ルネサスエレクトロニクス(株)
事業内容(抜粋)
当社グループは、2023年12月31日現在、当社および子会社95社(国内5社、海外90社)により構成されております。当社グループは、半導体専業メーカーとして、各種半導体に関する研究、開発、設計、製造、販売およびサービスを行っております。
当社グループの研究、開発、設計、製造、販売およびサービス機能は、主に当社および当社の子会社が分業しております。研究、開発、設計機能は、当社が担当するほか、ルネサス エレクトロニクス・アメリカ社、ルネサス セミコンダクタデザイン北京社、ルネサス デザイン・ベトナム社およびルネサス エレクトロニクス・ヨーロッパ社など、海外の子会社が担当しております。製造機能は、主に国内外の生産子会社が担当しておりますが、ファウンドリなどの外部生産委託先も必要に応じて活用しております。販売およびサービス機能は、国内においては、主に提携する販売特約店を通じて行っており、海外においては、主にルネサス エレクトロニクス・アメリカ社、ルネサス エレクトロニクス・ヨーロッパ社およびルネサス エレクトロニクス香港社など、海外の販売子会社またはディストリビューターを通じて行っております。
当社グループは、「自動車向け事業」および「産業・インフラ・IoT向け事業」から構成されており、セグメント情報はこれらの区分により開示しております。
自動車向け事業には、自動車のエンジンや車体などを制御する半導体を提供する「車載制御」と、車内外の環境を検知するセンサリングシステムや様々な情報を運転者などに伝えるIVI(In-Vehicle Infotainment)・インストルメントパネルなどの車載情報機器に半導体を提供する「車載情報」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoC(System-on-Chip)、アナログ半導体およびパワー半導体を中心に提供しております。
産業・インフラ・IoT向け事業には、スマート社会を支える「産業」、「インフラストラクチャー」および「IoT」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoCおよびアナログ半導体を中心に提供しております。
加えて、当社の設計および生産子会社が行っている半導体の受託開発、受託生産などを「その他」に分類しております。
当社グループの連結子会社(95社)を主な事業内容別に記載すると次のとおりとなります。
自動車および産業・インフラ・IoT
<販売>
●国内子会社
-
●海外子会社
(連結子会社)
ルネサス エレクトロニクス中国社
ルネサス エレクトロニクス上海社
ルネサス エレクトロニクス香港社
ルネサス エレクトロニクス台湾社
ルネサス エレクトロニクス韓国社
ルネサス エレクトロニクス・シンガポール社
ルネサス エレクトロニクス・マレーシア社
ルネサス エレクトロニクス・インド社
ルネサス エレクトロニクス・カナダ社
ルネサス エレクトロニクス・ブラジル・サービス社
ルネサス エレクトロニクス・ヨーロッパ社(ドイツ)
他3社
<製造・製造支援>
●国内子会社
(連結子会社)
ルネサス セミコンダクタマニュファクチュアリング㈱
●海外子会社
(連結子会社)
ルネサス セミコンダクタ北京社
ルネサス セミコンダクタ蘇州社
ルネサス セミコンダクタ・ケイエル社
ルネサス セミコンダクタ・マレーシア社
ルネサス セミコンダクタ・ケダ社
ルネサス セミコンダクタテクノロジ・マレーシア社
<設計・開発・応用技術>
●国内子会社
(連結子会社)
ルネサス エンジニアリングサービス㈱
●海外子会社
(連結子会社)
ルネサス セミコンダクタデザイン北京社
ルネサス デザイン・ベトナム社
ルネサス セミコンダクタデザイン・マレーシア社
ルネサス デザイン・ブルガリア社
ルネサス デザイン・チューリッヒ社
ルネサス インテグレーテッド・サーキット上海社
ルネサス インテグレーテッド・サーキット成都社
他17社
<事業会社・その他>
●国内子会社
(連結子会社)
3社
●海外子会社
(連結子会社)
ルネサス エレクトロニクス・アメリカ社
ルネサス エレクトロニクス・ジャーマニー社
ルネサス エレクトロニクス・ペナン社
ルネサス インターナショナル・オペレーション社(マレーシア)
インターシル・ルクセンブルク社
