花王(株)
事業内容(抜粋)
当社及び関係会社(子会社113社、関連会社5社により構成)は、コンシューマープロダクツ事業製品、ケミカル事業製品の製造、販売を主な事業としているほか、これらに附帯するサービス業務等を営んでおります。
事業の内容と当社及び関係会社の当該事業における位置付けは、以下のとおりであります。
<コンシューマープロダクツ事業(ハイジーン&リビングケア事業、ヘルス&ビューティケア事業、ライフケア事業、化粧品事業)>
●国内
当社、花王グループカスタマーマーケティング㈱、
花王プロフェッショナル・サービス㈱、ニベア花王㈱、
㈱カネボウ化粧品、㈱エキップ、
その他 9社(計15社)
●海外
花王(中国)投資有限公司、上海花王有限公司、
花王(合肥)有限公司、花王(上海)産品服務有限公司、
佳麗宝化粧品(中国)有限公司、
Kao(Taiwan)Corporation、Kao Industrial(Thailand)Co., Ltd.、
PT Kao Indonesia、Kao USA Inc.、Oribe Hair Care, LLC、
Bondi Sands (USA) Inc.、Washing Systems, LLC、
Bondi Sands Australia Pty Ltd、Kao Germany GmbH、
Kao Manufacturing Germany GmbH、Molton Brown Limited、
その他 49社(計65社)
<ケミカル事業>
●国内
当社、花王クエーカー㈱、昭和興産㈱(計3社)
●海外
花王(上海)化工有限公司、Kao(Taiwan)Corporation、
Pilipinas Kao,Inc.、Kao Industrial(Thailand)Co., Ltd.、
Fatty Chemical(Malaysia)Sdn. Bhd.、Kao America Inc.、
Kao Specialties Americas LLC、Kao Chemicals GmbH、
Kao Chemicals Europe, S.L.、Kao Corporation, S.A.、
その他 15社(計25社)
<その他>
●国内
花王ロジスティクス㈱、その他 4社(計5社)
●海外
Misamis Oriental Land Development Corporation、
その他 9社(計10社)
経営成績
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 1,418,768 | 1,551,059 | 1,532,579 |
営業利益 | 143,510 | 110,071 | 60,035 |
財政状態
2023年12月 | |
---|---|
親会社所有者帰属持分比率 | 55.6% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
ハイジーン&リビングケア事業 | 34% | 4% |
ヘルス&ビューティケア事業 | 26% | 10% |
ライフケア事業 | 4% | -9% |
化粧品事業 | 16% | -2% |
ケミカル事業 | 21% | 6% |
設備投資(抜粋)
当連結会計年度の設備投資等の金額は、93,036百万円であり、セグメントごとの内訳は、以下のとおりであります。
・ハイジーン&リビングケア事業 32,637百万円
・ヘルス&ビューティケア事業 18,725百万円
・ライフケア事業 4,581百万円
・化粧品事業 12,416百万円
・ケミカル事業 22,942百万円
・その他 1,735百万円
・合計 93,036百万円
(注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。
2.有形固定資産、使用権資産及び無形資産への投資が含まれております。なお、資産除去引当金に係る有形固定資産及び使用権資産の増加額は含まれておりません。
3.セグメントに含まれない投資は、「その他」に含まれております。
コンシューマープロダクツ事業では、各事業で設備増強や合理化、維持更新のほか、物流拠点の整備及び情報システムの再構築等を行いました。ハイジーン&リビングケア事業では、国内及び海外における新製品・改良品の対応や生産能力の拡充等を行いました。ヘルス&ビューティケア事業では、国内及び海外で生産能力の拡充等を行いました。
ケミカル事業では、米国市場での安定供給体制強化に向けて米国で三級アミン生産拠点建設を進める等、主に海外で生産能力を拡充したほか、設備の合理化や維持更新、情報システムの再構築等を行いました。
なお、上記の所要資金は、主に当社グループ内の資金をグローバルに有効活用しております。
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
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設備投資 | 87,540 | 94,322 | 93,036 |
減価償却費(及び償却費) | 87,341 | 89,738 | 89,595 |
