日清食品ホールディングス(株)
事業内容(抜粋)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、持株会社制を採っており、即席めんを主とするインスタント食品の製造及び販売を中核として、その他食品事業、物流業等の周辺事業への展開を図っております。海外においても、現地子会社及び関連会社による即席めん等の製造・販売やこれら現地法人に対する技術援助などにより業域を拡大しております。
経営成績
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
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売上高 | 569,722 | 669,248 | 732,933 |
営業利益 | 46,614 | 55,636 | 73,361 |
財政状態
2024年3月 | |
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親会社所有者帰属持分比率 | 60.7% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
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日清食品 | 32% | 13% |
明星食品 | 6% | 6% |
低温・飲料事業 | 13% | 8% |
菓子事業 | 12% | 5% |
米州地域 | 22% | 13% |
中国地域 | 9% | 12% |
その他 | 7% | 8% |
設備投資(抜粋)
当連結会計年度の設備投資の総額は、74,968百万円となり、その主な内容は次のとおりであります。
日清食品㈱では、新工場用地取得及び各工場における生産性向上のための設備投資を行っております。また、米国日清では、米国における3番目の生産拠点として、米国サウスカロライナ州グリーンビル工場の建設を進めております。その他、グループ各社において、生産対応工事や生産能力増強を目的とした新ラインの立ち上げ及び新製法対応工事等を中心に実施いたしました。
なお、これらに要した資金は、主に自己資金及び借入金により充当しております。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
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設備投資 | 28,309 | 32,718 | 74,968 |
減価償却費 | 28,240 | 29,198 | 31,262 |
研究開発(抜粋)
(1)日清食品
「EARTH FOOD CREATOR」というグループ理念に基づき、即席めんを中心とした商品開発、健康と栄養に関する基礎・応用研究及び環境保全対策の研究を行っております。即席めんでは、「カップヌードルPRO」に続きたんぱく質15g、糖質30%オフ、食物繊維2/3日分を配合した「日清のどん兵衛PRO」を発売いたしました。健康関連では見た目や美味しさはそのままにカロリーや塩分、糖質、脂質、蛋白質などがコントロールされ、日本人の食事摂取基準で設定された必要な33種類の栄養素をバランスよくすべて摂取できる完全栄養食の開発を行い、「日清焼そば U.F.O」ブランドでの焼きそば、「日清カレーメシ」シリーズ、即席スープへとさらに商品拡大させております。
環境関連では、石油化学由来のプラスチック削減のため「カップヌードル ビッグ」で採用していたプラスチック製の“フタ止めシール”を廃止いたしました。また、PSP (発泡スチレンシート) カップの一部を対象に、容器を成型する過程で生じた端材を回収し、リサイクル材料として再利用したカップの生産を行なっており、石油化学由来のバージン原料の削減を行っております。その他、謎肉などの「大豆たんぱく加工」で培った技術を駆使してリアルな食感、リアルな見た目を追求した“プラントベースうなぎ”の開発、将来的な食糧危機や地球温暖化解決の一助と期待される代替肉の開発や「培養肉」の研究(東京大学と共同研究)、パーム油を代替する酵母生産油脂の研究にも取り組んでおります。グローバルイノベーション研究センターでは、この他にも菓子類の開発や、商品開発を支える取り組みとして本格的な美味しさを低コストで実現するために調味料や天然香料の研究開発や味覚受容体などの基礎研究を行っております。今後も新しい技術開発を進め、お客様のニーズに迅速に応えるべく付加価値の高い商品開発を行ってまいります。
(2)明星食品
