NTN(株)
事業内容(抜粋)
当社グループはNTN株式会社(当社)、子会社74社及び関連会社13社(2024年3月31日現在)で構成され、補修市場向け、産業機械市場向け及び自動車市場向けの軸受、等速ジョイント及び精密機器商品等の製造販売を主な事業内容としており、国内においては当社(本社)が、また海外においては地区別に置かれた総支配人室が担当する地域の事業活動を統括しております。各地域に属する現地法人は、独自に事業戦略立案や事業計画策定を行い、その収益性や投資効率を分析しながら事業活動を展開しております。
したがって、当社グループは本社及び総支配人室を基礎とした地域別の事業セグメントから構成されており、「日本」、「米州」、「欧州」及び「アジア他」の4つを報告セグメントとしております。
当社グループにおける各社の位置づけは各セグメントとも概ね次のとおりであります。
・国内の製造については主に当社が行っておりますが、製造の一部を国内製造関係会社に委託し当社が購入しております。また、部品加工の一部を国内部品加工関係会社に委託しております。
・国内の販売については主として当社が直接行っており、一部については国内販売関係会社を通じて行っております。
・海外の製造については、海外製造関係会社が当社より一部の半製品の供給を受けて行っております。
・海外の販売については、当社、当社及び海外製造関係会社より製品を購入した海外販売関係会社、並びに海外製造関係会社が行っております。
なお、2023年4月に非連結子会社であったNTN BEARING VIETNAM CO.,LTD.については、重要性が増したため、連結子
会社としております。
また、2023年10月にSNR Wälzlager G.m.b.H.はNTN Wälzlager (Europa) G.m.b.H.を存続会社とする吸収合併により消滅するとともに、存続会社であるNTN Wälzlager (Europa) G.m.b.H.は、NTN Wälzlager (Deutschland) G.m.b.H.に社名変更しました。
経営成績
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
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売上高 | 642,023 | 773,960 | 836,285 |
営業利益 | 6,880 | 17,145 | 28,149 |
財政状態
2024年3月 | |
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自己資本比率 | 29.0% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
日本 | 26% | 4% |
米州 | 33% | 0% |
欧州 | 22% | -1% |
アジア他 | 19% | 9% |
設備投資(抜粋)
当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産能力の向上・省人合理化並びに既存設備の維持更新・安全環境の改善・新商品研究開発等を主眼に設備投資を行っております。
日本では当社本社移転、和歌山製作所の建屋建設及び軸受製造設備導入、岡山製作所の等速ジョイント製造設備導入、及び株式会社NTN三重製作所の軸受製造設備導入等により13,508百万円の設備投資を行いました。米州では、NTN DRIVESHAFT,INC.の等速ジョイント製造設備増設、NTN DRIVESHAFT ANDERSON,INC.の等速ジョイント製造設備導入等により3,372百万円の設備投資を行いました。欧州では、NTN Europe S.A.の軸受製造設備増設、NTN TRANSMISSIONS EUROPEの等速ジョイント製造設備導入等により6,687百万円の設備投資を行いました。アジア他地域では、廣州恩梯恩裕隆傳動系統有限公司の等速ジョイント製造設備導入等により3,036百万円の設備投資を行いました。これらにセグメント間の設備移管等△15百万円を調整した結果、当連結会計年度の設備投資の総額は26,589百万円となりました。
なお、所要資金につきましては自己資金及び借入金によっております。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
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設備投資 | 19,809 | 22,253 | 26,589 |
減価償却費 | 37,898 | 42,048 | 41,802 |
研究開発(抜粋)
当社は、2021年4月より、中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2に取組んできました。「DRIVE NTN100」Phase 2では、持続可能な社会の実現に向けて13項目のマテリアリティを設定し、そのうちの3項目は、「エネルギーロスの低減」「自然エネルギーを利用した持続可能な社会の実現」「安全と快適の提供」とし、当社の独創的技術の創造を通じて社会に貢献するポジティブインパクトの強化に注力してきました。