研究開発(抜粋)
私たちは、持続可能で豊かな共生世界を実現することを使命に、「未来のいのちを守る企業」として、人、社会、地球に貢献することを目指しております。研究開発部門では、多様な国や地域の生活者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることにより、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。
そのひとつの取り組みとして、皮脂RNAモニタリング技術※1を活用し、乳幼児の肌バリア状態を把握する郵送検査サービス「ベビウェルチェック」※2を協働企業と共に開始しました。あぶら取りフィルムを肌にあてて皮脂をふき取るだけという侵襲性のない方法で、自宅にいながらにして、皮脂RNAの情報から肌のバリア機能を知ることができ、肌状態に合ったケア情報を受け取れるサービスです。また、産学連携の研究の取り組みにおいても、乳幼児から成人までを対象に、アトピー性皮膚炎の早期発見や症状の評価への活用の可能性を見出しています。今後も、花王の独自技術を様々な分野の検査事業に応用し、新たな事業領域へ挑戦していきます。
また、既存事業の強化として、「ビオレUV アクアリッチ アクアプロテクトミスト」を発売し、UV製品における新たな価値を提案しました。霧のようなミストが肌を覆い、肌上で素早くジェル状に変化するため、“ぴたっ”と均一にムラなく肌に密着。使い勝手の良さから、外出先でのUVケア習慣という生活者の潜在的なニーズに応え、高く支持されました。私たちは今後も、既存の事業領域において、新たな価値創出を目指してまいります。
当社グループ全体で、約2,900名が研究開発業務に携わっております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、626億円(売上高比4.1%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。
※1:肌表面から採取した皮脂中のRNAから、個人の違いだけでなく、加齢や疲労、病気等の体調の変化や、外的ストレスの影響を解析する技術。
※2:この検査は病気の診断をするものではありません。
コンシューマープロダクツ事業
〔ハイジーン&リビングケア事業〕
人々の生活スタイルや価値観の多様なニーズに応え、誰もが安心して快適に暮らせるための清潔・衛生商品を提供すべく、幅広い分野での研究開発を進めております。
ファブリックケア製品では、洗たく機にそのまま入れるだけで使えるスティック形状の衣料用粉末洗剤「アタック ZERO パーフェクトスティック」を新発売しました。洗浄・消臭・抗菌※1等の効果成分を凝縮した発泡パウダーが水に素早く溶け、前洗いなしでも頑固な皮脂汚れを落とすことを実現しました※2。環境面にも配慮し、ハードプラスチック本体容器を使用せず、全サイズをパウチ包装仕様にすることでプラスチック使用量(洗たく1回当たり)を削減しました※3。
ホームケア製品では、トイレ用洗剤「トイレマジックリン」シリーズから「トイレマジックリン こすらずスッキリ泡パック」を新発売しました。へたらず垂れにくい吸着泡が便器内に密着することで汚れを取り込み、トイレブラシによるこすり洗いなしでも便器内をきれいに掃除できます※4。
当事業に係る研究開発費は、160億円であります。
※1:すべての菌の増殖を抑制するわけではありません。
※2:汚れの程度によっては、落ち方がかわることがあります。
※3:水量30Lの場合。当社非濃縮液体洗剤本体容器と「アタック ZERO パーフェクトスティック」パウチ包装の比較で約64%削減。
※4:こびりついた汚れは落とせません。
〔ヘルス&ビューティケア事業〕
世界の人々の肌や髪を深く知るとともに、人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指した本質研究と、革新的な技術と品質によるユニークで付加価値の高い製品の提案をとおして、健康美と清潔衛生を実現する研究開発に取り組んでいます。
スキンケア製品では、「ビオレ」から、「ビオレ ザ クレンズ オイルメイク落とし」を新発売しました。製品をつけるだけでメイクが瞬時に浮くため、メイク落としに伴うストレスが低減され、素肌を健やかに保つことを目指します。
ヘアケア製品では、「エッセンシャル」の中核ライン「Essential THE BEAUTY(エッセンシャル ザビューティ)」から、「バリアシャンプー」、「バリアコンディショナー」と「うるツヤチャージヘアパック」の3品を新発売しました。シリーズ全品に、天然由来の美髪オイル「18-MEA OIL※1(毛髪保護)」を共通配合。雨の日や乾燥した日も、髪がしなやかに美しくまとまります。
パーソナルヘルス製品では、オーラルケアブランド「ピュオーラ」から、「PureOra36500(ピュオーラ サンロクゴマルマル)」シリーズを新発売しました。歯ぐきの抵抗力※2を強化するBGA※3を配合し、ハグキそのものを強くすることで、汚れや菌から歯ぐきを防御し歯周病※4を予防します。
当事業に係る研究開発費は、216億円であります。
