日産化学(株)
事業内容(抜粋)
当社グループ(当社および当社の関係会社)は、連結財務諸表提出会社(以下「当社」という。)および子会社34社、関連会社10社により構成されております。
<化学品事業>
●主要製品・事業
基礎化学品(メラミン※2022年6月生産停止、硫酸、硝酸、アンモニア等)
ファインケミカル(封止材用等特殊エポキシ、難燃剤、殺菌消毒剤等)
●事業を構成する会社
当社、その他会社 1社
(会社総数 2社)
<機能性材料事業>
●主要製品・事業
ディスプレイ材料(液晶表示用材料ポリイミド等)
半導体材料(半導体用反射防止コーティング材等)
無機コロイド(電子材料用研磨剤、各種表面処理剤等)
●事業を構成する会社
当社、NCK Co., Ltd.、Nissan Chemical America Corporation、その他会社 2社
(会社総数 5社)
<農業化学品事業>
●主要製品・事業
農薬(除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、植物成長調整剤)
動物用医薬品原薬
●事業を構成する会社
当社、
Nissan Chemical Europe S.A.S.
Nissan Bharat Rasayan Pvt., Ltd.
その他会社 10社
(会社総数 13社)
<ヘルスケア事業>
●主要製品・事業
高コレステロール血症治療薬原薬
ファインテック(課題解決型受託事業)
●事業を構成する会社
当社
(会社総数 1社)
<卸売事業>
●主要製品・事業
化学品の卸売等
●事業を構成する会社
日星産業㈱、
その他会社 10社
(会社総数 11社)
<その他の事業>
●主要製品・事業
肥料(高度化成等)、造園緑化、運送、
プラントエンジニアリング、硫酸の製造等
●事業を構成する会社
日本肥糧㈱、日産物流㈱、日産緑化㈱、
日産エンジニアリング㈱、NC東京ベイ㈱
その他会社 11社
(会社総数 16社)
経営成績
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 207,972 | 228,065 | 226,705 |
営業利益 | 50,959 | 52,283 | 48,201 |
財政状態
2024年3月 | |
---|---|
自己資本比率 | 70.3% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
化学品事業 | 9% | 0% |
機能性材料事業 | 26% | 27% |
農業化学品事業 | 27% | 28% |
ヘルスケア事業 | 2% | 45% |
卸売事業 | 31% | 4% |
その他の事業 | 4% | 2% |
設備投資(抜粋)
当連結会計年度は、機能性材料事業を中心に総額23,204百万円(検収ベース)の設備投資を実施いたしました。
機能性材料事業におきまして、韓国現地法人NCK Co.,Ltd.における半導体材料製造設備の新設を中心に、9,441百万円の設備投資を実施いたしました。
農業化学品事業におきまして、小野田工場における農薬原体製造設備の新設を中心に、6,831百万円の設備投資を実施いたしました。
なお、化学品事業、ヘルスケア事業、卸売事業およびその他の事業におきまして、重要な設備投資はありません。
また、当連結会計年度におきまして、重要な設備の除却、売却等はありません。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
設備投資 | 10,951 | 20,272 | 23,204 |
減価償却費 | 10,119 | 10,878 | 13,700 |
研究開発(抜粋)
当社グループは、新長期経営計画Atelier2050、および新中期経営計画Vista2027を2022年度より開始いたしました。「未来のための、はじめてを+D40究開発の高速化、高度化とともに、研究員のデジタルリテラシーの向上に取り組んでいます。また、生物科学研究所を中心に微生物の活用を始めとする微生物制御技術の育成を進めており、微生物由来の農業資材や有用化合物探索への適用を検討しています。
当社グループは、物質科学研究所、材料科学研究所、生物科学研究所の3つの国内の研究所を中心に、これら国内の研究所と、韓国、台湾、中国のR&Dセンターにおいて研究活動を行っています。それぞれの研究所、R&Dセンターが連携し、既存事業拡大に向けた開発や新技術の開発を進めております。
2023年度の研究開発活動の概要につきまして、化学品セグメントでは、自社製品や技術をベースとして独自エポキシを半導体実装用途や高周波基板用途に展開しております。また、SDGsへ貢献可能な微生物製剤「ビーナス®オイルクリーン」は、優れた油脂分解力で食品工場の産業廃棄物削減に寄与しております。
機能性材料セグメントでは、ディスプレイ材料、半導体材料、無機コロイドで既存製品の高品質・高性能グレードに向けた検討を、また、多様化する顧客ニーズに応えた将来の主要事業とすべく新規材料の研究開発を進めております。ディスプレイ材料では光配向材の更なる高性能化に加えて、OLEDやマイクロLED、フレキシブルデバイス用材料の開発を、半導体材料では既存製品の高品質化とともに今後の世代で必要になる微細加工技術や実装技術の積極的な開発を、無機コロイドではシリカゾルの持つ強みを活かした材料開発を行っております。