IDTバミューダ社
ギグピーク社
Dialog社
他38社
(注) 海外の販売子会社の一部は、設計・開発の事業も行っております。
経営成績
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 994,418 | 1,500,853 | 1,469,415 |
営業利益 | 183,601 | 424,170 | 390,766 |
財政状態
2023年12月 | |
---|---|
親会社所有者帰属持分比率 | 63.2% |
セグメント情報
売上高構成比 | セグメント利益率 | |
---|---|---|
自動車 | 47% | 34% |
産業・インフラ・IoT | 52% | 34% |
その他 | 1% | 35% |
設備投資(抜粋)
当社グループの当連結会計年度の設備投資額(投資決定ベース)は、755億円であります。主な投資内容としては、シリコンカーバイド(SiC)製品の生産ライン導入を予定している高崎工場への投資を含む設計開発の強化、ITインフラの統合、生産拠点の生産設備の刷新などであります。
なお、当該設備投資については自動車向け事業および産業・インフラ・IoT向け事業の双方にて使用しており、各セグメントに厳密に配賦することが困難なため、セグメントごとの設備投資については省略しております。
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
---|---|---|---|
設備投資 | 88,000 | 216,400 | 75,500 |
減価償却費 | 136,496 | 186,032 | 186,009 |
研究開発(抜粋)
(1) 研究開発活動の体制および方針
当社グループの研究開発活動は、現在から近い将来にかけて必要とされるデバイス、ソフトウェアおよびシステムなどの開発において、自動車向け製品、産業・インフラ・IoT向け製品を、それぞれを担当する事業本部(注)が担当して取り組んでおります。デバイス・プロセス技術、実装技術、設計基盤・テスト手法などの部門横断的な共通技術については、各事業本部と生産本部とが協力しながら担当する体制としてまいりました。
加えて、コンソーシアムや外部研究機関などへの研究委託や、幅広い分野やお客様へ最適なサポートを行うためのサード・パーティの活用など、自社の研究開発リソースのみならず社外のリソースも必要に応じて活用しております。
家電製品や自動車などあらゆるモノがネットワークに繋がり、相互に情報交換しサービスが提供される超スマート社会では、これまで当社が強みとしてきたマイコンやSoCといったデジタル製品が担う演算機能、アナログ製品が得意とする人の目・耳・鼻などに相当するセンシング機能、さらにパワー製品が得意とするモータ等を動かすためのアクチュエータ機能が有機的に繋がり連携する必要があります。当社グループは、センシングからアクチュエータ機能まで幅広くサポートするための製品ポートフォリオを拡充し、アナログ製品とデジタル製品を組み合わせたソリューション(ウィニング・コンビネーションと呼称)を強化するとともに、アプリケーションごとに共通して使用できるIP(設計資産)やOSなどのソフトウェアをプラットフォームとして提供するための研究開発活動を行うことにより注力する市場での成長を実現していきます。
(注)当社グループは2024年1月1日付で組織体制の変更を発表、技術分野に基づく4プロダクトグループを発足しております。
(2) 主な研究開発の成果
① 自動車向けのマイクロコントローラおよびSoCのサイバーセキュリティマネジメントシステムが国際規格「ISO/SAE 21434:2021」の認証を取得
当社グループは、欧州の大手認証機関であるTÜV Rheinland社から、当社グループの自動車向けのマイクロコントローラとSoCの開発プロセスに適用されるCSMS(Cyber Security Management System:サイバーセキュリティマネジメントシステム)が、自動車のCSMSに関する国際規格「ISO/SAE 21434:2021」に準拠している旨の認証を取得しました。