コーポレートスローガン「おいしさ、キラリ☆」に加え、「からだ、キラリ☆」と「地球、キラリ☆」を研究開発テーマとして掲げ、商品開発を進めております。顧客の様々なニーズに対応するために、「明星五重塔戦略」と題した戦略で、5つの異なる価格帯の商品ラインアップを展開いたしました。
その一環として、2023年7月には主力商品「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」のふりかけのソースを強化し、三枚看板ソース(ソースねり込み麺、液体ソース、ソースふりかけ)としてリニューアル販売いたしました。同じく主力商品である「明星 チャルメラ しょうゆラーメン」は、2023年7月のリニューアル発売で、新たにホタテだしをめんに練り込むことで、スープ、スパイスにも入っているホタテだしと共に、「旨味と香りの三重奏」を表現できるようにいたしました。また、技術革新により、ノンフライめんの質を向上させる「新・生めん風3層極太製法」を開発し、これを用いて麺質が大幅に改良された「明星 麺神カップ 家系豚骨醤油/肉野菜味噌」を2023年9月に市場に投入いたしました。健康志向の商品として、2024年3月には低糖質でPFCバランスに優れた「明星 ロカボNOODLESおいしさプラス」シリーズを一新し、さらに286kcalで低糖質な「明星 ロカボNOODLESおいしさプラス コク旨ソース焼そば」を追加いたしました。環境に配慮した取り組みとして、2023年9月のリニューアル発売の「明星 中華三昧」袋めんシリーズの個包装を紙マーク化対応とし、環境負荷の低減を図っております。
(3)低温・飲料事業
(チルド食品)
当社独自の「おいしさ長持ち製法」で一部生めん商品の賞味期限を冷蔵50日から60日へ延長、また、常温保存できる商品の拡充により、冷蔵コーナー以外の通販やお土産市場での販売が可能になり取り扱いチャネルが拡大いたしました。賞味期限を更に延長することで食品ロス率を低減し、トレーなし商品の拡充によりプラスチック原料を削減しております。
「日清Spa王 喫茶店のナポリタン/たらこバター醤油」は、喫茶店で味わえるレトロなメニューがフライパンで炒めるだけで味わえると大変好評を頂いております。各ジャンルの主力ブランドから「行列のできる店のラーメン 鳥取牛骨醤油/仙台辛味噌」、「日清の細麺焼そば 香る濃厚甘旨ソース」、人気ラーメン店監修の「人類みな麺類 貝だし醤油らーめん」「五ノ神製作所 濃厚海老つけ麺」「AFURI 冷やし柚子醤油つけ麺」などを新発売いたしました。アレンジを楽しめる素材めんとスープパック商品「麺の達人」「スープの達人」に加え「日清のどん兵衛のおいしいふっくらおあげ/サクサク天ぷら」の具材も拡充いたしました。今後も、外食品質の本格的な商品や環境に配慮した地球にやさしい商品の開発、多様化するお客様のニーズに応える新価値の創造など、新技術や新製品の研究・開発に努めてまいります。
(冷凍食品)
冷凍食品の強みを活かした「簡単に調理できる本格的な美味しい料理」を、中華めん、パスタ、和物、米飯ジャンルからバラエティ豊かな商品の開発に取り組んでおります。
中華めんでは、どろっとした粘度のある濃厚なスープが特徴の「冷凍 日清ごくり。 濃厚魚介豚骨ラーメン」、当社独自の「生麺ゆでたて凍結製法」で、ゆでたて直後の麺の風味をより一層味わえる素材めんの「冷凍 日清本麺 MATCH中華そば醤油/塩」を新開発いたしました。パスタでは、「冷凍 日清もちっと生パスタ 濃厚きのこクリーム/旨辛ペペロンチーノ」「冷凍 日清スパ王プレミアム じゃこと梅の香味醤油/バター香るたらこ」、和物では、満足感のある具が特徴の「冷凍 日清のどん兵衛 ごぼう天うどん/あさりうどん」、たまごをのせる新提案商品「冷凍 日清まぜ麺亭 たまごかけまぜそば」、米飯では、「冷凍 日清の沖縄炊き込みご飯風 じゅーしー」「冷凍 日清 麺屋の炒飯 王道家監修 豚骨醤油炒飯」「冷凍 日清 麺屋の炒飯 五ノ神製作所監修 海老味噌炒飯」などの新メニューを開発いたしました。これからも、「本格的な美味しさ」と「調理の簡便化」の研究開発を続け、お客様のニーズにお応えしてまいります。
(飲料)
日清ヨーク㈱においては、開発研究所が関東工場内にあるという立地を生かし、スピード感をもって新商品やリニューアル品開発を行うと共に、乳酸発酵に関する研究を行なっております。開発商品群としては、発酵乳、乳製品乳酸菌飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料があり、「みんなイキイキ!」のコーポレートスローガンのもと、主力の「ピルクル」、「十勝のむヨーグルト」ブランドの一層の強化とともに、当社のコア技術である発酵技術を生かした高付加価値製品の開発にも注力し、美味しく健康に役立つ商品の開発を行っております。
