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川崎重工業(株)

事業内容(抜粋)

当社グループは、当社(提出会社)、子会社129社及び関連会社(共同支配企業を含む)28社により構成されており、当社を中心として航空宇宙システム事業、車両事業、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業、パワースポーツ&エンジン事業及びその他事業を営んでいます。これらの6事業区分はセグメント情報の報告セグメントの区分と同一です。

当社グループの主な事業内容と当社及び主要関係会社の位置づけを概説すれば、以下のとおりです。

[主な事業内容]

航空宇宙システム事業

航空機、航空機用エンジン、宇宙関連機器等の製造・販売

車両事業

鉄道車両、除雪機械等の製造・販売

エネルギーソリューション&マリン事業

エネルギー関連機器・システム、水素関連設備、舶用推進関連機器・システム、プラント関連機器・システム、船舶、破砕機等の製造・販売

精密機械・ロボット事業

油圧機器、産業用ロボット等の製造・販売

パワースポーツ&エンジン事業

二輪車、オフロード四輪車(SxS、ATV)、パーソナルウォータークラフト(PWC)「ジェットスキー」、汎用ガソリンエンジン等の製造・販売

その他事業

商業、販売・受注の仲介・斡旋、福利施設の管理等

[当社及び主要関係会社の位置づけ]

航空宇宙システム事業

当社で製造・販売を行っているほか、日本飛行機㈱(連結子会社)が独自に製造・販売並びに製造の一部分担を行っています。

車両事業

川崎車両㈱(連結子会社)で製造・販売を行っているほか、海外向け鉄道車両についてはKawasaki Rail Car, Inc.(連結子会社)が一部の製造・販売を、Kawasaki Motors Manufacturing Corp., U.S.A.(連結子会社)が一部の製造を行っています。

エネルギーソリューション&マリン事業

当社で製造・販売を行っているほか、川重冷熱工業㈱(連結子会社)がボイラ及び空調機器の製造・販売を独自に行い、㈱カワサキマシンシステムズ(連結子会社)が産業用ガスタービンの販売を、㈱アーステクニカ(連結子会社)が破砕機等の製造・販売を、安徽海螺川崎工程有限公司(持分法適用関連会社)他が産業機械、環境装置等の製造・販売を、南通中遠海運川崎船舶工程有限公司、大連中遠海運川崎船舶工程有限公司(いずれも持分法適用関連会社)が独自に船舶の製造・販売を行っています。

精密機械・ロボット事業

当社で製造・販売を行っているほか、Flutek, Ltd. (連結子会社)他が油圧機器の製造・販売を、川崎精密機械(蘇州)有限公司(連結子会社)他が製造を、川崎精密機械商貿(上海)有限公司(連結子会社)他が販売を独自に行っています。また、Kawasaki Robotics (USA) Inc.、川崎機器人(昆山)有限公司、川崎機器人(天津)有限公司(いずれも連結子会社)他が産業用ロボットを、㈱メディカロイド(持分法適用関連会社)が医療用ロボットの製造・販売を行っています。

パワースポーツ&エンジン事業

カワサキモータース㈱(連結子会社)で製造・販売を行っているほか、製造については二輪車、オフロード四輪車(SxS、ATV)、PWC「ジェットスキー」、汎用ガソリンエンジンをKawasaki Motors Manufacturing Corp., U.S.A.、Kawasaki Motors Enterprise (Thailand) Co., Ltd.(いずれも連結子会社)他がそれぞれ製造しています。また、販売面においては、国内向け二輪車他を㈱カワサキモータースジャパン(連結子会社)が、海外向け二輪車他をKawasaki Motors Corp., U.S.A.、Kawasaki Motors Europe N.V.、Kawasaki Motors (Phils.) Corporation、PT. Kawasaki Motor Indonesia(いずれも連結子会社)他が、それぞれ販売しています。

その他事業

川重商事㈱(連結子会社)他が商業を、㈱カワサキライフコーポレーション(連結子会社)他が商業及び福利施設管理等の諸事業を営んでいます。

経営成績

2022年3月 2023年3月 2024年3月
売上高 1,500,879 1,725,609 1,849,287
営業利益 45,805 82,355 46,201
単位:百万円

財政状態

2024年3月
親会社所有者帰属持分比率 23.7%

セグメント情報

売上高構成比 セグメント利益率
航空宇宙システム 21% -4%
車両 11% 2%
エネルギーソリューション&マリン 19% 8%
精密機械・ロボット 12% -1%
パワースポーツ&エンジン 32% 8%
その他事業 5% 1%

設備投資(抜粋)

当社グループでは、主にパワースポーツ&エンジン事業での増産対応のための設備や航空宇宙システム事業及び精密機械・ロボット事業での生産合理化対応のための設備を中心に設備投資を実施しました。その結果、当連結会計年度の設備投資額は、1,337億円(無形資産及び使用権資産に係るものを含む)となりました。

