綜合警備保障(株)
事業内容(抜粋)
当社グループは、当社、連結子会社89社(海外子会社18社を含む。)、持分法適用会社16社(海外持分法適用会社3社を含む。)で構成されており、セキュリティ事業、綜合管理・防災事業及び介護事業等の事業を展開しております。その他海外で同様の事業を展開する台湾新光保全股份有限公司は、連結子会社又は持分法適用会社ではありませんが、営業及び運用面において、当社グループと相互協力体制を確立しております。セグメント別の事業の内容は、以下のとおりです。
(1)セキュリティ事業
ア 機械警備業務
通信回線を利用して異常信号の送信を行う警報機器をご契約先に設置し、侵入・火災・設備異常等の情報の遠隔監視をALSOKガードセンターで行い、異常発生時には訓練を受けたガードマンが現場に駆けつけ、適切な処置を行う業務です。
法人向けサービスとしては、先進的な画像解析技術を取り入れた画像監視サービスを標準装備したセキュリティシステム「ALSOK-G7」を展開しております。本サービスは当社が磨き上げてきた高品質かつ堅実な警備サービスに最先端の映像セキュリティ機能を付加したオンラインセキュリティシステムであり、お客様はいつでもどこからでも現地の映像確認を行うことができます。また、「ALSOK情報提供サービス」では、相互通話も可能な「ライブ画像確認サービス」や、警備情報(開始/解除)の閲覧、警備セット忘れや警報発生のメール通知機能など、様々な追加機能をご利用可能です。さらに、ALSOK-G7のオプションサービスとして、カメラ映像をクラウド上に保存できる「画像蓄積サービス」や、出退勤操作をした際の履歴とともに操作者の画像をWebで閲覧可能な「出退勤情報サービス」などをご用意しており、セキュリティ面の強化のみならず労務管理や業務効率化にも役立つシステムとなっております。
ALSOK-G7以外にも、中~大規模施設向けにファシリティマネジメント機能を強化し、低コストで施設価値の向上を可能にする「ALSOK-FM(ファシリティマネジメント)サポート」や、キャッシュコーナーを無人管理する「アマンドシステム」等があります。また、2023年3月からパソコンをはじめとするIT機器関連のトラブルが発生した際に警備員が急行して応急処置を行う「ALSOK ITレスキュー」のサービスを開始いたしました。さらに、2024年2月からはマンションやビル等の対象となる設備機器からの異常を受信した際や設備の障害における確認依頼があった際に、ガードマンが現地を確認し原因究明と応急処置を実施する「ALSOK設備レスキュー」を開始いたしました。
個人向けサービスでは、2023年4月に新発売した「HOME ALSOK Connect」において、お客様の更なる利便性を追求した新操作器「スマホゲート」を新たにラインナップに加えました。本操作器では、予め設定されたスマートフォンまたはタブレットを所持した状態で認証エリアに入ることで、外出時はワンタッチ操作で警備を開始、帰宅時は自動で警備解除できます。また、Bluetooth通信により、音や液晶画面で外出及び帰宅時のスマートフォン忘れをお知らせします。
高齢者市場については、高齢者向けの見守りサービスとして「HOME ALSOK みまもりサポート」を展開しており、緊急通報、ガードマンの駆けつけ、健康相談等のサービスを提供しております。高齢者人口の増加に伴い導入実績は増加傾向にあり、近年では高齢者ご本人やその親族等個人のお客様とのご契約だけでなく、高齢者市場に関連する法人企業との契約も増加しております。また、自治体との高齢者見守りに関する事業においても、委託業者として順調に受託件数を伸ばしております。今後も高齢者の安全・安心な暮らしの実現に向けて取り組んでまいります。
イ 常駐警備業務
ご契約先の施設に警備員を配置し、出入管理、巡回、監視を行い、各種事故の予防と緊急時や事故発生時に対応する業務です。また、国際会議やスポーツ競技大会、花火大会やお祭り等各種イベント警備と、国内外の著名人や企業の役員などに対する身辺警護など、幅広いニーズに対応しております。さらに、「見える警備」の提供を目指し、常駐警備隊員にモバイルデバイスを中心にガスセンサー・電光掲示板アプリ・サーモカメラ・外国語翻訳機等のデジタル機器を装備し、お客様へのレポーティングのためのDX化を推進しております。近年では、少子高齢化による働き手不足が喫緊の課題であり、各種資機材(AIカメラ、出入管理の自動化など)、警備ロボット、巡回ドローンなどを活用した省人化により、一層効率的かつ効果的な警備を提供しております。
ウ 警備輸送業務
