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将来もらえる年金はいくら?年金制度を理解して安心の老後生活を手に入れよう

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金融庁が2019年に公表した報告書から取り上げられるようになった、いわゆる「老後資金2000万円問題」を機に、「長い老後、年金だけでやっていけるのかな?」と不安を抱いた人も多いのではないでしょうか? もしくは、自分が将来受け取る年金についてよく理解していないことに気付かされた人もいるかもしれません。今回は改めて年金制度の基本や受給額を確認するとともに、より安心して老後を迎えるためのヒントをご紹介します。

01知っておきたい年金の基礎知識

年金の種類

まずは、日本の公的年金制度について確認しておきましょう。現在、日本には2つの公的年金制度、すなわち国民年金と厚生年金がありますが、原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人は国民年金に加入し、その上で、働き方に応じて厚生年金に加入することになっています。このため日本の公的年金制度は1階が国民保険、2階が厚生年金の「2階建ての年金制度」とも呼ばれています。

2階 厚生年金(厚生年金保険の適用を受ける企業や団体に勤務する人が加入)
1階 国民年金(日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入)

なお、国民年金は原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入することになっており、被保険者は職業や所得などにより以下の3種類に分けられています。

被保険者の種類 加入する人 保険料の納付方法
第1号被保険者 農業などに従事する人、自営業の人、学生、フリーター、年間収入が130万円以上の専業主婦・主夫など 加入者本人が納付書による納付や口座振替等によって納付します。
第2号被保険者 厚生年金保険の適用を受けている企業や団体に勤務する人 厚生年金加入者は自動的に国民年金にも加入することになり、国民年金保険料は厚生年金保険料に含まれています。勤務先を通じて納付されます(給料から天引き)。
第3号被保険者 第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人。ただし、年間収入が130万円以上で健康保険の扶養となれない人は第3号被保険者ではなく、第1号被保険者となります。 自己負担はなし。配偶者が加入する年金制度が配偶者の分とともに保険料を一括負担します。

保険料

(1)国民年金

国民年金の保険料は、毎年度見直しが行われますが2020年度は月額1万6540円です。なお、上の表のとおり、加入者自身で保険料の払込をしなくてはならないのは第1号被保険者のみで、第2号被保険者と第3号被保険者については、自身で保険料を納付する必要はありません。これは、第2号被保険者が加入している年金制度が、「基礎年金拠出金」として第2号・第3号被保険者の国民年金保険料をまとめて拠出しているためです。

(2)厚生年金

厚生年金保険の保険料は、毎月の報酬から算出する標準報酬月額と税引前の賞与総額から千円未満を切り捨てた標準賞与額(150万円の上限あり)に共通の厚生年金保険料率(18.3%)をかけて計算され、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。

保険料の種類 保険料額の計算方法
毎月の保険料額 標準報酬月額✕18.3%
賞与の保険料額 標準賞与額✕18.3%(150万円の上限あり)

受給開始年齢

(1)老齢基礎年金

国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上ある人は、原則として65歳になると「老齢基礎年金」を受給できます。ただし、希望すれば繰り上げ受給(60歳~64歳)や繰り下げ受給(66歳~70歳)を請求することができます。繰り上げ受給の場合は年金額が減額され、繰り下げ受給の場合は増額されます。

(2)老齢厚生年金

厚生年金に加入していた人は65歳から「老齢基礎年金」に加えて「老齢厚生年金」も受け取れるようになります。また、厚生年金の加入期間が1年以上あり、かつ老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付期間と保険料免除期間の合計が10年間)を満たしていれば、60歳~64歳までいわゆる「特別支給の老齢厚生年金」も受給することができます。

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02年金はいくらもらえるの?

では、受給資格を満たしている場合、具体的にはどのくらいの額の年金を受け取ることができるのでしょうか?受給額の計算は非常に複雑なので、自力で正確な数字を出すのは困難です。将来の受給額を知りたい場合は日本年金機構が運営するウェブサイト「ねんきんネット」に登録して、オンライン試算機能を利用することをおすすめします。利用するためには「年金手帳」「年金証書」などに記載されている「基礎年金番号」を用意しておくと、スムーズにアクセスできます。

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03年金制度は将来、どうなる?

将来もらえる予定の年金の受給額が把握できたとしても、それが確実にもらえるという確証があるわけではありません。世間では「年金制度は破綻する」、「年金額は将来、大幅に減らされてしまう」という説がまことしやかに囁かれています。少子高齢化が進む中、若者世代の負担増大や年金財政悪化への懸念は、ある意味当然のことと言えるかもしれません。

こうした状況の中、当然政府も手をこまねいているわけではありません。2004年に国民年金法の一部が改正され、厚生年金の保険料率を18.3%に固定する代わりに、将来の給付水準を段階的に引き下げ、年金財政のバランスを取る「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みが導入されました。給付水準の引き下げは年金財政が健全化するまで続くと見られていますが、健全化の実現がいつになるのかは、今後の経済状況や人口動態によって変動するため、明言することはできません。