各セグメントにおける主な投資内容は以下のとおりです。

・航空宇宙システム 217億円(航空機及び民間航空エンジンの生産合理化対応設備など)
・車両 45億円(鉄道車両の増産対応設備など)
・エネルギーソリューション&マリン 91億円(産業機械の生産合理化対応設備など)
・精密機械・ロボット 183億円(油圧機器及び産業用ロボットの事務所棟及び生産合理化対応設備など)
・パワースポーツ&エンジン 620億円(パワースポーツ製品の増産対応設備など)
・その他 179億円(水素事業対応など)
・合計 1,337億円

(注)1 所要資金については、自己資金、借入金等によります。
2 その他事業には、全社共通設備を含みます。

2022年3月 2023年3月 2024年3月
設備投資 53,500 96,300 133,700
減価償却費及び償却費 60,853 77,374 80,982
単位:百万円

研究開発(抜粋)

当連結会計年度は、「グループビジョン2030」で描いた成長シナリオの着実な推進を見据え、各事業の足元の競争力強化や事業ポートフォリオの変革、更には「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」の注力フィールドへのチャレンジに向けた研究開発に取り組みました。

これに向けて、各事業部門と本社各部門が一体となり当社グループの技術シナジーの最大化を図るほか、社外パートナーとも連携し、最新のデジタル技術も取り入れながら、将来にわたる顧客への提供価値を高めるべく研究開発を推進しました。また、将来のカーボンニュートラルに向けては、グリーンイノベーション基金などの政府支援も活用しながら、国際的な液化水素サプライチェーンの構築を目指した商用化実証など、水素社会の早期実現を目指した取組にも注力しています。

当連結会計年度における研究開発費は533億円であり、各事業セグメントごとの主な研究開発の内容及び費用は以下のとおりです。

航空宇宙システム事業

航空宇宙事業では防衛省による抜本的な防衛力強化の方針を受け、固定翼機や回転翼機の近代化・派生型事業及び次世代練習機に向けた研究開発、新SSM等のスタンドオフ防衛能力向上に向けた研究開発、先進的なAI技術を活かした無人化、自律化の研究開発、VR等のデジタル技術を活用した教育訓練システムの研究開発に重点的に取り組んでいます。民間航空機事業ではロボットを活用した生産技術や、宇宙事業においては有人探査への参画や小型衛星開発等に向けた研究開発について推進しています。また、デジタル技術を用いた航空機設計・製造プロセス高度化にも取り組んでいます。

航空エンジン事業では、自社開発エンジンの防衛事業への展開実績を足掛かりとして、小型・軽量・高出力なエンジン(KJ300シリーズ)の実用化に向けた研究開発を推進しています。また、将来の航空エンジンに求められる環境性や高効率化を目指し、圧縮機・燃焼器技術、ギアシステム技術や革新的な生産技術に関する研究開発についても取り組んでいます。

更に、水素航空機のエンジン/燃焼システム技術や燃料タンクに関する研究開発にグリーンイノベーション基金も活用しながら取り組んでいます。

当事業に係る研究開発費は55億円です。

車両事業

非電化鉄道でのカーボンニュートラルを目指す水素を動力源とする車両システムの開発と実証に取り組んでいます。また、鉄道事業者の課題解決ニーズに応えるメンテナンス性向上、自動化・ロボット化による合理的生産技術等の開発に取り組んでいます。更に、ストック型ビジネスの拡大を目指して、各種センシング・デジタル技術を活用した車両・軌道の状態監視や診断による効率的なメンテナンスシステムの開発と実証を推進しています。

当事業に係る研究開発費は11億円です。

エネルギーソリューション&マリン事業

エネルギー事業では、ガスタービンの高効率化、ガスエンジンの次世代機、熱と電気の最適なエネルギー供給を実現する蓄電ハイブリッドシステムやエネルギー機器の信頼性向上に向けた技術開発に加え、再生可能エネルギー導入時の系統安定化効果を持つ仮想同期発電機制御技術などの研究開発に取り組んでいます。

プラント事業では、電気自動車の普及に伴い需要増が見込まれる電池の材料供給不足解消と循環型社会の促進を意図した廃リチウムイオン電池リサイクルシステムの実証などの研究開発に取り組むとともに、カーボンニュートラルの実現に向けたCO2分離回収システムの実用化開発を実施しています。

舶用推進・船舶海洋事業では、大型化する船舶の更なる安全管理と人手不足が進む乗組員の負担軽減を目指し、推進機・係船機の連携制御、運動予測モデル、センシング技術を組み合わせた自動操船支援システムの開発に取り組んでいます。

更に、水素社会の早期実現に向け、液化水素運搬船の商用化に向けた大型運搬船のための船型やタンク・燃料供給システムなどの研究開発、水素ガスタービンのラインナップ拡充、水素ガスエンジンや水素圧縮機の開発を推進しています。

