(株)ファンケル
事業内容(抜粋)
ファンケルグループは、㈱ファンケル(当社)、子会社11社および関連会社1社で構成され、化粧品および栄養補助食品の製造販売を主な事業としております。営業活動は、国内・海外において、通信販売(インターネット通信販売を含む)、直営店舗販売、卸販売の3形態を中心に展開しております。
当社および当社の関係会社のセグメントとファンケルグループの事業における位置付けの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
<化粧品関連事業>
無添加化粧品を中心としたファンケル化粧品の製造は㈱ファンケル美健(連結子会社)が行い、販売は㈱ファンケルが行っております。
アテニア化粧品の製造は㈱ファンケル美健が行い、販売は㈱アテニア(連結子会社)が行っております。
boscia(ボウシャ)化粧品はboscia,LLC(連結子会社)がファンケルグループ外に製造委託し、販売を行っております。
ニコスタービューテック㈱(連結子会社)および㈱ファンケルラボ(連結子会社)はOEM化粧品の販売を行っております。
ファンケル化粧品の一部であるBRANCHICの製造は㈱ファンケル美健が行い、販売は㈱ネオエフ(連結子会社)が行っております。
<栄養補助食品関連事業>
栄養補助食品の製造は㈱ファンケル美健が行い、販売は㈱ファンケルおよび㈱アテニアが行っております。
<その他関連事業>
肌着類は㈱ファンケルがファンケルグループ外から仕入れ、販売を行っております。
雑貨・装身具類は㈱ファンケルおよび㈱アテニアがファンケルグループ外からそれぞれ仕入れ、販売を行っております。
発芽米の製造は㈱ファンケル美健が行い、販売は㈱ファンケルが行っております。
青汁は㈱グリーンヒル(持分法非適用関連会社)およびファンケルグループ外に製造委託し、販売は㈱ファンケルおよび㈱アテニアが行っております。
FANCL ASIA (PTE) LTD(連結子会社)は、FANCL INTERNATIONAL,INC.(連結子会社)を通じて米国を中心とした市場向けにファンケル化粧品を販売しております。また、現地代理店を通じて香港・中国を中心とした市場向けに、主にファンケル化粧品およびファンケル栄養補助食品の卸販売を行っております。
㈱ファンケルスマイル(非連結子会社)は障害者雇用促進法に基づく特例子会社として、ファンケルグループから製品の包装業務などを受託しております。
経営成績
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 103,992 | 103,595 | 110,881 |
営業利益 | 9,771 | 7,843 | 12,570 |
売上高営業利益率 | 9.4% | 7.6% | 11.3% |
財政状態
2024年3月 | |
---|---|
自己資本比率 | 72.2% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
化粧品関連事業 | 55% | 14% |
栄養補助食品関連事業 | 39% | 14% |
その他関連事業 | 5% | -5% |
設備投資(抜粋)
当連結会計年度における設備投資の主なものは、生産設備、基幹システムの再構築および、店舗のリニューアルなどであります。
セグメント別の金額では、化粧品関連事業1,299百万円、栄養補助食品関連事業963百万円、その他関連事業120百万円および、その他60百万円となり、総額で2,443百万円(無形固定資産を含む)の設備投資を実施いたしました。
なお、重要な設備の除却・売却等はありません。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
設備投資 | 4,401 | 2,192 | 2,443 |
減価償却費 | 4,563 | 4,377 | 4,032 |
研究開発(抜粋)
ファンケルグループの研究開発活動は、当社および連結子会社が行っております。㈱アテニア、ニコスタービューテック㈱および㈱ネオエフにつきましては、各社の商品企画に基づく研究開発業務を当社が有償で受託しております。
ファンケルグループは、当社総合研究所において、化粧品、栄養補助食品、発芽米および青汁に係る基盤技術研究ならびに製品開発研究活動を通じて、「安心・安全」を軸とした安全性・機能性研究を推進し、科学的根拠に基づいた製品開発を行っております。また、相談窓口に直接寄せられるお客様の「声」を集積し分析した「ヤッホーシステム」を製品開発に活かすとともに、国内外の多くの研究機関との共同研究や産官学連携事業への参画など、幅広い研究開発活動を行っております。研究所には、農学、薬学、理学など博士号取得者を含む総勢185名が在籍しております。新規事業研究にも積極的に取り組み、ヘルステックやフードテック事業への取り組みも進めております。
