富士通(株)
事業内容(抜粋)
当社及び子会社297社(うち連結子会社291社)は、日本を含む世界の各地域で事業を展開し、グローバルにデジタルサービスを提供しております。当社グループの主要な事業は、「サービスソリューション」、「ハードウェアソリューション」、「ユビキタスソリューション」、「デバイスソリューション」の4つのセグメントにより構成されており、各セグメントの主要な製品及びサービスの内容並びに関連会社(47社)を含めた当社及び関係会社各社の位置付け(2024年3月31日現在)は以下のとおりです。
〔サービスソリューション〕
●主要製品・サービスの内容:
・コンサルティングサービス(ビジネスコンサルティング、テクノロジーコンサルティング)
・クラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS等)
・システムインテグレーション(システム構築、モダナイゼーション等)
・ソフトウェア(業務アプリケーション・ミドルウェア)
・ソフトウェアサポートサービス
・ビジネスプロセスアウトソーシング
・ITサービス(データセンター、ネットワークサービス、セキュリティサービス、車載情報システム等)
・マネージドサービス(システム運用管理、アプリケーション運用管理、サービスデスク等)
●取り扱う主な会社:
当社
(子会社)
富士通Japan㈱、㈱富士通エフサス、富士通ネットワークソリューションズ㈱、
富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ㈱、Ridgelinez㈱、
㈱トランストロン、
Fujitsu Technology Solutions (Holding) B.V.、Fujitsu Services Holdings PLC、
Fujitsu North America, Inc.、Fujitsu Australia Limited、
Fujitsu Asia Pte. Ltd.
GK Software SE 等
なお、㈱富士通エフサスは、2024年4月1日付で、エフサステクノロジーズ㈱に商号を変更しております。
〔ハードウェアソリューション〕
●主要製品・サービスの内容:
・システムプロダクト(UNIXサーバ、基幹IAサーバ、PCサーバ、OS、ストレージ、メインフレーム、フロントテクノロジー等)
・ネットワークプロダクト(モバイルシステム、フォトニクスシステム、IPネットワーク機器等)
・ハードウェアサポートサービス(システムプロダクト・ネットワークプロダクトのサポート)
・システムサポートサービス(情報システム及びネットワークの保守・監視サービス等)
●取り扱う主な会社:
当社
(子会社)
富士通フロンテック㈱、富士通アイソテック㈱、富士通テレコムネットワークス㈱、
Fujitsu Network Communications, Inc. 等
〔ユビキタスソリューション〕
●主要製品・サービスの内容:
・パソコン
●取り扱う主な会社:
当社
(子会社)
㈱富士通パーソナルズ 等
〔デバイスソリューション〕
●主要製品・サービスの内容:
・電子部品(半導体パッケージ、電池等)
●取り扱う主な会社:
(子会社)
新光電気工業㈱、FDK㈱ 等
また、関連会社の事業の内容については以下のとおりです。
・㈱富士通ゼネラル(空調機、情報通信機器及び電子デバイス製品の開発、製造及び販売並びにサービスの提供)
・富士通クライアントコンピューティング㈱(ノートパソコン、デスクトップパソコン等の開発、設計、製造及び販売)
・FLCS㈱(情報処理機器、通信機器等の賃貸及び販売)
・㈱PFU(情報システム及びICT関連機器の開発、製造及び販売並びにサービスの提供)
経営成績
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 3,586,839 | 3,713,767 | 3,756,059 |
営業利益 | 219,201 | 335,614 | 160,260 |
財政状態
2024年3月 | |
---|---|
親会社所有者帰属持分比率 | 49.9% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
サービスソリューション | 57% | 11% |
ハードウェアソリューション | 29% | 8% |
ユビキタスソリューション | 7% | 9% |
デバイスソリューション | 8% | 6% |
設備投資(抜粋)
当社グループでは、当年度において1,297億円(前年度比7.2%増)の設備投資を行いました。
サービスソリューションでは、データセンター設備を含むサービス事業の関連設備等を中心に315億円を投資しました。
デバイスソリューションでは、新光電気工業㈱の工場新設や電子部品の製造設備を中心に785億円を投資しました。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
設備投資 | 88,900 | 121,000 | 129,700 |
減価償却費、償却費及び減損損失 | 186,376 | 179,228 | 185,564 |
研究開発(抜粋)
当社グループでは、デジタルテクノロジーにより、「人」「企業」「システム」「プロセス」「データ」などが複雑かつ無限につながる社会において、あらゆる局面で求められる信頼「Trust」を確保することを重要な技術戦略に位置付けております。そして、このデジタル時代のTrustの実現と共に、デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらす、DX(デジタルトランスフォーメーション)企業を目指し、イノベーションが絶えず生まれるために必要な先端テクノロジー開発に取り組んでおります。