乳製品乳酸菌飲料では、昨年発売して大ヒットした「ピルクル ミラクルケア」に続いて、「血中の中性脂肪の低減に役立つ」、「食後の血糖値の上昇抑制を助ける」、「便秘気味の方の便通改善」の3つの効果が期待できる機能性表示食品「ピルクル 健康サポート」を発売いたしました。また、CVS(コンビニエンスストア)向け「ピルクル 400」のエクステンションとして「フルーツリッチピルクル マンゴー」、「ピルクル プレミアムクリーミー 白桃」を発売し、細分化するお客様の嗜好や健康意識に対応した商品ラインアップを揃えることで、ピルクルブランドの活性化と価値の向上に努めてまいりました。
発酵乳では、十勝のむヨーグルトシリーズを2023年秋にリニューアル発売いたしました。「腸内環境を改善」する機能性表示食品「十勝のむヨーグルト」は「プレーン」「ブルーベリー」「いちご」の定番フレーバーに加えて、季節ごとに「白桃」「マンゴー」「マスカット」「みかん」の期間限定フレーバーを発売し、ブランドを活性化いたしました。また、糖質を気にされるお客様向けの「糖質オフ」も含めてブランドとしての品揃えを充実させました。さらに、コップ一杯 (180g) あたり乳酸菌NY1301株を600億個含んだ“睡眠の質を改善し、日常生活の疲労感を軽減” する機能性表示食品「ピルクル ミラクルケア のむヨーグルト」を2023年秋に発売いたしました。
(4)菓子事業
㈱湖池屋は、「湖池屋プライドポテト」、「PURE POTATO」、「湖池屋ストロング」等の高付加価値ブランドを中心として、社会変化・生活変化・意識変化に対応した新市場創造型の商品開発に取り組んでおります。
新商品として、「栄養とおいしさの完全なバランスを追求したスナック菓子」という新たな価値を提供したいとの思いから、当社と共同開発した「完全メシ」シリーズでは初となるスナック菓子「完全メシ カラムーチョ ホットチリ味」や、食の“分食化”に対応したスナック感覚で手軽に食べられる“新しい食の選択肢”として、料理のような味わいの甘くないパイ「ランチパイ」ブランドを立ち上げております。更に、1962年の「湖池屋ポテトチップス のり塩」の誕生以来、“日本産じゃがいも”にこだわり続ける日本の老舗として、じゃがいもを育む畑から考える究極のポテトチップス「KOIKEYA FARM」プロジェクトを始動し、第一弾商品として「KOIKEYA FARM 黄金の果肉」を発売いたしました。
また、企業におけるSDGs推進活動の一環として地域とともにテーマに取り組み、商品を通じた社会貢献を目指すプロジェクトである「湖池屋プライドポテト JAPAN」では、昨年に引き続き、「小豆島」、「神戸」、「熊本」、「宗像」、「金沢」に新たに「京都」を加えた6地域において、各地域の貢献・振興に沿った企画を実施いたしました。
今後も「食でくらしをゆたかに。」をテーマに、社会に貢献する食のイノベーションの実現に向けた商品・ブランド・コミュニケーションの開発を続けてまいります。
日清シスコ㈱は、“もっと楽しく、健やかに”をモットーに、品質と健康機能を両立させた商品開発に尽力しております。
シリアル部門では、夏の朝食市場に革新をもたらす「ごろグラ ソルティレモン」を発売し、瀬戸内産レモンと塩を用いた爽やかな味わいを提供いたしました。糖質を意識する消費者に向けては、「ごろグラ 糖質50%オフ 彩り果実」をリニューアルし、健康志向の高い製品を展開しております。また、ごろグラシリーズは発売10周年を記念し、2024年3月に具材を増量した新たなバージョンへと進化いたしました。特筆すべきは、当社独自のシリアル製造技術を活かした「おいしいオートミール 新ごはん」の開発であります。この製品は、オートミールを米粒のような形状に加工することで、従来のオートミールにはないもちもちとした食感を実現いたしました。レンジで加熱するだけで、簡単に本格的な食感を楽しむことができる点が、技術的な優位性として大きく評価されております。加えて、新しい食体験を提供する「おいしいオートミール 新フレーク」も発売し、多様な食感の追求を続けております。
菓子カテゴリーでは、「ココナッツサブレ」と「ビアードパパ」とのコラボレーションによる新味を市場に投入いたしました。68周年を迎えた「エースコイン」シリーズは、おからのアップサイクルを取り入れた環境配慮型商品へと進化いたしました。また、夏季限定の「チョコフレーク 冷酷チョコミント」は、その清涼感で夏の暑さを和らげる一助となっております。
当社グループの研究機関であるthe WAVEと協力しながら、日清シスコ㈱はグループ独自のオリジナリティあふれるシリアルと菓子の開発に励んでおります。お客様の期待を超える商品を創出するため、今後も取り組みを続けてまいります。
(5)食品安全や環境経営、栄養改善への取組み
