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(株)東芝

2023年12月20日上場廃止

事業内容(抜粋)

当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表をもとに、関係会社については米国会計基準の定義に基づいて開示しています。これについては、「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様です。

 当社グループは、当社及び連結子会社253社(2023年3月31日現在)により構成され、「エネルギーシステムソリューション」、「インフラシステムソリューション」、「ビルソリューション」、「リテール&プリンティングソリューション」、「デバイス&ストレージソリューション」、「デジタルソリューション」及び「その他」の7部門に関係する事業を主として行っており、その製品はあらゆる種類にわたっています。各事業における当社及び主要な関係会社の位置付け等の概要は次のとおりであり、当区分は事業の種類別セグメント情報の区分と一致しています。また、持分法適用会社は130社(2023年3月31日現在)です。

<エネルギーシステムソリューション>
火力発電システム、原子力発電システム、電力流通システム、太陽光発電システム、水力発電システム等
製造:原子燃料工業㈱、東芝エネルギーシステムズ㈱、東芝水力機器杭州社、東芝ジェイエスダブリュー・パワーシステム社、東芝電力流通システム・アジア社、東芝電力流通システム・インド社、常州東芝変圧器社、ジーイー東芝タービンコンポーネンツ・メキシコ社、河南平芝高圧開閉器社、平高東芝(河南)開関零部件製造社
販売・エンジニアリング・サービス他:原子燃料工業㈱、東芝エネルギーシステムズ㈱、東芝プラントシステム㈱、東芝水力機器杭州社、東芝ジェイエスダブリュー・パワーシステム社、東芝電力流通システム・アジア社、東芝電力流通システム・インド社、ティーピーエスシー・インド社、ティーピーエスシー・タイ社、イーレックスニューエナジー佐伯㈱、KK6安全対策共同事業㈱、常州東芝変圧器社、河南平芝高圧開閉器社、平高東芝(河南)開関零部件製造社

<インフラシステムソリューション>
上下水道システム、放送システム、電波機器、産業光源、コンプレッサー、産業システム、環境システム、道路システム、駅務自動化機器、交通機器等
製造:西芝電機㈱、東芝産業機器システム㈱、東芝インフラシステムズ㈱、東芝産業機器アジア社、東芝インターナショナル米国社、東芝三菱電機産業システム㈱、大連東芝機車電気設備社、TMEICインド社、東芝三菱電機工業系統(中国)社
販売・エンジニアリング・サービス他:西芝電機㈱、東芝産業機器システム㈱、東芝インフラシステムズ㈱、東芝産業機器アジア社、東芝インターナショナル米国社、東芝三菱電機産業システム㈱、大連東芝機車電気設備社、シュネデール東芝インバータ社、TMEIC米国社、TMEICインド社、東芝三菱電機工業系統(中国)社、エムティジェイブイ

<ビルソリューション>
エレベーター、一般照明等
製造:東芝エレベータ㈱、東芝ライテック㈱、東芝電梯(中国)社、東芝電梯(瀋陽)社、東芝照明(昆山)社
販売・エンジニアリング・サービス他:東芝エレベータ㈱、東芝ライテック㈱、東芝電材マーケティング㈱、東芝電梯(中国)社、東芝電梯(瀋陽)社、東芝照明(昆山)社

<リテール&プリンティングソリューション>
POSシステム、複合機等
製造:東芝テック㈱、東芝アメリカビジネスソリューション社、東芝テックヨーロッパ画像情報システム社、東芝泰格信息系統(深圳)社、東芝テックシンガポール社
販売・エンジニアリング・サービス他:東芝グローバルコマースソリューション・ホールディングス㈱、東芝テック㈱、東芝テックソリューションサービス㈱、東芝アメリカビジネスソリューション社、東芝オーストラリア社、東芝テックフランス画像情報システム社、東芝泰格信息系統(深圳)社、東芝テックシンガポール社、東芝テック英国画像情報システム社

<デバイス&ストレージソリューション>
パワーデバイス、小信号デバイス、光半導体、ミックスドシグナルIC、イメージセンサ、ロジックLSI、HDD、半導体製造装置等
製造:㈱ジャパンセミコンダクター、加賀東芝エレクトロニクス㈱、㈱ニューフレアテクノロジー、東芝デバイス&ストレージ㈱、東芝マテリアル㈱、東芝情報機器フィリピン社、東芝セミコンダクタ・タイ社
販売・エンジニアリング・サービス他:㈱ニューフレアテクノロジー、東芝デバイス&ストレージ㈱、東芝マテリアル㈱、東芝アメリカ電子部品社、東芝エレクトロニクス台湾社、東芝情報機器フィリピン社

