キユーピー(株)
事業内容(抜粋)
当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社、子会社57社、関連会社26社およびその他の関係会社1社により構成されており、食品の製造販売を主たる業務としています。
当社グループの事業内容および当社と主要な関係会社の当該事業における位置づけの概略は次のとおりです。
なお、下記事業区分は、報告セグメントと同一の区分です。
<市販用>
●当社および主要な関係会社
キユーピー株式会社
株式会社ケイパック
株式会社ディスペンパックジャパン
デリア食品株式会社
株式会社旬菜デリ
株式会社サラダクラブ
●主な取扱商品・サービス
マヨネーズ・ドレッシング類
サラダ・惣菜等
パッケージサラダ等
<業務用>
●当社および主要な関係会社
キユーピー株式会社
キユーピータマゴ株式会社
株式会社全農・キユーピー・エツグステーシヨン
キユーピー醸造株式会社
●主な取扱商品・サービス
マヨネーズ・ドレッシング類
液卵、鶏卵加工品等
食酢等
<海外>
●当社および主要な関係会社
キユーピー株式会社
杭州丘比食品有限公司
北京丘比食品有限公司
Q&B FOODS,INC.
KEWPIE(THAILAND)CO.,LTD.
●主な取扱商品・サービス
マヨネーズ・ドレッシング類
<フルーツ ソリューション>
●当社および主要な関係会社
アヲハタ株式会社
●主な取扱商品・サービス
ジャム類、フルーツ加工品等
<ファインケミカル>
●当社および主要な関係会社
キユーピー株式会社
●主な取扱商品・サービス
ヒアルロン酸等
<共通>
●当社および主要な関係会社
株式会社芝製作所
●主な取扱商品・サービス
食品製造機械の販売
経営成績
2021年11月 | 2022年11月 | 2023年11月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 407,039 | 430,304 | 455,086 |
営業利益 | 27,972 | 25,433 | 19,694 |
財政状態
2023年11月 | |
---|---|
自己資本比率 | 66.2% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
市販用 | 39% | 6% |
業務用 | 36% | 2% |
海外 | 17% | 13% |
フルーツソリューション | 4% | 2% |
ファインケミカル | 2% | 9% |
共通 | 1% | 7% |
設備投資(抜粋)
当社グループは、お客様の志向に沿った商品の開発と育成、品質の安全性の追求とコストダウン、環境対策への取り組みをめざし、設備増強、更新、合理化投資を継続的に実施した結果、設備投資の金額は17,846百万円となりました。
セグメントごとの内訳は、次のとおりです。
・市販用 4,471百万円(調味料、サラダ、総菜製造設備等)
・業務用 6,400百万円(調味料、タマゴ製品製造設備等)
・海外 5,339百万円(調味料製造設備等)
・フルーツ ソリューション 278百万円(ジャム類、フルーツ加工品製造設備等)
・ファインケミカル 289百万円(ヒアルロン酸製造設備等)
・共通 398百万円(ソフトウエア等)
・その他 670百万円(グループ基幹システム等)
(注)
1.設備投資金額には、無形固定資産および長期前払費用への投資が含まれています。
2.「その他」は、報告セグメントに配分前のグループ基幹システム投資額です。
また、生産能力に重要な影響を及ぼす設備の売却、撤去などはありません。
2021年11月 | 2022年11月 | 2023年11月 | |
---|---|---|---|
設備投資 | 12,100 | 17,227 | 17,846 |
減価償却費 | 15,336 | 16,062 | 16,935 |
研究開発(抜粋)
当社グループは、世界のお客様の楽しく健やかな食生活に貢献するために、「人の健康」「地球の健康」「未来の食生活の創造」を重点研究領域とし、研究開発に取り組んでいます。マヨネーズやドレッシングをはじめ、様々な分野で培ってきたコア技術を軸に、「キユーピーグループ 2030ビジョン」とその先を見据えた未来創造の実現をめざしています。
「人の健康」領域においては、評価・解析研究部を中心に、食品の3大機能(栄養機能、嗜好・感覚機能、健康機能)について評価・解析を行い、付加価値を提供しています。2023年度は、酢酸菌を使用した商品「ディアレプラス」について免疫訴求の機能性表示食品として届け出を行い受理されました。また、卵黄コリンの認知機能訴求のエビデンス開発を行い、論文2報が掲載されました。さらに、ご飯の前にポテトサラダを摂取すると食後の血糖値の急激な上昇を抑えるエビデンスを取得したほか、ドレッシングをサラダ以外の料理にも使用する「ドレテク」による風味・物性改善、適塩効果などについて、学会展示を通じ広く専門家や栄養士、約600名に提唱しました。
