(株)ジェイテクト
事業内容(抜粋)
当社グループは、当社、連結子会社119社及び関連会社14社で構成され、自動車、産機・軸受及び工作機械の各事業に係る製品の製造販売を主な事業としており、当社グループの主な事業内容は以下のとおりであります。(2024年3月31日現在)
<自動車>
電動パワーステアリング、油圧パワーステアリング、電子制御4WD用カップリング(ITCC)、トルセン、FCEV向け減圧弁等
<産機・軸受>
ローラーベアリング、ボールベアリング、ベアリングユニット、その他各種ベアリング、オイルシール等
<工作機械>
研削盤、マシニングセンタ、切削機、制御機器(IoE関連製品を含む)、工業用熱処理炉等
経営成績
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 1,428,426 | 1,678,146 | 1,891,504 |
営業利益 | 36,401 | 49,325 | 62,196 |
財政状態
2024年3月 | |
---|---|
親会社所有者帰属持分比率 | 48.45% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
自動車 | 71% | 3% |
産機・軸受 | 19% | 3% |
工作機械 | 10% | 7% |
設備投資(抜粋)
当連結会計年度の設備投資につきましては、財務体質の改善・既存領域の競争力強化に向け、投資案件の精査や投資原単位の見直し等を継続するとともに、新規領域やカーボンニュートラル・DX等の戦略投資を行ってまいりました。
その結果、当連結会計年度の設備投資の総額は65,194百万円となりました。
セグメントごとの設備投資につきましては、次のとおりであります。
自動車におきましては、生産能力・技術開発力の増強等により38,980百万円となりました。
産機・軸受におきましては、生産能力・技術開発力の増強等により16,274百万円となりました。
工作機械におきましては、製造設備の更新等により9,939百万円となりました。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
設備投資 | 44,406 | 62,386 | 65,194 |
減価償却費及び償却費 | 66,990 | 69,493 | 72,350 |
研究開発(抜粋)
当社グループでは、「ジェイテクトの基本理念」に掲げる「全員参加」のもと、グループで保有する多様なシーズを掛け合わせ、No.1 & Only One の製品やサービスを未来志向のソリューションとして成長市場へ投入することで、より多くのお客様の困りごとを解決するとともに、環境・安全・エネルギー・少子高齢化等の社会課題解決への貢献を更に加速させてまいります。祖業である軸受や工作機械で培った、トライボロジー(潤滑、摩擦)、材料、システム制御、計測・解析、成形・加工等、多様な基盤技術を融合させ、新しい製品や製品を融合させたシステムやソリューションを発明することで、これからも変化し続ける世の中の多様なニーズに応えてまいります。
また、デジタル技術等を活用し既存領域の開発効率を徹底的に高める一方で、新規・先行領域の研究開発への投資を強化することで新たな価値づくりに挑戦し、更なる成長を目指してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は58,909百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、以下のとおりであります。
(1) 自動車
自動車事業は、ステアリング及び駆動製品の充実化と、車両(モビリティ)の「走る、曲がる」の領域を一括し、市場の新規ソリューションに繋がるシステムを提供することを目指しております。
ステアリング領域では、モビリティの運転支援・自動運転の高度化するニーズに対応する技術の開発を進めるとともに、商用車を含めた車両の電動化や電費向上に貢献する電動パワーステアリングの開発とその小型・軽量化に取り組みました。
駆動領域では、電動車xEV(※1)の「電費向上」、「安全・安心な走りの質向上」に貢献する差動制限機能付きデファレンシャルギヤの開発を進めるとともに、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)の商用車への適用を可能にするための高圧水素供給バルブ及び高圧水素減圧弁の開発に取り組みました。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
・小型軽量コラムアシストタイプ電動パワーステアリング「C-EPS」を新開発。広州汽車集団有限公司の「E8」に採用
