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第一三共(株)

事業内容(抜粋)

当社グループは、当社と子会社49社、関連会社1社の計51社で構成され、医薬品等の製造販売を主な事業内容としております。

 当社グループの営んでいる主な事業内容と当社グループを構成している各関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

 なお、当社グループは、報告セグメントが単一であるため、セグメント情報の記載を省略しております。

国内(12社):

当社は医薬品の研究開発・製造・販売を行っております。連結子会社の第一三共プロファーマ㈱及び第一三共ケミカルファーマ㈱は医薬品の製造を行っております。連結子会社の第一三共エスファ㈱は医薬品の研究開発・販売を、第一三共ヘルスケア㈱は一般用医薬品等の研究開発・販売を、第一三共バイオテック㈱はワクチンの研究開発・製造をそれぞれ行っております。

第一三共プロファーマ㈱、第一三共ケミカルファーマ㈱、第一三共エスファ㈱、第一三共バイオテック㈱は当社に製品を供給しております。当社は連結子会社の第一三共バイオテック㈱及び第一三共RDノバーレ㈱に研究開発業務を委託しております。

連結子会社の第一三共ビジネスアソシエ㈱は当社及び国内グループ各社に人事や経理等の事務サービスを提供しているほか不動産賃貸及び保険代理業務等多岐にわたる業務を行っております。

海外(39社):

米国において、持株会社である連結子会社の第一三共U.S.ホールディングスInc.のもと、連結子会社の第一三共Inc.は医薬品の研究開発・販売を行っております。当社は第一三共Inc.に製品の供給、研究開発業務の委託をしております。第一三共Inc.の子会社であるアメリカン・リージェントInc.は医薬品の研究開発・製造・販売を行っております。

欧州において、連結子会社の第一三共ヨーロッパGmbH及びそのグループ会社19社は、欧州各国で医薬品の研究開発・製造・販売を行っております。当社は第一三共ヨーロッパGmbHに原料の供給、製造の委託、研究開発業務の委託をしております。

その他の地域において、連結子会社の第一三共(中国)投資有限公司、第一三共製薬(上海)有限公司及び第一三共ブラジルLtda.等は医薬品の研究開発・製造・販売を行っており、当社はそれぞれの会社に中間体及び製品を供給しております。

経営成績

2022年3月 2023年3月 2024年3月
売上高 1,044,892 1,278,478 1,601,688
営業利益 73,025 120,580 211,588
単位:百万円

財政状態

2024年3月
親会社所有者帰属持分比率 48.8%

セグメント情報

売上高構成比 セグメント利益率
医療用医薬品 95%
ヘルスケア 5%
その他 0%

設備投資(抜粋)

当社グループでは、生産設備の増強・合理化及び研究開発の強化・効率化等を目的とした設備投資を継続的に実施しております。

当連結会計年度は、第一三共プロファーマ㈱及び第一三共ケミカルファーマ㈱の製造設備、アメリカン・リージェントInc.及び第一三共ヨーロッパ GmbHにおける製造設備等を中心に全体で89,386百万円の設備投資を行いました。

2022年3月 2023年3月 2024年3月
設備投資 56,152 71,539 89,386
減価償却費 58,245 67,789 59,646
単位:百万円

研究開発(抜粋)

当社グループは、5つのDXd ADC(トラスツズマブ デルクステカン:T-DXd/DS-8201、ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd/DS-1062、パトリツマブ デルクステカン:HER3-DXd/U3-1402、イフィナタマブ デルクステカン:I-DXd/DS-7300、DS-6000)の製品価値最大化を目指してリソースを集中投入するとともに、持続的成長の実現に向けてSOC(注1)を変革する製品群(Next Wave)の創薬を目指す「5DXd ADCs and Next Wave」戦略のもと、グローバル臨床開発の加速化にも注力して研究開発に取り組んでおります。

中長期的には、がんに加え、当社のサイエンス&テクノロジーの優位性を活かして様々な疾患に対する治療薬創製を目指し、新規モダリティ(注2)の技術研究等を通じた創薬力の強化に取り組んでおります。

