住友金属鉱山(株)
事業内容(抜粋)
当社グループは、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在、当社及び連結子会社52社、持分法適用会社13社により構成され、資源開発、非鉄金属製品の製造・販売、電池材料及び機能性材料の製造・販売を主たる業務とし、その他これらに関連する事業活動を展開しております。
当社グループの事業内容と主な会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
(1)資源セグメント
●資源開発
国内及び海外における非鉄金属資源の探査・開発・生産及び生産物の販売
(金銀鉱の採掘・販売、銅精鉱及びSX-EW法による銅の生産・販売等)
<主な会社>
当社、Sumitomo Metal Mining America Inc.、Sumitomo Metal Mining Arizona Inc.、SMM Morenci Inc.、SMMA Candelaria Inc.、Sumitomo Metal Mining Canada Ltd.、SMM GOLD COTE INC.、SMM Exploration Corporation、Sumitomo Metal Mining Oceania Pty.Ltd.、SMM Resources Inc.、SMM Cerro Verde Netherlands B.V.、SMMCV Holding B.V.、Sumitomo Metal Mining Peru S.A.、Sumitomo Metal Mining Chile LTDA.、SMM Quebrada Blanca SpA、SMMQB Holding SpA、Sumitomo Metal Mining do Brasil LTDA.、Compania Contractual Minera Candelaria、Sociedad Minera Cerro Verde S.A.A.、Compania Contractual Minera Ojos del Salado、Quebrada Blanca Holdings SpA、Cordillera Exploration Company Inc.
●地質調査・土木工事
資源開発技術から発展した地質調査業及び掘削技術を中心とした土木工事業
<主な会社>
住鉱資源開発㈱
(2)製錬セグメント
●金属製錬
銅・ニッケル・フェロニッケル・亜鉛等の製錬・販売及び金・銀・白金・パラジウム等の貴金属の製錬・販売等
<主な会社>
当社、㈱日向製錬所、㈱四阪製錬所、住鉱物流㈱、Coral Bay Nickel Corporation、Taganito HPAL Nickel Corporation、Sumitomo Metal Mining Philippine Holdings Corporation、住友金属鉱山管理(上海)有限公司、住友金属鉱山(香港)有限公司、㈱アシッズ、エム・エスジンク㈱、FIGESBAL SA、金隆銅業有限公司、Nickel Asia Corporation
●金属加工
伸銅品等の製造・販売
<主な会社>
三井住友金属鉱山伸銅㈱
(3)材料セグメント
●電池材料
水酸化ニッケル・ニッケル酸リチウム等の製造・販売
<主な会社>
当社、住鉱エナジーマテリアル㈱、SMM VIETNAM CO.,LTD
●機能性材料
粉体材料(ペースト・ニッケル粉・近赤外線吸収材料・磁性材料等)・結晶材料(タンタル酸リチウム基板等)・パッケージ材料(テープ材・プリント配線板等)の製造・加工・販売
<主な会社>
当社、大口電子㈱、住鉱国富電子㈱、㈱SMMプレシジョン、㈱グラノプト、㈱サイコックス、新居浜電子㈱、㈱伸光製作所、韓国住鉱株式会社、上海住鉱電子漿料有限公司、東莞住鉱電子漿料有限公司、台住電子材料股份有限公司、格藍光学材料貿易(深圳)有限公司、伸光商貿(中山市)有限責任公司、大口マテリアル㈱
●その他
軽量気泡コンクリート(シポレックス)・潤滑剤・自動車排ガス処理触媒・化学触媒・石油精製脱硫触媒等の製造・販売等
<主な会社>
住友金属鉱山シポレックス㈱、住鉱潤滑剤㈱、住鉱潤滑剤貿易(上海)有限公司、エヌ・イー ケムキャット㈱、日本ケッチェン㈱
(4)その他
エンジニアリング事業、環境保全設備・装置の設計・製造・施工、機械設備の設計・製作、建設業等
<主な会社>
当社、住友金属鉱山エンジニアリング㈱、ヰゲタハイム㈱、㈱ジェー・シー・オー、日本照射サービス㈱、住鉱技術サービス㈱、住鉱テクノリサーチ㈱
経営成績
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 1,259,091 | 1,422,989 | 1,445,388 |
営業利益 | 270,982 | 172,581 | 62,154 |
財政状態
2024年3月 | |
---|---|
親会社所有者帰属持分比率 | 58.9% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
資源 | 8% | 32% |