・第2世代ラックパラレルタイプ電動パワーステアリング「RP-EPS」を新開発。トヨタ自動車株式会社の新型「センチュリー」、「アルファード」、「ヴェルファイア」に採用
・大型商用車向けレーンキーピングアシストをサポートする操舵アクチュエータを新開発。いすゞ自動車株式会社の「ELF」に採用
・安全・安心・快適な自動運転に貢献する人中心の自動操舵制御システム「Pairdriver®」を開発
・自動運転とドライバーの快適性に貢献するリンクレスステアバイワイヤシステム「J‐EPICS®」を開発
・eAxle小型化や、安全・安心な走りに貢献する電動化に対応した「JTEKT Ultra Compact Diff.®」を開発
※1:BEV(Battery Electric Vehicle)等を含めた電動化された自動車の総称
※2:Limited Slip Differential 差動制限機能付きデファレンシャルギヤの略称
(2) 産機・軸受
産機・軸受事業では、低トルク、小型軽量化、長寿命化、高速回転対応等、これまで培ってきた基盤技術を更に進化させ、自動車の電動化や産機分野での使用環境の多様化に対応する新たな商品開発に取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
◆自動車用軸受
・JTEKT Ultra Compact Bearing® (JUCB)のシリーズラインナップ拡充
BEV(Battery Electric Vehicle)の普及拡大に伴い、その心臓部であるeAxle用の超幅狭軸受「JUCB®」について、適合サイズでのラインナップを整備しました。短納期でのサンプル納入を可能とし、国内外のお客様へ提案を進めております。
・磁気軸受を採用したBEV(Battery Electric Vehicle)用超高速、急加減速軸受試験設備の導入
BEV(Battery Electric Vehicle)用モーターのさらなる高速化ニーズに対応するため、超高速、急加減速軸受試験機を開発しました。心臓部にグループ会社である株式会社ジェイテクトマグネティックベアリングの磁気軸受を採用することで、超高速、急加減速の条件で軸受寿命限界までの評価を実現。これにより、製品課題の抽出や、MBD(※1)のキーとなるシミュレーション精度を向上させ、安全・安心・快適なBEV(Battery Electric Vehicle)の開発加速に貢献いたします。
・耐水素環境用軸受「EXSEV-H2®」の量産を開始
水素環境での耐久性、耐食性を大きく向上させた「EXSEV-H2®」の量産を開始しました。本製品は燃料電池の水素循環ポンプ等に使用され、カーボンニュートラルの実現に貢献いたします。
◆産機用軸受
・ターボ分子ポンプ用タッチダウン軸受の高耐久化提案の推進
半導体製造装置等、高真空用途で広く使用される、磁気軸受型ターボ分子ポンプ用タッチダウン軸受について、従来品比4倍以上の耐久性を有するMVコーティング品をお客様へ提案し、市場拡大を進めております。
・超高精度軸受「PRECILENCE®」のラインナップを拡充
再生可能エネルギーとBEV(Battery Electric Vehicle)の普及拡大に不可欠な、二次電池等の製造を支える塗工機のロール支持用軸受として採用されました。塗工面精度の向上は、二次電池の品質、生産の安定化に貢献します。
・ロードバイク用高性能軸受「ONI BEARING®」
2022年の発売以来、圧倒的な低トルク性能が評価され、第20回2023年超モノづくり部品大賞「日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞しました。また、世界最高峰のロードレースチーム「Team Visma/Lease a Bike」とオフィシャルパートナー契約を締結し、名実ともに「日本力」として世界に認められました。
※1:MBD:Model Based Development
開発品のモデルをコンピューター上で製作し、そのモデルをベースにシミュレーション技術を活用することで、開発期間の飛躍的な短縮と製品品質を向上させる効率的な開発手法であります。
(3) 工作機械
工作機械事業においては、モノづくりイノベーションカンパニーとして、お客様のモノづくりの価値を高めることを目指しております。研究開発活動においては、JTEKTグループのシーズを活かし、新しいニーズに応え続ける商品開発と次世代を見据えた技術開発を推進しております。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
・車載用電池性能の肝である源泉工程を担う製造設備を開発