(注)1.Standard of Careの略。現在の医学では最善とされ、広く用いられている治療法。

2.モダリティとは低分子薬、抗体医薬、ADC、核酸医薬、遺伝子治療等の治療手段のこと。

当連結会計年度の研究開発費(IFRSベース)は、3,652億円(前連結会計年度比6.9%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は、22.8%となりました。

(1) 5DXd ADCs

 当連結会計年度における5DXd ADCsの臨床開発の状況は次のとおりであります。

 トラスツズマブ デルクステカン及びダトポタマブ デルクステカンは、アストラゼネカと共同開発しております。また、パトリツマブ デルクステカン、イフィナタマブ デルクステカン(DS-7300)、DS-6000については、2023年10月に戦略的提携契約を締結したMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下「米国メルク」)と共同開発しております。

① トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201:抗HER2 ADC、製品名:エンハーツ)

 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年6月、米国臨床腫瘍学会(ASCO)においてHER2発現の複数の固形がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-PanTumor02)の初のデータを発表いたしました。

・2023年6月、ASCOにおいてHER2陽性大腸がんの3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-CRC02)の初のデータを発表いたしました。

・2023年7月、HER2低発現乳がん(化学療法既治療)を対象とした中国における承認を取得いたしました。

・2023年8月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療を対象とした日本における承認を取得いたしました。

・2023年9月、HER2陽性(IHC3+)固形がんの2次治療以降及びHER2陽性(IHC3+)大腸がんの3次治療以降を対象とした米国食品医薬品局(FDA)からの画期的治療薬(注3)の指定を獲得いたしました。

・2023年9月、世界肺がん学会(WCLC)においてHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療以降を対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-Lung02)のデータを発表いたしました。

・2023年9月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん2次治療を対象とした欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)による承認の勧告を受領いたしました。

・2023年10月、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)においてHER2発現の複数の固形がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:DESTINY-PanTumor02)のプライマリー解析データを発表いたしました。

・2023年10月、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん2次治療を対象とした欧州における承認を取得いたしました。

・2023年12月、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)においてHER2低発現乳がん(化学療法未治療/既治療)を対象としたフェーズ1b試験(試験名:DESTINYBreast08)のうち、ホルモン療法との併用コホートの初のデータを発表いたしました。

・2023年12月、HER2陽性胃がん3次治療以降を対象とした中国における承認申請を受理いたしました。

・2024年1月、RTOR(Real-Time Oncology Review、注4)プログラム適応の下、HER2陽性の複数の固形がんを対象とした米国における承認申請の受理及び優先審査(注5)の指定を獲得いたしました。

・2024年3月、HER2遺伝子変異非小細胞肺がんの2次治療以降を対象とした中国における承認申請が受理されました。

(注)3.重篤な疾患を対象に、既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進し、患者により早く新薬を届けるために定められた制度。

4.患者が安全かつ効果的な治療をできるだけ早期に受けられるよう、より効率的な審査プロセスの探求を目指した制度。申請者が正式に完全な申請書を提出する前に、FDAが多くのデータを早期に審査することが可能となります。

5.米国において、治療上重要な進歩をもたらす薬剤や、現在適切な治療法がない疾患への治療法を提供する薬剤に対して指定され、通常審査期間(10ヶ月目標)に比べ審査期間の短縮(6ヶ月目標)が見込まれます。

② ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062:抗TROP2 ADC)

 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年6月、ASCOにおいて非小細胞肺がんを対象とした免疫チェックポイント阻害剤との併用療法のフェーズ1b試験(試験名:TROPION-Lung02)の最新データを発表いたしました。

・2023年7月、非小細胞肺がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung01)の結果概要を発表いたしました。

・2023年9月、WCLCにおいてアクショナブル遺伝子変異のない非小細胞肺がんの1次・2次治療を対象としたフェーズ1b試験(試験名:TROPION-Lung04)のうち、デュルバルマブとの併用コホートの初のデータを発表いたしました。

