Approximate Optimization Algorithm)
エラー訂正機能のない、ノイジーな中規模量子コンピュータのこと
*4 Web3.0
ブロックチェーン技術を活用し、デジタルデータを分散管理することで、特定の管理者を介さずデータやコンテンツなどのやり取りを可能にする、ボーダレスなサービスを展開できる分散型インターネットの概念
*5 NFT(Non-Fungible Token)
暗号資産(仮想通貨)と同じく、ブロックチェーン上で発行および取引される、偽造不可の鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ
*6 PHR(Personal Health Record)
生涯にわたる個人の保健医療情報(健診(検診)情報、予防接種歴、薬剤情報、検査結果等診療関連情報及び個人が自ら日々測定するバイタル等)
*7 アジャイル開発
システムやソフトウエア開発におけるプロジェクト開発手法の一つで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進める。従来の開発手法に比べて開発期間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれる。
*8 クロスプラットフォーム
Android/iOS向けアプリケーションを1つのソースコードで開発できることを指す。
2021年3月 | 2022年3月 | 2023年3月 | |
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研究開発 | 1,789 | 2,784 | 3,104 |
売上対比 | 0.4% | 0.6% | 0.6% |