近年、自動車に関するシステムの高度化が進む中、サイバー攻撃への懸念が高まりつつあります。自動車メーカは、自社が製造・販売する自動車の型式承認を取得する場合、その自動車がUnited Nations Economic Commission for Europe(UNECE:国連欧州経済委員会)の制定したサイバーセキュリティ規則「UNR155」に遵守することが求められ、その審査には、CSMSへの適合が必須となります。そのため、自動車メーカやその部品の製造メーカは、CSMS認証を取得した当社グループ製品を使用することにより、その開発の負荷を軽減することができるとともに、自動車の型式認証を様々な国で取得する際、よりスピーディーにサイバーセキュリティに対応することが可能となります。
当社グループが2022年1月1日以降に開発した自動車向けのマイクロコントローラ(RL78、RH850)およびSoC(R-Car)に関する開発プロセスのCSMSは、今回認証を取得した規格に準拠しています。
当社グループは、「セーフティ(安全)&セキュリティ(安心)」を第一に製品の設計開発に取り組んでおり、今回認証を取得したセキュリティの分野だけでなく、セーフティの分野でも、自動車メーカーが自動車の機能安全規格「ISO 26262」に準拠することを支援する体制を整備しています。顧客は、次世代の車載システムに当社グループ製品を使用することにより、サイバーセキュリティや機能安全における国際規格に早期に準拠することができます。
当社グループは、最先端の性能・機能・セキュリティや多様なAI実装ソリューションを提供することにより、顧客がその製品開発の初期段階からハードウェアがなくてもその仕様や機能、性能の検証を行うことができる「シフトレフト」とソフトウェアが自動車の価値を主導する「ソフトウェアファースト」の実現に貢献していきます。
② クラウド上で開発したソフトウェアをハードウェアに展開することで、試作品の設計サイクルを高速化できる「クイックコネクトスタジオ」を公表
当社グループは、顧客がクラウド上で開発したソフトウェアをハードウェアに展開することができるIoT機器向けプラットフォーム「クイックコネクトスタジオ」の提供を開始しました。
本プラットフォームは、顧客がクラウド上で使用したいマイクロコントロール基板を選択し、センサや通信ボードなどの必要な機能ブロックをグラフィカルに搭載するだけで、自動的にソフトウェアを生成し、ハードウェアで動作検証することを可能にする開発環境であります。
顧客がその製品を開発する場合、市場に製品を投入するまでの工程は極めて複雑で、多くの時間と労力を必要とします。しかし、本プラットフォームを使用すれば、顧客は、当社グループの半導体やツール、開発ワークフローに関する知識がなくても、自分の製品のアイデアを素早く具現化し、検証することが可能になるほか、ハードウェアとソフトウェアの開発を同時に実行できるようになるため、製品開発の期間短縮や効率化を図ることができます。また、本プラットフォームは、最新のGUI(注)により簡単に操作することができ、操作の習熟に要する時間も不要となります。
当社グループは、本プラットフォームの第一弾として、RAファミリと各種センサやコネクティビティ機能からその提供を開始し、RXファミリ、RL78ファミリなど、対応する製品を増やしています。
当社グループは、今後も顧客の製品・サービスの開発を楽(ラク)にするため、ユーザ・エクスペリエンスの向上を推進していきます。
(注)GUI:「Graphical User Interface」の略称で、コンピュータの画面上に表示されるアイコンやボタン等のグラフィックを用いて、マウス等のポインティングデバイスで操作できるインターフェースであります。
(3) 研究開発費
当社グループでは開発費の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費は、2,335億円となり、前連結会計年度の2,067億円と比べ268億円増加しました。これは主に、製品設計、システム開発、デバイス開発、プロセス技術開発、実装技術開発に使用しました。
なお、当社グループの研究開発は、大半が自動車向け事業および産業・インフラ・IoT向け事業の双方に係るものであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | |
---|---|---|---|
研究開発 | 156,300 | 206,700 | 233,500 |
売上対比 | 15.7% | 13.8% | 15.9% |