(株)INPEX
事業内容(抜粋)
当社グループはグローバルに石油・天然ガスの探鉱、開発、生産、販売及びそれらを行う企業に対する投融資、すなわち「石油・天然ガス事業(以下「O&G」という。)」を主たる事業としており、報告セグメントを「国内O&G」及び「海外O&G」に区分し、「海外O&G」については、当社グループの主要オペレーター・プロジェクトである「イクシスプロジェクト」とそれ以外の海外プロジェクトから構成される「その他のプロジェクト」に区分しております。また、ネットゼロ5分野等、報告セグメントに含まれない事業については「その他」の区分としております。
経営成績
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
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売上高 | 1,244,369 | 2,324,660 | 2,164,516 |
営業利益 | 590,657 | 1,246,408 | 1,114,189 |
財政状態
2023年12月 | |
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自己資本比率 | 62.5% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
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国内O&G | 11% | 18% |
海外O&G(イクシスプロジェクト) | 17% | 79% |
海外O&G(その他のプロジェクト) | 71% | 0% |
その他 | 1% | -41% |
設備投資(抜粋)
当連結会計年度の投資額は3,351億円であり、このうち、探鉱投資が590億円、石油・天然ガス生産施設及び天然ガス供給インフラ施設等に対する開発投資が1,986億円、その他の投資(ネットゼロ5分野等を含む。)が773億円であります。
なお、上記投資額は、主に石油・ガス資産のうち探鉱・評価資産及び開発・生産資産の取得による支出や石油・天然ガス・再生可能エネルギー等のプロジェクトへの参画及び追加投資に伴う株式取得支出に係る期中発生分の合計であり、当該金額には共同支配企業であるイクシス下流事業会社(Ichthys LNG Pty Ltd)における投資のうち当社グループの持分相当額を含めております。
セグメントごとの投資額は、以下のとおりであります。
・国内O&G 109億円
・海外O&G(イクシスプロジェクト) 1,042億円
・海外O&G(その他のプロジェクト) 1,425億円
・その他 773億円
・合計 3,351億円
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
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設備投資 | 197,500 | 377,600 | 335,100 |
減価償却費 | 203,184 | 292,560 | 319,608 |
研究開発(抜粋)
当社グループでは、「長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision @2022)」を踏まえ、エネルギートランジション実現に貢献し、主要エネルギー供給事業者としての責務を果たすために、事業の基盤となる技術、更には新事業開発の先鋒としての技術の在り方・方向性と将来達成すべき目標を「INPEX技術戦略」として2022年8月にまとめました。また、当社技術研究所に「INPEX Research Hub for Energy Transformation」(略称「I-RHEX(アイレックス)」)を2022年4月に新設し、ネットゼロ分野の研究開発を進めております。当連結会計年度の研究活動費の総額は3,564百万円となりました。主な研究開発関連活動は以下のとおりであります。
(1) 水素・アンモニア
当社は、2050年のネットゼロカーボン社会の実現に向け、水素・CCUS事業開発本部を中心として水素・アンモニア事業に注力しております。
取組みの一つとして、新潟県柏崎市にブルー水素・アンモニア製造実証プラントの準備・建設作業を、2025年の運転開始を目指して進めております。本実証試験では、天然ガスを原料として年間700トンの水素を製造し、その一部をアンモニア製造に使用、残りを水素発電に使用するとともに、副次的に発生するCO2を既にガス生産を終了した東柏崎ガス田平井地区の貯留層へ圧入するという計画です。なお、本実証試験のうち、水素・アンモニアの製造及びCO2回収については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development Organization、以下「NEDO」という。)で採択された助成事業として、また、CO2 の地中貯留の実施と評価については、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(Japan Organization for Metals and Energy Security、以下「JOGMEC」という。)との共同研究として実施してまいります。