また、2019年8月にキリンホールディングス㈱と資本業務提携契約を締結したことに伴い、キリンR&D部門と共同研究プロジェクトを開始いたしました。本共同研究プロジェクトから創出された技術を応用した製品が2021年から毎年発売されるなどシナジー効果が出ております。今後、さらなる研究成果を目指して、化粧品素材開発、老化研究および腸内環境研究など多くの研究領域で共同プロジェクトを進めてまいります。当連結会計年度における研究開発関連費用の総額は3,385百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。
(1) 化粧品関連事業
ファンケル化粧品、BRANCHIC、アテニア化粧品の製品開発において、皮膚科学に基づくエイジングメカニズム研究や素材探索などの基礎研究から、安全性や有効性の研究、処方開発および容器開発など広範な領域における研究開発を行っております。
ファンケル化粧品では、創業以来続けてきた安心・安全という価値を実現するため、肌にストレスを与える可能性のある成分を排除した「無添加」にこだわり続けてきました。あらゆるストレスから肌を守り、肌内部の質の変化まで解明することで素肌の寿命を伸ばすための研究を重ねております。
当連結会計年度において、ファンケル化粧品では当社を代表するクレンジングの新製品として、毛穴ケアに特化した黒いクレンジングオイル「マイルドクレンジングオイル<ブラック&スムース>」を開発、発売しました。本品は、炭・吸着泥を含む4種の毛穴ケア成分を配合し、従来品の良さはそのままにさらなる毛穴ケアの需要に応える高い機能を追加しました。4か月後にはつめかえ用を発売し、本体容器に比べて樹脂量を約82%削減、プラスチックごみの廃棄量削減に配慮しております。
スペシャルケアでは新たに2品を開発、発売しました。1つめは目もと用保湿ケアクリーム「クリア アイセラムW」です。アイケア製品の需要が拡大していることから、手軽な価格で目もとの保湿集中ケアができるアイテムを開発しました。2つめは、2剤式速攻集中美容液「インテンシヴ スキン ブースター」です。当製品は、分解しやすい「APPS(パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na)」を独自の凍結乾燥製法でフリーズドライにして安定させ、使う直前に液状の美容液と混ぜることで効果をしっかりと引き出せるようにした美容液です。
サンケアでは長年好評をいただいている日やけ止めシリーズ「サンガード」2品をリニューアル開発、発売しました。敏感肌にもやさしいノンケミカル処方で肌へのやさしさはそのままに、従来のシリーズよりも外的刺激をブロックする効果と不均一な肌を補正してカバーする機能を向上しました。さらに環境配慮として、サンゴ礁の白化原因とされている紫外線吸収剤を使用せず、ハワイやパラオなどの一部の国や地域、ビーチの規制にも配慮した「オーシャンフレンドリー」な設計を採用しております。
また、当社と㈱セブン&アイ・ホールディングスとの共同開発スキンケアブランド「セブンプレミアム ライフスタイル ボタニカル フォース」を全面リニューアル開発、発売しました。当該ブランドは2014年より展開し、「無添加処方」と「ボタニカル成分」にこだわったスキンケアブランドとして好評をいただいています。今回、メインターゲットをジェンダーレスの若年層とし、新たな機能や成分を追加して肌も気持ちも元気に整えるスキンケアとして9品をラインアップしました。
「BRANCHIC」は「目覚め、高まる、私の冴え顔」をコンセプトとし、メルケル細胞の活性化に着目した高機能プレステージブランドです。「BRANCHIC」からは、外的なダメージから肌を守り、冴えわたる肌へ導く当社開発原料「コメ発酵液」を含む独自処方「発酵活性フォーミュラ」を搭載した化粧水「コンディションチューナー<ローション>」と乳液「コンディションチューナー<エマルジョン>」を新たに開発、発売しました。
アテニア化粧品では、2015年の誕生からの主力スキンケアライン「ドレスシリーズ」を、新たな研究成果を基に浸透力をさらに進化させ、リニューアル開発、発売しました。1つめは薬用美白・エイジングケアライン「ドレススノー」、2つめは薬用エイジングケアライン「ドレスリフト」です。肌がもともと持っている角層同士の接着をゆるめる酵素「カリクレイン7」に着目し、より浸透性が高まるスキンケアを開発しました。さらに、環境配慮にも取り組み、詰替タイプに変更したことでレギュラーボトルに比べて88%ものプラスチック量削減に成功しました。化粧品では日本初となる、「スマートエコパウチ」を採用することで、環境配慮と使い勝手を両立しています。
さらに、人気のクレンジングオイル「スキンクリア クレンズ オイル」を、リニューアル開発、発売しました。エイジングと摩擦によって硬い角質が増えることを発見しました。そのため、角層をほぐし、やわらかく整えることで次に使うスキンケアの浸透を高め、透明感までもたらす美容クレンジングへ進化させました。
スペシャルケアでは薬用シワ改善美容液「リフトインセプション」を新たに開発、発売しました。筋肉からの分泌ホルモンであるマイオカインが加齢により減少し、コラーゲンの量と質に関与することを確認しました。エイジングケア専門ブランドとしての研究を続けています。