・2023年9月、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の乳がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast01)の結果概要を発表いたしました。

・2023年10月、ESMOにおいて非小細胞肺がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Lung01)の初のデータを発表いたしました。

・2023年10月、ESMOにおいてアクショナブル遺伝子変異を有する非小細胞肺がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:TROPION-Lung05)のプライマリー解析データを発表いたしました。

・2023年10月、ESMOにおいてホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の乳がんの2次治療以降を対象としたフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast01)の初のデータを発表いたしました。

・2023年10月、ESMOにおいてトリプルネガティブ乳がんの1次治療を対象とした免疫チェックポイント阻害剤との併用療法のフェーズ1b/2試験(試験名:BEGONIA)の最新データを発表いたしました。

・2023年11月、トリプルネガティブ乳がん及びホルモン受容体低発現かつ、HER2低発現または陰性乳がんの術前・術後薬物療法を対象としたデュルバルマブとの併用療法を評価するフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast04)を開始いたしました。

・2023年11月、トリプルネガティブ乳がんの1次治療を対象とした単剤又はデュルバルマブとの併用療法を評価するフェーズ3試験(試験名:TROPION-Breast05)を開始いたしました。

・2024年2月、非扁平上皮非小細胞肺がんの2次治療以降を対象とした米国における承認申請が受理されました。

・2024年3月、非扁平上皮非小細胞肺がんの2次治療以降及びホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の乳がんの2次治療以降を対象とした欧州における承認申請が受理されました。

・2024年3月、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は陰性の乳がんの2次治療以降を対象とした日本及び中国における承認申請が受理されました。

③ パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402:抗HER3 ADC)

 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年4月、EGFR変異を有する非小細胞肺がんの3次治療以降を対象としたフェーズ2試験(試験名:HERTHENA-Lung01)の結果概要を発表いたしました。

・2023年9月、WCLCにおいてEGFR変異を有する非小細胞肺がんの3次治療を対象としたフェーズ2試験(試験名:HERTHENA-Lung01)の初のデータを発表いたしました。

・2023年12月、RTORプログラム適応の下、EGFR変異を有する非小細胞肺がんの3次治療を対象とした米国における承認申請の受理及びFDAからの優先審査の指定を獲得いたしました。

・2024年3月、局所進行又は転移性固形がんを対象としたフェーズ2試験(試験名:HERTHENA-PanTumor01)を開始いたしました。

④ イフィナタマブ デルクステカン(I-DXd/DS-7300:抗B7-H3 ADC)

 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年4月、小細胞肺がんを対象としたFDAからの希少疾病用医薬品(Orphan Drug、注6)の指定を獲得いたしました。

・2023年9月、WCLCにおいて固形がんを対象としたフェーズ1/2試験の小細胞肺がんサブグループ解析の最新データを発表いたしました。

・2023年10月、ESMOにおいて固形がんを対象としたフェーズ1/2試験の食道扁平上皮がん、去勢抵抗性前立腺がん及び扁平上皮非小細胞肺がんのサブグループ解析の最新データを発表いたしました。

(注)6.米国における患者数20万人未満の希少疾病に対する治療、診断、予防を目的とした医薬品を対象として、開発の支援・促進を目的として指定される制度。

⑤ DS-6000(抗CDH63 ADC)

 当連結会計年度における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年10月、ESMOにおける卵巣がんを対象としたフェーズ1試験の最新データを発表いたしました。

(2) Next Wave

 当連結会計年度におけるNext Waveの臨床開発の主な進捗は次のとおりであります。

・2023年4月、DS-5670(COVID-19 mRNAワクチン)(1価:起源株)の、健康成人を対象とした日本における初回免疫フェーズ3試験の結果概要を発表いたしました。

・2023年5月、DS-5670(2価:起源株/オミクロン株 BA.4-5)の12歳以上を対象とした日本における追加免疫フェーズ3試験を開始いたしました。

・2023年5月、DS-5670(2価:起源株/オミクロン株 BA.4-5)の5歳から11歳を対象とした日本における追加免疫フェーズ2/3試験を開始いたしました。