ご契約先の指定場所に現金、有価証券等の貴重品を現金輸送車等により輸送する業務です。現金、有価証券等を安全に輸送する現金輸送サービスのほか、店舗売上金管理を警備輸送ネットワークでトータルサポートし、お客様の業務効率化に資する「入(出)金機オンラインシステム」、金融機関やコンビニエンスストアに設置されたATM等への現金等の補充・回収、及び障害時の対応等、運営をトータルで行う「ATM管理サービス」を提供しております。また、金融機関のバックオフィス業務なども受託しております。
(2)綜合管理・防災事業
各種建物設備の修繕・リニューアル工事、管工事、電気工事や防火・防災業務、設備管理業務、清掃業務、衛生管理業務、電話応対業務などのビル・マンション等の各種施設における維持、管理、運営を通じて、建物管理コストの低減から資産価値の維持・向上まで、建物の運営・管理をトータルサポートする事業です。また、災害対策用品、AEDをレンタル・販売しているほか、食品検査事業を営むALSOKエムビック研究所株式会社(旧株式会社エムビックらいふ)ではアスベスト検査等も行っております。防災事業においては、総合防災メーカーであるホーチキ株式会社及び日本ドライケミカル株式会社との資本業務提携及び持分法適用関連会社化により、防火・防災分野における事業推進体制の強化を図るとともに、多様化するお客様ニーズに適合した新商品・サービスの共同開発・販売を行っております。
(3)介護事業
居宅介護支援(ケアプラン作成)や、ご自宅での生活を支援する訪問介護・訪問看護・デイサービス等の在宅介護サービスから、特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、サービス付き高齢者向け住宅等の施設介護サービスまで、幅広いサービスを提供しております。また、福祉用具の販売・レンタル事業のほか、訪問医療マッサージサービスも提供しております。
(4)その他
日系企業の進出が多い東南アジアを中心に海外事業を展開し、タイ、ベトナム、中国、インドネシア、インド、ミャンマー、バングラデシュの7つの国に現地法人を設立しています。現在では、常駐警備サービス、機械警備サービスの提供にとどまらず、防災や清掃、ビル施設管理などの分野にまで事業領域を拡大しています。治安や経済の状況が異なる各国のお客様のニーズに応え、国内で提供しているサービスを連携させることで、お客様の事業継続のサポートをしています。
また、キャッシュレス社会の進展への対応のため、キャッシュレス決済事業者として、QRコード決済を中心に1つのアプリ1つの端末で複数のペイメントに対応可能な「ALSOKマルチQR決済ソリューション」を提供しております。さらに、サイバー攻撃による被害やなりすましメールの対策として重要性が高まっている情報端末管理のための「ALSOK PCマネジメントサービス」など、様々な情報セキュリティソリューションを提供しております。2024年1月には、お客様の大切なPCへのマルウェア攻撃を瞬時に検知・自動復旧させる「ALSOK EDRサービス」を開始しました。
そのほか、ヘルス・セキュリティとして産業医の選任義務がない50名未満の事業場向けに最適化された、従業員の健康管理をサポートするための産業医サービス「ALSOKオフィスドクターパック」、企業の従業員様向けに、健康相談・メンタルヘルス・ハラスメントの電話相談をパッケージ化した「ALSOK相談窓口サービス」を提供しております。
経営成績
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 489,092 | 492,226 | 521,400 |
営業利益 | 42,865 | 36,993 | 39,082 |
財政状態
2024年3月 | |
---|---|
自己資本比率 | 62.2% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
セキュリティ事業 | 73% | 10% |
綜合管理・防災事業 | 15% | 11% |
介護事業 | 10% | 3% |
その他 | 2% | 10% |
設備投資(抜粋)
当社グループでは、警備業務を中心とした事業の拡大への対応と能力の向上を図るため、当連結会計年度において有形固定資産並びに無形固定資産へ総額15,898百万円の設備投資を実施致しました。その主な内容は、次のとおりであります。
・機械警備用機器 10,241百万円
・器具及び備品 1,573百万円
・建物及び構築物 963百万円
・ソフトウェア 941百万円