農業化学品セグメントでは、当社オリジナルの殺虫剤原体「フルキサメタミド」を含有する製品において、野菜、茶、芝向けに続く、果樹用の「フロアブル」を上市しました。水稲用除草剤原体「ジメスルファゼット」、「イプトリアゾピリド」の開発も進めております。スマート農業関連では、ドローン散布への農薬登録の拡大やAI病害虫雑草診断でスマートフォン用アプリケーションへの参加などに取り組んでおります。
ヘルスケアセグメントでは、中分子医薬品の技術開発の取り組みを拡大しており、独自の核酸構造を用いた創薬基盤技術について、数社の製薬企業や国内外のアカデミアとの共同研究により、核酸創薬研究を広く展開しております。また、ペプチド医薬品原薬の供給については、独自の製造技術 SYNCSOL®を活用して安価で高品質な長鎖および環状ペプチドの大量製造が可能となり、顧客ニーズや課題に合致したソリューションを提案しております。更にジェネリック医薬品原薬や再生医療材料の開発に注力し、事業の拡大を図ってまいります。
なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は17,334百万円であります。
セグメント別の主な内訳は以下の通りであります。
(1) 化学品セグメント
化学品事業では、成長分野の市場ニーズを見据え、自社製品・技術をベースとした新しいファインケミカルの創出、高機能化、用途拡大に取り組んでおります。機械物性と耐熱信頼性を両立する液状エポキシ「TEPIC®-VL」、「TEPIC®-FL」を半導体実装用途に、低誘電正接エポキシ「FOLDI®」を高周波基板用途に展開しております。樹脂添加剤「スターファイン®」は金属基材との密着力を高めることができ、塗料、接着剤、樹脂成型品など採用シーンが拡がっております。
また、SDGsへ貢献可能な製品の市場開発も進めております。油脂分解力に優れる微生物製剤「ビーナス®オイルクリーン」の採用件数を増加させており、食品工場の産業廃棄物削減に寄与しております。
当セグメントに係る研究開発費は256百万円であります。
(2) 機能性材料セグメント
機能性材料セグメントは、船橋、袖ケ浦、富山の3拠点を有する材料科学研究所において、ディスプレイ材料、半導体材料、無機コロイドの研究開発、および将来の事業の柱となる新規材料の研究開発を実施しております。
ディスプレイ材料では、市場・顧客動向を的確に把握し、これまで培ってきた独自技術をもとに、高性能化、多様化に対応した材料開発に取り組んでおります。特に、IPS/FFS用光配向材では、各種用途での要求に応じ、更なる高性能化を進めております。また、韓国,中国,台湾にR&Dセンターを設置しており、材料開発,評価技術,解析能力の充実度を高め、顧客ニーズにタイムリーに対応できるよう体制強化を図っております。
半導体材料では、半導体デバイスの高集積化の進展に伴い、既存製品の高品質化を進めるとともに、先端リソグラフィー技術のEUVに対応した下層膜材料開発、および実装技術に対応する製品・材料の研究開発に注力しております。また、このような新製品・新材料の創出に向け、各種コンソーシアムへの参加や、産官学およびベンチャー企業との連携に取り組んでおります。
無機コロイドでは、シリカゾルの持つ機能を活かし、研磨、金属表面処理、ハードコート等向けの製品開発や市場開拓を展開しております。シリカゾル以外では、ジルコニアやチタニアのゾルをスマートフォンやタブレット用の光学フィルムの屈折率調整用途や眼鏡用ハードコート用途向けに開発しております。また、近年はオイル&ガス分野での製品開発に取り組んでおり、米国のみならずアジアや中東地域等への展開を図っております。
新規材料については、当社のコア技術を深化・発展させると同時に、社外との共同研究を活用して、本格的な市場拡大が進んでいるOLED向けの材料やディスプレイの表示性能を向上させる材料、フレキシブルデバイス向けの材料など、次世代につながる材料の研究開発を進めております。
当セグメントに係る研究開発費は8,172百万円であります。
(3) 農業化学品セグメント
当社が独自に創薬開発した殺虫剤原体「フルキサメタミド」を含有する製品としては、日本では、野菜および茶向けの「グレーシア®乳剤」、芝用の「イザナミ®フロアブル」に続いて、果樹用の「グレーシア®フロアブル」も上市しました。海外では、アジア・中東・西アフリカ地域での登録を進めており、ここ最近では、2023年12月にはベトナム、2024年4月にはバングラデシュでも登録されました。また、更なる販売拡大を目的に、インドでは混合剤も2剤を登録致しました。
抵抗性、難防除雑草に卓効を示す水稲用除草剤「ベルダー®(原体名:ジメスルファゼット)」は国内を中心に、韓国でも開発を行っております。グローバルな展開が期待される新規水稲用除草剤「NC-656(原体名:イプトリアゾピリド)」についても、アジア・米州中心に開発が進んでおり、更に評価・開発国を拡大しております。