研究開発では、上記3つのマテリアリティに対して、当社の持続的成長を目的に「基盤商品、基盤技術の強化」と「新たな領域の展開」の二軸で活動し、当社のコアコンピタンスを活かした製品開発に取り組みました。
なお、当連結会計年度における研究開発活動費はグループ全体で18,234百万円です。
(1)「基盤商品、基盤技術の強化」:自動車事業
カーボンニュートラルの達成には、自動車の電動化、EV化が必須であり、車両駆動に必要な電動駆動ユニットにはさらなる高効率化、小型・軽量化が求められており、中でもモータをインバータ及び減速機と一体化したe-Axleの開発が活発化しています。
e-Axleはバッテリーから供給される電気により駆動しますが、軸受内部に高電圧が印加され、過電流が流れる(スパーク)ことにより、はく離などの軸受損傷が発生することがあります。軸受内部へ流れる過電流を低減するため、絶縁被膜加工を軸受の外輪外径と幅面に施した「耐電食軸受(耐電圧100V)」を開発しました。モータ内の軸受にかかる電圧はバッテリー電圧の10%程度と想定されるため、今後、増加が見込まれるバッテリー電圧800Vに対応可能な耐電圧を有しています。
また、ニードル軸受とシャフトをセットにした、「同軸e-Axle遊星減速機用ニードル軸受ユニット」を開発しました。同軸e-Axleには、断面高さが小さく高い負荷容量を有するニードル軸受が使用されますが、高効率化のため、潤滑油の低粘度化が進んでいます。低粘度化により、油膜が薄くなると軸受の軌道面ところが金属接触し、軸受損傷の原因となるピーリング(微小な表層はく離)や亀裂の発生リスクが高まります。シャフトの熱処理条件を最適化し、ピーリング寿命を当社従来比で約30%向上させるとともに、使用する保持器の材料・設計・熱処理条件を最適化することで疲労強度も高めることに成功し、高速回転性能を当社従来比で約10%向上させたニードル軸受ユニットを開発しました。
当社は自動車の電動化に関わる周辺製品の開発に取り組み、電費向上に貢献します。
(2)「基盤商品、基盤技術の強化」:産業機械事業
製造現場では生産性向上に向けて、設備の稼働状態を監視し、そのデータに基づいて計画的にメンテナンスや部品交換をすることで、設備のダウンタイム(稼働停止時間)を抑制しています。さらに近年は、AI技術やセンシング技術の向上により、設備の予知保全への関心が高まり、いつ故障するかを予測し、より的確な時期に部品交換や修理を実施したいという要求が高まっています。
当社では、このような予知保全のニーズに対応するため、複数のAI手法からディープラーニング(深層学習)とベイズ学習を選択・組合せ、軸受のはく離が発生してから破損するまでの余寿命推定精度を、従来技術と比較して約30%向上させた「余寿命推定技術」を開発しました。
さらに、軸受や周辺部品の早期の異常検知を可能とし、設備の稼働率および生産性の向上に貢献可能なセンサを内蔵した「しゃべる軸受®」を開発し、市場マーケティングを開始しています。軸受の温度・振動・回転速度を検知するセンサを標準軸受に内蔵する業界初の構造により、設備設計を変更することなく搭載可能で、各種装置の状態監視に幅広く適用可能です。産業の脱炭素化への貢献に加えて、センサを内蔵させた本技術の独創性などを評価いただき、モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する「2023年“超”モノづくり部品大賞」において、「機械・ロボット部品賞」を受賞しました。
当社は高精度な状態監視を実現することで、製造設備の高効率化、生産性向上に貢献します。
(3)「新たな領域の展開」
生産年齢人口の減少やカーボンニュートラルを背景に、生産現場では供給部品の安定搬送、搬送速度の向上、消費電力削減などの要求があります。当社ではそれらに対応するため、使用するエア量を従来比で最大1/5に削減しつつ、業界最速となる最大18m/分の高速搬送を実現した、部品供給用の直進フィーダ「クロスドライブリニアフィーダ」を開発しました。さらに、手首関節モジュール「i-WRIST®」は、すでに市場で活用されていますが、本製品を初めてご使用いただくお客様向けに、装置導入を支援するスタータパッケージの販売を開始しました。電源投入後すぐに使用可能で、配線・制御セットアップなどの工数を大幅に削減できると好評をいただいています。
また、水素関連分野では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」において、国立大学法人九州大学などの法人・機関とともに「水素ステーションの低コスト化・高度化基盤技術開発プロジェクト」に参画しています。当社は本プロジェクトにおいて、高圧水素ガス圧縮機に使用される樹脂製ピストンリングの耐久性・信頼性向上の技術開発に関わっています。エンジニアリングプラスチック製しゅう動部品の開発、製造を通じて培ってきた樹脂材料のトライボロジー技術を活用することで、水素インフラ整備の進展や次世代エネルギーの普及に貢献します。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
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研究開発 | 17,444 | 18,678 | 18,234 |
売上対比 | 2.7% | 2.4% | 2.2% |