「地球の健康」領域においては、加工・包装研究部を中心に、おいしさ・安全性・利便性を維持しながら、地球の健康を守り負荷を軽減するための研究に取り組んでいます。まず、リサイクルペットボトルについては、これまで、食品4社で安全性評価に関する共同研究や論文発表を行い、さらに実用化に向けて当社独自の検証を重ねてきました。2023年8月出荷分から、「テイスティドレッシング」シリーズの全7品と、機能性表示食品ドレッシングの全5品に、国内調味料として初めて、再生PET樹脂を100%使用したボトルを採用しました。これにより、新たなプラスチック使用量を年間で約460トン削減できる見込みです(前年出荷実績に基づく当社試算)。また、「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」の所在地である埼玉県深谷市の小学校で「生活の中のユニバーサルデザイン講座」を開催し、実際の容器に触れ、楽しみながらユニバーサルデザインについて学ぶ機会をともにしました。
「未来の食生活の創造」領域においては、機能素材研究部を中心に、様々なパートナーとともに新たな価値を届けるための研究を進めています。2023年度は、広島大学との共同研究で作出した「アレルギー低減卵」に関して大きな進展がありました。まず、アレルギー低減卵の安全性を確認し、論文発表とリリース・記者発表を行い、大きな反響を得ました。その後の物性および調理・製菓適性評価を経て、通常卵とほぼ同等の機能を有することを確認し、8月には学会発表とリリースを行いました。さらに、相模原病院の協力により、卵アレルギー患者の血清を用いた試験を実施し、本鶏卵の有効性を確認したことに加えて、次年度の臨床試験実施体制が整いました。
生産技術部門では、これまで築き上げてきた様々なコア技術を、国内はもとより海外の生産工場へ展開を進め、品質を守りながら効率よく生産するための設備開発を行っています。2023年度には、調理ロボット事業を展開するスタートアップ企業のTechMagic株式会社との資本業務提携を行い、社会課題である人手不足に対し、食品製造における自動化技術の早期実現をめざしています。また、手戻りの発生しない設計を実現するシミュレーション技術など、新技術の導入も積極的に検討し、グループの生産効率向上や品質保証体制を高める生産環境の実現を推進しています。
なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は3,956百万円です。
また、報告セグメントにおける研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。
(1)市販用
市販用では、新商品の開発に加えて、既存品の改良を通じた更なるおいしさや機能性の追求と用途拡大に向けた提案を実施しています。マヨネーズカテゴリーにおいては、「キユーピー ゼロ ノンコレステロール」の改良を行い、おいしさを保ちながらカロリー70%カットを実現しました(改良前は50%)。ドレッシングカテゴリーでは、健康訴求商品として、BMI・血圧それぞれが高い方に向けた機能性表示食品や、多様化する価値観に応えるプラントベースフードの「GREEN KEWPIE」、すりおろした国産野菜の味わいを活かした「キユーピー DELI」を新たに発売しました。さらに、「キユーピー 野菜がうまい!たれ」を発売し、用途の拡大を図りました。既存品では、主力商品の品質改良や容量バラエティーの追加なども行い、一層の満足度向上を図っています。調理カテゴリーでは、主力アイテムである「あえるパスタソース」〈ソースタイプ〉の改良と新商品の投入、「Italiante バジルソース」の改良を行い、パスタカテゴリーの強化を図ったほか、素材カテゴリーでは、「レンズ豆」に着目し、新たな豆の提案を行っています。介護食カテゴリーでは、「舌でつぶせる」区分に人気の主食を追加することで、シリーズの更なる拡充を図りました。
パッケージサラダでは、株式会社サラダクラブが鮮度長持ち製法を新たに開発し、人気の3商品において消費期限を3日から4日に延長しました。鮮度保持の技術を磨くことで、おいしさと日持ちを両立し、食卓への彩りをお届けするとともにフードロス削減や野菜摂取量増加による健康維持の実現を進めます。
デリア食品株式会社が手掛ける惣菜では、ポテトサラダの健康価値の研究として、食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果を確認し、日本食品科学工学会・日本栄養改善学会で研究成果を発表しました。ポテトサラダが一般的なサラダと同様に、血糖値に関する健康価値が高いことを発信し、お客様の食と健康への貢献をめざします。
生鮮売場専用商品においては、青果売場におけるサラダ用の調味料・トッピング類のラインナップを整備し、主力の「千切りキャベツ」の副菜化を進めたほか、精肉売場向けに販売が好評の「FreshStock ナゲットソース」シリーズから、期間限定でチェダーチーズ風味を発売しカテゴリー強化を図りました。
最後に、市販用販路の開拓を進めているタマゴ商品については、2023年度は前年末から発生した鳥インフルエンザの影響で、卵価高騰・鶏卵不足となり、予定していた新商品の導入を見送る事態となりました。そのような逆風においても、既存品の改良を行い、賞味期間延長により食品ロスの削減につなげたほか、分かりやすいパッケージを採用し、お客様の利便性向上を図りました。
(2)業務用