<デジタルソリューション>
ITソリューションサービス等
製造:東芝デジタルソリューションズ㈱
販売・エンジニアリング・サービス他:東芝デジタルソリューションズ㈱、東芝ITサービス㈱、ウイングアーク1st㈱

<その他>
電池等
製造:当社、東芝大連社、キオクシア㈱、ティディエス リチウムイオン バッテリー グジャラート社
販売・エンジニアリング・サービス他:当社、東芝データ㈱、東芝トレーディング㈱、東芝アメリカ社、東芝アジア・パシフィック社、東芝大連社、東芝中国社、東芝システム欧州社、東芝欧州社、東芝ガルフ社、東芝国際調達香港社、キオクシア㈱、キオクシアホールディングス㈱、SBS東芝ロジスティクス㈱、ティディエス リチウムイオン バッテリー グジャラート社

経営成績

2021年3月 2022年3月 2023年3月
売上高 3,054,375 3,336,967 3,361,657
税金等調整前当期純利益 153,488 239,105 188,965
単位:百万円

財政状態

2023年3月
株主資本比率 35.2%

セグメント情報

売上高構成比 セグメント利益率
エネルギーシステムソリューション 20% 5%
インフラシステムソリューション 20% 6%
ビルソリューション 13% 1%
リテール&プリンティングソリューション 15% -1%
デバイス&ストレージソリューション 24% 5%
デジタルソリューション 6% 11%
その他 3% -18%

設備投資(抜粋)

(1) 概況
当社グループは、基礎収益力をさらに強化しながら、基幹インフラ・産業の基盤となる製品の中でも市場成長が期待できる事業領域に注力しています。

 当期は、1,912億円(無形固定資産を含む発注ベース。以下同じ。)の設備投資を実施しました。

 下表に示す通り、デバイス&ストレージソリューションおよびその他(全社共通を含む)の2部門で大きく投資を実施しています。特に、デバイス&ストレージソリューションでは、パワー半導体(新製造棟建設および製造ライン他)やファインセラミックス製品の生産能力増強の投資を行いました。その他(全社共通を含む)では、業務効率を高めるためのITシステム刷新、研究開発新棟建設に投資を行いました。

・エネルギーシステムソリューション 68億円
・インフラシステムソリューション 118億円
・ビルソリューション 71億円
・リテール&プリンティングソリューション 61億円
・デバイス&ストレージソリューション 1,172億円
・デジタルソリューション 16億円
・その他(*) 406億円
・合計 1,912億円

(2) 主要設備投資

当期完成

<エネルギーシステムソリューション>
・地熱発電用設備投資(中尾地熱発電㈱))

<ビルソリューション>
(府昇)新建屋建設(東芝エレベータ㈱)

<デバイス&ストレージソリューション>
・パワー半導体製造設備(加賀東芝エレクトロニクス㈱及び㈱ジャパンセミコンダクター)
・ニアラインHDD製造設備(東芝情報機器フィリピン社)

当期発注

<デバイス&ストレージソリューション>
・パワー半導体製造建屋建設(加賀東芝エレクトロニクス㈱)
・パワー半導体製造設備(東芝デバイス&ストレージ㈱及び㈱ジャパンセミコンダクター)
・パワー半導体後工程組立建屋建設(東芝デバイス&ストレージ㈱)
・化合物パワー半導体開発用製造設備(東芝デバイス&ストレージ㈱及び㈱ジャパンセミコンダクター)
・構造用ファインセラミックス インフラ・増産投資(東芝マテリアル㈱)

<その他(全社共通を含む)>
・ITシステム刷新/次世代基幹ITシステム(当社本社・支社店)
・研究開発新棟建設(当社・小向事業所)

2021年3月 2022年3月 2023年3月
設備投資 111,600 167,500 191,200
有形固定資産の減価償却費及び無形資産の償却費 85,211 85,157 95,328
単位:百万円

研究開発(抜粋)

当社グループは、エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューション領域を中心に、人々の暮らしと社会を支える事業領域に注力し、確かな技術で、豊かな価値を創造し、持続可能な社会に貢献してまいります。