グローバル食品安全研究所では、食品安全に関する先進研究として新規危害物質の探索・合成・分析法や、健康影響を評価する細胞試験法などを確立してまいりました。2021年12月に開催された東京栄養サミットにおいて、食物アレルゲン推奨表示項目の一斉分析法の開発とその運用をコミットメントの一つとして発表し、分析法の開発を行っております。2023年度から製品検査への運用を開始しております。また、2023年3月の食品表示基準改正により新たに特定原材料に指定された「くるみ」のPCR検出技術を開発し、くるみを含む食品の検査方法として通知法に採用されております。
さらに、当社グループの事業分野拡大やグローバル化に対応し、国内事業を対象に実施していた各工場と研究所による製品検査の二重管理体制、及び分析技術の精度管理試験を通じた集中管理体制について、新規事業や海外事業へも拡大しております。今後も、海外・新規事業での品質保証体制への支援強化を継続し、新規分析法や迅速検査法の確立によりグループ事業全体の食品安全向上に貢献してまいります。
製品や原料の生産現場における調査・監査体制につきましては、独自に定めた日清食品食品安全監査基準NISFOS(Nissin’s Inspection Standards for Food Safety)による製造環境の調査を通じて改善を図っております。2022年にはIRCA(International Register of Certificated Auditors)より、NISFOSがISO22000規格と同等以上の監査規格であると認定されております。これを用いた監査により、今後も各工場における品質・食品安全管理を強化してまいります。
さらに、持続性のある地球環境を維持するためのCSV経営推進のための取り組みとして、当社独自の環境活動検査基準RISEA(Food Safety Research Institute’s Inspection Standards for Environmental Activities)による調査を通じて、グループ工場における環境関連法規への遵守状況や、省エネルギーによる温室効果ガス削減及び資源3R(抑制:Reduce、再利用:Reuse、再資源化:Recycle)などに関連する環境活動を評価しながら改善を図っております。
当社グループの環境戦略である「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」の目標達成に向け設置されたサステナビリティ委員会及び環境ワーキンググループの事務局としての活動は、その重要性を増しております。加えて、2022年11月には、森林破壊などによる自然や生物多様性の減少をプラスに回復させる「ネイチャーポジティブ (Nature Positive)」に向けた活動を推進し、2050年までにCO2の排出量と吸収量を “プラスマイナスゼロ” にする「カーボンニュートラル」の達成を目指すことを宣言いたしました。2023年5月にはCO2削減目標を上方修正し、インターナルカーボンプライシング制度を導入することで、目標達成に向けた取り組みを加速しております。
CO2削減、プラスチック、水資源保全、食品廃棄物、資源循環など様々な環境課題に対し、データ解析など研究所としての視点と、工場や製品開発部門などの現場とも連携し、目標達成のロードマップ策定と施策を立案・実行することにより、当社グループのCSV経営の推進に寄与できるよう取り組んでまいります。
2023年9月には環境推進部をサステナビリティ推進部に発展させ、従来の環境問題対応に加え、栄養改善と食品安全に戦略的に取り組む体制を構築いたしました。2024年2月には栄養戦略の基本的な方針である栄養ポリシーを策定し、栄養改善のツールとして製品の栄養価をスコア化する独自の栄養プロファイリングシステム:NISSIN-NPSを開発、運用開始しております。
グローバル食品安全研究所での上記の様々な活動により、食物アレルゲン検査法開発やリスク評価手法開発について大学や公的機関と共同研究を推進し、2023年度には学会発表6件、学術論文1報の学術的成果も創出しております。
当連結会計年度の研究開発費は10,845百万円であります。
なお、当社グループの研究開発費用は、報告セグメント別に区分することが困難であるため総額で記載しております。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
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研究開発 | 10,127 | 11,353 | 10,845 |
売上対比 | 1.8% | 1.7% | 1.5% |