水稲用除草剤「アルテア®(原体名:メタゾスルフロン)」は、国内においては、高性能な混合剤「ディオーレ®」および「流星®」を一発処理剤第3世代製品として2021年より販売を開始し、次世代製品も開発も進めております。海外においては、2021年度に本格上市した台湾では、抵抗性カヤツリグサを対象として、販売は順調に推移しています。2022年2月には水稲面積(延べ栽培面積)が11,692千ヘクタールのバングラデシュで登録を取得し、2022年11月に販売を開始しました。更にインドでも登録申請し、東南アジア諸国ならびに中東地域では評価試験を継続します。
非選択性茎葉処理除草剤「ラウンドアップ®マックスロード」は、散布水量を低減させるULV5(Ultra Low Volume 5 Litter)散布技術の開発を進め、使用場面に応じた各種ノズルを販売して作物生産や緑地管理の省力化に貢献しております。
その他海外開発では、殺ダニ剤「スターマイト®」がベトナム、殺菌剤「ライメイ®」がホンジュラスで認可されました。
また、スマート農業関連では、ドローン用散布への農薬登録拡大を進めるとともに、AI病害虫雑草診断「レイミ―*」にも参加しています。
当社発明化合物フルララネルを含む、MSD Animal Health社(またはMerck Animal Health社)の製品は外部寄生虫ノミ・マダニ防除用のイヌ・ネコ用経口投与錠剤(ブランド名:Bravecto®)を中心に日本を含め世界100か国以上で販売されております。近年では、内部寄生虫薬とのネコ用混剤「Bravecto® PLUS」や8週齢以上の子犬向けの「Bravecto® 1-Month Chews」をはじめ、犬用注射剤「Bravecto® Quantum」等ペット向け製品ラインアップを充実させています。家畜向け製品(ブランド名:Exzolt®)としては、ニワトリに寄生するワクモ(吸血ダニの一種)防除用飲水添加剤が、日本を含むアジアのほか、欧州、南米、アフリカ、中東で承認され、登録国数は70か国を超えました(2024年4月現在)。また、ブラジル、メキシコを中心としたウシ向けノミ・マダニ防除剤、オーストラリア、ニュージーランドでのヒツジ向けシラミ防除剤としても販売されています。
当セグメントに係る研究開発費は4,306百万円であります。
*レイミ―:日本農薬株式会社発表のスマートフォン用アプリケーション。当社は他2社と共に参加。
**ブラベクト®、Bravecto®、Exzolt®およびエクゾルト®は、Intervet International B.V.およびIntervet Inc.の登録商標です。
(4) ヘルスケアセグメント
当社独自の核酸構造を用いた創薬基盤技術を活用した製薬企業数社との共同研究が順調に進捗し、複数のプロジェクトでテーマが進展するなど、提携を拡大させております。2019年より実施してきました株式会社三和化学研究所とのアンチセンス核酸創薬共同研究においては開発候補化合物の選定に成功するとともに新たに包括的提携契約を締結、戦略的に複数の新規核酸医薬品の創製に取り組んでまいります。また、国内外のアカデミアと新規標的遺伝子に対する共同研究を進めているとともに、ルクサナバイオテク㈱の保有する修飾核酸群(XNA)について、創薬研究利用に関するライセンス許諾を受けるなど、その提携の範囲を拡げております。
安価で高品質な直鎖状および環状ペプチドの製造技術 SYNCSOL®の実用化を目的として、それらを駆使した医薬品原薬および周辺医療用材料への展開を図っております。本技術をペプチスター㈱との協業に活かしていくとともに、顧客の抱える課題を解決することで事業を拡大してまいります。
モジュラス㈱との低分子医薬品に関する戦略的業務提携では、モジュラス㈱の開発化合物について当社の原薬開発・製造技術およびノウハウを提供し、協働してその開発を推進しております。今後、共同で製薬企業への導出を目指します。
更に高生理活性やペプチドジェネリック医薬品原薬の新規開発、および生体物質付着防止材料 prevelex®や細胞培養材料 FCeM®などの再生医療材料の開発に注力して、事業の拡大を図ってまいります。
当セグメントに係る研究開発費は440百万円であります。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
研究開発 | 16,023 | 16,838 | 17,334 |
売上対比 | 7.7% | 7.4% | 7.6% |
従業員の状況(抜粋)
提出会社の状況
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
従業員数 | 1,929名 | 1,959名 | 2,011名 |
平均年齢 | 40.2歳 | 40.2歳 | 40.4歳 |
平均勤続年数 | 15.8年 | 15.7年 | 15.7年 |
平均年間給与 | 8,147,376円 | 8,257,077円 | 8,439,283円 |
連結会社の状況
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
従業員数 | 2,737名 | 2,965名 | 3,137名 |
1人あたり売上高 | 76.0百万円 | 76.9百万円 | 72.3百万円 |