当事業における研究開発関連費用は1,718百万円であります。
(2) 栄養補助食品関連事業
当社では、栄養補助食品の製剤設計において「体内効率設計」のコンセプトに基づき機能を最大限に発揮させる処方、設計を行っております。成分の量だけでなく、身体の中で効率的に働くための溶け方、吸収できるよう素材の選定から配合バランス、加工技術に至るまで、こだわった研究開発を行っております。さらに、従来から臨床試験など科学的根拠に基づいた栄養補助食品の機能性と安全性に関する研究に取り組んでおります。今後も確かな機能性と安全性を兼ね備えた栄養補助食品の開発を進めてまいります。
また、当社とキリンホールディングス㈱では「老化」、「腸内環境」などの研究領域について共同研究プロジェクトを進めています。両社の強みを活かし、革新的なシナジー効果を創出してまいります。
当連結会計年度においては、夕方の脚のむくみを軽減する機能性表示食品「むくみキュット」を新たに開発、発売しました。自社調査では、脚のむくみ・疲労感については女性の悩みの27%と、美容やダイエットに次いで大きい悩みであることが明らかになっており、開発にあたっては、1,000人以上の女性従業員にさまざまな調査を行い、多くの意見や声を製品に反映させています。当社の製品開発力と従業員の声が反映された、当社ならではの機能性表示食品です。
ビューティサプリメントとして好評の「ディープチャージ コラーゲン」シリーズから、手軽においしく楽しめるゼリータイプの機能性表示食品として新しく「トロピカルパイン味」および「ラ・フランス味」を開発しました。機能性関与成分「コラーゲンペプチド」を配合し、「肌のうるおいと弾力を維持する」機能があります。ほかにも当社厳選成分のバラつぼみエキスやヒアルロン酸を配合しており、体の中から美しさにアプローチします。
また、注目の成分NMN(β-ニコチンアミドモノヌクレオチドNicotinamide MonoNucleotide)を配合した「NMN×CoQ10」を新たに開発、発売しました。当社独自の自己乳化製法でCoQ10の吸収性にもこだわり、健康的で前向きな生活をサポートします。
主力シリーズである「カロリミットシリーズ」からは機能性表示食品3品を発売しました。1つめは、「カロリミット茶」です。食事の糖や脂肪の吸収を抑える機能をもつ機能性表示食品としてリニューアル開発しました。本製品は粉末タイプのお茶で香ばしい味わいとすっきりとした飲み口が特長です。2つめは、当社とキリンビバレッジ㈱が共同開発した「キリン×ファンケル カロリミット ブレンド茶」です。糖と脂肪の吸収抑制に働く難消化性デキストリンを配合したカフェインゼロの無糖茶飲料で、4種の健康素材(大麦、はとむぎ、米および、とうもろこし)をバランス良くブレンドし、食事に良く合う、すっきりと飲みやすい味わいです。3つめは、当社とメルシャン㈱が共同開発した「メルシャン×ファンケル カロリミット ノンアル梅酒テイスト」です。糖と脂肪の吸収抑制機能と梅のフルーティーな香り・味わいを兼ね備えたノンアルコール梅酒テイスト飲料です。カロリーが高いというイメージを持たれやすい梅酒ですが、両社の技術力で糖類・カロリーゼロでありながら、梅酒のような飲みごたえを実現しました。今後も、当社とキリングループは、多くのお客様の「おいしく幸せに食べたい気持ち」をサポートします。
当事業における研究開発関連費用は1,530百万円であります。
(3) その他関連事業
「毎日の食卓から健康を支える」をコンセプトに、発芽米や青汁を中心においしさと機能性を兼ね備えた製品開発を進めております。
当連結会計年度においては、冷凍したケールと国産果実100%果汁を混ぜてお召し上がりいただく、「国産ケールと贅沢果実の充実搾りセット」を発売しました。1杯当たり1日に必要な緑黄色野菜と果実を使用しており、誰にでも飲みやすく、気軽に野菜と果物を摂取できる健康飲料として開発しました。
当事業における研究開発関連費用は136百万円であります。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
研究開発 | 3,492 | 3,408 | 3,385 |
売上対比 | 3.4% | 3.3% | 3.1% |
従業員の状況(抜粋)
提出会社の状況
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
従業員数 | 897名 | 896名 | 877名 |
平均年齢 | 40.6歳 | 41.0歳 | 41.4歳 |
平均勤続年数 | 12.4年 | 12.8年 | 13.3年 |
平均年間給与 | 6,158,000円 | 6,190,000円 | 6,470,000円 |
連結会社の状況
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
従業員数 | 1,270名 | 1,281名 | 1,276名 |
1人あたり売上高 | 81.9百万円 | 80.9百万円 | 86.9百万円 |