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出光興産(株)

事業内容(抜粋)

当社及び当社の関係会社(当社、子会社177社及び関連会社55社)が営む主要な事業の内容と主要な関係会社の当該事業における位置付けは、次のとおりです。
 
<燃料油>
石油精製製品の生産・販売・輸出入及びトレーディング事業等

<基礎化学品>
オレフィン・アロマ製品の生産・販売等

<高機能材>
潤滑油、機能化学品、電子材料、機能舗装材、アグリバイオ等

<電力・再生可能エネルギー>
発電(火力、太陽光、風力等)・電力販売及びソーラー事業等

<資源>
原油、天然ガス及び石炭等のエネルギー資源の探鉱・開発・生産・販売

経営成績

2022年3月 2023年3月 2024年3月
売上高 6,686,761 9,456,281 8,719,201
営業利益 434,453 282,442 346,316
単位:百万円

財政状態

2024年3月
自己資本比率 35.9%

セグメント情報

売上高構成比 セグメント利益率
燃料油 81% 3%
基礎化学品 7% 3%
高機能材 6% 5%
電力・再生可能エネルギー 2% -5%
資源 4% 32%
その他 0% 3%

設備投資(抜粋)

当社グループでは安定的かつ持続的成長のため、戦略適合性、リスク、経済性等を勘案し厳選した投資を行っています。当連結会計年度の設備投資(無形固定資産を含む)の内訳は次のとおりです。

・燃料油 27,718百万円
・基礎化学品 11,620百万円
・高機能材 13,068百万円
・電力・再生可能エネルギー 3,257百万円
・資源 5,664百万円
・その他 6,807百万円
・計 68,137百万円

(1) 燃料油セグメントでは、総額27,718百万円の設備投資を行いました。主なものとしては、製油所における構造改革・設備の維持・更新等に関する投資で15,183百万円、省エネルギー・合理化のための投資に3,559百万円、給油所(SS)等販売施設の増強・維持・更新のための設備投資で4,283百万円、油槽所設備の維持・更新等に関する投資で1,289百万円等があります。

(2) 基礎化学品セグメントでは、総額11,620百万円の設備投資を行いました。主なものとしては、工場における設備装置の維持・更新に対する投資7,764百万円等があります。

(3) 高機能材セグメントでは、総額13,068百万円の設備投資を行いました。主なものとしては、既存工場における設備装置の改良・更新等に関する投資で5,183百万円等があります。

(4) 電力・再生可能エネルギーセグメントでは、総額3,257百万円の設備投資を行いました。主なものとしては、発電所の建設等に関する投資で2,977百万円等があります。

(5) 資源セグメントでは、総額5,664百万円の投資を行いました。主なものとしては、オーストラリア・東南アジアでの石炭鉱山事業等で5,462百万円等があります。

所要資金は、自己資金及び借入金等によっています。

2022年3月 2023年3月 2024年3月
設備投資 118,798 98,688 68,137
減価償却費 104,767 104,449 99,158
単位:百万円

研究開発(抜粋)

当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。

なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等150億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比52億円増加の288億円です。

当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。

(1)燃料油セグメント

燃料油セグメントでは、環境に配慮した石油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。

使用済みプラスチックからの軽質オレフィン化の技術開発、バイオエタノールからのジェット燃料製造の技術開発をはじめ、製油所・事業所の省エネルギー化などの環境調和型社会への貢献のための技術開発を推進しています。

(2)高機能材セグメント

高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、農薬・機能性飼料事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は130億円です。

①潤滑油事業では、カーボンニュートラルの実現に向け、3つの海外研究開発拠点と連携し、地域特性に応じた様々な環境対応型高機能・省エネルギー型商品の開発と環境・人・安全に配慮した技術の開発をグローバルで展開しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・電動車両用トランスアクスルフルード(商品名:IDEMITSU E AXLE FLUID シリーズ)やバッテリー冷却剤、及び、電動車両用トランスアクスルと電子機器及びバッテリーシステムに使用可能な兼用オイル(E AXLE and Electric Parts Cooling Oil)の開発を進めています。