業務用では、コロナ禍で大きく変化した業務用ユーザーの課題解決にむけて、独自性を起点においしさと機能性を提案する開発を実施しています。マヨネーズカテゴリーでは、生野菜からのドリップを抑える機能を備えた「デリフィットマヨ(コールスロー用)」、ベーカリー向けにほどよい焼成機能を付与した「ベーカリーマヨ(トッピング)」を発売しました。ドレッシングカテゴリーでは、定番サラダ向けとして好評の2品をリニューアルし、おいしさの磨き上げを図りました。また、伸長しているタルタルソース市場に向けては、常温でもおいしさと具沢山を実現した「キユーピー タルタルソース具沢山チューブ」を、惣菜やベーカリー向けには具沢山でおいしさと彩りを加える「キユーピー 具沢山フィリング アボカド(ワカモレ)」などを発売しました。病院・給食業態向けには、ごはんやおかゆと一緒に食べることでエネルギーが補給できる「ジャネフ ワンステップミール ごはんにあうソース 梅風味」を発売したほか、惣菜業態で好評の「プラントベースタルタルソース」など3品についておいしさの磨き上げを図り、リニューアルを実施しました。
タマゴでは、鳥インフルエンザによる卵価高騰・鶏卵不足の逆風下においても、お客様にたまごのおいしさを楽しんでいただけるよう、今までにない柔らかな食感が楽しめる、スノーマン「ふんわり厚焼きたまご」を発売しました。また、デリカ業態に向けては、おいしさと使いやすさに工夫を凝らし、野菜など食材と和えるだけで簡便に惣菜を提供できる商品「ふっくら炒りたまご500」を発売しました。
最後に、ビネガーでは、キユーピー醸造株式会社から、高濃度かつ安定量の酢酸菌体を含有する「にごり酢」を新たに発売しました。
(3)海外
海外では、世界各地の現地の嗜好やニーズに合った商品展開を進めるため、現地での開発を中心に進めています。2023年度は、世界戦略商品であるキユーピー マヨネーズ、深煎りごまドレッシングを中心に開発・改良を進め、各国の状況に沿った課題に取り組みました。
中国では、焙煎胡麻ドレッシングのECルートへ向けた商品開発や健康訴求アイテムの投入を進めました。ドレッシングの市場が活性化する中、現地での汎用性の高い調味料として「油酢汁」を開発・投入しました。「油酢汁」とは、醤油と酢をベースにしたノンオイルタイプの調味料のことで、野菜を始め、肉魚類、麺などによく合います。また、ピザ、ベーカリーなどの外食・中食業態では、ロングライフサラダの技術を用いてタマゴサラダの開発を進め、新規メニュー提案として中国市場での今後の展開が見込まれます。
米国では、日本食への注目からキユーピー マヨネーズの評価が上昇する中、環境に配慮した包材の採用に向け、一部商品をポリエチレンの軟質容器からPET容器に変更し、サプライチェーン全体の環境負荷低減に貢献しました。
(4)フルーツ ソリューション
フルーツ ソリューションでは、フルーツ摂取を通じた心と体の健康支援を掲げ、「香りと色彩」「食感」「栄養機能」「利便性」「環境」など、様々な角度から研究開発に取り組んできました。
今年度は、好きな時にすぐ食べられる“凍ったままでやわらかい”冷凍フルーツ「アヲハタくちどけフローズン」3品を発売しました。「日持ちがしない、皮をむくのが面倒」というフルーツ摂取の不満を解消し、毎日手軽に楽しんでいただける新たな価値提案に取り組みました。また、末梢の冷えが気になる方に向けて「果実たより ゆずジンジャー」を発売し、フルーツによる健康訴求を進めました。この商品は、フルーツ ソリューションとしては初の機能性表示食品にあたり、いつでも手軽に食べることができる簡便性を持ち合わせた、持ち歩きに便利な個包装タイプのフルーツ加工食品です。さらに、ジャム・スプレッドでは、スプーンを使わずさっと使えるボトル容器入りフルーツスプレッド「アヲハタ Spoon Free」から、「トロピカル」「りんご」「ぶどう」の3品を追加発売しました。2023年秋から容器を柔らかくし、より出しやすくするとともに、全6品のラインアップで料理からデザートまで幅広い用途で楽しんでいただく新たな用途提案を進めました。
(5)ファインケミカル
ファインケミカルでは、ヒアルロン酸、タマゴ成分、独自の機能性素材の可能性を最大限に引き出す研究と商品開発を進めています。
ヒアルロン酸の医薬分野では、海外顧客の要望に応え、新たに鶏冠由来のヒアルロン酸の供給を開始しました。また、独自素材の酢酸菌に関しては、独自に取得したエビデンスをもとに機能性表示食品の届け出を行い(商品名「ディアレプラス」)、「酢酸菌は、pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つことと、花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減することが報告されています」との機能性で受理されました。さらに、通販専用スキンケア商品では、5つの高機能ヒアルロン酸を配合したオールインワンジェル「ヒアロワン」のお試し品を発売し、顧客数増加を進めました。
(6)共通
該当事項はありません。
2021年11月 | 2022年11月 | 2023年11月 | |
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研究開発 | 4,033 | 3,912 | 3,956 |
売上対比 | 1.0% | 0.9% | 0.9% |