また、水素サプライチェーンの重要要素である輸送・貯蔵技術については、I-RHEXの技術課題の一つとして探求してまいります。
(2) CCS/CCUS(Carbon dioxide Capture and Storage/ Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)
CO2の分離回収・貯留(CCS)技術に関しては、2016年度から二酸化炭素地中貯留技術研究組合に参画し、大規模CO2圧入・貯留の安全管理技術の開発・実証に取り組んでおります。また、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)を通じてCO2-EOR(CCUS)を含むCO2地下貯留の国際基準(ISO/TC265)策定活動に積極的に貢献すると共に、日本CCS調査株式会社(JCCS)の株主として日本国内におけるCCS実証プロジェクトに参加しております。
2021年度から、新潟県阿賀野市においてCO2を用いた原油回収効率改善技術(EOR)のための研究をJOGMECと共同で実施しております。
これらCCS/CCUS事業を安全かつ効率的に推進するため、CO2地下貯留における地下評価技術モデルの構築や地下及び地上環境の各種モニタリング手法の研究開発を進めております。
(3) メタネーション
当社は、新潟県長岡市のINPEX長岡鉱場越路原プラント内で、生産されるガスに随伴して排出される二酸化炭素8Nm3/hを利用したメタネーションの基盤技術開発事業の試験(※1)を2017年から2021年まで実施しておりましたが、2021年10月には同プラントにて400Nm3-CO2/hのメタネーション実用化技術開発事業(※2)を開始し、2026年に既存パイプラインへ合成メタンを注入するという予定で関連作業を進めております。将来的には、大型化に向けた技術開発及びスケールアップを行い、2030年を目途に10,000Nm3-CO2/hスケール、年間6万トン程度の合成メタンを製造し、当社のパイプラインで供給することを目指しております。
※1 NEDO委託事業「次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2有効利用技術開発」
※2 NEDO課題設定型産業技術開発費助成事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減/有効利用実用化技術開発/気体燃料へのCO2利用技術開発/大規模なCO2-メタネーションシステムを用いた導管注入の実用化技術開発」
(4) CO2回収・DAC(Direct Air Capture)、SAF(Sustainable Aviation Fuel)、人工光合成
経済産業省及びNEDOが主導する「人工光合成化学プロセス技術研究組合」に参加し、太陽エネルギーを利用した光触媒の水分解による水素の生成、並びに、生成された水素とCO2からプラスチック原料等基幹化学品の製造を目指す研究開発プロジェクトに継続して取り組んでおります。
I-RHEXにおいてはCO2回収・輸送を含む効率的なサプライチェーン構築のための技術開発、FT(Fischer-Tropsch)合成によるSAF製造の研究開発も進めております。
(5) 石油・天然ガス
エネルギー構造の変革期においても引き続きエネルギーの安定供給の責任を果たし、事業の強靭化・クリーン化を推進するため、国内外の大学・研究機関・企業と連携を図りつつ研究開発を進めております。
在来型油ガス田の開発・生産に関する既保有技術の維持・向上の為に、具体的には生産プラントへのダメージや環境問題を引き起こす水銀の制御・管理技術、油井管やパイプラインの腐食防食技術の研究開発に取り組んでおります。
また、次世代のEOR技術としての低塩分濃度水攻法や難条件下でのEOR技術研究開発を進めております。
(6) DX
当社グループが関与する事業においてデジタル技術を最大限に活用し、生産・供給体制及び内外のステークホルダーに新たな付加価値を提供してまいります。具体的には以下を進めております。
① 油ガス田開発分野では、地震探査データ処理・解釈や貯留/シール層の岩相・化石種の自動判定等、地下評価への機械学習適用の取り組みを通じて作業効率の最大化を進めております。また、油ガス生産・処理施設の操業・保全分野では、デジタル技術活用による省人化・無人化施策推進、AI活用、ロボット・ドローンの技術検証等に取り組んでおります。
② CCS/CCUS分野では、デジタルによる貯留効率評価ツールやCCSデータモニタリングシステム構築等を進めております。
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
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研究開発 | 409 | 1,914 | 3,564 |
売上対比 | 0.0% | 0.1% | 0.2% |