製錬 | 70% | 6% |
材料 | 22% | -2% |
その他 | 0% | -15% |
設備投資(抜粋)
設備投資の状況をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
・資源 74,173百万円
・製錬 42,092百万円
・材料 29,335百万円
・その他 569百万円
・調整額 3,754百万円
・合計 149,923百万円
(注)「設備の状況」に記載している金額は、消費税等を除いた金額であります。
当社グループでは、生産活動の維持、増強並びに生産性の向上を図るため、必要な設備投資を実施しております。当連結会計年度は149,923百万円の設備投資(有形固定資産及び無形資産受入ベース)を実施いたしました。
資源セグメントにおいては、当社では引き続き菱刈鉱山におきまして、探鉱開発を中心とした設備投資を実施いたしました。また、コテ金開発プロジェクトやモレンシー銅鉱山など海外鉱山における採鉱及び生産のための設備投資を実施いたしました。当セグメントにおける設備投資の総額は74,173百万円でありました。
製錬セグメントにおいては、当社、Coral Bay Nickel Corporation及びTaganito HPAL Nickel Corporationなどにおいて設備の維持・更新のための設備投資を実施いたしました。当セグメントにおける設備投資の総額は42,092百万円でありました。
材料セグメントにおいては、電池材料の新工場建設をはじめとした生産設備増強を実施しております。当セグメントにおける設備投資の総額は29,335百万円でありました。
なお、所要資金につきましては、自己資金及び借入金をもって充当いたしました。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
設備投資 | 64,539 | 140,845 | 149,923 |
減価償却費及び償却費 | 46,455 | 53,310 | 56,224 |
研究開発(抜粋)
当社グループでは資源、製錬及び材料をコアビジネスとして選択と集中を進めるなか、研究開発においても研究開発費の重点配分を行い、「製錬プロセス技術」、「粉体合成・表面処理技術」、「結晶育成・加工技術」、「探鉱・採鉱・選鉱技術」をコア技術と位置付けています。また、「評価解析技術」、「数理解析技術」を基盤技術と定め、技術ドメインを明確にして重点的な開発を実行しております。
具体的には、資源開発及び非鉄製錬分野における新規プロセス・技術開発、また、材料分野では、社会的ニーズの高い環境・エネルギー分野及び情報通信分野の高機能材料・新技術開発を中心に、国家プロジェクトへの参画や産学連携を含め取り組んでおります。さらに、将来を見据えた粉体材料に関する新規技術獲得のために、粉体基礎研究にも取り組んでおります。
また、「2030年のありたい姿」実現に向け、資源、製錬、材料の3事業連携を推進し、電池リサイクル、新製錬技術等のプロセス開発を継続するとともに、温室効果ガス(GHG)排出を抑制できる製品として電池正極材、当社独自技術による近赤外線吸収材料の開発も継続し取り組んでおります。
リチウム精製につきましては、上記のどの事業にも属さない基礎研究や新規事業向け研究開発となりますが、塩湖かん水からリチウムを回収する「直接リチウム抽出法」の実証試験を開始すべくチリ共和国アントファガスタ州にパイロットプラントを設置いたしました。リチウム資源の安定調達、金属資源の有効活用、環境負荷の低減に向け、実証試験を通じて本技術の実用化を進めます。
なお、当連結会計年度に投入した研究開発費は10,959百万円であり、研究所の費用を管理上、各報告セグメントに配分した後の調整額等△333百万円が含まれております。
報告セグメントごとの研究開発活動の状況は次のとおりであります。
(1)資源セグメント
鉱床を探す探鉱技術、鉱床から最大限に鉱石を取り出す採鉱技術、鉱石中の有価金属を分離濃縮する選鉱技術に関する技術開発を進めております。資源系人材育成の教育システムを強化・充実させるため、北海道大学大学院工学院と九州大学大学院工学府が民間企業及び公的機関と連携して2022年に設立した「資源系教育コンソーシアム」に参画しました。非鉄金属原料鉱石の処理に関して、精鉱の品質及び実収率の改善のためのパイロット設備を利用した浮遊選鉱等の選鉱技術開発や探鉱技術及び鉱石採掘法の効率化の技術開発等を行っております。
当セグメントに係る研究開発費は155百万円であります。
(2)製錬セグメント