※1:ラノリン脂肪酸。
※2:抗炎症作用で汚れや菌からハグキを防御する。
※3:抗炎症成分β-グリチルレチン酸。
※4:歯肉炎・歯周炎の総称。
〔ライフケア事業〕
高機能な製品開発と、モニタリング技術を活用した一人ひとりへの精度の高いソリューションの提供を目指し、心身の健康をサポートし、人々のウェルネスの向上につながる研究を進めています。
健康飲料の「ヘルシア」から、キリンホールディングス株式会社の免疫ケアブランド「キリン iMUSE」との共創により、「ヘルシア緑茶プラス 免疫ケア」を数量限定で発売しました。茶カテキンがBMIが高めの方の内臓脂肪を減らすのを助け、プラズマ乳酸菌(L. lactis strain Plasma)が健康な人の免疫機能の維持をサポートします。「内臓脂肪」と「免疫」の両方をケアすることの重要性も啓発し、人々の健康維持に貢献しました。
当事業に係る研究開発費は、24億円であります。
〔化粧品事業〕
世界の人々の肌を深く知る本質研究による確かなエビデンスと五感に訴える感性研究を融合して、新しい美の価値創造を目指しております。
カウンセリング化粧品では、「KANEBO」から、美容液ファンデ―ション「カネボウ コンフォートスキン ウェア」を新発売しました。化粧持ちのよさと塗膜のしなやかさを両立し、心地よい使用感で、ふんわりと明るい素肌を表現します。
「エスト」では、「エスト セラム ワン」をリニューアルし、シワ改善とシミ予防※1をする、炭酸※2の泡の美容液「エスト セラム ワン アドバンスド」を新発売しました。花王独自の炭酸※2泡技術を採用し、超微細なマイクロ炭酸※2の泡の美容液が肌に密着し、角層最深部まで浸透します。さらに、有効成分ナイアシンアミド配合で、シワ改善とシミ予防※1を可能にしました。
当事業に係る研究開発費は、113億円であります。
※1:メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ。
※2:炭酸ガス(噴射剤)。
ケミカル事業
油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでおります。
油脂製品では、オレオケミカルや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めており、機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発を進めております。そのひとつとして、廃棄されるPET素材を原料に活用したアスファルト改質剤「ニュートラック 6000SMA」を新発売しました。アスファルト舗装では、アスファルトと骨材※1の間に隙間(空隙)が生じることがあります。積雪寒冷地においては、空隙があると内部に浸入した水が凍結融解し、体積の変化が繰り返されることで穴(ポットホール)が発生しやすくなります。この道路課題に対し、骨材とアスファルトの密着性を高めることで、舗装の空隙抑制と耐久性向上を可能にしました。
また、バイオマス由来のセルロースナノファイバー(Cellulose Nano Fiber)を用いた複合材料「LUNAFLEX」は、プラスチック製品の物性を向上させ、資源の効率的利用に大きく貢献します。
情報材料製品では、ポリマー設計技術を駆使した超低温定着ケミカルトナー(LUNATONE)や独自開発のVOCレス設計※2の水性インクジェット用顔料インク(LUNAJET)で印刷分野でのさらなる展開を強化していきます。
当事業に係る研究開発費は、115億円であります。
※1:道路舗装の材料としてアスファルトとともに使用される砂利や砂。
※2:印刷工程において排出されるVOC(volatile organic compounds:揮発性有機化合物)が(炭素換算で)700ppmC以下のものをVOCレスと定義。改正大気汚染防止法(平成18年)により、VOC排出規制が実施されております。
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
---|---|---|---|
研究開発 | 58,993 | 60,601 | 62,575 |
売上対比 | 4.2% | 3.9% | 4.1% |
従業員の状況(抜粋)
提出会社の状況
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
---|---|---|---|
従業員数 | 8,508名 | 8,403名 | 8,199名 |
平均年齢 | 40.5歳 | 40.9歳 | 41.1歳 |
平均勤続年数 | 17.4年 | 17.6年 | 17.6年 |
平均年間給与 | 7,893,000円 | 7,872,000円 | 8,024,000円 |
連結会社の状況
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
---|---|---|---|
従業員数 | 33,507名 | 35,411名 | 34,257名 |
1人あたり売上高 | 42.3百万円 | 43.8百万円 | 44.7百万円 |