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日東電工(株)

事業内容(抜粋)

当社及び当社の関係会社(当社、子会社88社及び関連会社4社(2024年3月31日現在)により構成)においては、インダストリアルテープ、オプトロニクス、ヒューマンライフ、その他の4部門に関係する事業を主として行っており、その製品は多岐にわたっております。各事業における当社及び関係会社の位置付けは次のとおりであります。

<インダストリアルテープ>
基盤機能材料(接合材料、保護材料、プロセス材料、自動車材料等)

<オプトロニクス>
情報機能材料(光学フィルム等)、回路材料(CIS(Circuit Integrated Suspension)、高精度基板等)

<ヒューマンライフ>
ライフサイエンス(核酸受託製造、核酸合成材料、核酸創薬、医療関連材料等)、メンブレン(高分子分離膜)、パーソナルケア材料(衛生材料等機能性フィルム)

<その他>
新規事業、その他製品

経営成績

2022年3月 2023年3月 2024年3月
売上高 853,448 929,036 915,139
営業利益 132,260 147,173 139,132
単位:百万円

財政状態

2024年3月
親会社所有者帰属持分比率 78.7%

セグメント情報

売上高構成比 セグメント利益率
インダストリアルテープ 38% 11%
オプトロニクス 49% 26%
ヒューマンライフ 13% -8%

設備投資(抜粋)

当連結会計年度における当社グループの設備投資は、総額83,445百万円を実施しました。

インダストリアルテープにおいては、粘着テープの生産能力増強や老朽化した建屋、設備の更新など、17,427百万円を実施しました。

オプトロニクスにおいては、成長領域である車載ディスプレイやVR向け光学フィルムの生産能力増強及び回路材料における高精度基板の生産性向上など、30,240百万円を実施しました。

ヒューマンライフにおいては、核酸医薬の受託製造の商用化対応に向けた生産体制整備など、30,674百万円を実施しました。

その他においては、新規事業開発向けの実証機導入など、573百万円を実施しました。

なお、各セグメントに直接関連しない設備投資は4,529百万円であります。

2022年3月 2023年3月 2024年3月
設備投資 56,496 50,789 83,445
減価償却費 50,211 57,362 60,811
単位:百万円

研究開発(抜粋)

当社グループにおける研究開発は、「イノベーションによる社会課題の解決」を基本方針に掲げ、地球の環境保全・改善や、人々の生活の質の向上のための新製品や新サービス、新規事業を創造することを目指しています。「粘接着」「光学設計」「回路形成」「薄膜形成」「多孔」「分離」「核酸合成」「ドラッグデリバリーシステム」の8つの基幹技術をベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提供しています。

全社技術部門は、研究開発本部、新規事業本部、核酸医薬開発本部の3つの部署と技術知財戦略本部が密接に連携し、将来の事業とそれを支える技術を育成しています。研究開発拠点として、2016年3月に大阪府茨木市に開設した“inovas”(イノヴァス)を中核に、海外にNitto Denko Technical Corporation(U.S.A.-Oceanside)、Nitto BioPharma, Inc.(U.S.A.-San Diego)、Nitto Bend Technologies, Inc.(U.S.A.-Farmington)、Nitto Denko Asia Technical Centre Pte. Ltd.(Singapore)を配置しています。

全社技術部門では、溶剤を使わない製造プロセスの開発に加え、工場から出るCO2を分離して回収する技術の開発を加速させています。その一環として、当連結会計年度、自社の分離膜技術を用いたボイラー排気ガスからのCO2を分離・回収する装置を滋賀事業所に設置し、実証試験を開始しました。今後は、空気中のCO2を捕らえたり、CO2を別の物質に変換したりする技術の構築を進め、CO2削減のトータルソリューションを新たなビジネスチャンスに繋げます。

また、当社グループでは特許戦略を重視して研究開発を進めており、研究開発で確立した技術を戦略的な特許出願で支えながら着実に事業につなげています。この活動の結果として、当連結会計年度「クラリベイト Top 100 グローバル・イノベーター2024」に選出されました。これは、クラリベイト・アナリティクス社が「数量」「影響力」「成功率」「グローバル性」「希少性」の5つの基準から優れた研究開発活動、知的財産管理を行っている企業や研究機関100社を選出したもので、2012年の開始からNittoは11度目の受賞となります。

当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で1,079名、グループ全体で1,711名です。また、当社グループの研究開発費の総額は43,485百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は9,974百万円です。

セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりであります。

(1)インダストリアルテープ

当社グループの持続的成長と持続可能な環境・社会の実現にCO2排出削減は不可欠です。そのため、有機溶剤を使用しない新製品の開発を拡大して生産活動におけるCO2排出削減に取り組んでいます。また、サプライチェーン全体のCO2削減にもつながるようバイオマス粘着剤や資源循環によるリサイクル材料の活用や、当社グループの剝離技術を用いてリワーク・リサイクルを実現可能にする製品開発に取り組んでいます。

新製品開発はデジタルデバイス、半導体、水素・電池の3つを重点分野と定め、お客様のご要望に応える新製品開発、そして製品ラインアップの拡充を進めています。

デジタルデバイス分野では従来テープに求められる接着性や衝撃吸収性だけでなく、循環社会を目指し、再剝離性の付与、リサイクル材使用によるサステナビリティ向上にも貢献してまいります。