・サステナブル潤滑剤を活用した製品開発を進めると共に、石油由来の潤滑剤使用量の削減のために水溶性潤滑剤の適用範囲拡大に取組み、精密工学会技術賞を受賞した高機能水溶性切削油の開発 (商品名:ダフニーアルファクールEX-NV、WX-NV)や、水溶性焼き入れ液のラインアップ拡充(浸漬焼き入れ液、高周波焼き入れ液の開発)を行いました。また、省力化に寄与する潤滑油簡易診断技術(スマホセンサー)の開発を行いました。

・当社独自技術であるナノウレアグリースの低トルク、低ノイズ、低温始動性という優れた特長をいかし、自動車をはじめとした幅広い分野において環境配慮とユーザー価値の向上を両立する製品の開発を進めています。

・基礎研究にも力を入れており、マテリアルズインフォマティクス(MI)やシミュレーション技術などを駆使した革新的潤滑油基材の創製に取り組んでいます。

②機能舗装材(アスファルト)事業では、省資源・省エネルギーや環境に配慮した舗装材料、例えば耐水性を強化し長寿命化を可能にした舗装材などを独自開発しています。また、アスファルトの特性を活かした屋根用防水材や、建物の地盤沈下による損傷を防ぐための基礎杭に塗布するアスファルトなど、工業用製品も開発し日本国内で製造販売しています。特に舗装材の製品開発においては、当社の長年の舗装材開発の実績から、行政機関や施設管理者と、十分連携しながら進めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・水に起因する道路の損傷を大幅に抑制する舗装の耐水性強化技術について、高荷重のかかる空港滑走路において試験施工を行いました。

・Scope3排出量削減の可能性を視野に入れ、工場から排出されたCO2から合成した炭酸カルシウムを使用した「CO2固定化舗装材」の試験施工を通した実用化検討を行いました。

③機能材料分野では、エンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発及び新機能を有した各種機能材料製品や粘接着基材の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック™)では、マレーシアでの第2装置稼働と共に新規用途開発を更に加速しています。コネクター部材を代表に自動車電装部品への展開を継続、ヒートショック耐性改良グレードやCAE技術の提案等により顧客との関係強化を図り、新規採用に向けた開発を着実に推進しました。また、家電・日用品分野の拡販活動を継続すると共に、新規用途分野である押出・フィルム・繊維分野での実績化を顧客と共に推進し、採用を獲得、販売を開始しました。

・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン™)では、透明性や流動性に優れた光学グレードの開発、耐久性や耐薬品性、難燃性に優れる各種用途に適した共重合グレードの開発を行っています。光学グレードは液晶ディスプレイ部品や自動車を含む各種照明部品市場で好評を得ており、特に自動車照明用材料では高透明性及び高導光性が要求されるDRL(Daytime Running Light)部品向けの販売がここ数年高い伸び率で拡大を続けています。

・ポリオレフィン系の樹脂コンパウンド(商品名:カルプ™)では、植物由来材料やリサイクル材等の原料化の検討、主力商品である難燃グレードにおける市場ニーズに対応した改良グレードの市場投入及び環境安全性を高める非ハロゲン化グレードの開発を推進しました。

また、ポリフェニレンサルファイド系の樹脂コンパウンドにおいては、機械・自動車用途向けに開発した水中・油中において良摺動性を示すグレードや電装部品向けに開発した絶縁熱伝導グレードの顧客採用活動を進めました。さらに、高機能性付与に向けてポリフェニレンサルファイド以外の高耐熱エンジニアリングプラスチック樹脂のコンパウンド開発にも着手しました。

④シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・環境問題への対応としては、リサイクル適性の高い素材への転換を支援するPOシート(商品名:マルチレイ™)や無機物を多く含有しプラスチックの使用量を減らしたフィルム(商品名:ユニクレスト™)の実績化、食品包材としての石油由来の製品使用量削減に寄与するための軽量化ジッパーテープ(商品名:プラロック™)の開発を実施。また、ユーザーに対する利便性を向上させた電子レンジ加熱で発生する蒸気を逃がす機能をもつ透明性が高い食品容器(商品名:マルチレイ™)の開発等により、商品ラインアップの拡充を行いました。

⑤電子材料事業では、有機EL材料の研究開発を行っています。有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・2023年3月に設立した出光アドバンストマテリアルズコリアにおいて、韓国における有機EL材料の研究開発活動のスタートアップを進めてきました。2024年1月より計画通りに研究開発活動を開始し、韓国顧客とのさらなる接合強化に取り組んでいます。