非鉄金属事業において、原料対応力、コスト競争力強化、GHG排出量削減に繋がる製錬技術の開発や新プロセス技術の開発を行っております。また、ハイブリッド自動車や電気自動車の廃リチウムイオン二次電池からニッケル、コバルト、リチウム等のメタルを回収し、電池材料に再資源化するリサイクルプロセスの開発も進めております。本プロセスは、乾式製錬工程と湿式製錬工程とを組み合わせるもので、関東電化工業株式会社との共同開発により、乾式製錬工程にて回収されたスラグから電池材料として再利用可能なレベルの高純度リチウム化合物として再資源化する技術を世界で初めて確立しております。電池リサイクルプロセス開発につきましては「蓄電池リサイクルプロセスの開発と実証」とのテーマで国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金助成事業として採択され、早期事業化に向け実証試験を進めております。なお、リチウムについては、塩湖かん水からの直接回収技術の確立も進めております。
九州大学と組織対応型連携契約を締結し、共同研究と人材育成を継続してきております。革新的な湿式製錬技術や排水処理技術の開発などに取り組んでいるほか、九州大学全体のシーズを活用して資源・製錬分野を中心にさまざまなテーマでの連携を進めております。
また、国内非鉄金属製錬業の持続的発展のための研究を目的とし、2023年4月から2028年3月の5ヶ年にわたり、東北大学多元物質科学研究所に共同研究部門(第二期)を設置いたしました。引き続き、国内の非鉄製錬企業等とも連携を深め、非鉄金属製錬講座の維持・拡大を支援するとともに、技術者の育成と確保に貢献していくことを目指します。
当セグメントに係る研究開発費は4,245百万円であります。
(3)材料セグメント
カーボンニュートラル実現に貢献する新技術・プロセスの研究を推進しております。二次電池関連では、リチウムイオン二次電池の正極材料であるニッケル酸リチウムについて、コスト・容量・出力及び安全性確保などの機能向上を図り、ハイブリッド自動車、電気自動車用電池への積極的な展開に取り組んでおり、開発した新規材料の量産移行を進めております。また、電池研究所(愛媛県新居浜市)は拡張され、次世代の高性能ニッケル正極材や全固体電池用正極材の開発が進んでおります。さらに、電池材料事業の拡大に資する高性能かつ低コストの正極材料及びその製造プロセスを開発する研究開発基盤を強化するため、パイロット設備の導入とそれらの設備を収容する建屋(電池研究所第2開発棟)の建設を行うことを決定しました。2023年12月に建設を開始しており、完成は2025年12月を見込んでおります。なお、全固体電池を含む高性能正極材料とGHG排出量低減プロセスの開発につきましては、「次世代蓄電池用高性能正極材料の開発と実証」とのテーマでNEDOのグリーンイノベーション基金助成事業として採択され、実用化を目指し活動を進めております。
また、GHG削減に貢献する新材料として、人工光合成光触媒材料の研究に取り組んでおり、水分解による水素製造や二酸化炭素の再資源化など、太陽光エネルギーを利用し化学反応を促進する高性能光触媒材料の創出に取り組んでおります。また、京都大学内に開設した二酸化炭素有効利用に関する産学共同講座を通じて二酸化炭素を一酸化炭素に変換する二酸化炭素還元光触媒の研究開発を進めております。
産学連携による研究開発推進のため、東北大学と包括的な共同研究と人材教育を進める組織的連携協力協定を締結し、同大学の広範囲にわたる研究機能を活用して、機能性材料や評価技術の開発及び人材育成を進める体制を整備しております。また同大学とは、2050年に向けたビジョン共創型パートナーシップに基づく取り組みも行っております。この取り組みでは、2050年をターゲットとした「ありたい姿」と「ビジョン」からバックキャストして具体化した材料系素材の共同研究・開発に取り組み、それらの事業化・社会実装の実現によって新たな価値の創造を目指しております。このビジョン達成に向けて設置した共創研究所を通じてGX材料科学(注)に関する研究開発テーマの企画・計画立案を促進しております。
エネルギーハーベスティングを実現する材料として開発中のFe-Ga磁歪合金単結晶につきまして、国際展示会等へ出展し、脱炭素社会に貢献する機能性材料として紹介いたしました。また、フィルムなどの基材の上に印刷技術で電子回路やセンサーを形成する「プリンテッドエレクトロニクス」向けの導電性インクとして、当社は国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)、株式会社プリウェイズ(NIMS発ベンチャー企業)及び持分法適用会社であるエヌ・イー ケムキャット株式会社と共同で厚膜導電性インクを開発いたしました。本インクには、プリンテッドエレクトロニクスで要求される膜厚制御と低温焼結性を実現すべく新居浜研究所にて開発中の微粒銅粉が添加されております。
当セグメントに係る研究開発費は6,875百万円であります。
(注)2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、GHGを発生させない再生可能なクリーンエネルギーに転換し、経済社会システムや産業構造を変革させて成長に繋げるための新材料開発に資する材料科学。
2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | |
---|---|---|---|
研究開発 | 6,648 | 9,216 | 10,959 |
売上対比 | 0.5% | 0.6% | 0.8% |