エネルギーシステムソリューションでは、基幹電源の安定供給に加え再生可能エネルギーの主力電源化に資する技術を提供することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するトータルエネルギーソリューションに注力していきます。インフラシステムソリューションでは、公共インフラ、鉄道・産業システムなど、社会と産業を支える幅広いお客様に信頼性の高い技術とサービスを提供し、快適で安全・安心な生活の実現を目指します。ビルソリューションでは、スマートで品質の高い昇降機、照明機器やサービスを提供することにより、快適なビル環境を提供します。リテール&プリンティングソリューションでは、お客様にとっての価値創造を原点に発想し、世界のベストパートナーとともに優れた独自技術により、確かな品質・性能と高い利便性を持つ商品・サービスをタイムリーに提供します。デバイス&ストレージソリューションでは、機器の省エネ化やビッグデータ社会のインフラ作りを目指し、産業、車載、データセンター領域などに向け、高付加価値な半導体製品やストレージ製品の先端開発を進めてまいります。デジタルソリューションでは、産業ノウハウを持つ強みを生かし、IoT/AI(人工知能) や量子関連技術を活用したソリューションやサービス、お客様やパートナー様との共創によるデータサービスなどを開発・提供してまいります。

当期における当社グループ全体の研究開発費は1,564億円であり、各事業セグメント別の主な研究成果及び研究開発費は次のとおりです。

(1) エネルギーシステムソリューション

東芝エネルギーシステムズ㈱が中心となって、従来エネルギー及び水素を含むクリーンエネルギーをつくる、おくる、ためる、かしこくつかうための機器・システム・サービスを提供することを通じて培った技術により、エネルギーの安定供給やカーボンニュートラルな社会インフラを実現する研究開発を行いました。

当セグメントに係る当期の研究開発費は173億円です。

主な成果としては次のものが挙げられます。

航空など大型モビリティ業界でのカーボンニュートラルの達成には、燃料の他にもシステム全体の進化が必要とされ、推進系においては、軽さと高い出力を両立したモーターの登場が期待されています。東芝エネルギーシステムズ㈱は、長年培ってきた超電導技術および高速回転機器の製造技術を応用し、世界で初めて(※1)最高出力2MWの軽量・小型・高出力超電導モーターの試作機を開発しました。従来のモーターと比べて重量とサイズを10分の1以下にしたことで、化石燃料駆動エンジンをモーターに置換えることが可能となり、様々な大型モビリティのゼロエミッション化に貢献します。今後さらなる改良を図り、社会実装の取組みを加速していきます。

(2) インフラシステムソリューション

東芝インフラシステムズ㈱が中心となって、公共インフラ、鉄道・産業システム領域におけるお客様の本業の価値を高める製品及びシステムを継続的に提供するための研究開発を行いました。

当セグメントに係る当期の研究開発費は206億円です。

主な成果としては次のものが挙げられます。

東芝インフラシステムズ㈱及びノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社は、災害時の確実な情報収集及び平常時の業務の迅速化に資するローカル5G無線通信エリア構築について、首都高速道路㈱と共同研究を行いました。道路や河川、電力プラントなどの重要なインフラ施設では、設備の効率的且つ安全な維持管理が求められており、ローカル5Gは次世代通信として、高速大容量・低遅延・多接続という特徴を活用した維持管理の自動化・省力化の実現が期待されています。ローカル5Gを交通機関や道路、河川等で整備する場合、制度上、線状の敷地に沿った無線通信エリアの構築が必要となります。都市内高速道路における実証実験等を通じて、線状の無線通信エリア構築方法の確立、シミュレーションと実測の差異分析による効果的なエリア設計手法の確立、といった目標へ向けて、東芝のsub6帯での独自の分散型アンテナシステム「DAS(Distributed Antenna System)」(※2)をカーブに活用する事で、歪曲したエリアにおいても効率的且つ柔軟なエリアカバーを実現できることの検証などを行いました。

(3) ビルソリューション

東芝エレベータ㈱、東芝ライテック㈱が中心となって、ビルの価値を高める製品及びサービスを継続的に提供するための研究開発を行いました。

当セグメントに係る当期の研究開発費は147億円です。

主な成果としては次のものが挙げられます。

東芝エレベータ㈱と東芝デジタルソリューションズ㈱は、エレベーターの利用者に新しい価値を提供する「Elevator as a Service」(※3)を実現するため、昇降機プラットフォームを共同で開発しており、順次国内の東芝製エレベーターに適用していきます。昇降機プラットフォームは、エレベーター本体に実装される制御盤とクラウド基盤で構成されます。制御盤はソフトウェアデファインドの考え方に基づき開発を進めています。制御盤は常時クラウドに繋がり、ソフトウェアをクラウド基盤から配信することにより各種機能の実装が可能となります。今後、多様なニーズやIoT化に対応するため、昇降機プラットフォームを適用し、エレベーターとロボットの連携やスマートフォンでエレベーターを呼ぶ機能、管理者支援など、クラウドを活用したサービスの拡充を目指しています。