そこで政府は、2004年から少なくとも5年ごとに年金財政の見通し「財政検証結果リポート」を作成し、その時点での年金財政について詳しく検証し、将来への見通しを示すことにしています。

直近では2019年に財政検証結果リポートが作成・公開されました。前回の2014年と比較すると、出生率や労働参加率の向上で、所得代替率(年金を受け取り始める65歳時点での年金額が、現役世代の手取り収入額と比べてどのくらいの割合になるのかを示す数字)は若干改善して、61.7%となりました。今回の財政検証では今後の経済成長と労働参加がどう進むかを6つのパターンに分けて、年金の将来の受給額を試算しました。その結果、標準的と思われるケースでは2047年頃には標準的なサラリーマンと専業主婦という夫婦の2人世帯受給額は約1割増えて月額24万円となっています。一方で所得代替率が50%を割り込む可能性があることが注目され、年金が2割減るという報道もありましたが、所得代替率は「伸びることが予測される現役の所得」と「わずかに増える年金額」から算出されたものなので、すぐに年金が2割減るということではないのであわてる必要はないでしょう。財政検証の結果に関しては、厚生労働省のウェブサイト「いっしょに検証! 公的年金」の発表資料(※)で確認することができます。

もちろん、これは2019年時点での検証であり、今後の状況がどう変わっていくかの予測は困難です。より安心して老後を迎えるためには、年金だけに頼らず、自分でも老後への備えをしておく必要があることは間違いないでしょう。

※出典:いっしょに検証! 公的年金

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04年金だけじゃ不安!もっと安心して老後を迎えるには?

老後への経済的な備えとしては、貯金や投資などさまざまな方法がありますが、ここでは受け取れる年金額を増やす方法を3つご紹介します。

付加年金

付加年金制度は、主に国民年金第1号被保険者を対象とした制度で、毎月の定額保険料に付加保険料(400円/月)を上乗せして納めると、老齢基礎年金に「200円✕付加保険料納付月数」の金額が上乗せして支給されます。

付加年金は加入期間が決まっていて、原則として国民年金第1号被保険者の期間で20歳から60歳未満の月の40年間になります。たとえば、20歳~60歳までの40年間、付加保険料を納めていた場合は毎年「200円×480か月(40年)= 96,000円」が上乗せして支給されることになります。この間の付加保険料の支払いは19万2000円ですので、2年間で納付した分が戻ってくるということになります。なお、付加保険料は申し込みをした月から支払うことができます。納付を希望する場合は、市町村役場か年金事務所で申し込むことができます。

繰り下げ受給

老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに原則として受給開始年齢は65歳ですが、受給開始を66歳から70歳までの間に繰り下げることも可能です。その場合、65歳に達した月から1カ月遅くなるごとに、受給額が0.7%ずつ増額され、70歳まで繰り下げると受給額は42%も増額することに。受給額の増額率は受給開始時点で固定されるので、70歳で受給を開始した場合は、42%の増額率が一生続くことになります。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受給する見込みの場合、どちらか一方だけを繰り下げ受給することも可能です。年金を受給しなくても生活に困らない場合は、繰り上げ受給を検討する価値は十分にあるといえるでしょう。

繰り下げ時の年齢 増額率
66歳0ヵ月~66歳11ヵ月 8.4%~16.1%
67歳0ヵ月~67歳11ヵ月 16.8%~24.5%
68歳0ヵ月~68歳11ヵ月 25.2%~32.9%
69歳0ヵ月~69歳11ヵ月 33.6%~41.3%
70歳0カ月~ 42%

確定拠出年金制度やiDeCoに加入する

これまで見てきた公的年金制度とは別に、確定拠出年金法に基づき企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う確定拠出年金制度(企業型DC)という私的年金制度があります。導入する企業が増えていますが、勤務先の企業で従業員が自動的に加入する場合と、加入するかどうかを選択できる場合があります。

また、企業型DCを導入していない企業に勤務している人や、個人事業主の方などに向けては「iDeCo」(個人型確定拠出年金)という制度があります。

「iDeCo」も、企業型DCと同様、確定拠出年金法に基づいて運営されている私的年金制度です。両者には運用商品の選択、掛け金の拠出や納付方法などに違いがありますが、いずれも自分で決めた額を毎月積み立てつつ、その掛金を運用することによって、老後のための資産形成を目指すものです。

この二つの制度に共通するメリットは税制優遇です。掛金が全額所得控除の対象で、運用益も非課税。また、受け取り方は「一時金(一括)」と「年金(分割)」の2通りがあり、一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除を受けることができます。

「iDeCo」は自ら掛金を拠出しますが、掛金の最低額は月額 5000円と資金に余裕のない人でも利用がしやすくなっています。

もちろんは運用の結果は自己責任となりますので、運用の結果によって、将来受け取ることができる年金の額は変動します。

いずれにせよ、年金について正しく理解し、足りない部分はさまざまな制度を使って補いながら老後の資産形成を考えることが大切です。

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相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。


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