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えっ?廃止しちゃうんでしょ?なのにどうして??

廃止決定で人気急上昇?ジュニアNISA口座開設が早ければ早いほどお得な理由とは

相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

廃止が決まった途端に人気が急上昇しているジュニアNISA。今から入ってもお得なのかどうか、メリットや活用法を解説します。

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Contents

01NISAとは?

現在、NISAには「NISA(一般NISA)」と「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」の3種類があります。それぞれの特徴を確認していきましょう。

税負担を減らして少額投資を促進するための制度

NISAとは少額投資者向けの制度で、通常20.315%の税金が非課税になる

通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をして利益や配当を得た場合、20.315%の税(復興特別所得税を含む所得税+住民税)が課されます。この税負担を軽減し、少額投資を促進するために設けられた制度がNISA(ニーサ)で、金融機関等に開設した「NISA口座」を使って投資をして利益を得た場合、毎年一定額までが非課税になります。イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)という制度をモデルに作られた、いわば日本版ISAであることから、NISA(Nippon Individual Saving Account)という愛称で呼ばれています。

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NISA(一般NISA)

一般NISAでは、毎年最大120万円分の金融商品の購入が可能で、購入した金融商品を保有している間に得た利益は、購入した年から数えて5年間課税されません。まとまった資金の運用に適していると言えるでしょう。

非課税枠 120万円/年(最大600万円)
非課税期間 5年間
利用者の年齢要件 20歳以上(口座開設する年の1月1日現在)
投資できる商品 株式投資信託、国内・海外上場株式、国内・海外ETF、ETN(上場投資証券)、国内・海外REIT、新株予約権付社債(ワラント債)※金融機関によって異なる
メリット 口座で年間120万円の範囲内で購入した金融商品から得た利益(配当金、譲渡益等)が、最長5年間、非課税になる。
デメリット 口座で取引した損益は、他の口座と損益通算ができない。口座で生じた損失を翌年以降に繰り越しすることはできない。
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つみたてNISA

つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。つみたてNISAの口座では毎月あらかじめ決めた金額分の投資信託を積立方式で買うことができ(上限40万円/年)、各年に購入した投資信託による利益が、購入した年から20年間、非課税となります。教育費など、時間をかけて資産形成をするのに向いています。一般NISA口座との併用はできません。

非課税枠 40万円/年(最大800万円)
非課税期間 20年間
利用者の年齢要件 20歳以上(口座開設する年の1月1日現在)
投資できる商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
メリット 口座で年間40万円の範囲内で購入した金融商品から得た利益(配当金、譲渡益等)が20年間、非課税になる。
デメリット
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ジュニアNISA

ジュニアNISAは、未成年者(0歳~19歳)を対象とした少額投資非課税制度で、年間の非課税枠は最大80万円、非課税期間は最長5年間です。口座開設手続きや運用管理は、親や祖父母等が行いますが、口座開設者本人(口座の名義人)は親や祖父母ではなく、あくまでも未成年者である子や孫自身でなくてはなりません。子や孫の将来に向けた資産形成をサポートできるものです。

非課税枠 80万円/年(最大400万円)
非課税期間 最長5年間
利用者の年齢要件 0歳から19歳(口座開設する年の1月1日現在)
投資できる商品 株式投資信託、国内・海外上場株式、国内・海外ETF、ETN(上場投資証券)、国内・海外REIT、新株予約権付社債(ワラント債)※金融機関によって異なる。
メリット NISA口座で年間80万円の範囲内で購入した金融商品から得た利益(配当金、譲渡益等)が、最長5年間、非課税になる。非課税期間終了後、新設したジュニアNISA口座への移管(ロールオーバー)が可能
デメリット 口座開設者が18歳(3月31日で18歳である年の前年12月31日)になるまでは払出しができない。期限前に払い出した場合、非課税分を遡及課税される。金融機関を変更する場合は、いったん口座を廃止しなくてはならない。
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NISAとは?

まとめ

  • 少額投資者向けの制度で、通常20.315%の税金が非課税になる
  • NISAは一般NISAとつみたてNISA、ジュニアNISAの3種類
  • それぞれ非課税投資枠や非課税期間、投資対象などに違いがある
わかる選べるNISA投資
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02ジュニアNISA、2023年12月末で廃止が決定

なぜ廃止が決定してしまったのか、廃止後はどうなってしまうのかについて確認していきましょう。

利用者数が伸びなかった

払い出しに厳しい制限があり、利用が伸び悩んでいたジュニアNISA

10年間で最大800万円もの非課税枠を利用できるジュニアNISAですが、

  • 「3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日」まで、つまり高校3年生の1月になるまで払い出しができない
  • 途中で払い出した場合は、災害等やむを得ない場合を除き、過去に非課税で支払われた配当金や売却益に対しすべて課税(遡及課税)され、ジュニアNISA口座が廃止される

といった厳しい払い出し制限がネックとなって、当初の予想ほど利用者数が伸びませんでした。

廃止決定により払い出し制限が撤廃され、ジュニアNISAの口座数が急上昇している

そこで政府は、2020年度の税制改革でジュニアNISAの廃止を決定、2023年12月末をもって新規口座の開設が打ち切られることとなりました。すると、思いがけないことに、これまで伸び悩んでいたジュニアNISAの利用者が大幅に増加、いわゆる「かけこみ加入」が起きているのです。