なお、設備投資等の金額は、事業セグメントに配分しておりません。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
設備投資 | 16,280 | 16,448 | 15,898 |
減価償却費 | 16,861 | 17,922 | 18,727 |
研究開発(抜粋)
当社グループにおける研究開発活動は、主に提出会社が行っております。当社の研究開発は、収益性の向上に貢献することを目的とし、多様化する市場ニーズを捉え、かつ市場競争力のある技術及び商品の開発を推進することを基本方針としております。当連結会計年度における研究開発費は、総額538百万円であり、主にセキュリティ事業に係るものであります。また、当社の研究開発部門は、研究や開発に該当しない調査・企画・知的財産管理・品質管理等の活動についても研究開発と一体として行っており、研究開発費にこうした活動に係る費用を加えた総額は2,030百万円であります。
当社では、リスクが多様化する社会の中で、拡大する安全・安心ニーズに応えるべく、「身近な犯罪の多様化・体感治安の悪化」、「巧妙化するサイバー攻撃」、「少子高齢化による人手不足」等に対処するために、次のような研究を行っております。また、オープンイノベーションを推進するとともに先端技術について産学官連携を進め、刻々と変化する社会情勢に対応していきます。
(1)最新技術を活用した独自のセキュリティシステム
不審者発見や犯罪・テロ防止を図るべく、「被害の予知・予兆、未然防止」の実現を目指しており、AI、5G、高度なセンシング技術等を活用した研究開発を行っております。
少子高齢化による人手不足の進展の中で、省人化を目指した次世代のセキュリティシステムの創造に積極的に取り組む一方で、既存の警備センサーの改良等も行い、常に社会環境に適応した最先端のセキュリティを追求しています。
また、機械警備隊員や常駐警備隊員の対応力を強化し、業務範囲を拡大するため、デジタル技術を活用した新装備の研究開発等も合わせて行っております。
(2)遠隔監視/リモート化による施設や設備監視業務等の拡充
警備監視で培ったノウハウを活用し、警備用途以外も含め、お客様の施設や設備の状況を遠隔で幅広く監視し、リモートによる保守や駆けつけによる緊急対応や応急処置が行えるサービスの研究開発を進めております。2023年3月には、IT機器の障害が発生した際に機械警備隊員が駆けつけ、原因究明と応急処置を行う「ALSOK ITレスキュー」のサービスを開始いたしました。翌2024年2月には、マンションやビル等の設備の障害発生時に機械警備隊員が駆けつけて応急処置を行うことで、お客様の施設管理業務の省力化に貢献するサービス「ALSOK 設備レスキュー」の提供を開始いたしました。今後もこれらの警備監視で培ったノウハウと開発したプラットフォームを活用し、更なるサービスメニューの追加を図ってまいります。
(3)個人向けセキュリティ
従来のホームセキュリティ機能に加えて操作性やデザイン性を向上したホームセキュリティ機器の開発も進めております。2023年4月には、スマホやスマートウォッチで警備操作や履歴の確認が可能な「HOME ALSOK Connect」の提供を開始いたしました。
また、ホームセキュリティサービスにとどまらず、今後益々需要が拡大する高齢者市場に対応しつつ、新たなホームセキュリティユーザー層を獲得すべく、日々の生活の安全・安心を支援する総合的なセキュリティサービスの研究開発を進めてまいります。
(4)ロボティクス
1982年より警備用ロボットの研究開発に着手して以降、自律走行機能や警備機能、案内機能等を搭載した警備ロボットを開発し、全国の商業施設やオフィスビル等に提供してきました。また、ドローンによる屋内外の画像巡回業務等警備向けドローンの開発も推進しております。今後も、画像認識技術を活用した巡回中の異常検知機能向上や、点検業務における異常検知等の研究開発に取り組んでまいります。
(5)情報セキュリティ
「生命・財産」に加え、「情報資産」を守るべく、物理的なセキュリティとサイバーセキュリティ両面からの情報セキュリティソリューションの開発を行い、今後さらに巧妙化するサイバー犯罪に対する対策メニューの充実を図ってまいります。
(6)介護その他
モニタリング技術を活用した介護現場のリモート支援等、高付加価値な新商品・サービスの開発にも取り組み、セキュリティ分野でのDXをこれからも進めてまいります。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
研究開発 | 565 | 603 | 538 |
売上対比 | 0.1% | 0.1% | 0.1% |