(4) リテール&プリンティングソリューション

東芝テック㈱が中心となって、リテール&プリンティングソリューション分野における新しい製品やサービスを提供するための研究開発を行いました。

当セグメントに係る当期の研究開発費は245億円です。

主な成果としては次のものが挙げられます。

東芝テック㈱は、株式会社Retail AI(以下「Retail AI」)と、「新時代のお買い物体験を生み出し、流通の仕組みを革新する」という将来展望のもと、共同プロジェクトを開始しました。昨今、小売業における労働力不足は大きな社会課題として深刻化しており、小売店では少人数で店舗運営を行う体制づくりが急務となっています。また多様化する消費者ニーズに対応するため、新たな顧客体験を提案し、店舗の魅力を高める取組みも求められています。これらの流通・小売業が直面する課題解決のため、個々の店舗の状況に合わせたソリューションが提供できるよう、開発を強力に推進しているグローバルリテールプラットフォーム「ELERA(エレラ)」のAPIを通じたエコシステムの構築と、「ELERA」上でのさまざまなパートナーとの共創によるサービスの拡充を推進しています。東芝テック㈱は本共同プロジェクトを通じ、「ELERA」とRetail AIが業界に先駆けて実用化した決済機能付きカートであるスマートショッピングカート(以下「SSC」)を連携させた、小売業界への新たなソリューション提供を計画しています。「ELERA」上でRetail AIのSSCが稼働するにあたり、小売業のお客様数社との実証実験を行い、サービスの提供を開始しています。

(5) デバイス&ストレージソリューション

東芝デバイス&ストレージ㈱が中心となって、車載、産業向けなどの新しい半導体製品や、データセンター向けなどのストレージ製品を提供するための研究開発を行いました。

当セグメントに係る当期の研究開発費は488億円です。

主な成果としては次のものが挙げられます。

東芝デバイス&ストレージ㈱は、低オン抵抗でスイッチング損失を大幅に低減したパワー半導体である第3世代 SiC MOSFET(※4、5)を製品化しました。新製品は、単位面積あたりのドレイン・ソース間オン抵抗(RDS(ON)A)を約43%削減(※6)しました。これにより、導通損失とスイッチング損失の関係を表す重要指標「ドレイン・ソース間オン抵抗×ゲート・ドレイン間電荷量RDS(ON)×Qgd」を約80%削減(※7)し、スイッチング損失を約20%削減(※8)しました。オン抵抗削減とスイッチング損失削減の両立を実現した当社第3世代 SiC MOSFETは、産業用機器のさらなる高効率化に貢献します。今後もパワー半導体製品の製品ラインアップの拡充と生産設備の増強を進め、ユーザーがより使いやすく、高性能なパワーデバイスを提供することで、脱炭素社会の実現を目指します。

(6) デジタルソリューション

東芝デジタルソリューションズ㈱が中心となって、IoTやAIなど企業のデジタル化を支えるための研究開発を行いました。

当セグメントに係る当期の研究開発費は68億円です。

主な成果としては次のものが挙げられます。

東芝デジタルソリューションズ㈱は、戦略調達ソリューション「Meister SRM™」(※9)の新サービスとなる、サプライチェーン・プラットフォーム「Meister SRM™ ポータル」の提供を2022年10月に開始しました。近年の予測困難なビジネス環境の変化に対応するため、製造業では、直接の取引先である1次サプライヤだけでなく、2次以降のサプライヤを含めたサプライチェーンの強靭化に向けた取組みが必要とされています。「Meister SRM™ ポータル」は、ものづくりに関わる企業同士を繋ぎ、サプライチェーンを構成する企業の事業活動をサポートするクラウドサービスです。サービスに加入する企業同士が、自社の情報を発信・共有し自律的に繋がることで、サプライチェーンのネットワークが可視化され、サプライチェーンリスクの把握や取引企業のネットワーク拡大を促進します。また、パートナーと連携し、GHG(温室効果ガス)排出量算定・可視化サービスや、ものづくりのためのビジネスマッチングサービスなどをワンストップで提供し、サプライチェーンの強靭化・高度化に貢献してまいります。今後、気象庁や災害リソースサイトと連携した災害通知や自動影響調査サービスなどの拡張を予定しています。