当社グループの事業は、「サービスソリューション」、「ハードウェアソリューション」「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、上記の研究開発方針のもと、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「サービスソリューション」では、Fujitsu Uvanceを中心としたオンクラウドのデジタルサービス等に関する研究開発を行っております。「ハードウェアソリューション」では、次世代のサーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバイス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。
特に、当社グループの成長領域であるサービスソリューションを牽引するFujitsu Uvanceを含めたビジネスに貢献するため、「Computing」、「AI」、「Network」、「Data&Security」及び「Converging Technologies」の5つの先進テクノロジーを重点領域として、これらのキーテクノロジーを組み合わせて研究開発を推し進めております。
当社グループの当年度における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当年度における研究開発費の総額は、1,233億円となりました。このうち、サービスソリューションに係る研究開発費は191億円、ハードウェアソリューションに係る研究開発費は449億円、デバイスソリューションに係る研究開発費は75億円、全社・消去に係る研究開発費は516億円です。
(1) Computing
・理化学研究所との共同研究の成果として64量子ビット超伝導量子コンピュータを、日本企業初となる国産2号機として稼働を開始しました。40量子ビット量子シミュレータと超伝導量子コンピュータがシームレスに連携するハイブリッド量子コンピューティングプラットフォームを開発し、クラウド経由で公開しています。本プラットフォームを様々な分野の共同研究を行う企業などに提供して量子アプリケーションの研究開発を進め、ハードとソフトの両面から量子コンピュータの実用化を加速していきます。
・生成AIなどの広がりによってGPUの需要が増え、世界的なGPU不足が課題になっています。GPU不足に対応するために、世界で初めてCPUとGPUの計算処理をリアルタイムに切り替えるアダプティブGPUアロケーター技術を開発しました。複数プログラムの処理において、処理の高速化率を予測してCPUとGPUを使い分け、最短でプログラム処理が完了するように計算リソースを割り振ることが可能になりました。少ないGPU数でAIプログラムの処理スループットが大幅に向上します。
(2) AI
・対話型生成AIから出力される回答の信頼性を向上する、2つのAIトラスト技術を開発しました。幻覚(ハルシネーション)を検出する技術は、回答文をAIが意味解析し、間違いそうな固有表現部分を特定して重点的に確認し誤りを検出します。フィッシングURLを検出する技術は、AIを騙す既存の敵対的攻撃を含むフィッシングサイトを高度に検出し、利用者に危険なURLであることを示します。有効性検証を進め、信頼できる生成AIシステムの確立に貢献していきます。
・業務課題を自然言語で入力するだけで、顧客業務に特化したAIイノベーションコンポーネントを、従来の1/20の期間で自動生成する技術を開発しました。開発した要件学習技術は、LLM(大規模言語モデル)がユーザーの業務課題から変換するプログラムや数学表現を解釈し、ユーザーの要件を満たす解の集合をグラフ形式に変換し学習することができます。ユーザー自身が要件を入力し、AIイノベーションコンポーネントの試作や修正、調整を素早く繰り返せるので、AIの専門家が介入しなくても必要とするAIモデルの生成が可能になります。
(3) Network
・ポスト5G要件である超高速通信、超低遅延、多数同時接続に対応し、従来の5G基地局と比較して30%以上のコスト削減が可能な5G仮想化基地局の高度化技術を開発しました。本技術を、富士通が提供するグローバル標準仕様であるOpen Radio Access Network(Open RAN)に準拠した通信事業者向け仮想化基地局に適用することで超高速通信に加え、超低遅延、多数同時接続を実現し、ポスト5Gの特長を生かした多様なユースケースに対応できる5G仮想化基地局を実現しました。
・無線通信やレーダーの長距離化に向けた世界最高出力のX帯パワーアンプを開発しました。X帯と呼ばれる周波数領域の電波送信用パワーアンプにおいて、GaN-HEMT(窒化ガリウム 高電子移動度トランジスタ)保護膜の高品質化に成功しました。熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法で成膜した窒化シリコンを適用し、31W/mm(ワットパーミリメートル)という世界トップの出力密度を実現しました。
(4) Data & Security
・暮らしのパーソナライズ(個別最適)化や見守りを促進する常時認証技術を開発しました。常時認証技術は、生体認証と行動分析技術を組合せ、エリア内のカメラで撮影された個人を特定して、その人物の位置をリアルタイムに推定します。カメラ映像から外見の特徴を随時抽出して特徴量を更新するため、今まで困難だった複数カメラ間のトラッキングを可能にしました。
(5) Converging Technologies
・人、モノ、経済、社会の間の複雑な相互作用をデジタル空間に再現して、社会課題解決とビジネスのトレードオンを実現するソーシャルデジタルツインの研究を進めています。今回、固定された1台のカメラの画像から人や物体の3次元形状と位置を高精度に推定して動的にデジタル空間に再現する技術を開発しました。本技術により、例えば交差点における交通状況を詳細に分析し、事故原因を見出すことで事故防止に役立てるなど、従来の技術では見つけられなかった原因や課題を見出し、その解決を図ることができます。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
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研究開発 | 105,354 | 109,571 | 123,302 |
売上対比 | 2.9% | 3.0% | 3.3% |