半導体分野では半導体の製造工程、特に先端半導体向け製造工程などでご使用いただくプロセステープの開発を進め、高品質を追求し続けるお客様の製造工程において生産性向上に貢献してまいります。

また、水素・電池分野では新規用途のマーケティング・開発活動を進め、安心・クリーンな社会実現に向けて貢献してまいります。

当連結会計年度における研究開発費の金額は7,918百万円です。

(2)オプトロニクス

ディスプレイ業界では、スマートフォンを中心に有機ELディスプレイ(OLED)が拡がり、今後、タブレットPC、Lap Top PC等家電製品、及び車載ディスプレイへ採用拡大が期待されています。ディスプレイとしての表示品位等の基本特性の向上に加え、デバイス特有の屈曲性、高信頼性、曲面追従性等、様々なご要望を頂いております。偏光フィルム、位相差フィルム、粘着剤に機能を付与するとともにトータルでの設計を最適化しお客様のご要望にお応えしていきます。また、お客様の生産工程の生産性向上に貢献できる製品開発にも注力しています。

新規デバイスとして注目を集めているVRデバイス向けの製品開発も行っています。VRゴーグルに映し出される仮想空間のリアリティ向上が求められており、超高品質光学フィルムの製品開発を行っています。

ディスプレイ以外では、ITOフィルム製膜に用いているスパッタ技術を活用し、タッチセンサ用途だけでなく、自動車の調光ルーフ用等、様々なセンサ向けの電極フィルムの製品開発も行っています。

上記の開発活動において、リサイクル材料やバイオベース材料の採用、粘着剤の無溶剤化等、環境技術と融合することでお客様、社会への価値提供も加速させています。

回路材料関連では、データセンターで使用されるハードディスク(HDD)向け回路基板を提供しています。2023年度はストレージ市場全体が冷え込みましたが、AI技術の普及に伴い再度成長が期待されています。HDDの記録密度を大幅に向上させる新技術向け回路基板も立ち上がり、業界の継続成長に貢献してまいります。また、HDD向け回路基板を応用したスマートフォン向け「高精度基板」を展開しており、プリント回路基板における生産能力拡大を進めています。

新しい市場への挑戦では、当社グループ独自の多孔化技術を用いた低誘電基板を開発し、高速信号伝送向けのフレキシブル回路基板の上市に向けて活動中です。

情報通信領域においては、高速大容量通信を変革するプラスチック光ファイバーケーブルを開発し、量産体制を整えVRゴーグル用途向けに出荷を開始しました。

環境配慮に対する取組みでは、回路基板製造時の環境負荷低減を可能にする新たな廃液処理技術を開発し、自社製品への適用を推進してまいります。

当連結会計年度における研究開発費の金額は14,735百万円です。

(3)ヒューマンライフ

ライフサイエンス関連では、東北事業所での2024年度新工場立上げに向け、核酸プロセス材料の製造能力増強を目的としたプロセス開発を実施しています。一方、製薬企業様からの環境負荷低減の要望が本格化しました。以前から溶剤削減の取組みを行っていましたが、核酸プロセス材料に加え核酸医薬品原薬の製造プロセスにおける環境負荷物質を減らす、代える、無くす技術開発テーマを実装に向けて加速します。品質向上、コスト低減と併せ、競合との差別化を図っていきます。

医療材事業でも環境負荷物質を低減した製品の上市を図るとともに、予防・早期治療につながる技術開発の取組みを引続き、推進していきます。

分離膜・メンブレン関連では、滋賀事業所において生産工程で使用される有機溶剤のDMF(ジメチルホルムアミド)の回収再利用を進めています。2023年度には工場で使用するDMFの約80%を、RO膜と蒸留操作により再生し再利用できるまでに至りました。さらに、2022年度からは神戸大学とのNEDOエネルギー・環境新技術先導研究プログラム「産業廃水からの革新膜による有機資源回収」において、当社グループRO膜と神戸大学の革新膜を用いた新しいシステムにより、エネルギー消費を従来の蒸留法に比べ約1/50に低減できる画期的なシステム開発にも取り組んでいます。

今後も社会的ニーズにあわせた製品開発を進めるとともに環境に優しい分離技術で水資源の循環、お客様の生産工程での省エネ、CO2排出量削減に貢献してまいります。

パーソナルケア材料関連では、フィルム技術と不織布技術をコア技術とし、おむつ部材などの衛生材料製品の開発を行っています。地球環境に貢献できる完全無溶剤の接着・ラミネーションや加工技術・バイオマスや生分解性材料を用いた製品創出で、消費者様がより快適に、より安全にお使いいただける衛生材料のイノベーションに寄与できるよう、市場の最先端で挑戦してまいります。

また、機能性フィルム・不織布の製造技術を社内外へ用途展開することで、衛生材料以外の事業展開を積極的に促進いたします。製品設計活動を社内で密接かつ迅速におこなえることから、新事業の開拓並びに事業成長のシナジー活動に注力してまいります。

当連結会計年度における研究開発費の金額は6,833百万円です。

(4)その他

新規事業関連では、デジタルヘルス領域や次世代半導体領域など新しい領域に向けて様々な製品を開発しています。当連結会計年度、デジタルヘルス領域において、使い切り仕様ホルター心電計のパイロット販売を継続しています。

当連結会計年度における研究開発費の金額は4,022百万円です。

2022年3月 2023年3月 2024年3月
研究開発 37,271 40,175 43,485
売上対比 4.4% 4.3% 4.8%
単位:百万円

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