(7) その他

研究開発センターを中心に、将来に向けた先行・基盤技術の研究開発を行いました。

当セグメントに係る当期の研究開発費は237億円です。

主な成果としては次のものが挙げられます。

当社は、東北大学東北メディカル・メガバンク機構、東北大学病院、国立研究開発法人情報通信研究機構は、量子暗号通信技術および秘密分散技術を活用した量子セキュリティ技術と個人認証技術を連携させて、多数の個人のゲノムデータを複数拠点に分散保管し、医療や健康管理に活用する個別化ヘルスケア(※10)システムを世界で初めて構築・実証しました(※11)。本技術により、情報理論的に安全で将来にわたり盗聴の脅威のない形でゲノムデータの漏洩・改ざん・喪失を防ぐことに加え、いつでも個人認証と連携して復号・復元(※12)して活用することが可能となり、個別化ヘルスケアの実現や普及への貢献が期待できます。本研究の一部は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「光・量子を活用した Society 5.0 実現化技術」(管理法人:量子科学技術研究開発機構)により実施されました。

また、当社は、公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(以下、iPS財団)(※13)とともに、生分解性リポソームを用いたiPS細胞の樹立法を開発するため、共同研究契約を締結しました。生分解性リポソームはナノサイズの脂質カプセルです。カプセル内に治療用遺伝子や薬剤を内包し、体内の細胞へ安全に届けることができる医療材料として、利用が拡大しています。より効果的に目的の遺伝子を対象とする細胞に届けるため、東芝は、蓄積してきた分子設計技術とAI技術を用いて、生分解性リポソームをカスタマイズ設計し、作製する技術を開発しました。本共同研究では主に、初期化に必要な遺伝子を封入したリポソームを用いてiPS細胞を樹立できるか、iPS細胞の樹立効率(※14)の向上、遺伝子改変iPS細胞あるいはその分化細胞を作製できるかを検討します。東芝は、この独自の生分解性リポソームを用いて、臨床応用可能なiPS細胞の樹立法を開発し、再生医療の発展に貢献することを目指します。

(注)

※1:東芝エネルギーシステムズ㈱調べ(2022年10月17日時点)

※2:DAS:基地局から届く電波を光ケーブルによって分配する事で通信できるエリア拡張のシステム。DASアンテナ子機間で同期をとっていることから、子機間の無線干渉が生じないため、無線エリア設計を容易にします。

※3:Elevator as a Serviceは東芝エレベータ㈱の登録商標です。

※4:東芝デバイス&ストレージ㈱の第2世代SiC MOSFETで開発したショットキーバリアダイオードを内蔵した構造を用いて、単位面積あたりのオン抵抗(RDS(ON)A)を削減、さらにJFETの帰還容量を小さくするデバイス構造を開発。

※5:MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(金属酸化膜半導体電界効果トランジスター)の略で、トランジスターの構造の一種。

※6:東芝デバイス&ストレージ㈱の第2世代SiC MOSFETのRDS(ON)Aを1とした場合の、今回開発した1200VのSiC MOSFETの比較。東芝デバイス&ストレージ㈱調べ。

※7:東芝デバイス&ストレージ㈱の第2世代SiC MOSFETのRDS(ON)×Qgdを1とした場合の、今回開発した1200VのSiC MOSFETの比較。東芝デバイス&ストレージ㈱調べ。

※8:東芝デバイス&ストレージ㈱の第2世代SiC MOSFETと今回開発した1200VのSiC MOSFETの比較。東芝デバイス&ストレージ㈱調べ。

※9:Meister SRM は、東芝デジタルソリューションズ㈱の日本またはその他の国における登録商標または商標です。

※10:個別化ヘルスケア:個人のゲノムデータなどを生活習慣などの環境因子と共に解析し、病気の罹患へのリスク等を個人ごとに計算した上で個人に合わせて最適化した健康リスク管理。

※11:2022年12月8日、東芝調べ。個人のゲノムデータを、情報論理的に安全な量子暗号通信技術と秘密分散技術を組み合わせたデータ分散保管技術で保管し、また個人認証と連携して復元し、医療や健康管理に活用できる個別化ヘルスケアシステムの構築・実証の成功が世界初。

※12:復号:量子暗号で暗号化されたデータの暗号化を解くこと。復元:秘密分散されたシェアを2つ組み合わせて元の原本データに戻すこと。

※13:最適なiPS細胞技術を良心的な価格で届けることを理念として掲げ、国立大学法人京都大学CiRAから一部の機能を分離して2020年4月に活動を開始した公益財団法人。

※14:細胞培養(セルカルチャー)の結果、目的の細胞へ樹立できた割合。

2021年3月 2022年3月 2023年3月
研究開発 150,456 151,946 156,379
売上対比 4.9% 4.6% 4.7%
単位:百万円

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