・2023年5月、キザルチニブ(AC220:FLT3阻害剤、日本製品名:ヴァンフリタ)のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)の1次治療を対象とした日本における承認を取得いたしました。

・2023年5月、DS-2325(KLK5阻害剤)のネザートン症候群を対象としたFDAからの希少小児疾患(Rare Pediatric Disease、注7)の指定を獲得いたしました。

・2023年6月、DS-1103(抗SIRPα抗体)の固形がんを対象としたエンハーツとの併用フェーズ1試験を開始いたしました。

・2023年6月、バレメトスタット(DS-3201:EZH1/2阻害剤、日本製品名:エザルミア)の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を対象としたフェーズ2試験(試験名:VALENTINEPTCL01)の結果概要を入手いたしました。

・2023年7月、キザルチニブのFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)の1次治療を対象とした米国における承認を取得いたしました。

・2023年8月、DS-5670(1価:起源株)(日本製品名:ダイチロナ筋注)の、SARSCoV-2による感染症の予防を適応とした追加免疫の日本における承認を取得いたしました。

・2023年9月、DS-5670(2価:起源株/オミクロン株 BA.4-5)の12歳以上を対象とした日本における追加免疫フェーズ3試験の主要評価項目達成を発表いたしました。

・2023年9月、DS-5670(1価:オミクロン株 XBB.1.5)の日本における承認を申請いたしました。

・2023年9月、DS-1471(抗CD147抗体)の固形がんを対象としたフェーズ1試験を開始いたしました。

・2023年9月、DS-3939(抗TA-MUC1 ADC)の固形がんを対象としたフェーズ1/2試験を開始いたしました。

・2023年9月、キザルチニブに関するAMLの1次治療を対象としたEMAのCHMPによる承認の勧告を受領いたしました。

・2023年10月、開発中の季節性インフルエンザ及び新型コロナに対する混合mRNAワクチンについて、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する令和5年度「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」の「重点感染症に対する感染症ワクチンの開発」へと採択されました。

・2023年11月、キザルチニブのFLT3-ITD変異陽性のAMLの1次治療を対象とした欧州における承認を取得いたしました。

・2023年11月、DS-5670(1価:オミクロン株 XBB.1.5)の日本における承認を取得いたしました。

・2023年12月、米国血液学会(ASH)においてバレメトスタットのPTCLを対象としたフェーズ2試験(試験名:VALENTINE-PTCL01)の初のデータを発表いたしました。

・2023年12月、DS-2325のネザートン症候群の患者を対象としたフェーズ1b/2試験を開始いたしました。

・2024年1月、バレメトスタットのPTCLを対象とした日本における承認申請が受理されました。

・2024年2月、バレメトスタットのHER2陽性胃がんを対象としたエンハーツとの併用及び非扁平上皮非小細胞肺がんを対象としたDato-DXdとの併用フェーズ1b試験を開始いたしました。

・2024年3月、VN-0102/JVC-001(麻しん・おたふくかぜ・風しん3種混合乾燥弱毒生ワクチン)の日本における承認申請が受理されました。

(注)7.米国で18歳までに発症し、患者数20万人未満の希少疾病に対する治療、予防を目的とした医薬品を対象として指定され、本剤が承認を取得した際の優先審査バウチャーの付与等の優遇措置を受けることができる制度。

2022年3月 2023年3月 2024年3月
研究開発 260,228 341,570 365,169
売上対比 24.9% 26.7% 22.8%
単位:百万円

従業員の状況(抜粋)

提出会社の状況

2022年3月 2023年3月 2024年3月
従業員数 5,725名 5,756名 5,817名
平均年齢 44.8歳 45.3歳 45.5歳
平均勤続年数 20.0年 20.3年 20.3年
平均年間給与 10,949,506円 11,199,600円 11,134,849円

連結会社の状況

2022年3月 2023年3月 2024年3月
従業員数 16,458名 17,435名 18,726名
1人あたり売上高 63.5百万円 73.3百万円 85.5百万円

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