・顧客への提案活動を通じて、出光独自技術である積層発光方式の浸透が進みました。

⑥農薬・機能性飼料事業では、「食の安全・安心」「増大する食料需要への対応」をキーワードに、合成・微生物培養・生物学的評価・製剤・分析技術といった研究開発力を駆使することで、世界の「食」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・国内農薬登録を芝生用除草剤で1件新規取得し、国内の適用拡大登録を殺菌剤5件、殺虫剤1件、殺菌・殺虫剤2件、生物農薬殺虫剤1件、生物農薬殺菌剤1件、緑地管理用除草剤2件取得しました。

(3)資源セグメント

石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO2排出量の削減や、排ガス中のCO2を炭酸塩として固定化させる技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマス(ブラックペレット)の製造・販売の事業化に向け、ブラックペレットを自社コールセンターでの受入・貯蔵し、共に取組む需要家の石炭ボイラでの混焼試験を実施することにより、ブラックペレットを安全かつ円滑に取り扱うための技術及び実用的な混焼評価技術の開発を推進しています。混焼試験結果を踏まえ、ブラックペレットの品質向上や需要家へのコンサルティングを行っています。

・CO2を資源として活用するとともにCO2の排出削減を行うため、廃コンクリート中のカルシウムと発電所や工場から排出されるCO2を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めています。

・石炭鉱山での植栽を活用した新規事業創出を目的に、(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でバイオマス燃料や炭素材料の研究開発を実施しました。

(4)全社共通(コーポレート研究)

中期経営計画(2023~2025年度)に掲げた事業ポートフォリオ転換に向け、社会や技術のトレンドを踏まえた新規事業創出のための研究開発を実施しています。

①次世代技術研究所では、カーボンニュートラル社会、循環型社会の実現に向けたバイオマスやCO2等を出発原料とするクリーンな素材・燃料を提供する技術の開発を実施しています。また高機能材事業の成長に向けて、保有している有機・無機合成、生物変換技術、光・電気化学の要素技術を活かしたモビリティ向け軽量/強靭化素材や環境配慮型農畜産資材、酸化物半導体材料、宇宙用太陽電池等の開発に取り組んでいます。加えて、事業部研究所と一体となって高度な分析・解析技術、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)やAIを駆使した大幅な省力化や研究開発のスピードアップに取り組んでいます。これらを進めるにあたっては、東京工業大学との「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」、及び新たに2023年10月に神戸大学に設立した「出光バイオものづくり共同研究部門」に代表されるアカデミアとの共同研究や、国家プロジェクト等への参画、海外グループ会社の拠点を活用したオープンイノベーションによりグローバルな視点で第一線の英知を集め研究開発の早期成果創出に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・NEDO「グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」の課題の一つである「常温、常圧下アンモニア製造技術の開発」において、性能向上・コスト競争力向上にむけ、触媒開発及び電解反応系の改良を進めました。

②リチウム電池材料部では、次世代電池として早期の実用化が望まれる全固体電池のキーマテリアルである固体電解質を中心に、次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・固体電解質の量産に向け、6月に小型実証設備第1プラントの能力増強を決定しました(2024年度完工予定)。また、同時期に第2プラントの新規稼働も開始しました。

・10月にはトヨタ自動車株式会社との協業を発表しました。2027-2028年の全固体電池実用化をより確実なものとするために、固体電解質の量産技術開発や生産性向上、サプライチェーン構築に両社で取り組みます。両社の技術を融合することで、世の中に広く使って頂ける固体電解質と全固体電池の量産実現を目指します。

・今後の事業領域拡大を見据え、硫黄系正極の開発、及び全固体電池のリサイクルについて技術探索を進めています。

2022年3月 2023年3月 2024年3月
研究開発 26,016 23,640 28,821
売上対比 0.4% 0.2% 0.3%
単位:百万円

従業員の状況(抜粋)

提出会社の状況

2022年3月 2023年3月 2024年3月
従業員数 5,123名 5,089名 4,985名
平均年齢 42.2歳 42.1歳 42.3歳
平均勤続年数 18.3年 17.8年 18.3年
平均年間給与 8,619,328円 9,496,351円 9,800,598円

連結会社の状況

2022年3月 2023年3月 2024年3月
従業員数 14,209名 14,363名 13,991名
1人あたり売上高 470.6百万円 658.4百万円 623.2百万円

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