金融庁が行った「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」によると、2020年12月末のジュニアNISAの口座数(速報値)は45万4614口座と、2019年12月末に比べ約29%増、買付高も2020年12月末には2550億2450万円と、2019年12月末比で約54%も増えています(※)。

※出典:
ジュニアNISA口座の利用状況調査(2019年12月末時点)p.1
ジュニアNISA口座の利用状況調査(2020年12月末時点 速報値)p.1

その理由は、ジュニアNISA廃止にともなって、最大のデメリットだった厳しい払い出し制限がなくなるからです。 2021年中にジュニアNISA口座を開設して投資をすれば、2023年の廃止までの3年間で最大240万円(年間80万円 × 3年)の非課税枠を利用でき、かつ2024年1月以降は未成年者が何歳でも好きな時にペナルティなしで払い出しができることになります。 例えば中学や高校進学時などに引き出して教育資金に充てることも可能なのです。このメリットを享受しようと、廃止前にジュニアNISAの口座を新設する人が増えているのです。

廃止後はどうなる?

2023年の制度終了時点で20歳になっていない場合

2023年の制度終了時点で20歳になっていない場合は、2024年以降の各年において非課税期間(5年間)の終了した金融商品を「継続管理勘定」に移管することができます。継続管理勘定では20歳になるまで(1月1日時点で20歳である年の前年12月31日まで)、金融商品を非課税で保有し続けることができます。なお、移管可能な金額に上限はなく、時価が80万円を超えている場合も、そのすべてを継続管理勘定に移すことができることとされています。なお、継続管理勘定では売却は可能ですが、新規の買付はできません。

ジュニアNISA制度期間内に20歳になる場合

一方、ジュニアNISA制度期間内に20歳になる場合は、20歳である年の1月1日に自動的にNISA口座が開設されます。この際、一般NISAにするか、つみたてNISAにするかを本人が選択します。一般NISAを選択した場合は、ジュニアNISAの口座(非課税口座)内の金融商品については、NISA口座に移すことができます。

ジュニアNISA、2023年12月末で廃止が決定

まとめ

  • 厳しい払い出し制限が課せられていたため口座数が伸び悩んでいたジュニアNISA
  • 廃止決定で制限撤廃され、人気が急上昇している
  • 好きな時に払い出せるため、中学や高校の教育資金に充てることも可能に
わかる選べるNISA投資
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03ジュニアNISA、どう活用すべき?

廃止が決定したことで、期間限定とはいえ、かえって使い勝手が良くなったジュニアNISA。どのように活用すれば良いのでしょうか?一般的には、ジュニアNISAの活用法として次の3つが指摘されています。

進学や就職の準備金

ジュニアNISAの払い出しに18歳という年齢要件が設けられていたのは子どもが進学・就職の時期を迎える年齢だからです。ジュニアNISAで蓄えた資金の使いみちについては、特に制限は設けられていませんが、大学進学や就職の準備金を貯めるためにジュニアNISAを活用する人も多いものと思われます。2024年以降は払い出しの年齢制限がなくなるので、前述のように中学や高校進学に備える教育資金としての利用が考えられます。

生前贈与

子どもの投資資金を親や祖父母が贈与した場合、当然、その資金は贈与税の対象となりますが、ジュニアNISAの場合は年間の投資上限が80万円なので、贈与税の1年あたりの基礎控除額である110万円以下です。したがって、NISAの投資資金を贈与しても、両親や祖父母に贈与税が課されることはありません。つまり、生前贈与とジュニアNISA口座を組み合わせて活用すれば、相続対策につながるということです。

投資教育

自分自身の口座を持つことによって、子どもが早くから投資に関心を持ち、金融や投資の仕組みについて学ぶきっかけとなることが期待されます。また、投資にはリスクがあることを知り、社会に出る前に金融や投資への理解や判断力といった、いわゆる「金融リテラシー」を身につける方法としても、ジュニアNISAは有用と考えられます。

ジュニアNISA、どう活用すべき?

まとめ

  • ジュニアNISAの活用法は定められていない
  • 教育や就職の準備金、生前贈与の相続対策、子供の金融リテラシー向上などに活用できるとされている
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04口座開設のタイミングは?

ここまでの内容を踏まえた上で、口座を開設するのはいつがベストなのかについて確認しましょう。

早ければ早いほど非課税枠を活用できる!

ジュニアNISAは2023年12月末で廃止されるので、2024年1月以降は新規に口座を開設できません。2021年中に口座を開設すれば、2021年と2022年、2023年の3年分の非課税限度枠240万円を利用できますが、2022年になると2年分の160万円、2023年になると1年分の80万円しか利用できないことになります。非課税枠のメリットを最大限に享受したいなら、2021年中に口座を開設すると良いでしょう。

なお、一般NISAとつみたてNISAの併用はできませんが、一般NISAとジュニアNISA、つみたてNISAとジュニアNISAは家族単位で併用が可能。まだNISAを始めていない方は、この機会にお子さんのジュニアNISAと同時に始めてみるのも良いかもしれません。

ジュニアNISAは未成年向け?押さえておきたい基礎知識と始め方のポイント
[ジュニアNISA] 2021.07.19

口座開設のタイミングは?

まとめ

  • 2024年以降は新規の口座開設ができなくなる
  • 早ければ早いほど非課税枠を活用できるため、ジュニアNISAを検討している場合は早めの口座開設が良い
  • 家族単位では併用も可能なため、子供と一緒に始めるのも推奨される
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