シンプル・スリム・コンパクトをコンセプトとして掲げたBEV(Battery Electric Vehicle)用電池製造設備開発を進め、省スペース・高生産性を実現しております。
・硬脆材料ウェーハ研削盤「R631BM」(株式会社ジェイテクトマシンシステム)及びダイヤモンドホイール「nanoVi」(株式会社ジェイテクトグラインディングツール)をSEMICON Japan 2023に出展
ジェイテクトグループのコラボレーションにより8インチSiC研削に対応し、低い砥石摩耗率を実現いたしました。
・過熱水蒸気を利用した熱処理装置「AllFit®」(株式会社ジェイテクトサーモシステム)が一般社団法人日本ファインセラミックス協会より技術振興賞を受賞
ファインセラミックスの脱脂工程の生産性改善に寄与いたしました。
・省エネに貢献する次世代電磁弁を開発(株式会社ジェイテクトフルードパワーシステム)
従来比で消費電力30%減を実現し、とりわけCO2排出量が多い製造業で求められる省エネに貢献できる設備や部品のニーズに対応いたしました。
・環境にやさしい水圧ポンプを新開発(株式会社ジェイテクトフルードパワーシステム)
河川や水路を制御する水門に使うポンプを油圧から水圧に置き換えることで水質汚染リスク軽減に貢献いたしました。
(4) その他新領域
当社は、取り巻く環境の変化を先読みして持続的に成長するために、少子高齢化や環境・エネルギー・食料問題といった将来の社会課題に対するニーズと、既存の事業で培った技術やノウハウといったシーズを掛け合わせることで、新規事業領域の創出に取り組んでおり、前連結会計年度に立ち上げた新組織「事業開発領域」で、事業の育成、拡大を加速させております。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
◆アクティブ・ライフ事業
・介護用アシストスーツ「J-PAS fleairy® (フレアリー)」の販売拡大
電動パワーステアリングのアシスト制御技術をベースに、介護作業における腰への負担低減を通じて、介護離職率の増加という社会課題の解決に貢献。販売網の拡大を推進中。更なる販売拡大を目指して、農業分野等への展開を模索中であります。
・介助用車いす電動アシストユニット「軽e®(かるいー)」の販売
在宅介護での介助者の負担軽減に貢献する介助用車いす電動アシストユニット「軽e®(かるいー)」を日進医療器株式会社へ納入、同社から介助用電動アシスト車いすとして販売展開中であります。
・病院ベッド用搬送アシストユニット「ラクステア®」の実証
医療現場における看護業務の負荷軽減に貢献する病院ベッド用搬送アシストユニット「ラクステア®」(株式会社ジェイテクトマシンシステム)の病院での実証を完了いたしました。
◆蓄電デバイス事業
・高耐熱リチウムイオンキャパシタ「Libuddy®(リバディー)」が市販される製品に初採用
メンテナンス不要な無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply:UPS)の心臓部として、システムの安定稼働や重要なデータの保護に貢献しております。
・自動車向け次世代品の開発
自動車向け用途においても、コスト競争力向上と低温出力アップを目指した次世代品の開発を目途付けいたしました。
・ドローンへのLibuddy®の活用
産業用ドローンに強みを持つ株式会社プロドローンと技術連携を推進し、ドローンへのLibuddy®の活用を展示会で提案。愛知県、株式会社プロドローン、名古屋鉄道株式会社との社会課題解決と地域振興を目指す共同プロジェクト「空と道がつながる愛知モデル2030」に参画いたしました。
◆歯車事業
・豊橋工場で産業用ロボット用歯車の生産を開始
自動車事業、産機・軸受事業、工作機械事業、グループ会社で培った歯車関係技術を活用し、歯車装置の小型化、高効率化、静粛性向上に貢献する技術開発を推進。ギヤイノベーションセンター(刈谷工場)での歯車試作に加え、自動車、産業用ロボット等に歯車を提供できる生産設備を豊橋工場に設置し、生産を開始いたしました。
◆サステナブルフード
・コオロギの食品としての可能性に着目し当社の技術を活かした安全・安心・高機能な食料資源の開発を推進
将来の食料資源、タンパク質供給源の多様化に向けた解決策として、既存事業で培った自動化技術、データ・品質管理技術を基盤とした飼育・加工一貫プラントによる生産を実現し、社会に貢献することを目指しております。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
研究開発 | 47,576 | 51,399 | 58,909 |
売上対比 | 3.3% | 3.1% | 3.1% |