当事業に係る研究開発費は64億円です。

精密機械・ロボット事業

精密機械事業では、ショベル分野における製品競争力の強化に加え、カーボンニュートラルや省人化などESGの視点から、電動化に向けた高速電動油圧ポンプユニット「K-Axle™」や、自動化/自律化に向けた将来建機油圧制御システムの開発に取り組んでいます。このほか、ショベル以外の建設機械分野や農業機械分野への拡販を見据え、小型軽量・高効率・高機能な油圧機器の開発並びにシリーズ展開も進めています。また、一般産業機械分野に向けた油圧設備の安定稼働をサポートする状態監視システムや、水素関連事業として産業車両/商用車を含む燃料電池車用高圧水素ガス弁・建設機械を含むモビリティ向け燃料電池システム・水素ステーション用油圧ブースター式水素圧縮機等の開発に取り組んでいます。

ロボット事業では、人口減少社会における人手不足への対応のため、産業用ロボット分野においては、半導体製造用ロボットや物流業界向けロボットなど、社会のニーズが特に高まっている製品の開発に取り組んでいます。また、消費電力の低減によりCO2排出量を削減する制御機能開発など、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みにも注力しています。更に、産業用ロボットだけではなく、サービス業界向けプラットフォームロボット「Nyokkey」や堅牢な体と柔軟な環境対応能力を兼ね備えたヒューマノイドロボット「Kaleido」等幅広く社会適用が可能なソーシャルロボットの開発を推進するとともに、SIer※1とベンダーの共創により、インテグレーションを効率化しロボットの社会実装を加速させるロボットデジタルプラットフォーム「ROBO CROSS」の構築に他社とも連携しながら取り組んでいます。また、医療分野へ展開している手術支援ロボット「hinotori™」の術式範囲の拡大及び都市部と地方における医療格差を改善するための遠隔手術技術実証にも取り組んでいます。

当事業に係る研究開発費は67億円です。

パワースポーツ&エンジン事業

Kawasakiのブランド力強化を目指して、電動モーターサイクルならではの環境性能と、KawasakiのDNAである“Fun to Ride”を両立した、本格フルサイズEVスポーツモデルの「Ninja e-1」「Z e-1」や、250ccクラスに匹敵する低燃費と、1000ccクラス同等の発進加速を実現した世界初※2のストロングハイブリッド二輪車「Ninja 7 Hybrid」「Z7 Hybrid」、毎日の仕事から休日のレジャーまで快適にこなせる汎用性と、ワンランク上の上質感を兼ね備えたオフロード四輪の新ラインナップ「RIDGE」「RIDGE XR」シリーズを追加する等の新機種開発を行いました。また、EVやHEVにとどまらず、水素エンジンなどの内燃機関エンジンを含めカーボンニュートラル社会の実現に向けた多様な選択肢に挑戦するとともに、2030年以降の更なる成長を見据え、パワースポーツ向けエンジンのノウハウを活かした航空機用レシプロエンジンの開発にも取り組んでいます。

当事業に係る研究開発費は200億円です。

本社部門・その他

社長直轄プロジェクト本部では、医療・物流・製造現場の労働力不足、激甚化する自然災害などの社会課題に対して、感染症検査事業で得た知見を活かした自動検査システムや無人VTOL機※3・配送ロボット・多用途UGV※4を活用したソリューションなどの開発を進め、早期市場展開を目指しています。

技術開発本部では、当社グループの更なる企業価値向上を目指し、事業部門と一体となって「新製品・新事業」の開発に取り組むとともに、「グループビジョン2030」で掲げた注力フィールドを中心に、将来の社会課題解決の実現に必要な技術開発にも積極的に挑戦するとともに、既存事業を支える基盤技術や将来の水素事業のキーとなる要素技術開発にも取り組んでいます。また、TQM活動をベースにバリューチェーン全体のプロセス標準化を通して、製品品質の向上や、足元の収益向上にも取り組んでいます。更に、DX戦略本部と連携してAI活用やデジタルプラットフォームの構築によるデータ活用を通じたビジネスモデルの変革や働き方改革を推進するほか、全社の技術系人財の育成強化にも取り組んでいます。

水素戦略本部では、商用水素サプライチェーンの実現に向け、世界初の液化水素運搬船による海上輸送・荷役等の各種試験を通じて得た知見を活用し、商用化に係る水素関連機器の大型化や高効率化のための技術開発を実施し、着実な水素社会の実現を推進しています。

これら本社部門に係る研究開発費は133億円です。

(※1 SIer:System Integrator)

(※2 当社調べ)

(※3 VTOL:Vertical Take-Off & Landing)

(※4 UGV:Unmanned Ground Vehicle)

2022年3月 2023年3月 2024年3月
研究開発 47,098 50,768 53,364
売上対比 3.1% 2.9% 2.9%
単位:百万円

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